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場所打ち杭工法の種類まとめ!リバース工法やアースドリル工法の違いも解説

場所打ち杭工法まとめ(種類&工法)

今回のテーマは【場所打ち杭工法の種類】です。

基礎工のうち、杭基礎は

  1. 既製杭基礎(木杭、RC杭、PHC杭、SC杭、鋼杭)
  2. 場所打ち杭(オールケーシング工法、リバース工法、アースドリル工法、深礎工法)

の2つに分けられます。

 

そのうちのひとつである場所打ち杭工法の分類(違い)はこんな感じ 😛

人力・機械掘削 深礎工法
機械掘削 オールケーシング工法

リバース工法

アースドリル工法

場所打ち杭工法のそれぞれの特徴や、工法の流れなどをまとめましたので参考にしてください。

ちなみに基礎工のひとつである、ケーソン工法既製杭工法についても併せてチェックしておくとよいでしょう。

 

場所打ち杭工法の種類は?オールケーシング・アースドリル・リバース・深礎工法

場所打ち杭工法は主に4種類です。

場所打ち杭工法の種類

  1. オールケーシング工法
  2. アースドリル工法
  3. リバース工法
  4. 深礎工法
ひとつひとつ解説していきます

 

オールケーシング工法

オールケーシング工法とは、チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入とハンマグラブなどにより掘削を行う工法です。

オールケーシング掘削機

オールケーシング掘削機

オールケーシング掘削機の大きな特徴は、掘削孔全長にわたりケーシングチューブがあることです。

チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入または、回転圧入とハンマグラブにより、チューブ内の掘削をおこないます。

 

オールケーシング工法の特徴や留意点

オールケーシング工法

オールケーシング工法の留意点や特徴は以下のとおりです。

  1. チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧または回転圧入とハンマグラブにより、チューブ内の掘削をおこなう
  2. ケーシングチューブは二重管を使うことを原則とする
  3. やむを得ず一重管を使う場合は、作業時の状況に十分耐えうる安全性と剛性があるものをえらぶ
  4. 最初にセットするケーシングチューブ(ファーストチューブ)は、鉛直度を決める重要な要因となるので、短尺ものは使わないほうがよい
  5. ケーシングチューブは、コンクリートの打ち込みにともない引き抜く
  6. ケーシングで孔壁を保護するので崩壊のおそれはないが、玉石や大レキがあると押し込みが困難になる場合がある
  7. 地下水下に細砂層が厚く5m以上堆積していると、ケーシングが揺動作用によって水締めされて、引き抜きが不能になる可能性が高い
  8. 機械が大型で揺動のための反力が必要になるため、水上での作業には適さない

 

また、オールケーシング工法の流れはこんな感じです。

工法の流れ

①掘削

②支持層確認・根入れ掘削

③孔底処理(一次処理)

④鉄筋建て込み

⑤トレミー建込み

⑥生コン打ち込み

⑦トレミーケーシングチューブ引き抜き

⑧埋戻し

オールケーシング工法の流れ

オールケーシング工法の流れ

 

アースドリル工法

アースドリル工法とは、回転バケットにより土砂掘削し、バケット内部の土砂を地上に排出する工法です。

アースドリル掘削機

アースドリルの掘削機のイメージはこんな感じ 🙂

アースドリル掘削機

アースドリル工法の特徴や留意点

アースドリル工法

アースドリル工法の留意点や特徴は以下のとおりです。

  1. 素掘りの可能な場合をのぞき、掘削孔には安定液(ベントナイト)などを使った泥水をはって、泥水圧で押さえて孔壁にできるマッドケーキで保護する
  2. 地表から浅い部分の崩壊のおそれのある地層に対しては表層ケーシング(2~4m)を挿入する
  3. ドリリングバケットと呼ばれる底開きのバケットの底に、歯のついたものを回転させて土を削りとる
  4. 機械の取り扱いがかんたんで掘削速度も速いが、孔壁の保護が安定液にたよるため、安定液の管理がかなり重要である
  5. 掘削が深くなると、バケットの上下距離が大きくなって能率が低下する
マッドケーキとは、安定液でつくる不透水層のこと。基礎工事などで使われる土木の専門用語です。

オールケーシング工法とアースドリル工法のちがいについては以下の記事をご覧ください。

オールケーシング工法とアースドリル工法の違いとは?掘削機や特徴も

 

リバース工法

リバース工法は、回転ビットにより土砂を掘削し、孔内水(泥水)を逆循環(リバース)する方式です。

 

リバース掘削機

リバース工法(掘削機)

  1. 表層部にスタンドパイプを設置する
  2. 外水位+2m以上の孔内水位によって孔壁を保護する
  3. 孔底でビットを回転させ、掘り起こした土砂はドリルパイプの内空を通じてサクションポンプにより水といっしょに吸いだし、土砂を沈殿させたあとに再び泥水を孔内に送り込み所定の深さまで掘削する
  4. 孔壁を0.02N/mm²の静水圧、場合によっては安定液で押さえる
  5. 静水圧を確保するため、スタンドパイプをたてる

リバース工法の特徴や留意点

場所打ち杭工法(リバース工法)

 

ロータリーテーブルとリバース機本体を30mのキョリに置くことができるので、作業面積に制限を受ける水上作業に適しているが、陸上工事では、泥水の処理に注意が必要です。

また大きな玉石や、被圧水、伏流水の箇所での施工が困難になる場合もあります。

リバース工法の流れ

リバース工法の流れ

リバース工法

①スタンドパイプ建込み

②掘削

③孔底処理(一次処理)

④孔壁測定

⑤鉄筋カゴ建込み

⑥トレミー挿入

⑦二次孔底処理

⑧コンクリート打設

⑨埋戻し

【関連記事】

リバース工法★特徴やスライム処理を図解付きでわかりやすく解説!

