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植生工(筋芝工や植生筋工)とは?選定や工法&違いを解説

植生工(種類&特徴&選定)
植生工ってどんな種類があるんだっけ?

法面保護工のひとつである【植生工】

筋芝工や植生筋、張芝工など、法面に植物を繁茂させることで、法面を保護する工法です。

 

いっぽう植生工には、さまざまな種類があり、それぞれに異なった特徴があります。

そんなわけでこの記事では、植生工の種類や特徴、選定方法、違いなどをまとめました。

植生工における知識の習得や、施工時の参考にしていただければうれしいです。

それではさっそく参りましょうラインナップはこちら 🙂

 

植生工(張芝工や植生筋工)とは?選定や工法&違いを解説

法面保護工(植生)

植生工は、法面の安定性のほか、周辺環境との調和ができることがメリットです。

施工に関しては、植物の生育に適していることや、植物の生育を考えた時期などを考える必要があります。

種類 工種 目的・特徴
植生工 種子散布工 侵食防止

凍上崩落抑制

全面植生(緑化)

客土吹付工
植生基材吹付工
張芝工
植生マット工
植生シート工
植生筋工 盛土法面の浸食防止

部分植生

筋芝工
植生土のう工 不良土、硬質土法面の浸食防止
苗木設置吹付工 侵食防止

景観形成

植栽工 景観形成

 

ひとつひとつくわしくみていきましょう

植生筋工

植生筋工は、種子、肥料などを装着した帯状の布または紙を、盛土法面の土羽打ちのときに、水平の帯状に挿入する工法です。

人工筋芝工とも言います。

 

適用される法面は盛土法面で、目的は盛土法面の浸食防止、部分植生です。

 

 

筋芝工

筋芝(すじしば)工は、盛土法面の土羽打ちのときに野芝を水平の筋状に挿入する工法。

適用されるのは盛土法面で、侵食防止、部分植生が目的です。

 

施工の注意点としては、野芝は生育がおそいので、全面被覆するまでに時間がかかります。

砂質土の場合は、筋間の土砂が流出するおそれが… 😥

このため法面を土羽打ちにより、しっかり締め固めるとともに、芝の生育を促進するために施肥をする必要があります。

 

 

種子散布工

種子散布工は、肥料、ファイバーを水に混合して法面にポンプまたは吹付け用ガンで吹付ける工法です。

目的は侵食防止、凍上崩落抑制、全面植生(緑化)などが挙げられます。

芝が生育するまでに時間を要することから、比較的のり面勾配がゆるく、透水性のよい安定した法面が適しています。

 

 

客土吹付工

客土吹付工

法面に対しネットを張り、種子・肥料・養生材・緑化補助材・法面安定材を混合したものなどの多量の緑化材を、水力圧による吹付機(ハイドロシーダ)などを使用し、法面を被覆する方法です。

法面を被覆した厚みのある緑化材は、植物の成長に必要な養分の不足等を補って、発芽・発根を促進します。

客土吹付工は、余り土質の良くない法面等の植生基盤上に、団粒構造を持つ植生基材の層を人工的に形成し、植物の生育可能な土質構造を作りあげます。

目的は侵食防止、凍上崩落抑制、全面植生(緑化)などが挙げられます。

切土法面に適しており、急勾配の箇所での施工が可能です。

一方で、緑化材の使用材料には規定量の有機質が含まれ植物の繁茂に必要な養分等を補給します。

 

 

植生基材吹付工

種子散布工 植生(厚層)基材吹付工
種子散布工 植生(厚層)基材吹付工

植生基材吹付工は、種子・肥料・基盤材・接合材等を混合し吹付る工法で、ラス金網張工を併用し、吹付厚は3~10㎝です。

目的は侵食防止、凍上崩落抑制、全面植生(緑化)などが挙げられます。

客土吹付工と同様に、切土法面に適し、急勾配の箇所での施工が可能です。

 

さらに種類を見ていくと、土砂系と有機質系の2つがあります。

土砂系 種子・肥料・土壌改良材・接合材等に水と客土を混合し泥状にした材料をスクイズポンプで圧送しエアーで散らして吹付る工
有機質系 種子・肥料・基盤材・接合材をモルタル・コンクリート吹付機にて混合しエアーで圧送し吹付る工法

 

張芝工

張芝工は、芝を法面に張り付ける工法です。

ベタ張りすると、張芝の完成と同時に法面の保護効果がでるしくみ 🙂

ただし、法面が養分の少ない土の場合は、芝の生育が悪くなることから、のり表面に養分の多い土を客土したり、化学肥料を散布することが必要です。

 

