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法面仕上げや法面工事の種類|のり面の特徴や注意点を解説

法面工事

日本の国土は山地が多く、必然的に傾斜地が広く分布しています。

そのため、道路工事・鉄道工事・宅地造成・河川工事など、あらゆる開発行為において法面(のりめん)が発生します。

しかし、降雨量の多い日本では、法面の表層を雨水が流れることで浸食が進んだり、地中へ浸透した水が原因で崩壊が起きたりするリスクが高まります。

こうした浸食・崩壊・落石などを防ぎ、法面下にある道路の通行車両や鉄道車両、住宅地の家屋を守るためにも、法面工事(法面仕上げ)は欠かせない存在と言えるでしょう。

そんなわけで今回のテーマは【法面仕上げや法面工事】

法面仕上げや法面工事の種類、工法などをまるっと解説していきます。

法面仕上げとは

法面(のりめん)

法面仕上げとは、切土・盛土で形成した法面を、所定の形状・勾配・表面状態に整える作業のことです。

法面仕上げの目的は以下の3つが中心です。

法面仕上げの目的

  • 設計通りの勾配・形状を確保する
    → 安定性・排水性・施工後の保護工の性能に直結。
  • 表面の乱れを整え、浸食や風化を防ぐ
    → 雨水の集中・表面流による洗掘を抑える。
  • 後続工(植生工・モルタル吹付・張り工など)の施工性を確保する
    → 下地が悪いと、どんな保護工も性能が出ない。

のり面仕上げの種類

法面仕上げは、法面の材料や後続工によって使い分けます。

1. 整形仕上げ(切土・盛土共通)

ブルドーザ、バックホウ、法面バケットなどで設計勾配に整形します。

最後は人力で段差・凹凸を均す場合もあります。

2. 仕上げ転圧(盛土法面)

タンピングローラ、ランマ、プレートなどで表層を締固めます。

盛土法面は締固め不足による浸食が多いため重要な工程です。

3. 法面整形(切土岩盤)

ブレーカや発破後の不陸調整を行います。

ルーズロック除去、安全性を確保してください。

4. 植生基盤整形

植生工を行う前に表土厚さ・均一性を確保します。

表土撒き出し → 整形 → 軽転圧の順に施工するのが一般的です。

のり面仕上げの一般的な施工手順

法面仕上げについて、現場で最もよく使う流れをまとめるとこうなります。

法面仕上げ① 粗整形(重機)

ブルドーザやバックホウで設計勾配より少し余裕をもって切土、または盛土を行います。

法面仕上げの目安:仕上げより5〜10cm程度の余盛りをするのが一般的です。

法面仕上げ② 精整形(法面バケット・人力)

法面の仕上げはバケットで勾配を合わせます。

場合によっては人力で不陸・段差・溝を除去することもあります。

法面仕上げ③ 仕上げ転圧(盛土の場合)

プレート・ランマ・小型ローラで表層を締固めます。

締固め不足は浸食の原因になりますのでしっかり行いましょう。

法面仕上げ④ 排水処理の確認

水抜きパイプ、法尻排水溝、法肩排水溝などの通水性・位置を確認してください。

法面仕上げ⑤ 後続工(植生・吹付・張り工)へ引き渡し

下地の凹凸は後続工の品質に直結します。

問題なければ次の工事(工程)へ引き継いでください。

法面仕上げの品質管理のポイント

法面仕上げの品質管理ポイントをまとめました。

1. 勾配の確認

  • レベル・トランシット・レーザーで確認。
  • 目視だけだと誤差が大きい。

2. 不陸(凹凸)の有無

  • 10〜20mm程度の凹凸でも、雨水が集中して浸食溝になる。

3. 表面の締固め(盛土)

  • 手で触ってボロボロ崩れるならNG。
  • 表層だけでも締固めを確保。

4. ルーズロックの除去(切土岩盤)

  • 落石の原因になるため、ハンマーで叩いて確認

5. 排水処理の連続性

  • 法肩 → 法面 → 法尻 → 側溝
    この流れが途切れていないか。

法面仕上げのよくある不具合

法面仕上げのよくある不具合はこちらです。

法面仕上げの不具合 主な原因 対策
表面浸食(溝状) 不陸、締固め不足、排水不良 仕上げ精度向上、表層転圧、排水処理
法面崩壊(表層) 盛土の締固め不足、雨水集中 施工時含水比管理、排水強化
植生不良 表土不足、土質不均一 表土厚管理、均一な整形
吹付モルタルの剥離 下地の凹凸、浮石残り 下地処理の徹底

