コンクリートとは セメント+水+砂(細骨材)+砂利(粗骨材)からできた強度のつよい構造物です。
基礎から施工までまるっと解説していきます。
また目次から確認したい項目へジャンプできますのでぜひご活用ください。
それではさっそく参りましょう!
この記事を書いた人

- 元公務員(土木職)の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士:コンクリート研究室所属)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ
- 現場監督・施工管理の経験あり
- 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
- 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報を発信しています。
- 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!
コンクリートとは?構成とセメントやアスファルトとの違い
コンクリートは、セメント+水+砂(細骨材)+砂利(粗骨材)の4つから構成されています。
比率はだいたい(セメント1:水1.8:砂3:砂利3)くらいです。
強度が強いため、家の基礎や壁、橋の橋脚や河川の護岸などに幅広く使用されています。
セメントペーストやモルタルとコンクリートとの違い
モルタル・コンクリート・セメントペーストのちがいは以下のとおりです。
- モルタル(セメント2:水1:砂6)
- コンクリート(セメント1:水1.8:砂3:砂利3)
- セメントペースト(セメント7:水3)
ちなみに粗骨材と細骨材の違いは以下のとおりです。
粗骨材 (そこつざい) |
5㎜ふるいに重量で85%以上とどまるもの(砂利) |
細骨材 (さいこつざい) |
10㎜ふるいを全部通り、5㎜ふるいを重量で85%以上通るもの(砂) |

さらにそれぞれのちがいをまとめるとこんな感じ!
- モルタルとコンクリートのちがい:砂利(粗骨材)が入っているかどうか
- コンクリートとセメントペーストのちがい:砂(細骨材)と砂利(粗骨材)が入っているかどうか
- モルタルとセメントペーストのちがい:砂(細骨材)が入っているかどうか
要するに、モルタル・コンクリート・セメントペーストのちがいは、セメントや水などの割合や、砂(細骨材)や砂利(粗骨材)が入っているかどうかということです。
〈関連記事〉
コンクリート・モルタル・セメントペーストの違いは?図でかんたん解説
ちなみにセメントの種類と記号、特性については以下の表をご覧ください。
ポルトランドセメント系 | |||||
種別 | 記号 | 特性・用途 | |||
普通 | N | セメントと呼ばれるもの 一般的なコンクリート工事に使われる | |||
普通(低アルカリ) | NL | 普通ポルトランドセメントで、アルカリ骨材反応を抑制することを目的としてる セメント中の全アルカリ量を0.6%以下になるように調整されたもの | |||
早強 | H | 初期強度が大きく、工事を急ぐときや、寒中・道路用コンクリートなどに使用される ただし、発熱量が大きいためマスコンクリートには適さない | |||
早強(低アルカリ) | HL | 早強ポルトランドセメントで、アルカリ骨材反応を抑制することを目的としてる セメント中の全アルカリ量を0.6%以下になるように調整されたもの | |||
超早強 | UH | 初期硬化速度がとくに大きく、材齢1日で普通ポルトランドセメントの7日とほぼ同じ強度を発現 急速施工用コンクリートに使われる | |||
超早強(低アルカリ) | UHL | 超早強ポルトランドセメントで、アルカリ骨材反応を抑制することを目的としてる セメント中の全アルカリ量を0.6%以下になるように調整されたもの | |||
中庸熱 | M | 水和熱量が小さいため、ダム工事など大量のコンクリートを扱うものに使われる | |||
中庸熱(低アルカリ) | ML | 中庸熱ポルトランドセメントで、アルカリ骨材反応を抑制することを目的としてる セメント中の全アルカリ量を0.6%以下になるように調整されたもの | |||
低熱 | L | 水和熱が低く、流動性にすぐれる 初期強度は小さいが長期強度は大きい | |||
低熱(低アルカリ) | LL | 低熱ポルトランドセメントで、アルカリ骨材反応を抑制することを目的としてる セメント中の全アルカリ量を0.6%以下になるように調整されたもの | |||