目的は侵食防止、凍上崩落抑制、全面植生(緑化)です。

侵食されやすい法面に適しています。

ちなみに張芝工と筋芝工の違いは以下のとおり。

張芝 筋芝
概要 芝を法面に張り付ける工法 盛土法面の土羽打ちのときに野芝を水平の筋状に挿入する工法
補助材料 目串 なし
適応する法面勾配 侵食されやすい法面

1:1.0より緩勾配

盛土法面

1:1.5より緩勾配

緑化目標 切芝・ロール芝 切芝

張芝の方が筋芝よりも安定するとされるので、張芝の方が採用されることが多いです。

植生マット工・植生シート工

植生マット工と植生シート工は、種子、肥料などを装着したマットまたはシートで法面を保護する工法です。

マット・シートによる保護効果があることから、芝が生育するまでの間も法面の安定が図れます。

 

目的は侵食防止、凍上崩落抑制、全面植生(緑化)です。

侵食されやすい法面に適しています。

 

ちなみに植生マットと植生シートの違いはこんな感じです。

植生シート(標準品・環境品) 植生マット
規格 肥料袋なし

2重ネット

肥料袋あり

2重ネット

用途 盛土 切土
説明 肥料袋がなく、ネットが1重の製品

ネット全面に肥料、種子が付着しており独自で植生可能

肥料袋が付いており、ネットが2重の製品

ネットには種子が付着しており独自で植生可能

参考

価格

標準290円

環境580円

1,000円

※環境品とは、自然分解する素材を使用し、植生後に主構成材料が残らない分解型または間伐材などを使用した循環型の植生シートのこと(分解性プラスチック、ジュート、ワラ、間伐材などが用いられる)

 

植生土のう工

植生土のう工は、種子と肥料を網袋に詰め、法面に掘った水平なみぞや、のり枠内に固定する工法。

網袋に包まれていることから、流出が少なく地盤に密着しやすいです。

 

適用される法面は、不良土、硬質土の法面で、目的は主に侵食防止となっています。

 

 

苗木設置吹付工

苗木設置吹付工は、コンテナ苗木(ポット苗木)や、現場周辺で採取した山取苗を法面に植栽する緑化工法です。

苗木の根による浸食防止と、緑化の景観形成が目的です。

 

 

植栽工

植栽工

植栽工は、法面に植樹する工法です。

法面を不安定にすることのないように倒木対策や排水処理を考える必要があります。

周辺の環境との調和や、景観の向上が目的です。

 

 

植生工の選定フローと適用できる法面(勾配)について

植生工の選定フローはこちら 😎

道路土工-法面工・斜面安定工指針を参考に作成しています。

植生工フローチャート(オリジナル)

植生工の選定はまず盛土か切土かに分けられ、土質や亀裂、風化状況などから植生工を選定していきます。

選定に迷ったらぜひやってみてくださいね 🙂

 

また、植生工の法面や勾配の関係は以下のとおりです。

植生による法面保護工  
工法名 適用のり面 勾配
種子散布工 比較的のり面勾配がゆるく、透水性のよい安定した法面 法面勾配は1:0.8よりゆるやかにする

法面勾配が急だと植生の活着が悪い

凍結により植生のはく離が生じやすい寒冷地では、法面勾配を1:1.5よりゆるやかにする

客土吹付工 切土法面(急勾配での施工が可能)
植生基材吹付工 切土法面(急勾配での施工が可能)
張芝工 侵食されやすい法面
植生マット工 侵食されやすい法面
植生シート工 侵食されやすい法面
植生筋工 盛土法面
筋芝工 盛土法面
植生土のう工 不良土、硬質土の法面
苗木設置吹付工 植物の生育基盤が安定する法面
植栽工 植物の生育基盤が安定する法面

一方で、法面保護工には植生工のほか、構造物による工法もありますので併せてチェックしておいてください。

 

植生工法の留意点

工事現場(施工状況)

植生工の施工については、それぞれの工法の特徴を把握するとともに、植物の生育に関して以下の点を注意してください。

植生工★施工の留意点

  1. 法面の土壌が植物の生育に適していること
  2. 現地に適した植物をえらぶこと
  3. 水分と養分の適当な補給があること
  4. 施工に適した時期をえらぶこと
  5. 法面勾配が適切であること

