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水セメント比が60%以下の理由や計算方法とは?基準・求め方・強度も解説

水セメント比(強度×基準×計算)

水セメント比とは、練りたてのコンクリートやモルタルの中の骨材が表面乾燥飽和状態であるとき、セメントペースト内におけるセメントの質量(単位セメント量)に対する水の質量(単位水量)の割合比のことです。

練りたてのコンクリートやモルタルは、フレッシュコンクリート・フレッシュモルタルとも言われるよ

単位水量をW、単位セメント量をCで表すことから、水セメント比のことを【W/C(%)】と表すのが一般的です。

水セメント比が大きいほど、セメントペースト内での水の割合が多いことを意味しています。

一方、圧縮強度または曲げ強度をもとに水セメント比を定めるには、工事に使用するコンクリート材料を用いて、水セメント比の逆数にあたるセメント水比【C/W】と、圧縮強度との関係を試験によって求めるのが原則です。

水をW、セメントをCとしたとき、【W/C】で表されるこの水セメント比が、硬化したコンクリートの圧縮強度を支配する指標となります。

というわけで、今回のテーマは【水セメント比】

水セメント比が60%以下の理由や、強度、基準、計算などについてまるっと解説していきます。

水セメント比の基準!水セメント比が60%以下・程度の理由

土木分野では、仕様書や基準にW/C=60%以下と書かれているのをよく見るのではないでしょうか。

これはコンクリート品質を確保するための規制値で、W/C=60%は28日で24N/㎟程度の強度が確保できます。

同じように65%は約20N/㎟の強さ、55%は約27N/㎟の強さという感じで、W/Cが決まると強度もだいたい決まり、設定することで品質を確保することができるため基準として記載されるようになったそうです。

ちなみにコンクリート標準示方書(土木学会)は、ほとんどの構造物に対してW/C65%以下の基準を設けています。

一方で工事の共通仕様書などでは、65%以下よりも60%以下の記載している場合が最も多く、次いで65%以下、次に55%以下の順になっています。(記載数の割合60%以下>65%以下>55%以下)

 

だけど水セメント比が小さい場合、強度も保たれてメリットも多くいいことばかりのように思えますよね。

水セメント比が小さいメリット

  1. 耐久性の増大
  2. 中性化の低減
  3. コンクリート強度の増大
  4. ひび割れ発生が減少

しかしある程度の基準を設けて、水セメント比が小さすぎるものは避けているのが現状です。

なぜならそれは、コンクリート打込み時などの施工性を考慮しているからです。

ある程度の流動性がないと、コンクリートは打込むことができません。

さらに水セメント比が小さすぎると、材料分離やジャンカの発生、ポンプ車のホースにコンクリートが詰まるといった問題が発生します。

よって施工性の面から水セメント比は小さすぎるのはNGというわけですね。

圧縮強度や施工性、それぞれのバランスを考えて、水セメント比は50~65%程度の基準が設けられています。

 

水セメント比の計算!求め方を例題で解説

水セメント比の計算は前述したように、水とセメントの比率です。【W/C(%)】

例題を解いてみましょう。

例題➀水セメント比の求め方

以下の条件のとき、水セメント比を求めなさい。

セメントの絶対容積 90(l/m3)
細骨材の絶対容積 340(l/m3)
粗骨材の絶対容積 380(l/m3)
単位セメント量 266(kg/m3)
空気量 3%

 

 

【解答】

1m3のコンクリート中にセメントや水、空気、骨材が含まれていると仮定します。

水の絶対容積を逆算すると、

水の絶対容積=1000-(90+340+380+30)=160

また水の重量は、絶対容積と同じ値なので(単位変換)、単位水量は160kg/m3となります。

そして水セメント比の公式【W/C(%)】より、

水セメント比=160/266×100=60.15…

よって水セメント比は60%となります。

 

