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土木・工種ごとの種類一覧!それぞれの内容や流れをかんたん解説

土木工事ってどんな種類があるの?

こんな疑問をサクッと解決 🙂

土木工事の種類(一覧)について、工種ごとに内容や流れをかんたんにまとめました。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂

 

土木工事の種類一覧!工種ごとに内容や流れをかんたん解説

主な土木工事の種類はこちらです。

土木工事の種類

  1. 道路工事
  2. 河川・砂防工事
  3. 橋梁工事
  4. ダム工事
  5. トンネル工事
  6. 上下水道工事
  7. 海洋土木工事
  8. 鉄道工事
  9. 発電土木工事
  10. 農業土木工事
  11. 基礎・仮設工事(その他)
  12. 法面工事
それぞれくわしくみていきましょう

 

土木工事➀道路工事

道路工事とは、道路をつくったり補修したりする仕事です。

主な仕事内容

  1. 道路をつくる
  2. 道路の補修
  3. 道路の付帯設備の設置・補修

 

一般的な道路の横断図とは以下のようになっています。

 

道路の構造は、道路構造令により道路区分ごとに横断図、平面線形、せん断線形などが定められています。

 

また道路で使われる舗装には、

  • アスファルト舗装
  • セメントコンクリート舗装

などがありますが、基本的に道路は【アスファルト舗装】が主流です。

〈アスファルト舗装断面図〉

 

そしてアスファルト舗装作業の作業はざっくり以下のとおり。

アスファルト舗装作業のながれ
手順 工程 内容
路床工 ブルドーザーか、モーターグレーダーで該当箇所を均し、ローラーで転圧
路盤工 モーターグレーダーを使って下層路盤にはクラッシャラン、上層路盤には粒度調整砕石で敷き均し、ロードローラー、またはタイヤローラーで転圧
プライムコート(アスファルト乳剤を散布) 路盤表面の強化や、雨水の浸透防止といった目的
基層 基層とはアスファルト舗設のことで、「敷き均し」と「締固め」をおこなう
敷き均し アスファルトフィニッシャーを使って、アスファルト混合物を敷き均す作業(余盛量15~20%程度の厚さ)
締固め 敷き均し作業の終了後、ローラーを用いて、「継ぎ目→初期転圧→二次転圧→仕上げ転圧」という順番で締固め
タックコート(アスファルト乳剤を散布) アスファルト舗設が終わったら散布する。基層と表層、または付帯構造物との付着を改善することが目的
表層(アスファルト舗設) 基層と同じ作業手順で締固めの作業

これらの工程を経て、わたしたちの生活に欠かせない道路ができあがります 🙂

道路勾配道路の種類についても確認しておくとよいでしょう。

 

土木工事②河川工事・砂防工事

河川工事とは、河川にある護岸や構造物をつくったり、補修したりする仕事です。

主に護岸工事の材料はコンクリートですが、現在は現場打ちコンクリートより護岸ブロック(既製品)を使った工法が主流です。

河川工事は護岸工事のほか、堰や水門、樋管、水路、河川堤防などの河川内に設置された構造物の工事もあります。

 

また砂防工事とは、山腹から土砂が流下するのを防止し、渓岸・渓床の侵食などによる土砂発生を軽減させるものです。

砂防工事での工法・種類 概要
砂防堰堤(えんてい)工 砂防堰堤とはコンクリートや柵などにより土砂や枝葉の流出を防ぐ壁のこと

主に山の中腹などにつくられることが多い

床固め工

床固めとは、河床の洗掘を防いで河川の勾配を安定させるために、河川を横断して設けられる施設

床固めに高低差がある場合、落差工(らくさこう)と呼ぶ

また、落差がないかあるいは極めて小さい場合は、帯工(おびこう)と呼ぶ

流路工

河川の両岸に、護岸を強化・整備するために設置される構造物

河川工事の護岸工事とほぼ同じ意味をもつ

法面工 山の法面の崩壊を防ぐため、構造物や植生で強化する工法
魚道 河川に生息する魚などの移動の障害とならない道

上記の表のような施工を組み合わせた工事となります。

 

土木工事③橋梁工事

橋梁工事は、その名のとおり橋を架ける仕事です。

橋梁工事の規模が大きい場合は、橋梁下部工と橋梁上部工の2工事に分けて実施されます。

 

いっぽう橋の種類は輸送路によって、

  1. 道路橋
  2. 鉄道橋
  3. 水路橋
  4. 併設橋(道路橋、鉄道橋、水路橋などが同時設置)

に分けられます。

 