法面の土壌が植物の生育に適していること

法面が植物の生育に必要な、ほどよい柔らかさをもっていることが大切です。

また、土には栄養分が必須なので、必要に応じて客土や施肥を行いましょう。

 

現地に適した植物をえらぶこと

現地の気候や施工時期、土質などの条件を考慮して、植生の目的に適した植物を選定してください。

 

水分と養分の適当な補給があること

植生工には水分と養分が必要です。

だから高架下の雨水がかからないような場所では、植生工はのぞましくありません。

また、切土法面でやせた土壌の場合は、施肥などが必要になります。

一方で、水を多く含みすぎるのもNG。

適切な法面排水工の設置も必要になる場合もあります。

 

施工に適した時期をえらぶこと

植生工に適した時期は、一般的に種をまく春と秋の時期が適切です。

 

法面勾配が適切であること

法面勾配が急であると、植生の活着が悪いので、きほん1:0.8よりゆるやかにしましょう。

また、凍結により植生のはく離が生じやすい寒冷地では、法面勾配は1:1.5よりゆるやかにしてください。

 

植生工(張芝工や植生筋工)とは?選定や工法&違いまとめ

植生工選定フロー

植生工選定フロー

植生工法と法面

植生による法面保護工  
工法名 概要 適用のり面 勾配
種子散布工 肥料、ファイバーを水に混合して法面にポンプまたは吹付け用ガンで吹付ける工法 比較的のり面勾配がゆるく、透水性のよい安定した法面 法面勾配は1:0.8よりゆるやかにする

法面勾配が急だと植生の活着が悪い

凍結により植生のはく離が生じやすい寒冷地では、法面勾配を1:1.5よりゆるやかにする

客土吹付工 法面に対しネットを張り、多量の緑化材(種子・肥料・養生材・緑化補助材・法面安定材を混合したもの)を、水力圧による吹付機(ハイドロシーダ)を使用し、法面を被覆する方法 切土法面(急勾配での施工が可能)
植生基材吹付工 植生基材吹付工は、種子・肥料・基盤材・接合材等を混合し吹付る工法(ラス金網張工を併用し、吹付厚は3~10㎝ほど) 切土法面(急勾配での施工が可能)
張芝工 芝を法面に張り付ける工法 侵食されやすい法面
植生マット工 種子、肥料などを装着したマットで法面を保護する工法 侵食されやすい法面
植生シート工 種子、肥料などを装着したシートで法面を保護する工法 侵食されやすい法面
植生筋工 種子、肥料などを装着した帯状の布または紙を、盛土法面の土羽打ちのときに、水平の帯状に挿入する工法 盛土法面
筋芝工 盛土法面の土羽打ちのときに野芝を水平の筋状に挿入する工法 盛土法面
植生土のう工 種子と肥料を網袋に詰め、法面に掘った水平なみぞや、のり枠内に固定する工法 不良土、硬質土の法面
苗木設置吹付工 コンテナ苗木(ポット苗木)や、現場周辺で採取した山取苗を法面に植栽する緑化工法 植物の生育基盤が安定する法面
植栽工 法面に植樹する工法 植物の生育基盤が安定する法面

植生工の工法上の注意点

  1. 法面の土壌が植物の生育に適していること
  2. 現地に適した植物をえらぶこと
  3. 水分と養分の適当な補給があること
  4. 施工に適した時期をえらぶこと(春や秋が望ましい)
  5. 法面勾配が適切であること(勾配は1:0.8よりゆるやかにする、寒冷地は1:1.5よりゆるやかにする)

植生マットと植生シートの違い

植生シート(標準品・環境品) 植生マット
規格 肥料袋なし

2重ネット

肥料袋あり

2重ネット

用途 盛土 切土
説明 肥料袋がなく、ネットが1重の製品

ネット全面に肥料、種子が付着しており独自で植生可能

肥料袋が付いており、ネットが2重の製品

ネットには種子が付着しており独自で植生可能

参考

価格

標準290円

環境580円

1,000円

張芝と筋芝の違い(張芝のほうが採用されやすい)

張芝 筋芝
概要 芝を法面に張り付ける工法 盛土法面の土羽打ちのときに野芝を水平の筋状に挿入する工法
補助材料 目串 なし
適応する法面勾配 侵食されやすい法面

1:1.0より緩勾配

盛土法面

1:1.5より緩勾配

緑化目標 切芝・ロール芝 切芝

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木)に合格!7年間はたらいた経験をもつ
  • 1級土木施工管理技士の資格もち
  • 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報を発信中!

 

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