例題②水セメント比の求め方

以下の条件のとき、水セメント比を求めなさい。

C/W 1.771
粗骨材の最大寸法 25mm
セメントの種類 高炉セメント(BB)
設計スランプ 8cm
空気量 4.5%
配合強度 21N/mm²

(割増係数により、m=21+2×2.5N/㎟=26.0N/mm²)

 

【解答】

セメント比を、強度(m)と水セメント比(W/C)の関係式より算出します。

配合強度m=26.0N/mm²、C/W=1.771より、

水セメント比(W/C)=1/1.771×100=56.46…

よって水セメント比は56.5%となります。

 

おまけでコンクリート配合計算についても計算方法を載せておきます。

細骨材率方式と単位粗骨材かさ容積方式の2種類がありますので、参考にしてください。

細骨材率の方式(細骨材×粗骨材)計算方法

コンクリート材料(細骨材)

水の容積 151kg/m³
セメントの容積 270kg/m³
細骨材率(s/a) 38.5%
セメント密度 3.05g/cm²
水密度 1.00g/cm³
細骨材表乾密度 2.58g/cm³
空気量 4.5%
粗骨材表乾密度 2.62g/cm³

コンクリート1㎥の骨材全容量を算出

1m³あたり骨材の全容積

V=1000L-(水の容積+セメントの容積+空気量の容積)

=1000L-(151kg/㎥/1.00+270kg/㎥/3.05+45(1000×4.5%))

=1000-(151+89+45)

=715L

細骨材容積=全骨材容積×(細骨材率/100)

=715L×38.5%=275L

細骨材量=275L×細骨材表乾密度2.58g/cm³

=710kg/㎥

粗骨材容積=715L-275L=440L

粗骨材量=440L×粗骨材表乾密度2.62g/cm³

=1153kg/m³

粗骨材細骨材率についても定義などを確認してしておきましょう。

また細骨材の表面水率の求め方も要チェックです。

単位粗骨材かさ容積方式(細骨材×粗骨材)計算方法

粗骨材単位容積質量 1.70kg/L
粗骨材かさ容積 0.677m³/m³
セメント密度 3.05g/cm²
水密度 1.00g/cm³
細骨材表乾密度 2.58g/cm³
空気量 4.5%
粗骨材表乾密度 2.62g/cm³

粗骨材のかさ容積を基に算出します。

粗骨材単位容積質量1.70kg/Lより、

粗骨材量=1.70kg/L×1000×0.677㎥/㎥=1151kg/㎥

細骨材容積=1000-(水の容積+セメントの容積+空気量の容積+粗骨材の容積)

=1000L-(151kg/㎥/1.00+270kg/㎥/3.05+45(1000×4.5%)+1151kg/㎥/2.62g/㎤)

=1000-(151+89+45+439)

=276L

細骨材量=276L×細骨材表乾密度2.58g/cm³

=712kg/m³

細骨材率(s/a)=276L/(276+439)

=38.6%

 

水セメント比と圧縮強度の関係

セメントペースト

コンクリート(モルタル)の強度には、水セメント比(W/C)が大きく関係しています。

コンクリートは骨材同士をセメントペーストで結合したもので、セメントペーストの接着力がカギです。

セメントペーストの接着力は大きくなると高濃度のセメントペーストとなり、水セメント比は小さくなります。

つまり、水セメント比が小さいほどコンクリート等の圧縮強度は増加し、大きいほど減少します。

水セメント比(小) 水セメント比(大)
コンクリートやモルタルの強度

(大)

コンクリートやモルタルの強度

(小)

 

水セメント比が60%以下の理由や計算方法とは?基準・求め方・強度まとめ

水セメント比の計算や基準理由

水セメント比の計算方法を例題で確認しよう!

コンクリート品質を確保するための規制値で、W/C=60%では28日で24N/㎟程度の強度が確保できるから。

圧縮強度や施工性、それぞれのバランスを考えて、水セメント比は50~65%程度の基準が設けられている

★水セメント比と強度の関係

水セメント比(小) 水セメント比(大)
コンクリートやモルタルの強度

(大)

コンクリートやモルタルの強度

(小)

 

以上です。

ありがとうございました。

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