耐硫酸塩 | SR | 硫酸塩の腐食に対する抵抗が大きく、硫酸塩を含む地下水・下水・海水などに触れるコンクリートに使用される | |||
耐硫酸塩(低アルカリ) | SRL | 耐硫酸塩ポルトランドセメントで、アルカリ骨材反応を抑制することを目的としてる セメント中の全アルカリ量を0.6%以下になるように調整されたもの | |||
混合セメント系 | |||||
種別 | 記号 | 原料・製法 | |||
高炉セメント (JIS R 5211) | A種 |
高炉スラグ (%) |
5を超え30以下 | BA | クリンカーと高炉スラグに適量の石膏を加えて混合、粉砕する 特色
|
B種 | 30を超え60以下 | BB | |||
C種 | 60を超え70以下 | BC | |||
シリカセメント (JIS R 5212) |
A種 |
シリカ質 混合材 (%) |
5を超え10以下 | SA | クリンカーとシリカ質混合材に適量の石膏を加えて混合、粉砕する 特色
|
B種 | 10を超え20以下 | SB | |||
C種 | 20を超え30以下 | SC | |||
フライアッシュセメント (JIS R 5213) |
A種 |
フライアッシュ (%) |
5を超え10以下 | FA | クリンカーとフライアッシュに適量の石膏を加えて混合、粉砕または、セメントとフライアッシュを均一に混合してつくる 特色
|
B種 | 10を超え20以下 | FB | |||
C種 | 20を超え30以下 | FC |
さらにくわしくは以下の記事をご覧ください。
セメントの種類と記号が一目で分かる!一覧表でわかりやすく解説
アスファルトとコンクリートの違い
アスファルトとコンクリートのちがいは、材料と色(見た目)
ちがい | アスファルト | コンクリート |
材料 | 原油などに含まれる炭化水素の重質なもの(+砂利+砂) | セメント+砂利+砂+(水) |
色(見た目) | 暗褐色または黒色 | 灰色 |
アスファルトとは、原油などに含まれる炭化水素で重質なもの(+砂利や砂) コンクリートとは、砂利や砂をセメントで固めたもの
種類 | メリット | デメリット |
アスファルト | 費用が安い 施工しやすく、施工期間が短い | 耐久性・耐熱性が低い 寿命が短い |
コンクリート | 耐久性・耐熱性に優れている 寿命が長い | 費用が高い 施工しにくい |
アスファルトとコンクリートの使い分け
アスファルト | コンクリート |
道路舗装 大規模な駐車場 歩道 | 家の基礎 家の壁 家庭用の駐車場 橋脚や橋の基礎 川の護岸 |
さらにくわしくは以下の記事をぜひご覧ください。
コンクリートの構造と種類
コンクリート構造名 | 特徴 |
鉄筋コンクリート造 Reinforced Concrete | コンクリートの中に鉄筋を入れ、お互いの弱点を補い強化したもの |
プレストレストコンクリート造 Prestressed Concrete | あらかじめ圧縮応力(プレストレスト)を与えられたコンクリート |
スチールフレームコンクリート造 Steel Concrete | スチールフレーム(鉄骨)が組み込まれたコンクリート |
コンクリートブロック造 Concrete Block | コンクリートブロックを組み合わせたもの |
プレストレスト鉄筋コンクリート造 Prestressed Reinforced Concrete | プレストレストと鉄筋によってひび割れを防ぐコンクリート |
鉄骨鉄筋コンクリート Steel Reinforced Concrete | 鉄骨(S)と鉄筋コンクリート(RC)を組み合わせたコンクリート 鋼などのまわりに鉄筋を組んでコンクリートを施工するため、RC造よりも細い柱や梁で、強度の高い構造物をつくることが可能 |
コンクリート充填管構造 Concrete Filled Steel Tube | 円形または角型の鋼管にコンクリートを流し込んで柱にする構造 鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)に続く第四の構造と呼ばれている |
無筋コンクリート | 鉄筋が入っていないコンクリート |
鉄筋コンクリート構造(RC)
なぜコンクリートのなかに鉄筋をいれるかというと、コンクリートが「引張の力」によわいから。
鉄筋は小さい断面でありながら、引張につよい性質があり、コンクリートの弱点を補うことができるのです。 逆にコンクリートは圧縮の力にはつよいと覚えておきましょう。 外力により曲げモーメントが発生するとき、コンクリートには圧縮と引張の力が作用します。