 

深礎工法

深礎工法

深礎工法は、人力掘削と円形リングを使った土留工法との組み合わせで施工します。

簡単な排土施設で作業ができるので、山間部の傾斜地やせまい場所での施工も可能です。

 

また、支持地盤を直接目で確認することができます。

そして人力掘削であるので、排水が可能であることが条件になりますよ 🙂

 

さらに山留め材は、波形鉄板をリング枠で組み立てるもの、ライナープレート、コンクリート吹付けとロックボルトが使われています。

 

いっぽう液状化現象などが起こる可能性がある軟弱地盤では、山留材にそれぞれ先行矢板、シールドなどの補助工法を採用し、重要な構造物に近接する場所では、構造物の変位を防止するため、上段の山留め材をコンクリートで固めてください。

一般的に山留め材は取り外さないことが多く、山留材と地山との間に生じる空げきを埋めるために、モルタル、その他の注入を行います。

 

 

 

場所打ち杭工法の種類それぞれの違い(比較)

場所打ち杭工法4つを比較したものがこちらです。

工法 掘削・排土方法 掘削方式・孔壁保護方法
オールケーシング工法 チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入とハンマグラブなどにより行う ハンマグラブ

ケーシングチューブ

アースドリル工法 回転バケットにより土砂掘削し、バケット内部の土砂を地上に排出する ドリリングバケット

表層ケーシングと安定液

リバース工法 回転ビットにより土砂を掘削し、孔内水(泥水)を逆循環(リバース)する方式 回転ビット

スタンドパイプと自然泥水

深礎工法 掘削全長にわたる山留めをおこないながら、主として人力により掘削する 人力など

山留材

 

工法 標準的な孔径

(m)

標準的な掘削深度

(m)

オールケーシング工法 振動式:0.8~2.0

回転式:0.8~3.0

振動式:20~40

回転式:30~50

アースドリル工法 0.8~3.0 30~60
リバース工法 0.8~3.0 30~60
深礎工法 2.0~4.0 10~20

 

地盤適用条件
工法 オールケーシング工法 アースドリル工法 リバース工法 深礎工法
地質全般 ほとんどの土質に可能

厚い層ではケーシングチューブの引き抜きがむずかしい場合あり

被圧水位が地表面より高い場合は施工不可能

岩盤を除く土質に可能(安定液を使う)

被圧水位が地表面より高い場合は施工不可能

ドリルパイプのなかを通らない石などがある場合は施工不可能

被圧水位が地表面より高い場合は困難

軟弱地盤や地下水位が高い場合、施工は困難

有毒ガスの噴出や、酸素欠乏のおそれがある場合は施工は困難

N≦1

ごく軟弱な粘性土

杭頭部付近のコンクリートについて検討・対策して実施 スタンドパイプ、表層ケーシング下端部の崩壊とその落下に注意 ヒービングについて要検討
1<N≦2

軟弱な粘土

シルト

杭頭部のコンクリート細りについて要検討
N=3~30

粘土

シルト

施工可能(OK)
N=0~30

ボイリングについて要検討 施工可能(OK)
N=30~

ケーシングチューブ引き抜きについて要検討
施工可能(OK) やや困難 施工可能(OK) 施工可能(OK)
玉石 振動式:200~300

回転式:施工可能

100程度 150程度 施工可能(OK)
転石 振動式:困難

回転式:施工可能

不可(NG) 施工可能(OK)
土丹 振動式:困難

回転式:施工可能

施工可能(OK)
軟岩 振動式:困難

回転式:施工可能

不可(NG) 困難 施工可能(OK)
硬岩 振動式:不可(NG)

回転式:施工可能

鉄筋コンクリート 振動式:不可(NG)

回転式:施工可能

不可(NG)
支持層の確認に用いる土 ハンマグラブにより掘削した土 バケットにより掘削した土 デリバリホースから排出される循環水に含まれた土砂
掘削深度の測定 外周部の対面位置を2カ所以上測定 外周部の浅い位置を2点以上測定 検測用具を孔底に降ろした基準面(スタンドパイプ天盤)より深さを測定

外周部の対面位置を2カ所以上測定

それぞれ条件によって、施工できるものとできないものがあるので、比較検討したうえで工法をえらぶようにしましょう 😀

 

場所打ち杭工法の種類まとめ!リバース工法やアースドリル工法の違いまとめ

オールケーシング工法
チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入とハンマグラブなどにより行う
オールケーシング工法
アースドリル工法
回転バケットにより土砂掘削し、バケット内部の土砂を地上に排出する
アースドリル工法
リバース工法
回転ビットにより土砂を掘削し、孔内水(泥水)を逆循環(リバース)する方式
リバース工法(掘削機)
深礎工法
掘削全長にわたる山留めをおこないながら、主として人力により掘削する
深礎工法

 

 

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻(水道・ダム・道路・河川・砂防の工事経験あり)
  • 国立大学★土木工学科卒業
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報発信をしています。

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