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地盤沈下【原因・仕組み・対策】分かりやすく解説

地盤沈下(原因×仕組み×対策)

地盤沈下とは、さまざまな原因で地盤(土地)が沈んだりゆがんだりすること。

地盤沈下の影響で道路が陥没したり、建物(構造物)がひび割れてしまったりしてしまいます。

そんなわけでこの記事では、【地盤沈下】についてさらにくわしく解説していきます。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員(土木職)の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 現場監督・施工管理の経験あり
  • 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報を発信しています。
  • 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!

 

地盤沈下の原因&仕組み

地盤沈下

地盤沈下の原因は大きく分けて、自然的発生と人為的発生の2つに分類できます。

自然的発生 地震、乾燥による収縮、地下水変動、地下空洞の陥没
人為的発生 表面荷重(構造物)、地下資源の採取、干拓や灌漑(コラプス現象)、地下掘削による陥没、地下水の過剰揚水

地盤が弱いとされているのは、低地沖積層と呼ばれる海の近くの地層です。地盤沈下が起こりやすいので注意してください。

一方で地盤が強いとされるのは、ローム層や台地洪積層と呼ばれる地層です。

もちろん例外として、沼があったなど地域によって違いはありますが、地盤が良好な場所が多いので、1つの見極めポイントになります。

さらに山地や丘陵地岩盤などは地盤としては沈下しにくいですが、切土や盛土を行う場合には注意が必要です。

 

自然的発生

自然的発生では、地震、乾燥による収縮、地下水変動、地下空洞の陥没などが考えられます。

地震

地震によって起こる地盤沈下は、大きく分けて2種類あり、1つは深い地層で起こるもの、もう1つは浅い地層で起こるものです。

深い地層で発生する地盤沈下 震源の地下深くで断層運動が起こり地盤沈下が発生

地震の規模が大きいほど広域に渡って見られ、断層に近いところで被害が大きくなる

東日本大震災の際には東北地方沿岸部の広範囲で発生し、宮城県では最大1.2mもの沈下が計測された

浅い地層で発生する地盤沈下 軟弱な地盤が地震によって液状化し地盤沈下が発生

主に埋立地や河川の下流部といった土地で発生する傾向がある

東日本大震災の時には、東京湾岸の埋立地で最大50㎝ほど沈下した

 

 

地盤の乾燥による収縮

その地盤が泥土とも呼ばれる「高有機質土」や、沿岸地域の軟弱な地盤である「飽和粘性土」だった場合、水分を多く含んだ軟弱地盤と考えられます。

そのような土地は、水分が蒸発して乾燥した時に土地が収縮して地盤沈下を引き起こす可能性があります。

 

地下水の変動によるもの

自然現象によって地下水が変動した場合も、地盤沈下の進行が進むと考えられています。

自然現象による地下水の変動は、短期的なもの、長期的なもの、年間で変動するものがあります。

例えば、台風、低気圧や高気圧、梅雨、降雨、潮位の影響を受けたり、地球温暖化や寒冷化などによっても地下水は変動しているのです。

この地下水位の変動を繰り返すと、構造物や建物の重さに耐えきれなくなり、だんだんと地盤沈下が進んでしまいます。

 

地下空洞によるもの

住宅の下の地層に空洞が出来ることによって、地盤沈下が起こる場合もあります。

大きな原因の1つが雨水の浸水。

なぜなら地層には元々、小さな空洞が存在します。

雨水が地面に吸収されたあと、地層の中の柔らかい部分を伝って流れていきます。

このときに、水は地層の空洞部分に流れていき、次第に空洞がどんどん拡大することで、地盤沈下のリスクを高めてしまうというメカニズムです。

また、自然現象によって地層がずれた際に空洞が出来ることも、地盤沈下の原因の1つと言われています。

 

人為的発生

つづいては、人為的発生と呼ばれる地盤沈下の原因を見ていきましょう。

 

過剰な地下水の汲み上げや天然ガス採取

天然ガス採取や農業用水に使うために過剰に地下水を汲み上げた場合、広域で地盤沈下が起こることがあります。

例えば、私たちが水の中に入ると、水中では重力があまりかからず、軽く浮くことができますが、これは土も同じなのです。

水分が多い地盤の中で、土は浮力によってある程度浮いている状態であると考えてください。

したがって、地下水を汲み上げすぎることによって水位が下がると土の浮力が弱まり、代わりに重力で下へと沈んでいき、地盤沈下へと繋がってしまうのです。

また、地下水を過剰に組み上げると、地盤沈下を引き起こし、さらに一旦沈下してしまうと、再び元に戻すことができません。

よってそれぞれの自治体(県・市・町)や国などによって、法律や条例を定め、地下水の採取を規制しているのです。

 

過剰な重さが原因のもの

液状化

地盤の強さに対して、建てる住宅が重すぎたり、2階が一部分しかないなど建物のバランスに偏りがある場合、地盤沈下が起こりやすくなります。

住宅や構造物を建ててから数年ほどしか経過していないのに、ドアや窓の閉まりが悪くなったり、壁にヒビが入っていたりした場合には、地盤沈下が起こっている可能性があります。

 