コンクリートは引張の力によわいので、きほんてきに鉄筋は引張断面の部分に配置されます。
また、コンクリートには気温の変化によるひび割れ発生、地震などの予想外の応力の発生に対応するため、圧縮側にも鉄筋を配置する場合があります。 これらの鉄筋を、
- 配力筋
- 温度鉄筋
- 用心鉄筋
といいます。
プレストレストコンクリート構造(PC)
プレストレストコンクリート造(PC)とは、外力によって引張応力の生じる部分にあらかじめ圧縮応力を与え、外力が作用したときに生じる引張応力を打ち消すようにしたものです。
あらかじめ計画的に導入された圧縮応力を【プレストレスト】と呼びます。
プレストレストを与える方法は、プレテンション方式とポストテンション方式の2種類です。
どちらも部材中に高強度のPC鋼材を緊張して固定し、その復元力でコンクリートに圧縮応力を生じさせます。
プレテンション方式 | ポストテンション方式 |
![]() |
![]() |
①反力台と可動定着板を設置し、コンクリート打設前にPC鋼材を緊張させる ②コンクリート硬化後にPC鋼材の緊張を開放する | ①コンクリートを打設、養生して硬化させる ②コンクリート硬化後PC鋼材を緊張しシース内にグラウトを注入 ③定着具により定着させプレストレストを発生させる |
〈関連記事〉
コンクリート【スランプ】の基準値
スランプとは、コンクリートのやわらかさの指標のひとつで、スランプコーンにフレッシュコンクリートを詰め込み、外した時の高さの差のことです。 スランプ試験方法
- スランプコーンを平らな平板の上にのせる
- コンクリートをほぼ同じ量で3層に分けて詰める
- 各層ごとにつき棒でならした後、25回ずつ同じように突く
- 3層とも突き終わったら、すぐに、そして静かにスランプコーンまっすぐ上に引き上げる。
- 残ったコンクリートの中央の高さを測定する。(0.5cm単位)
スランプの基準値と許容差
スランプ値(cm) | スランプ許容差(cm) |
2.5cm | ±1 |
5cm~6.5cm※1 | ±1.5 |
8cm以上18cm以下 | ±2.5 |
21cm | ±1.5※2 |
※1)コンクリート標準示方書では5以上8未満 ※2)呼び強度27以上で、高性能AE減水剤を使用する場合は基準を±2.0
スランプフロー(cm) | スランプフロー許容差(cm) |
50cm | ±7.5 |
60cm | ±10 |
スランプ試験が求められるとき
- コンクリートの荷おろし時
- 1回/日または、構造物の重要度と工事の規模に応じて20~150㎥ごとに1回
- 荷おろし時に品質変化が認められた時
【関連記事】
コンクリートの非破壊検査
コンクリートの状態を確認する検査には【非破壊検査】があります。
非破壊検査対象 | 非破壊検査の種類 | 原理 | 規格 |
配筋 かぶり厚さ |
電磁波レーダ法 | 電磁波を放射して、鉄筋から反射してきた反射波を受信して計測 |
NDIS 3429 (日本非破壊検査協会) |
電磁誘導法 | 電流の電気的変化を検出して、磁界中の良導体(鉄筋)を探査 |
NDIS 3430 (日本非破壊検査協会) |
|
X線法 | X線をコンクリート構造物の断面方向に透過させ、撮影された透過画像から内部の様子を確認 |
NDIS 1401 (日本非破壊検査協会) |
|
強度 | リバウンドハンマ法 | コンクリート表面に重錘(おもり)を衝突させ、その反発度を測定することにより強度を推定 | JIS A 1155:2012 |
超音波法 | 強度と音速の高い相関関係を利用して推定 | JIS Z 2355 | |
衝撃弾性波法 | コンクリート表面をインパクタで打撃し、入力した縦弾性波速度と強度の関係式から推定 |
NDIS 2426-2 (日本非破壊検査協会) |
|
施工不良
ジャンカ コールドジョイント 内部空洞 劣化・損傷 浮き はくり |
打音法 |
コンクリート表面をハンマで打撃し、打撃音を測定。 打撃力や打撃音の分析から内部空洞などの欠陥の有無を検知 |
NDIS 2426-3 (日本非破壊検査協会) |
電磁波レーダ法 | 電磁波を放射し、施工不良箇所の比誘電率が異なっていることから、反射してきた反射波を受信して検出 |
NDIS 3429 (日本非破壊検査協会) |
|
衝撃弾性波法 |
コンクリート表面をインパクタで打撃し、縦弾性波が施工不良箇所の存在による
などの性質を利用して検出 |