また橋梁の構成は以下の図をみてください。

 

橋梁部の名称と意味は、表のとおりとなります。

橋梁の名称 意味
上部工 道路、鉄道、水路などの輸送路の通過荷重を直接支持する
下部工 上部構造を支える部分。橋台(アバット)、橋脚(ピア)および基礎からなる
橋長 橋台のパラペット前面間のキョリ
支間 支承中心間のキョリ
径間 橋台あるいは橋脚の前面間のキョリ
桁下高 上部の下部に確保される空間の高さ

 

橋の架け方はさまざまですが、構造形式や周辺状況によって最適な工法が選定されます。

橋の種類 工法の種類 方法・使用機器
鋼橋 ベント工法・片持ち式工法 自走クレーン車

ケーブルクレーン

トラベラクレーン

門型クレーン

フローティングクレーン

ケーブル式工法 ケーブルクレーン

自走クレーン車

架設桁工法 移動台車吊り下げ

巻上げ機直下吊り

引き出し工法 手延べ式

台車・台船送出し

一括架設工法 自走クレーン

台船

巻上機

その他特殊工法 回転工法

横取り工法

コンクリート橋

(現場打ち)

固定支保工式架設工法 前面支柱式支保工架設工法

梁・支柱式支保工架設工法

移動支保工式架設工法 張り出し架設工法

接地式工法

移動吊支保工

可動支保工

押出し工法 集中押し出し工法

分散押し出し工法

コンクリート橋

(プレキャスト)

プレキャスト桁架設工法 架設ガーダー式

タワーエレクション

クレーン架設(トラッククレーン、門型クレーン、フローティングクレーン)

プレキャストブロック架設工法 移動式作業車

架設ガーダー式

クレーン架設

固定支保工式架設

橋梁の構造&種類の名称などについては、別記事でさらにくわしくまとめていますのでぜひご確認ください。

 

土木工事④ダム工事

ダム工事は主に、ダム建設やダムの補修工事です。

ダムとは山を切り開き、コンクリートの壁をつくることで水を貯水(調整)できる施設。

したがってダムの工事内容は、主に土工とコンクリート工になります。

ダムの役割や、ダムの構造・種類についてさらにくわしく知りたい方は別記事でどうぞ!

 

土木工事⑤トンネル工事

トンネル工事の主な施工方法は、

トンネル施工方法

  1. 山岳工法
  2. シールド工法
  3. 開削工法
  4. 沈埋工法

などがあり、施工内容や概略図などは以下の表のとおりです。

施工方法の種類 内容 概略図
山岳工法トンネル 発破、機械による掘削後、

  • 吹付けコンクリート
  • ロックボルト
  • 支保工

により地山の安定を確保して掘進する工法

NATM(ナトム)工法が標準となっている。

掘削時の切羽自立が適用の前提条件である

シールド工法トンネル シールドマシンを地中において掘進させ、

抗壁をシールド外殻およびセグメントにより保持しながらトンネルを構築する工法

土砂崩壊を防ぎながら施工できる

密閉型シールドと開放型シールドの2種類がある

開削工法トンネル 地表面から掘削し、所定の位置にボックスカルバートやアーチカルバートなどの

トンネル構造物を構築後に埋め戻し、地表面を復旧する工法

施工上の制約はあまりない

沈埋工法トンネル 地上であらかじめ分割した函体などのトンネル構造物を構築

船などで移動し、海底に沈めてから接合する工法

水密性の確保が重要となる

TBM工法 TBMは「トンネル・ボーリング・マシン」の略

山地などにある強固な地盤にトンネルを掘るのに向いていて作業スピードが速いことがメリット

デメリットは、機械が高額なことで、短距離を掘ることにはあまり向いていない

工程としては先端のカッターヘッドが回転することで、掘削したあとに壁を作りながら掘り進める

【参考画像引用:戸田建設さま】

トンネルの種類についても確認しておくとよいです。

またいっぽうで、トンネル工事は崩落などの危険がつねにともなうため、とくに安全管理を徹底して実施しなければなりません。

トンネル工事の注意点などについては以下の記事にまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

トンネル(ずい道)工事の事故や安全!危険防止措置や注意点まとめ

安全に気をつけて!

