今回のテーマは【流動化コンクリート】
スランプ値や施工の注意点、デメリットなどをまとめましたのでぜひご確認ください。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ!
流動化コンクリートとは?スランプ値や施工指針・デメリットなどを解説
流動化コンクリートとは、流動性を増大させたコンクリートのことです。
あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに、流動化剤を添加して攪拌することによってつくられます。
通常のコンクリートよりも少ない水量で同程度の流動性が得られることから、ブリーディングや乾燥収縮のリスクを減らしたり、マスコンクリートの水和熱量を低減したりすることが可能です。
さらに通常と同じ水量でつくれば、より高い流動性が得られることから、ポンプ圧送性の向上や工事の効率化などを図ることができます。
一方、似ているコンクリートとしては「高流動コンクリート」がありますが、違いは以下のとおり 🙂
流動化コンクリート | 高流動コンクリート |
硬練りコンクリートに流動化剤(高性能AE減水剤など)をあと添加し、スランプを大きく(柔らかく)したもの | 流動化剤を添加した後も材料分離を起こさず、自己充填するコンクリート |
流動化コンクリートのスランプ値やデメリット(流動化剤)
JASS5で規定されている流動化コンクリートのスランプの規定は以下のとおり。
種類 | ベースコンクリート | 流動化コンクリート |
普通コンクリート | 15㎝以下 | 21㎝以下 |
軽量コンクリート | 18㎝以下 | 21㎝以下 |
※ベースコンクリートで調合管理強度33N/mm²以上の場合、ベースコンクリート18㎝以下、流動化コンクリート23㎝以下
ベースコンクリートのスランプは15cm以下で製造し、流動化剤によってスランプを21cmまで大きくして良いという規定になります。
また調合管理強度33N/㎟=呼び強度33以上であれば、ある程度のセメント量が確保されているため、ベースを18㎝・流動化後で23㎝まで大きくしても、材料分離のしにくいということです。
そして流動化剤におけるスランプの増大量は10㎝程度以下とすることが望ましいとされています。
なぜこんな規定が設けられているのかというと、
セメントペーストの流動性が大きい=粘性が少ない
という流動化コンクリートの特徴に関係しており、過度な流動化によって材料分離を起こすのを抑制するためです。(スランプ値が大きいデメリット)
一方で、流動化コンクリートでは、ベースコンクリートに流動化剤を添加するタイミングは工事現場に到着した後を原則とします。
そして現場に到着したベースコンクリートの性状を確認した後に、ベースのスランプに応じて流動化剤の添加量を決定してください。
所定量の流動化剤を計量し、アジテータ車を高速撹拌し、ベースコンクリートを流動化させましょう。
流動化剤の添加量=流動化後の目標スランプ値ーベースコンクリートの実測スランプ値
そうすることで、ベースコンクリートの品質をあらかじめ確認できます。
さらに流動化後のコンクリートに不具合が生じたとき、ベースコンクリートに問題があったのか流動化のやり方に問題があったのかを区別するには、ベースコンクリートの品質を確認することがポイントとなるので覚えておきましょう。
流動化コンクリートの製造方法と注意点(施工指針)
はじめに、流動化コンクリートの施工指針としては、日本建築学会、土木学会、そして国土交通省などがそれぞれ基準を示しています。
とくに国交省では「流動性を高めた現場打コンクリートの活用に関するガイドライン」を示していますので確認してみてください。
それでは製造方法と注意点について見ていきましょう。
流動化コンクリートを使用するときは、運搬時間の短い工場から選定するのが良いです。
流動化コンクリートにおける流動化による流動性の効果は、あまり長く続きません。
さらに製造から流動化までの時間が長いほど、流動化後のスランプ低下が大きくなってしまいます。
よって、流動化の効果を有効に活用するために、生コンの運搬時間はできるだけ短い工場を選定してくださいね 🙂
さらに基準としては、流動化コンクリートは流動化後、外気温が25℃未満では30分以内、外気温25℃以上では20分以内に打設完了することが望ましいとされています。
また、流動化後のスランプ低下が大きく、コールドジョイントが発生しやすくなるため、打ち重ね時間間隔も一般のコンクリートよりも厳重に管理する必要があります。
他にも、流動化コンクリートの特徴である「セメントペーストの粘性が小さい」という特徴から、締固め作業時の材料分離にも注意してください。
一方、流動化剤は質量または容積で正確に計量し、原液で使用するのが一般的です。
流動化剤の計量誤差は、1回計量分の3%以内とし、水などで薄めることなく原液で添加します。
逆に流動化剤を希釈すると、生コンの単位水量が水の量が増えてしまい、強度や性能の低下に繋がる恐れがあります。
市販の流動化剤には、袋詰めされた粉末タイプの流動化剤もありますが、そのような場合も、水に溶解せずに、袋の個数で計量するなどして使うようにしましょう。
流動化コンクリートとは?スランプ値や施工指針・デメリットまとめ
ポイント
流動化コンクリートとは、流動性を増大させたコンクリートのこと
通常のコンクリートよりも少ない水量で同程度の流動性が得られることから、ブリーディングや乾燥収縮のリスクを減らしたり、マスコンクリートの水和熱量を低減したりすることが可能
流動化コンクリート | 高流動コンクリート |
硬練りコンクリートに流動化剤(高性能AE減水剤など)をあと添加し、スランプを大きく(柔らかく)したもの | 流動化剤を添加した後も材料分離を起こさず、自己充填するコンクリート |
流動化コンクリートのスランプ値
種類 | ベースコンクリート | 流動化コンクリート |
普通コンクリート | 15㎝以下 | 21㎝以下 |
軽量コンクリート | 18㎝以下 | 21㎝以下 |
スランプ値が大きいデメリットとしては、過度な流動化によって材料分離を引き起こす可能性があること
流動化コンクリートは流動化後、外気温が25℃未満では30分以内、外気温25℃以上では20分以内に打設完了することが望ましい
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報発信中!