NDIS 2426-2 (日本非破壊検査協会) |
|
赤外線法 (サーモグラフィー法) |
コンクリート表面温度を赤外線カメラにより計測し、温度分布状況から空洞などを検知 |
NDIS 3428 (日本非破壊検査協会) |
|
劣化・損傷 ひび割れ |
超音波法 (直角回析波法) |
超音波を発信による圧縮波を検出してひび割れ深さを測定 |
JCMSⅢB 5705-2003 (日本建材産業協会) |
衝撃弾性波法 | コンクリート表面をインパクタで打撃し、縦弾性波がひび割れ先端を回析することによる伝搬時間差から深さを測定 |
NDIS 2426-2 (日本非破壊検査協会) |
|
X線法 | X線をコンクリート構造物に透過させ、撮影された透過画像からひび割れの分布状況を検出 |
NDIS 1401 (日本非破壊検査協会) |
|
鉄筋腐食 |
電気化学的方法 (自然伝位法) |
腐食により変化する鉄筋の電位を測定することで、鉄筋腐食を診断する方法 | ASTM C 876-91 |
さらに細かくそれぞれの方法について知りたい方は以下の記事から確認することができます。
暑中コンクリートと寒中コンクリートについて
暑中コンクリートや寒中コンクリートは特殊コンクリートと言われ、気温などによってコンクリート示方書で定められているコンクリート施工の基準(名称)です。
暑中コンクリート
暑中コンクリートとは?
暑中コンクリートとは、日平均気温が25℃を超える時期に施工するコンクリートのこと
養生方法
- コンクリート打ち込み後、急激な乾燥によるひび割れの発生が認められた場合には直ちにタンビング等を行い、ひび割れを除去する。(タンビング:タンパという機械でコンクリートを締め固めること)
- 養生期間中は湿潤状態を保つ
- 直射日光や風を防ぐために散水やシートをかぶせる覆いなどを行う。
運搬や打ち込みの注意点
- 練り混ぜから打ち込み終了までの時間は1.5時間以内とする。
- 打ち込み時のコンクリート温度の上限は35℃以下を標準とする。
- 直射日光を受けて高温になる恐れがある場合は、散水・覆いなどを行う。
- コンクリートポンプで圧送する場合は輸送管を湿らせた布などで覆い、管の温度が高くならないようにすること。
コンクリート配合
単位水量は所要のワーカビリティーが保てる範囲でできるだけ少なくする
寒中コンクリート
寒中コンクリートとは?
寒中コンクリートとは、日平均気温が4℃以下になる時期に施工するコンクリートのこと
養生方法
- コンクリートの温度を5℃以上に保ち、さらに2日間は0℃以上に保つ
- 練炭やジェットヒータなどで温度管理を行う。
- コンクリートが急激に乾燥することがないように散水や加湿装置を用いて乾燥を防止する。
運搬や打ち込みの注意点
- コンクリートの練り混ぜ開始から打ち込むまでの時間をできるだけ短くし、コンクリート温度の低下を防ぐ。
- 打ち込み時のコンクリートの温度は、5℃~20℃の範囲に保つ
- 気象条件が厳しい場合や薄い部材の場合には、最低打ち込み温度は10℃程度を確保する。
- コンクリートポンプを使用する場合、輸送管の温度が低すぎると、モルタルが凍結して付着する可能性があるので、管路の保温、打ち込み前の温水による余熱、終了時の清掃などを行う。コンクリート配合
コンクリート配合
単位水量は所要のワーカビリティーが保てる範囲でできるだけ少なくする
コンクリートの運搬
コンクリートの品質を保つため、運搬時の注意点や基準は以下のとおりです。
コンクリート運搬まとめ
- コンクリート運搬はできるだけ短いのが理想
- レディーミクストコンクリートを使うときには、ジス規格JISA5308の規定を守る
- コンクリート運搬には、一般的にアジテータトラックやトラックミキサなどが用いられ、荷おろしする直前に、ミキサーやアジテータを高速で回転すると、材料分離防止に効果的!
- バケットを用いると、コンクリートの材料分離を防げる
- コンクリートポンプは輸送管の径が大きいほど、圧送負荷は小さくて良い
- ポンパビリティーを考慮しスランプを大きくする場合は、高性能AE減水剤を用いたコンクリートあるいは流動化コンクリートなどを使うことを原則とし、この場合のスランプは18cm以下
- ベルトコンベアをつかうとき運搬キョリが長い場合には、コンクリートの乾燥を防止するため覆いなどを使う
- さらにコンクリートの材料分離をふせぐため、コンベア終端にはバッフルプレートや漏斗管を用いる
- 勾配が30°以上になると、ベルトコンベアでは運搬できないので注意が必要!