盛土の締固め不足によるもの

地盤の弱い地域では盛土を行ってから建築や施工を行いますが、盛土を行ってからすぐに工事を始めてしまうと、土が固まりきっていないため、雨が降った際に地下水が浸透して地盤沈下を起こしてしまう可能性があります。

 

地下掘削によるもの

地下の空洞による地盤沈下は、土地の開拓(地下鉄など)やトンネルによって地下掘削を行うことで引き起こされているのが現状です。

また、地下を掘削する際に地下水を排水することで、周辺の地盤が沈下することもあります。

 

 

地盤沈下の対策について

地盤沈下

地盤沈下の可能性がある場合は、住宅や構造物を建てる前に必ず確認してください。

自然現象による地盤沈下の対策 人為的要因による地盤沈下対策
自然現象による地盤沈下は、その全てを予測するは非常に困難

住宅や構造物を建てる前に地盤確認を行うこと

特に地盤が強いとされているのはローム層や台地洪積層と呼ばれる地層

一方、地盤が弱いとされているのは、低地沖積層と呼ばれる海の近くの地層

地盤調査を行う

盛土や住宅の重さに関して計算をしてくれる、信頼できる業者に施工を依頼すること

各保証会社が取り扱っている「地盤保証」というものに加入しておくのも1つの対策

 

軟弱地盤対策

さらにあらかじめ軟弱地盤と把握できている場所は、土木工事で対策することが可能です。

地形からも地盤の良し悪しを確認することが可能で、一般的に以下の地盤は軟弱地盤である可能性が高いといわれています。

  1. 谷底平野
  2. 後背湿地
  3. 湿地
  4. 河原
  5. デルタ

谷底平野などの、他の土地に比べて高さが低い場所は、周囲の水が流れてきやすく、奥の方まで軟弱な地盤であることが多いです。

また湿地や河原なども、地盤が弱い可能性が高いでしょう。 建物を建てる土地がどのような土地なのかについて調べるには、お住まいの市区町村で公開されているハザードマップを参考にしてみてください。

現在だけでなく過去に、どのような地域だったのかを調べることも大切です。

さらに工法の種類や効果については以下の表をご覧下さい。

軟弱地盤対策

目的

効果 工法の種類
沈下対策 圧密沈下の促進 地盤沈下を促進する バーチカルドレーン工法 サンドドレーン工法
カードボードドレーン工法
載荷重工法 盛土荷重載荷工法
 プレローディング工法
 サーチャージ工法
大気圧低下工法
地下水低下工法
全沈下量の減少 地盤沈下そのものを少なくする サンドコンパクションパイル工法
軽量盛土工法
固結工法 深層混合処理工法
石灰パイル工法
薬液注入工法
凍結工法
安定対策 せん断変形の抑制

(トラフィカビリティの確保)

盛土によって、周辺の地盤が膨れ上がったり側方移動したりすることを抑制 表層処理工法 敷設材工法
表層混合処理工法
表層排水工法
サンドマット工法
強度低下の抑制 地盤の強度が盛土の荷重によって低下することを抑制し、安定を図る 軽量盛土工法
緩速載荷工法 漸増載荷工法
段階載荷工法
強度増加の促進 地盤の強度を増加させることによって安定を図る 表層処理工法
載荷重工法
バーチカルドレーン工法
すべり抵抗の増加 盛土形状を変えたり、地盤の一部を置き換えることによって、すべり抵抗を増加し安定を図る 置換工法
押さえ盛土工法
盛土補強工法
サンドコンパクションパイル工法
深層混合処理工法
地震対策 液状化の防止 液状化を防ぎ、地震時の安定を図る サンドコンパクションパイル工法
振動締固め工法 バイブロフローテーション工法
ロッドコンパクション工法
重錘落下締固め工法

さらにくわしくは以下の記事をご覧ください。

軟弱地盤対策工法の一覧まとめ!n値や覚え方もかんたん伝授

 

地盤改良対策(基礎工法)

地盤沈下の可能性がある土地では、基礎工法による地盤改良対策が実施されることがあります。

軟弱地盤の度合いや層の厚さによって、工法が異なりますので確認しておきましょう。

種類 基礎分類 工法
浅い基礎 直接基礎 原地盤をそのまま利用
地盤改良、安定処理、軟弱地盤工法などを行う
深い基礎 杭基礎 既製杭基礎工法 打込み工法

  1. 打撃工法
  2. 振動工法
  3. 圧入工法(打込み)
埋込み工法

  1. プレボーリング工法
  2. 中堀り工法
  3. ジェット工法
  4. 鋼管ソイルセメント工法
  5. 回転杭工法
  6. 圧入工法(埋込み)
場所打ち杭基礎工法 人力・機械掘削(深礎工法)
機械掘削

  1. オールケーシング
  2. リバース
  3. アースドリル
ケーソン基礎 オープンケーソン工法
ニューマチックケーソン工法
設置ケーソン工法
特殊基礎 鋼管矢板基礎工法
多柱基礎工法
地中連続壁基礎工法

〈関連記事〉

【基礎工法】種類&比較まとめ★わかりやすい土木の基礎知識

 

以上です。

興味がある方は、以下の記事も合わせてご確認ください。

地盤調査の基礎知識!法律や工法の種類しっかり確認

ありがとうございました。

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