こんにちは、1級土木施工管理技士のちゃんさとです。
今回のテーマは【重ね継手】
鉄筋における重ね継手の長さや基準についてサクッと解説していきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
この記事を書いた人

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重ね継手の定義★基準はどこで決められている?
重ね継手とは、2本の鉄筋を一定の長さ以上で重ね、鉄線や結束線で結ぶ継手方法です。
コンクリートと鉄筋の付着により鉄筋同士の力を伝達させる役割があります。
そして重ね継手は施工が簡単であるため、現場でも多く用いられていますよ 🙂
一方、重ね継手は鉄筋の継手位置と必要な長さが決まっています。
重ね継手は【ラップ長】と言いますので覚えておきましょう。
そして基準としては、鉄筋はJISで定められており、正式には「鉄筋コンクリート用棒鋼」です。
また土木ではコンクリート標準示方書、建築では建築基準法などで定められています。
構造物や条件により鉄筋の最大長さが決められていますので確認してください。
重ね継手の長さと基準の計算
重ね継手の重ね合わせ長さは、「定着長さ」に基づきます。
定着長さは、コンクリート設計基準強度に基づく付着強度、鉄筋強度、鉄筋径の3つの要素で決まるとされ、計算式は以下のとおりです。
鉄筋の定着長さld=fydΦ/(4×fbod)
fyd:鉄筋の設計引張降伏強度
Φ:主鉄筋の直径
fbod:コンクリートの許容付着応力度
さらに軸方向鉄筋と横方向鉄筋の基準をまとめるとこんな感じ 🙂
軸方向鉄筋の重ね継手 | 横方向鉄筋の重ね継手 |
配筋する鉄筋量が計算上必要な鉄筋の2倍以上
同一断面での鉄筋の割合が1/2以下の場合は、重ね継手の重合わせ長さは基本定着長ld以上としなければならない |
横方向鉄筋の継手は鉄筋を直接接合する継手を用いることとし、原則として重ね継手を用いてはならない
※スターラップに沿ってひび割れが発生する可能性があるため、スターラップの継手は鉄筋とコンクリートの付着を期待する重ね継手は使わないこと 鉄筋を直接接合する継手は、母材と同等以上の強度を有し、軸方向剛性および伸び能力が母材と著しく異なることなく、かつ、残留変形量の小さい方法を用いることを原則とする 帯鉄筋に継手を設ける場合には、継手位置がそろわないように相互にずらすことを原則とする。 |
【上記の条件を満たすことができない場合の措置」
どちらか一方のみ満たされる場合には基本定着長の1.3倍以上 両方が満たされない場合には基本定着長さの1.7倍以上 |
とくに軸方向の鉄筋の継手は強度を確保するため継手長さを長くする必要があり、さらに上記どちらの条件でも、継手部を横方向鉄筋で補強する必要があるので注意してください。
さらに重ね継手の重合わせ長さは、鉄筋直径の 20 倍以上とし、重ね継手部の帯鉄筋および中間帯鉄筋の間隔は100mm 以下とします。
一方、水中コンクリート構造物の重合わせ長さは、原則として鉄筋直径の 40 倍以上とします。
また重ね継手は、交番応力を受ける塑性ヒンジ領域では用いてはいけません。
(参考_コンクリート標準示方書)
重ね継手の位置と注意点
重ね継手を含む、継手の注意点をまとめると以下のとおりです。
継手の注意点
- 鉄筋の継手位置は、できるだけ応力の大きい断面を避けること
- 継手を同一断面に集めないために、継手位置を軸方向に相互にずらす距離は、継手の長さに鉄筋直径の25倍を加えた長さ以上とする
- 鉄筋の重ね継手は、所定の長さを重ね合わせて、直径0.8mm以上の焼きなまし鉄線で数カ所緊結すること
- 継手部どうしのあきは、粗骨材の最大寸法以上を確保する
- 重ね継手の重合わせ長さは、鉄筋直径の 20 倍以上とする
- 重ね継手部の帯鉄筋および中間帯鉄筋の間隔は100mm 以下
- 水中コンクリート構造物の重合わせ長さは、原則として鉄筋直径の 40 倍以上
- 交番応力を受ける塑性ヒンジ領域では用いてはならない
とくに継手長さや間隔幅については十分に注意して施工してください。
一方で、継ぎ手位置が同じ位置に並ぶことを「いも継ぎ手」と呼び、継ぎ手が一箇所に集中することにより構造物全体の強度が低下するため、原則「いも継ぎ手」は行ってはいけません。
また鉄筋のあきやかぶりについては、以下の記事も併せてご確認ください。
以上です。
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