- シュートの傾きはコンクリートが材料分離を起こさない程度のものとし、一般的に水平2に対して鉛直1
コンクリート運搬の基準 | |
コンクリート練り混ぜから打ち終えるまでの時間 | 気温が25℃を超えるときで1.5時間 |
気温が25℃以下のときで2時間以内 | |
配管内での目詰まりを防ぐための基準 | 単位セメント量は300㎏/㎥以上 |
粗骨材の最大寸法40mm以下 | |
細骨材をやや大きめの配合 | |
コンクリートのスランプの基準 | プレストレストコンクリートの場合10cm以下 |
無筋・鉄筋コンクリートの場合12cm以下 | |
高性能AE減水剤を用いたコンクリートあるいは流動化コンクリートの場合18cm以下 | |
縦シュートの下端とコンクリート打ち込み面との距離 | 1.5m以下 |
さらにくわしくは以下の記事をご覧ください。
コンクリートの打設方法
コンクリートを打設する際の時間、気温、養生などの注意点をまとめました。
確認などにぜひお使いください。
時間&気温について
運搬
- コンクリートの練り混ぜてから、運搬車が荷おろし時点に到着するまでの時間は1.5時間(90分)以内とし、圧送をやむを得ず中断するときは1時間以内とする。
打ち込み
- 練り始めから打ち終わりまで:外気温が25℃を超えるときは1.5時間以内(90分)、外気温が25℃以下なら2.0時間以内(120分)とする。
- 許容うち重ね時間:外気温が25℃を超えるとき、2.0時間以内(120分)、外気温が25℃以下のとき、2.5時間以内(150分)とする。
- 打ちあがり速度:コンクリートの打ちあがり速度は、30分につき、コンクリート高さ1m~1.5mくらいを標準とする。
締固め
- コンクリートを内部振動機(棒状バイブレータ)などで締め固めるときには、1ヵ所あたり5秒~10秒かけて締め固める。
- 再振動させる場合は、締固めが可能な範囲でできるだけおそい時期がよい(目安150分)
注意点について
打ち込み
- コンクリートは打ち込んだ型枠内で横移動させないこと
- 計画した打継目以外は、打ち込み完了までコンクリートを連続して打ち込むこと
- ブリーディング水が表面に集まった場合は、取り除いてから打ち込むこと
【関連記事】
コンクリート打ち込みの注意点とは?温度や時間のポイントまとめ
締固め
- コンクリートの締固めは内部振動機を使うことを原則とする
- 内部振動機は鉛直に挿入し、挿入間隔は、一般的に50cm以下とする
- 内部振動機はコンクリート下層に10cm程度挿入する
- うすい壁などの内部振動機が使えない場所は、型枠振動機をつかう
- 締固めの時間目安は、1ヵ所あたり5秒~15秒とする
- 内部振動機を引き抜くときは、穴のあとが残らないようにゆっくりと引き抜く
- 再振動するときは、コンクリートの締固めができる範囲でできるだけおそい時期にする
【関連記事】
コンクリート締固めの留意点とは?内部振動機や仕上げのポイントまとめ
養生について
湿潤養生期間の標準(コンクリートが所定の強度を確保する期間)
日平均気温 | 普通ポルトランドセメント | 混合セメントB | 早強ポルトランドセメント |
15℃以上 | 5日 | 7日 | 3日 |
10℃以上 | 7日 | 9日 | 4日 |
5℃以上 | 9日 | 12日 | 5日 |
温度制御養生(工場製品など)
- 工場製品の養生では練り混ぜたあとに、2~3時間以上経過してから蒸気養生を行う。
寒中コンクリートと暑中コンクリートについて
定義
- 日平均気温が4℃以下の場合、寒中コンクリートとして取りあつかうこと
- 日平均気温が25℃を超える場合、暑中コンクリートとして取りあつかうこと
打ち込み
