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液状化現象をわかりやすく!原因や液状化の仕組みを簡単に解説

液状化現象(原因・しくみ・対策)
液状化現象ってなんだろう?

言葉は聞いたことあるけど、くわしくはよく分からない…

そんなお悩みを解決します。

【(土の)液状化現象】について原因やしくみ、対策方法などを、簡単に分かりやすく解説します。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂

 

液状化現象をわかりやすく!原因や液状化の仕組みを簡単に解説

液状化による地盤沈下

液状化現象とは?原因と仕組みをわかりやすく!

液状化現象とは地盤がゆるい場所で地震などが起こると、砂と水が地表面に吹き出し地盤がくずれ、建物の沈下や地割れなどを引き起こす現象のことです。

ここでいう「地盤がゆるい」というのは、地下水が高く、水を多く含んだ砂地盤などのことを指します。(土粒子間が水で満たされている)

ギューギューに詰まった砂(飽和)が強い振動を受けると、土粒子間の摩擦力が減少し、地盤全体が砂の混ざった液体のような状態になるのです。

【液状化のしくみ(砂の状態)】

液状化による地盤沈下

 

というわけで、液状化の原因は主に地震と地盤の土質によることがわかります。

①通常時 地盤は砂粒同士が接触していることで強度を保つ
②地震時 地震の揺れにより地盤全体が変形して隙間の水を押し出す力が働き、隙間の水圧が高くなり、砂粒同士が接触する力を弱めて「液状(泥水)」のような状態になる
③地震後 泥水の中の砂粒が沈降し、砂粒と砂粒の隙間が小さくなり地盤が沈下
地上にある建物などの重いものは沈降し、地下の水道管などの軽いものは浮いてしまうよ

 

液状化現象による被害例

液状化現象の被害として大きかった地震をいくつかご紹介します。

発生した地震 被害発生状況
宮城県沖地震

日本海中部地震

大きな浮力がはたらき、電気・ガス・水道管のライフラインや地下タンクが浮上し、損壊または倒壊を引き起こした
新潟地震 地盤のせん断強度がなくなり、地盤支持力の低下、重量構造物や盛土の沈下や滑動が発生した。
伊豆大島近海地震 傾斜地盤で流動的なすべり、あるいは大きな水平変位が発生した
日本では残念ながら、地震はいつどこで起こるか分かりません…

 

液状化現象が起こりやすい場所を簡単にチェック

液状化(イメージ図)

とはいえ、液状化はどこでも起こるわけではありません。

主に以下の3つの要因がそろったときに液状化が起こる可能性が高くなるといわれています。

液状化現象の要因 詳細
ゆるい地盤 海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地などで多くみられる

地盤の硬さを示すN値が20以下で、土の粒子の大きさが0.03mm~0.5mmの砂地盤

地下水が高い 地下水位が地表面から10m以内
地震 震度5以上

揺れている時間が長くなると被害が大きくなる傾向

N値とは、ボーリングロッドの先端にサンプラーをとりつけ、63.5±0.5㎏のハンマーを76±1cmの高さから自由落下させて、ボーリング孔先端のサンプラーが地盤に30㎝貫入するのに必要な打撃回数のことです。

構造物や道路をつくるときの指標や基準値となります。

N値が大きいほど地盤は硬くなるよ

目安として、軟弱な地盤はN値が5以下で、大きな建物を建てるときに杭が不要なほど硬い地盤はN値30以上です。

また、土の粒子の大きさにも関係があり、粘土地盤では液状化は発生しないことを覚えておくとよいでしょう。

 

液状化現象の対策をわかりやすく解説

液状化現象に対する対策は主に以下のとおりです。

液状化現象対策

  1. 杭などを液状化の影響を受けない支持層まで打設する
  2. 砂地盤を締め固めるか地盤改良を行う
  3. 地下水を下げるか除去する

杭などを液状化の影響を受けない支持層まで打設する

地盤工事

支持杭を打設するにも、基礎によって工法はいくつかあります。

とくに液状化の影響を受けない支持層まで打設する場合は、

  1. 杭基礎
  2. ケーソン基礎
  3. 特殊基礎

などの工法が挙げられます。

種類 基礎分類 工法
浅い基礎 直接基礎 原地盤をそのまま利用
地盤改良、安定処理、軟弱地盤工法などを行う
深い基礎 杭基礎 既製杭基礎工法 打込み工法

  1. 打撃工法
  2. 振動工法
  3. 圧入工法(打込み)
埋込み工法

  1. プレボーリング工法
  2. 中堀り工法
  3. ジェット工法
  4. 鋼管ソイルセメント工法
  5. 回転杭工法
  6. 圧入工法(埋込み)
場所打ち杭基礎工法 人力・機械掘削(深礎工法)
機械掘削

