今回のテーマは【斜面崩壊】
底部破壊や斜面先破壊など、種類や地すべりとのちがいについてサクッと解説しました。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
円弧すべりの原因とは?底部破壊など斜面崩壊の種類や違い
斜面崩壊とは、斜面表層の土塊が、ある深さを境として斜面に沿ってすべり落ちる現象です。
一般的には「山崩れ」や「土砂崩れ」とも言われます。
斜面崩壊(円弧すべり)の原因としては、大雨などで土に多量の水がしみ込んで不安定となったり、盛土の締固めが不十分、地震の振動などが考えられます。
もともと軟弱地盤であった可能性もあります。
斜面の土塊は重力によって、常に斜面に沿った斜め下方に作用しており、基本的には、下方へすべろうとする力に対して、斜面の土層内部の土粒子がくっつき合う力である粘着力と摩擦力が対抗しています。
ですが、雨水などの浸透によって土粒子間のスキマが水で飽和すると、浮力が発生し、その分垂直応力から差し引かれ、すべりに抵抗する摩擦抵抗が減少してしまうのです。
地震などが起きた場合も、斜面に沿ってすべり落ちようとする力が増加し、斜面崩壊の可能性が高まります。
斜面崩壊の種類(円弧すべり)
斜面崩壊の種類は、以下の条件が関係します。
斜面崩壊の条件
- 斜面の地盤
- 土質
- 傾斜の角度
- 斜面の高さ
斜面の土塊は円弧状に地山から回転して崩壊を起こすと考えると、この円弧と斜面の関係から斜面崩壊は以下の3つに分けられます。
斜面崩壊の種類 | 説明 | イメージ図 |
斜面先破壊 | 60度を超えるような急傾斜の粘土層斜面
下端(法先)を通る円弧に沿って破壊するタイプ(円弧すべり) |
|
底部破壊 | 比較的ゆるい斜面で軟弱な粘土層が硬い地盤の上にある場合、硬い地面に底面が接した円弧に沿ってすべる崩壊のタイプ(円弧すべり)
円弧が斜面の下端(法先)を超えた場所まで達するもの 斜面の上方は沈下して斜面下端の前面に盛り上がりができる |
|
斜面内破壊 | 斜面中に硬い層がある場合に、その層と軟弱な層の境界線と斜面の交点を通る円弧の面に沿って破壊する崩壊のタイプ(円弧すべり) |
一般的には斜面の角度が25度よりも緩い傾斜の場合は、斜面崩壊は発生しにくいのですが、斜面の安定性についてくわしく調べるためには、崩壊の形状を仮定して試行錯誤的に安全率を求めます。
ひとつの指標としては、安全率SF=R/S(抵抗力/すべりの発生する力)が1を超えて十分大きければ安定性があると判断できます。
斜面崩壊(円弧すべり)と地すべりのちがい
【地すべり】という地盤の不安定現象がありますが、斜面崩壊とは少しちがいます。
地すべりと斜面崩壊のちがいをまとめるとこんな感じです。
地すべり | 斜面崩壊 |
1日数ミリから数センチ程度のゆっくりした速度で土塊が移動する
規模も斜面崩壊よりも大きくすべり、崩壊面も深い |
短時間に一気に斜面が崩れ落ちる |
地すべりの事例でいうと、2004年8月に奈良県五條市で起こった「宇井地すべり」などが有名です。
円弧すべりの原因とは?底部破壊など斜面崩壊の種類や違いまとめ
斜面崩壊とは、斜面表層の土塊が、ある深さを境として斜面に沿ってすべり落ちる現象
斜面崩壊(円弧すべり)の原因としては、大雨などで土に多量の水がしみ込んで不安定となったり、盛土の締固めが不十分、地震の振動などが考えられる
斜面崩壊の種類 | 説明 | イメージ図 |
斜面先破壊 | 60度を超えるような急傾斜の粘土層斜面
下端(法先)を通る円弧に沿って破壊するタイプ(円弧すべり) |
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底部破壊 | 比較的ゆるい斜面で軟弱な粘土層が硬い地盤の上にある場合、硬い地面に底面が接した円弧に沿ってすべる崩壊のタイプ(円弧すべり)
円弧が斜面の下端(法先)を超えた場所まで達するもの 斜面の上方は沈下して斜面下端の前面に盛り上がりができる |
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斜面内破壊 | 斜面中に硬い層がある場合に、その層と軟弱な層の境界線と斜面の交点を通る円弧の面に沿って破壊する崩壊のタイプ(円弧すべり) |
斜面崩壊と地すべりの違い
地すべり | 斜面崩壊 |
1日数ミリから数センチ程度のゆっくりした速度で土塊が移動する
規模も斜面崩壊よりも大きくすべり、崩壊面も深い |
短時間に一気に斜面が崩れ落ちる |
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員(土木職)の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 現場監督・施工管理の経験あり
- 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛けの資格もち
- 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報を発信中!