- 寒中コンクリートはコンクリート温度を5~20℃に保つ。
- 暑中コンクリートはコンクリート温度の上限は35℃以下とする。
養生
- 寒中コンクリートの養生は、初期凍害を防止するためにコンクリート温度を5℃以上、さらに2日間は0℃以上に保つ
- 暑中コンクリートは、気温が高く湿度が低いとひびわれを起こす可能性があるため、散水、覆い(おおい)などをして、直射日光やかぜを防ぐ。
混和剤
- 気温が高すぎたり低すぎたり場合は、混和剤(AE剤、減水剤、流動化剤)などを適切に使い、コンクリートの性能を確保する
【関連記事】
混和剤と混和材の違いとは?コンクリート混和材料の種類や効果まとめ
コンクリート打設については以下の記事もぜひご覧ください。
コンクリート打設方法まとめ!時間・気温・注意点をまるっと解説
コンクリートのひび割れパターン
コンクリートのひび割れパターンは大きく分けて
- 沈みひび割れ
- 乾燥収縮ひび割れ
- 水和熱ひび割れ
- アルカリシリカ反応によるひび割れ
の4つに分類することができます。
ひび割れの原因や対策については以下の表をご覧ください。
ひび割れ パターン |
ひび割れ図 | 原因 | 対策 |
沈みひび割れ |
↓ブリーディング現象 鉄筋コンクリート |
コンクリートの沈みと凝固が同時に進行する過程で、その沈みを鉄筋が妨げることによってひび割れが起こる 例) コンクリートの材料分離 締固め不足 |
①AE剤、AE減水剤・高性能AE減水剤を使って単位水量を少なくする ②細骨材・粗骨材の粒度分布が適切なものを使用し、単位水量、水セメント比を小さくする ③こて仕上げのとき、タンピングで修復する ④沈み沈み変位がおわる段階で再振動する ⑤ポゾランなどの混和材を用いて材料分離を少なくする |
乾燥収縮ひび割れ |
開口部 スラブ 壁 |
コンクリートの表面が乾燥収縮してひび割れが起こる 例) 単位水量が多い 表面養生が不良 型枠の早期の取り外し 骨材の乾燥収縮が大きい |
①コンクリートの単位水量をできるだけ少なくする ②収縮が少ないセメントを使う ③骨材自体の乾燥収縮が小さいものをえらぶ ④型枠取り外し後も湿潤養生を行い、急激な温度変化をさけ、直射日光や風が当たらないようにする ⑤湿潤養生を5日以上行うほか、型枠をできるだけ長く存置する ⑥ひび割れが発生すると予想される箇所に補強鉄筋を入れる ⑦誘発目地を適所に入れる |
水和熱によるひび割れ |
内部拘束 外部拘束 |
セメントと水の水和熱がコンクリート内部に蓄積され、その温度が低下するときにコンクリートの収縮が拘束を受けてひび割れる 例) 単位セメント量が少ない 断面が大きく温度上昇が大きい 養生期の急激な冷却を受ける |
①セメント量の少ない配合やセメントの種類をえらぶ 低熱ポルトランドセメント 中庸熱ポルトランドセメント フライアッシュセメントなど ②高性能減水剤、高性能AE減水剤を利用して、コンクリートの単位セメント量を少なくする ③プレクリーニング、パイプクリーニングなどを行い、コンクリートの打ち込み時と養生時の温度低下を図る ④誘発目地を適所に入れる |
アルカリシリカ(骨材)反応によるひび割れ |
壁 T型橋脚 |
コンクリート中のアルカリ分と骨材のシリカが反応し、膨張ひび割れが起こる 例) アルカリ骨材反応がある骨材を使用している |
①骨材のアルカリシリカ反応性試験(化学法、モルタルバー法)の結果で無害とされた骨材を使用する ②コンクリート中のアルカリ総量を3kg/㎥以下とする ③高炉セメント(B種またはC種)やフライアッシュ(B種またはC種)を使用する ④コンクリートへの塩分、水分供給の防止および被覆処理をする |
さらにくわしくは以下の記事をぜひどうぞ!