法面仕上げは「ただ形を整える作業」ではなく、後続工の品質・法面の長期安定性を左右する最重要工程です。

特に大事なのは以下の3つです。

  • 勾配精度
  • 不陸の除去
  • 排水処理の連続性

この3つができていれば、法面はほぼ問題なく仕上がります。

法面工事の種類|特徴や注意点を解説

【法面(のりめん)】とは、盛土もしくは切土してつくられた人工的傾斜面のことを指します。

つまり法面工事は、人工的傾斜面や自然斜面が崩壊・落石しないように、保護・強化・安定化を図る工事と言えますね。

そして法面工事の種類は、①植生工②構造物工③法面排水工の3種類があります。

法面工事・法面仕上げ①植生工

植生工は、植物の種子や肥料、水などを練り混ぜた基材を撒くことや苗木を植えて植物を繁殖させることで、法面表層部の保護・安定化を図ります。

植生工の特徴は、植物が成長して法面を覆い風雨による法面の浸食を防御し、風化も抑制する点です。

また植物の根が法面の土としっかり絡み合い、土砂崩れを防御する役割もあります。

そして植生工のメリットは、景観や自然環境の保全、温暖化対策にも有効なこと!

土質・地質や自然景観、周辺環境、気候、施工時期などを確認したうえで、最も適した工法が選択されます。

植生工の種類と特徴はこんな感じ 🙂

工種(法面仕上げ) 目的・特徴
種子散布工 侵食防止/凍上/崩落抑制/全面植生(緑化)
客土吹付工
植生基材吹付工
張芝工
植生マット工
植生シート工
植生筋工 盛土法面の浸食防止/部分植生
筋芝工
植生土のう工 不良土、硬質土法面の浸食防止
苗木設置
吹付工 侵食防止/景観形成
植栽工 景観形成

 

また、植生工の法面や勾配の関係は以下のとおりです。

工法名 適用のり面勾配
種子散布工 比較的のり面勾配がゆるく、透水性のよい安定した法面
客土吹付工 切土法面(急勾配での施工が可能)
植生基材吹付工 切土法面(急勾配での施工が可能)
張芝工 侵食されやすい法面
植生マット工 侵食されやすい法面
植生シート工 侵食されやすい法面
植生筋工 盛土法面
筋芝工 盛土法面
植生土のう工 不良土、硬質土の法面
苗木設置 植物の生育基盤が安定する法面
吹付工 植物の生育基盤が安定する法面
植栽工 植物の生育基盤が安定する法面

法面勾配は1:0.8よりゆるやかにしてください。

法面勾配が急だと植生の活着が悪く、凍結により植生のはく離が生じやすい寒冷地では、法面勾配を1:1.5よりゆるやかにします。

 

植生工の留意点

植生工の施工については、それぞれの工法の特徴を把握するとともに、植物の生育に関して以下の点を注意してください。

植生工★施工の留意点

  1. 法面の土壌が植物の生育に適していること
  2. 現地に適した植物をえらぶこと
  3. 水分と養分の適当な補給があること
  4. 施工に適した時期をえらぶこと
  5. 法面勾配が適切であること

 