  1. オールケーシング
  2. リバース
  3. アースドリル
ケーソン基礎 オープンケーソン工法
ニューマチックケーソン工法
設置ケーソン工法
特殊基礎 鋼管矢板基礎工法
多柱基礎工法
地中連続壁基礎工法

基礎工法場所打ち杭などについてさらにくわしくは別記事で併せてご確認ください。

 

砂地盤を締め固めるか地盤改良を行う

液状化が生じる地盤は、言い換えれば「軟弱地盤」であるとも言えます。

軟弱地盤対策には、主に①沈下対策②安定対策③地震対策の3つがあり、工法の種類もさまざまです。

軟弱地盤対策

目的

効果 工法の種類
沈下対策 圧密沈下の促進 地盤沈下を促進する バーチカルドレーン工法 サンドドレーン工法
カードボードドレーン工法
載荷重工法 盛土荷重載荷工法
 プレローディング工法
 サーチャージ工法
大気圧低下工法
地下水低下工法
全沈下量の減少 地盤沈下そのものを少なくする サンドコンパクションパイル工法
軽量盛土工法
固結工法 深層混合処理工法
石灰パイル工法
薬液注入工法
凍結工法
安定対策 せん断変形の抑制

(トラフィカビリティの確保)

盛土によって、周辺の地盤が膨れ上がったり側方移動したりすることを抑制 表層処理工法 敷設材工法
表層混合処理工法
表層排水工法
サンドマット工法
強度低下の抑制 地盤の強度が盛土の荷重によって低下することを抑制し、安定を図る 軽量盛土工法
緩速載荷工法 漸増載荷工法
段階載荷工法
強度増加の促進 地盤の強度を増加させることによって安定を図る 表層処理工法
載荷重工法
バーチカルドレーン工法
すべり抵抗の増加 盛土形状を変えたり、地盤の一部を置き換えることによって、すべり抵抗を増加し安定を図る 置換工法
押さえ盛土工法
盛土補強工法
サンドコンパクションパイル工法
深層混合処理工法
地震対策 液状化の防止 液状化を防ぎ、地震時の安定を図る サンドコンパクションパイル工法
振動締固め工法 バイブロフローテーション工法
ロッドコンパクション工法
重錘落下締固め工法

 

地下水を下げるか除去する

地盤の地下水を下げる、または除去する方法もいくつかありますが、大きく分けると

  1. 重力式排水工法
  2. 強制排水工法

の2種類に分けられます。

さらにくわしくは以下の表をご覧ください。

排水工法の種類 工法イメージ図
重力排水工法

大気圧下で水頭差により集水される地下水を排水する

釜場排水工法 釜場排水工法
深井戸工法(ディープウェル工法) ディープウェル工法
強制排水工法

真空の力で地下水を吸い上げる

ウェルポイント工法 ウェルポイント工法
深井戸真空工法 深井戸真空工法
電気浸透工法 電気浸透工法

 

液状化現象をわかりやすく!原因や液状化の仕組みを簡単に解説まとめ

ポイント

液状化現象とは地盤がゆるい場所で地震などが起こると、砂と水が地表面に吹き出し地盤がくずれ、建物の沈下や地割れなどを引き起こす現象のこと

「地盤がゆるい」というのは、地下水が高く、水を多く含んだ砂地盤などのことを指す。(土粒子間が水で満たされている)

ギューギューに詰まった砂(飽和)が強い振動を受けると、土粒子間の摩擦力が減少し、地盤全体が砂の混ざった液体のような状態になる

液状化現象の原因は主に地震と地盤の土質による

①通常時 地盤は砂粒同士が接触していることで強度を保つ
②地震時 地震の揺れにより地盤全体が変形して隙間の水を押し出す力が働き、隙間の水圧が高くなり、砂粒同士が接触する力を弱めて「液状(泥水)」のような状態になる
③地震後 泥水の中の砂粒が沈降し、砂粒と砂粒の隙間が小さくなり地盤が沈下
液状化現象の要因 詳細
ゆるい地盤 海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地などで多くみられる

地盤の硬さを示すN値が20以下で、土の粒子の大きさが0.03mm~0.5mmの砂地盤

地下水が高い 地下水位が地表面から10m以内
地震 震度5以上

揺れている時間が長くなると被害が大きくなる傾向

液状化の対策

  1. 杭などを液状化の影響を受けない支持層まで打設する
  2. 砂地盤を締め固めるか地盤改良を行う
  3. 地下水を下げるか除去する

以上です。

ありがとうございました。

 

 

 

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