ひび割れを自分で直す?!自己治癒コンクリートかんたん図解解説
コンクリート劣化機構(原因・現象・対策)
コンクリートが劣化してしまうのは、劣化機構が関連しています。
劣化機構についてかんたんにまとめると以下のとおりです。
コンクリート劣化機構 | 劣化要因 | 劣化現象 | 劣化対策 |
中性化 | 二酸化炭素 | コンクリート内に空気中の二酸化炭素が侵入し、セメントの水和によって生じた水酸化カルシウムと反応し、徐々に炭酸カルシウムとなって、コンクリ―トのアルカリ性が低下する現象 | タイル、石張りなどの仕上げ、かぶりを大きくしたり気密性の吹付け材を施工する。 |
塩害 | 塩化物イオン | コンクリート中の鋼材の腐食が塩化物イオンにより促進させ、コンクリートのひび割れやはく離、鋼材の断面減少を引き起こす現象 | コンクリート中の塩化物イオン量を少なくする、高炉セメントなどを使う。 |
凍害 | 凍結融解作用(溶けたり凍ったり) | コンクリート中の水分が凍結と融解をくりかえすことによって、コンクリート表面からスケーリング、微細ひび割れやポップアウトなどの形で劣化する現象 | AE剤やAE減水剤を使う、耐凍害性の大きな骨材を使う。 |
化学的侵食 | 酸性物質・硫酸イオン | 酸性物質や硫酸イオンとの接触によりコンクリートの硬化体が分解したり、化合物生成時の膨張圧によってコンクリートが劣化する現象 | コンクリートの表面を保護する、水セメント比を小さくして密実なコンクリートとする。 |
アルカリ骨材反応 | 反応性骨材(シリカ) | 骨材に含まれる反応性シリカ鉱物や炭酸塩岩を有する骨材が、コンクリート中のアルカリ性水溶液と反応して、コンクリートに異常膨張やひび割れを発生させる現象 | 高炉セメントやフライアッシュを使う、骨材のアルカリシリカ反応試験で無害と確認された骨材を使用する。 |
さらにくわしく知りたい方は以下の記事をぜひご覧ください。
- コンクリートの中性化とは?原因・劣化現象・対策まるわかり
- アルカリ骨材(シリカ)反応の原因・基準・対策をわかりやすく解説
- コンクリートの化学的侵食の対策やメカニズムについて
- コンクリートの塩害対策は?原因や含有量の基準もわかりやすく解説
- コンクリートの凍害って何?メカニズム・特徴・対策を簡単に解説!
コンクリート用語
コンクリートでは専門用語が多いので、意味をしっかり確認しておきましょう。
今回紹介するのは以下の5つです。
コンクリート専門用語
- エントレインドエア
- エントラップエア
- コールドジョイント
- レイタンス
- ブリーディング
エントレインドエアとエントラップエアのちがいは、人工的な気泡か自然な気泡かということ!
エントレインドエア | エントラップエア |
混和剤などで人工的につくられた気泡 連行空気とも呼ばれ、ほぼ球形 気泡径は25~250μm程度でAE剤やAE減水剤などの混和剤の種類によって異なる 耐凍害性やワーカビリティーの向上に効果あり |
コンクリート内に自然に発生する気泡 通常のコンクリートには0.5~3%程度存在 気泡径が比較的大きくまた不定形であるため、耐凍害性やワーカビリティーの改善に寄与する効果は期待できない あまり多くのエントラップトエアが入ってしまうと材料に偏りが出てしまうのでよくない |
コンクリート内における空気の役割は、耐凍害性やワーカビリティーの向上
空気の連行方法は、AE剤をコンクリートの練り混ぜのときに添加すること
試験方法は、JIS A 1128:2005「フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法-空気室圧力方法」に定められている
〈関連記事〉
エントレインドエアとエントラップエアの違い★土木用語の基礎知識
コールドジョイントとは、コンクリートの層同士が一体化していない不連続断面のことです。
〈関連記事〉
コンクリートの【コールドジョイント】とは?原因や対策まるわかり
レイタンスとは、コンクリート打ち込み後に内部の微細な粒子が浮上し、コンクリートやモルタル、セメントペーストなどの表面に形成するぜい弱な層のことです。
一方ブリーディングとは、フレッシュコンクリートやモルタル、セメントペーストなどにおいて、固体材料の沈降または分離によって、練り混ぜ水の一部が遊離して表面に出てきてしまう現象のことです。
コンクリートを打ち込んだ後に材料分離して練り混ぜ水が表面に出てきてしまう現象を【ブリーディング】、ブリーディングによって形成されるぜい弱な層部分を【レイタンス】とセットで覚えておきましょう。
👷レイタンス処理方法
- 高圧洗浄
- ブラッシング
- コンクリート打継面処理剤
〈関連記事〉
レディーミクストコンクリートについて
レディーミクストコンクリートとは、JIS A 5308で品質管理されたコンクリートのことです。
工事でコンクリートを使用するときには欠かせない基礎知識!