 

土木工事⑥上下水道工事

水道が止まったり、水がにごって飲めないなんてことがあったら大変ですよね。

【水】は私たちにとって欠かせないものであり、ライフラインのなかでも最も重要な分野。

生きるのに必要な【水】をいつも安全に使えるようにしてくれる水道工事は、私たちの生活の基盤を作ってくれているのです。

上下水道工事は土木分野のなかでも、社会への役割は大きいと言えるでしょう。

水道工事は大きく分けて、

上水道工事:飲み水、生活用水の管・浄水場施設など

下水道工事:汚水、排水・下水道施設など

に分けられます。

上下水道工事は主に上下水道管の設置や撤去、補修工事です。

さらに浄水場施設や下水道施設の維持管理工事などもあります。

工事はポンプや機械も取りあつかうので、土木以外にも電気や機械の知識が必要です。

さらに上下水道のしくみやちがいについても確認しておきましょう。

 

土木工事⑦海洋土木工事

海洋土木とは、まさに海に関連する土木工事です。

海岸には、津波や高潮、波浪などの災害から人々を守るため、海岸保全施設というものがあります。

海岸保安施設 内容
堤防・護岸 海水の陸地への進入を防ぐもの。主にコンクリート
胸壁
消波工 海岸堤防の前面に設置し、まさつと空げきにより波のエネルギーを減らし、打ち上げや高波を減少させるもの
突提 海岸線に対し直角方向に、海側に細長く突き出して堤防を設置するもの

沿岸の漂砂を制御することにより、汀線を安定に保つ

離岸提 汀線からはなれた沖合に、海岸線と平行にブロックを設置したもの

消波、波高減水効果、汀線漂砂の制御などにより、陸側に堆砂(トンボロ)を形成する

ヘッドランド

(人工岬)

突提とほぼ同様の施設

岬間からの流砂を制御し海浜の安定を図る

人工リーフ

(潜提)

海面下に、もぐり状態で離岸堤を設置したもの(捨石やブロック)

消波機能をもつ施設で、人工的に岩礁を築造できる

これらの海岸保安施設や港湾施設などを整備することにより、海辺に住む人々の安全を守っています。

 

土木工事⑧鉄道工事

鉄道工事における土木分野は、主に線路における軌道工事となります。

作業は鉄道に影響がでない夜間作業となることが多いです。

鉄道工事での作業

  1. 鉄道車両が走るレールの整備
  2. レールの間隔を一定に保つ枕木の設置・補修
  3. 鉄道をささえる路盤や、鉄道の重量を路盤に伝える道床の入れ換え

また、軌道を支持するための地盤を【路盤】とよび、路盤材料を入れ替える作業もあります。

強化路盤 強化路盤はアスファルトコンクリートと粒度調整砕石により構成される路盤

新設線のバラスト軌道などにに広く採用(一般的)

土路盤 土砂などの自然材料で構成される路盤
路盤は土路盤と強化路盤の2つがあり、現在は強化路盤の採用が一般的です

 

土木工事⑨発電土木工事

発電土木とは、発電所施設や送電施設に関する土木工事のこと。

電気や機械などの精密機械が多く存在するため、土木作業をする場合も注意が必要です。

 

また、電気需要は年々高まっており、発電所などの施設基盤をつくる土木工事も増えていくでしょう。

 

土木工事⑩農業土木工事(土地改良事業)

農業土木とは、土地改良事業に代表される土木工事です。

田んぼや畑などの農業生産にかかわる基盤整備をはじめとし、農業をいとなむ人々の生活基盤や、農村空間の環境整備が求められます。

 

代表的な土地改良事業の種類は以下の表のとおりです。

土地改良事業の種類 事業内容
かんがい事業 農業生産に必要な用水を、水源地から農地まで導水するもの

  1. 水源施設(ダム、地下水工)
  2. 取水施設(頭首工、ポンプ)
  3. 導配水施設(水路、水門)
  4. 圃場かんがい施設
  5. 水管理施設

など

排水事業 農村地域の地表水の排除や、過剰な土壌水分の排除をおこなうもの

  1. 排水路
  2. 排水機場
  3. 水門

など

圃場(ほじょう)事業 生産性向上させ、圃場の区画整理や農地の集団化により効率的な営農を図るもの

  1. 区画面積の増大
  2. 用排水路および農道整備
  3. 乾田化による水田の汎用化

など

農地防災事業 農地関連における自然災害や施設の老朽化対策をおこなうもの

  1. 地すべり
  2. 高潮
  3. 津波
  4. 侵食
  5. 洪水
  6. 湛水
  7. ため池
環境整備事業 農業の担い手確保と生産向上のため、農地などの環境整備をおこなうもの

集落排水

農村公園

自然環境整備

地域全体の総合的な整備

など

 

土木工事⑪基礎・仮設工事(その他)