法面工事・法面仕上げ②構造物工

構造物工は、モルタル・コンクリート、板柵、籠などを使用して法面の保護・強化・安定化を図ります。

法面のある地山の地質が土砂や軟岩などで形成されている場合、風雨による風化の影響を受けるため、構造物による防御が必要となるからです。

また、法面表層部の防御だけではなく、表層部から地中深い部分における崩壊や崩落の防御も求められます。

その場合はグランドアンカー工などによりアンカーを地中深くまで挿入し、法面の保護・強化・安定化を図ります。

構造物工法の種類は以下の表のとおりです。

適用する法面なども基準がありますのでしっかり確認しましょう。

工法名(法面仕上げ) 概要 適用のり面
編柵工 法面に打ち込んだ木杭に竹、そだ、または高分子材料のネットなどを編んで土留めをおこなう工法 植生によって法面を安定させるとき、法表面が流出するおそれのある法面
じゃかご工 鉄線などで編まれたカゴのなかに石などを詰めて、法面を保護する工法 湧水により土砂流出のおそれがある法面
プレキャスト枠工 プレキャスト枠により法面を保護する工法 1:1.0よりゆるやかな勾配の法面
モルタル・コンクリート吹付工 法面を整形し、浮石や風化の進行した部分を除去して金網を取り付ける工法 湧水がなく、風化しやすい、植生工が適用されない法面
石張工 法面に石張をほどこし、法面の風化や侵食防止をおこなう工法 1:1.0よりゆるく粘着力のない法面、土丹ならびに崩れやすい粘土の法面
ブロック張工 法面にブロック張をほどこし、法面の風化や侵食防止をおこなう工法 1:1.0よりゆるく粘着力のない法面、土丹ならびに崩れやすい粘土の法面
コンクリート張(積)工 法面表層部の崩落防止、多少の土圧を受けるおそれがある場合などに用いられる工法 きれつの多い岩盤やルーズな崖など、安定が確保できない法面
吹付枠工 鋼製やコンクリート枠などを設置し枠内をコンクリート吹付けをして、法面表層部の崩落・剥落防止などを目的とする工法 きれつの多い岩盤法面、早期に保護する必要のある法面
現場打ちコンクリート枠工 コンクリート枠を設置し、枠内はさまざまな方法で法面の崩落を防止する工法 湧水をともなう風化岩や法面の安定性に不安がある、長大で崩落のおそれのある法面
石積、ブロック積擁壁工 石積やブロック積擁壁などで法面を保護する工法 法面が1:0.5くらいの急な勾配の法面
ふとんかご工 鉄線などで編まれたカゴのなかに石などを詰めて、法面を保護する工法 湧水箇所や地すべり崩壊後の復旧作業などの部分
井桁組擁壁工 井桁組擁壁などで法面を保護する工法 法面が1:0.5くらいの急な勾配の法面
コンクリート擁壁工 コンクリート擁壁などで法面を保護する工法 法面が1:0.5くらいの急な勾配の法面
補強土工(盛土補強、切土補強) 各種補強材の機能により、補強材がない場合と比べてより急な勾配でも、盛土や切土法面を安定化させる工法 盛土や切土の安定性が確保できない法面
ロックボルト工 モルタル吹付工や法枠工だけでは法面が安定しない場合、土中に鋼棒(補強材)を挿入打設し、土と補強材の相互作用によって表土のすべりを防ぐ工法 硬岩または軟岩できれつ等があり、崩落などのおそれがある法面
グランドアンカー工 不安定な岩盤と堅固な基盤を、アンカー材により直接緊結して崩落および剥落を防止する工法 硬岩または軟岩できれつ等があり、崩落などのおそれがある法面
杭工 鉛直に掘った孔に杭を挿入し、その抵抗力で斜面の崩壊を防止する工法 軟弱で、崩落などのおそれがある法面

 

法面工事・法面仕上げ③法面排水工

法面排水工

法面排水工は、法面の風化・浸食・崩壊の原因となる降雨などの地表水や浸透水を排水します。

法面工事を行うときには、排水処理が必要かどうか必ず確認する必要があります。

盛土や切土を行う場合、法面の安定を図るため、しっかり法面排水の処理を行う必要があります。

盛土と切土に分けて、くわしくみていきましょう。

 

盛土の法面排水

盛土において、法面排水の注意点は以下のとおり!

法面排水(盛土)施工上の注意点

  1. 雨水浸透による盛土の軟弱化を防ぐため、盛土面には4~5%程度の勾配を保つように敷き均しながら施工する。
  2. 施工中に降雨が予想されるときには転圧機械、土運搬機械のわだちのあとが残らないように、作業終了時にローラなどで表面をなめらかにし、雨水の土中への侵入を防ぐ。
  3. 降雨前に敷きならした土を転圧せずに放置しないこと。
  4. 高盛土(5m以上)の法面が表面水によって洗堀崩壊する恐れのある場合で盛土表面の幅が広い時は、降雨前にグレーダなどでのり肩側溝を設けて、法面への雨水が流下するのを防止する。
  5. 粘性土の盛土材料は、いちど高含水比になると含水比を低下させることがむずかしいため、施工時の排水を十分に行い、施工機械のトラフィカビリティを確保する
  6. 砂または砂質土で盛土を行う場合は、盛土表面から雨水を浸透しやすいため、ビニルシートなどで法面を被覆して保護する
  7. 砂質土盛土はとくに、法肩や法面は十分に締め固める
  8. 切盛りの接続区間では、施工の途中で切土側から盛土側に雨水が流れ込むのを防ぐため、境界付近にトレンチ(排水溝)を設ける
  9. 法面の集排水設備や法面の保護は、なるべく早めに法面の仕上げを追いかけて施工する。