確認するときなどにぜひお使いください。
レディーミクストコンクリートの呼び強度
レディーミクストコンクリートの呼び強度とは、荷卸し地点におけるレディーミクストコンクリートが、所定の材齢まで標準養生を行ったときの圧縮強度(または曲げ強度)としてどれだけあればよいか、購入者がえらんで指定する取引上の強度のことです。
基本的にレディーミクストコンクリートの配合は、購入者と協議して、指定した事項および品質を満足し、かつ検査に合格するように生産者が定めています。
また生産者は、コンクリート納入時にレディーミクストコンクリート配合計画書を購入者に提出することになっていますのでご確認ください。
さらに、生産者は購入者の要求があれば、配合設計、コンクリートに含まれる塩化物含有量の計算や、アルカリ骨材反応抑制対策工法の基礎となる資料の提示が義務づけられています。
ちなみにコンクリートの表記としては
【普通 21 8 20 N】
となり、意味は以下のとおりです。
普通:コンクリートの種類による記号
21:呼び強度
8:スランプ(cm)
20:粗骨材の最大寸法(mm)
N:セメントの種類による記号(N:普通ポルトランドセメント)
【関連記事】
レディーミクストコンクリート受入検査(コンクリート標準示方書)
レディーミクストコンクリート★受け入れ検査項目表
レディーミクストコンクリートの受け入れ検査は、受け入れ側の責任のもとに実施し、検査の結果を構造物の発注者が確認することを標準とします。
また受け入れ検査は、荷卸し時に行うことを標準とし、以下に示す表が標準です。
一方、下表の項目以外でも事前に指定された項目に関しては検査を実施しなければいけないので注意してください。
さらに検査の結果、所定の性能を確保できないと判定されたコンクリートはこれを用いてはなりません。
項目 | 検査方法 | 時期・回数 | 判定基準 | |
フレッシュコンクリートの状態 | コンクリート主任技士やコンクリート技士またはそれと同等の技術を有する技術者による目視 |
荷卸し時 随時 |
ワーカビリティーが良好で、性状が安定していること | |
スランプ | JIS A 1101の方法 |
荷卸し時 1回/日または構造物の重要度と工事の規模に応じて20~150㎥毎に1回および、荷卸し時に品質の変化が認められた時 |
許容誤差 スランプ5cm以上8cm未満:±1.5%以上 スランプ8cm以上18cm未満:±2.5%以上 |
|
空気量 |
JIS A 1116の方法 JIS A 1118の方法 JIS A 1128の方法 |
許容誤差:±1.5% | ||
フレッシュコンクリートの単位水量 | フレッシュコンクリートの単位水量試験から求める方法 | 許容範囲内にあること | ||
フレッシュコンクリートの温度 | JIS A 1156の方法 | ー | 定められた条件に適合すること | |
単位容積質量 | JIS A 1166の方法 | ー | 定められた条件に適合すること | |
塩化物イオン量 |
JIS A 1144の方法 または信頼できる機関で評価を受けた試験方法 |
荷卸し時 海砂を使用する場合2回/日、その他の場合1回/週 |
原則として0.3kg/㎥以下 | |
アルカリシリカ反応対策 | 配合計画書の確認 | 工事開始時および材料あるいは配合が変化した時 | 対策がとられていること | |
配合 | 単位水量 | 骨材の表面水率と単位水量の計量印字記録から求める方法 |
荷卸し時 午前2回以上 午後2回以上 |
許容範囲内にあること |
単位セメント量 | 計量印字記録 | |||
水セメント比 | セメントの計量印字記録と骨材の表面水率および単位水量の計量印字記録から求める方法 | 工事開始時および材料あるいは配合が変化した時 | ||
その他、コンクリート材料の単位量 | コンクリート材料の計量印字記録 |
荷卸し時 午前2回以上 午後2回以上 |
||
圧縮強度(一般の場合、材齢28日) | JIS A 1108の方法 |
荷卸し時 1回/日または構造物の重要度と工事の規模に応じて20~150㎥毎に1回 |
設計基準強度を下回る確率が5%以下であることを適当な生産者危険率で推定できること |
【関連記事】
以上です。
ありがとうございました。