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コンクリートの塩害対策とは?わかりやすく原因や含有量の基準も解説

コンクリート塩害対策
コンクリートの塩害ってどんなだっけ?基準もよくおぼえてないな~

こんなお悩みを解決します。

コンクリートの【塩害】について、基準や対策方法をわかりやすくまとめましたので参考にしてください。

 

コンクリートの塩害対策とは?わかりやすく原因や含有量の基準も解説

塩害で錆びた構造物

塩害とは、鉄が塩分によりさびてしまうことです。

そのなかで建設や土木の世界では、コンクリート内の鉄筋が錆びることを塩害と呼び、コンクリート劣化機構のひとつとも考えられています。

塩害以外のコンクリート劣化機構については、また別記事でご確認ください。

 

また、すこし専門的な言葉をつかうと、

コンクリートの塩害

コンクリート中に存在する塩化物イオンの作用によって鋼材が腐食し、コンクリート構造物に損傷を与える現象

要するに、コンクリートのなかにある鉄筋がさびてボロボロになります。

 

コンクリート塩害の原因は?

塩害の原因は【塩化物イオン】です。

塩化物イオンとは水中に溶解している塩化物の塩素分のことで、水中で分解されたり、沈殿したりすることなく水中にとどまっています。

自然界に広く存在し、海水中には多量に存在し、約19.9g/Lもの塩化物イオンが含まれているのです。

 

また、コンクリートに塩化物イオンが侵入する原因としては2つあります。

  1. コンクリートの材料(海砂、混和剤、セメント、練り混ぜ水)に最初から含まれているもの
  2. 海水飛沫や飛来塩化物、凍結防止剤などの塩化物がコンクリート表面から浸透するもの

塩化物イオンが含まれてしまうのはどうしようもないと言えますね…( 一一)

 

塩化物含有量の基準(レディーミクストコンクリート)

塩化物含有量

塩化物イオンがコンクリートに含まれることは避けられないにしても、きちんと含有量の基準があります。

 

コンクリート基準となるJIS規格の、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」には以下のように記されています。

荷卸し時点で、塩化物含有量は,塩化物イオン(Cl−)量として 0.30 kg/m3以下とする。

ただし、箇条で塩化物含有量の上限値の指定があった場合は、その値とする。

また、購入者の承認を受けた場合には,0.60 kg/m3以下とすることができる。

(引用:JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」)

レディーミクストコンクリートとは、整備されたコンクリート製造設備を持つ工場から、品質を指示して買うことができるフレッシュコンクリートのことです。

コンクリートがまだ現場に届かない工場での段階から、コンクリートの配合や品質を確認できます。

 

また、フレッシュコンクリートはまだ固まらない状態にあるコンクリートのことです。

土木や建築でも、コンクリートの品質基準として一般的に用いられていますよ 🙂 

 

具体的なコンクリートの塩害対策とは?

コンクリート構造物

自然に塩化物イオンがあるのだから、含まれてしまうのは仕方がないことです。

でもやっぱり塩害は、コンクリートにとって悪影響。

塩化物イオンが入らないような工夫をしなければなりません。

 

そんな塩害を防ぐための対策はこちらです。

コンクリート塩害対策

  1. 高炉セメントなどの混合セメントを使用する。
  2. 水セメント比を小さくして密実なコンクリートとする。
  3. 樹脂塗装鉄筋の使用やコンクリート表面にライニングをする。
  4. 電気防食を行う
ひとつひとつ見ていきましょう

 

高炉セメントなどの混合セメントを使用する

高炉セメント工場

高炉スラグ微粉末を混和したコンクリートは、スキマの少ない密実なコンクリートになります。

内部に塩分や化学物質などが侵入しにくくなるため、塩害を起こしにくいです。

 

水セメント比を小さくして密実なコンクリートとする

コンクリートにとって、水セメント比はできるだけ小さいほうが良いです。

※水セメント比=W/ C(水÷セメント)

なぜなら水セメント比が小さくすることで、元々の水に含まれている塩化物イオンの量を減らせるからです。

可能な範囲で、できるだけ水セメント比は小さくしましょう。

 

樹脂塗装鉄筋の使用やコンクリート表面にライニングをする

ライニングとは、コンクリートの表面を樹脂塗料やモルタルでカバーする表面処理のことです。

また、その表面処理に使われる樹脂塗料やモルタルを指していう場合もあります。

表面処理を行えば、塩化物イオンの進入を減らすことができます。

 

電気防食を行う

鉄筋表面の電位の高低差がなくなれば腐食電流が流れなくなり、腐食は停止します。

このように電位を下げ、腐食電流を消滅させるのが電気防食です。

コンクリート構造物の表面に陽極を設置し、鉄筋やPC 鋼材を陰極にして直流の電流を流すことで、塩化物イオンの増加を防ぐことができます。

 

コンクリートの塩害対策とは?わかりやすく原因や含有量の基準も解説まとめ

コンクリート塩害まとめ

塩害とは、コンクリート中に存在する塩化物イオンの作用によって鋼材が腐食し、コンクリート構造物に損傷を与える現象(コンクリート中の鉄筋が錆びること)

塩害の原因は【塩化物イオン】

レディーミクストコンクリートの塩化物含有量基準は、荷おろし時点で、塩化物イオン(Cl−)量として 0.30 kg/m3以下とする。また、購入者の承認を受けた場合には0.60 kg/m3以下とすることができる。

塩害対策

  1. 高炉セメントなどの混合セメントを使用する。
  2. 水セメント比を小さくして密実なコンクリートとする。
  3. 樹脂塗装鉄筋の使用やコンクリート表面にライニングをする。
  4. 電気防食を行う

今回は以上です。

参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

 

この記事を書いている人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 某県庁の公務員土木職として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 今はブログで、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報を発信しています。

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