 

また、法面に使う盛土材料が高含水比の場合、土質改良が必要です。

水切り 盛土材料を仮置きし、多くの溝などを設けることにより、土中の水の排水を図る
曝気乾燥 バックホウなどで表面をかき均し、できるだけ表面積を大きくして空中に曝気する

太陽や風などによる水分の蒸発を図って含水比を低下させる

安定処理 石灰系またはセメント系材料を用いて攪拌混合し締め固める

試験施工をおこなって、安定処理材の種類および配合を決定する

 

切土の法面排水

つづいては切土法面排水の注意点です。

法面排水(切土)施工上の注意点

  1. 降雨時における雨水の掘削箇所への流入を防止するため、周囲にトレンチなどを設けて、表面水の侵入を防ぐ
  2. 切土部における表面排水を考え、横断方向へ3%程度の勾配をとり、掘削両面側のトレンチに雨水を排水する
  3. 切土部において地下水位が高い場合、十分な深さのトレンチを設けて、土の含水を低下させる
  4. 切盛りの接続区間では、施工の途中で切土側から盛土側に雨水が流れ込むのを防ぐため、境界付近にトレンチ(排水溝)を設ける

 

いっぽう、切土法面の排水工の種類と目的はこんな感じです 🙂

切土法面の排水工の種類 機能(目的)
表面排水工 法肩排水溝 法面への地山表面排水の流下を防止する
小段排水溝 法面の水を小段にあつめて縦排水溝に流す
縦排水溝 法面排水溝や小段排水溝からの水を法尻の水路に流す
地下排水工 地下排水溝 地表面近くの地下水や浸透水を集めて排水する
水平排水孔 法面内の湧水を法面の外へ排水する
垂直排水孔 法面内の地下水や浸透水を集水井で排水する

切土を行うときには、排水処理についてもしっかり検討しましょう。

さらにくわしくは以下の記事をご覧ください。

法面排水の工法や注意点★パイプや排水工法(地下水対策)も解説

法面工事の注意点

法面工事現場では、作業員などがロープでぶら下がりながら作業をする場合があります。

勾配のきつい法面では、さまざまな危険と隣り合わせの業務となるため、安全管理や安全教育の徹底が要求されるでしょう。

さらに法面工事は現場に数名のチームで作業する場合が多く、チームリーダーの手腕や統率力も重要になります。

また、法面の亀裂や出水の変化から、法面崩壊する前兆を見抜く危険察知能力および事前調査なども必要です。

区分 注意点 解説
勾配管理 設計勾配の確保 目視だけに頼らず、レベル・トランシットで確認する。誤差は浸食や崩壊の原因。
不陸の除去 凹凸・段差の解消 小さな溝でも雨水が集中し浸食を招くため、仕上げ時に丁寧に整形する。
締固め(盛土) 表層の締固め不足に注意 盛土法面は特に浸食しやすい。プレート・ランマで表層を確実に締固める。
ルーズロック除去(切土) 浮石・転石の残存防止 ハンマーで叩いて確認し、落石リスクを排除する。
排水処理 法肩・法尻・側溝の連続性 排水が途切れると浸食・崩壊につながる。通水性と位置を必ず確認。
土質確認 不均一な土質への対応 植生不良や浸食の原因。必要に応じて表土改良や均一化を行う。
後続工との調整 下地の精度確保 吹付・植生・張り工の品質は下地で決まる。凹凸や軟弱部を残さない。
安全管理 作業員の転落・落石対策 法面作業は危険が多い。安全帯・落石防護・作業計画の徹底が必須。

 

法面仕上げと法面工事まとめ

法面仕上げと法面工事は、構造物を守り、周囲の安全性と景観を維持するための重要な基盤となる工程です。

適切な整形・締固め・排水処理を行うことで、浸食や崩壊を防ぎ、後続の植生工や保護工の品質も大きく向上します。

現場では勾配精度や不陸の有無、下地処理など基本を丁寧に積み重ねることが長期安定につながります。

法面の状態を正しく整えることが、安心して利用できるインフラづくりの第一歩です。

 

以上です。

ありがとうございました。

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