土木工事の基礎・仮設とは、地盤の基盤補強となる杭打ちや、構造物設置のための仮設の設置・撤去などです。

杭などはそのまま残存することが多いですが、鋼矢板や足場などは撤去する場合もあります。

 

また、基礎工事や仮設工事の主な資材や機器は、以下のとおりまとめましたので参考にしてください。

工種の種類 主な資材や機器
基礎工事
  1. コンクリート杭
  2. 鋼管杭
  3. 鋼矢板
  4. 形鋼
  5. 薬品注入
  6. 地盤改良材

など

架設工事
  1. 足場
  2. 鋼矢板
  3. 型鋼
  4. 支保工
  5. 仮排水設備
  6. 仮設建物
  7. リース
  8. レンタル機器

など

 

そのほか、土木工事はほかの産業とも密接に関わりがあります。

建築(造園)や林業、鉱業、林業、工業など、土木工事以外の建設技術とも一体となっているものも多いです。

さまざまな分野で、土木は欠かせない建設技術の基礎と言えるでしょう。

 

土木工事⑫法面工事

【法面(のりめん)】とは、盛土もしくは切土してつくられた人工的傾斜面のことを指します。

つまり法面工事は、人工的傾斜面や自然斜面が崩壊・落石しないように、保護・強化・安定化を図る工事と言えますね。

そして法面工事の種類は、①植生工②構造物工③法面排水工の3種類があります。

法面工事の種類(1)植生工

植生工は、植物の種子や肥料、水などを練り混ぜた基材を撒くことや苗木を植えて植物を繁殖させることで、法面表層部の保護・安定化を図ります。

植生工の特徴は、植物が成長して法面を覆い風雨による法面の浸食を防御し、風化も抑制する点です。

また植物の根が法面の土としっかり絡み合い、土砂崩れを防御する役割もあります。

そして植生工のメリットは、景観や自然環境の保全、温暖化対策にも有効なこと!

土質・地質や自然景観、周辺環境、気候、施工時期などを確認したうえで、最も適した工法が選択されます。

 

法面工事の種類(2)構造物工

構造物工は、モルタル・コンクリート、板柵、籠などを使用して法面の保護・強化・安定化を図ります。

法面のある地山の地質が土砂や軟岩などで形成されている場合、風雨による風化の影響を受けるため、構造物による防御が必要となるからです。

また、法面表層部の防御だけではなく、表層部から地中深い部分における崩壊や崩落の防御も求められます。

その場合はグランドアンカー工などによりアンカーを地中深くまで挿入し、法面の保護・強化・安定化を図ります。

さらにくわしくは以下の記事をぜひどうぞ 🙂

法面保護工の種類&工法まとめ★かんたん解説

 

法面工事の種類(3)法面排水工

法面排水工は、法面の風化・浸食・崩壊の原因となる降雨などの地表水や浸透水を排水します。

法面工事を行うときには、排水処理が必要かどうか必ず確認する必要があります。

 

土木工事の種類一覧!工種ごとに内容や流れをかんたん解説まとめ

土木工事はほかの産業とも密接に関わりがある社会基盤に欠かせない分野

土木工事の種類 内容や工法など
道路工事 道路工事とは、道路をつくったり補修したりする仕事
河川・砂防工事 河川工事とは、河川にある護岸や構造物をつくったり、補修したりする仕事

砂防工事とは、山腹から土砂が流下するのを防止し、渓岸・渓床の侵食などによる土砂発生を軽減させるもの

橋梁工事 橋梁工事とは橋を架ける仕事(鋼橋やコンクリート橋)
ダム工事 ダム工事とは、ダム建設やダムの補修工事(主に土工やコンクリート工)
トンネル工事 トンネル工事の工法には、山岳工法、シールド工法、開削工法、沈埋工法などがある
上下水道工事 水道管の設置・撤去のほか、上下水道関連の施設整備がある
海洋土木工事 海岸には、津波や高潮、波浪などの災害から人々を守るため、海岸保全施設があり、それらを整備する工事
鉄道工事 鉄道工事は主に、線路(レールや路盤、道床)などの整備・維持管理である
発電土木工事 発電所施設や送電施設に関する土木工事のこと
農業土木工事 農業土木とは、土地改良事業に代表される土木工事(農地・農村地域の整備)
基礎・仮設工事(その他) 地盤の基盤補強となる杭打ちや、構造物設置のための仮設の設置・撤去
法面工事 人工的傾斜面や自然斜面が崩壊・落石しないように、保護・強化・安定化を図る

今回は以上です。

参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

  • B!