アスファルト舗装の品質管理基準についてまとめました。
アスファルト舗装の品質管理では、写真管理や検査項目など基準がたくさん!
しっかりチェックしておきましょう。
アスファルト舗装の品質管理基準➀写真管理や検査項目とは?
アスファルト舗装の品質管理基準は、大きく分けて材料、プラント、舗装現場の3つに区分されます。
国土交通省による土木施工の品質管理において、アスファルト舗装部分を抜粋したものが以下の表です。
参考にしてください。
種別 | 試験区分 | 試験項目 | 試験方法 | 規格値 | 試験基準 | 摘要 | 試験成績等による確認 |
材料 | 必須 | 骨材のふるい分け試験 | JIS A 1102 | JIS A 5001表2参照 | 中規模以上の工事:施工前、材料変更時
小規模以下の工事:施工前
|
中規模以上の工事:管理図を描いたうえでの管理が可能な工事をいい、舗装施工面積が10,000㎡あるいは使用する基層および表層用混合物の総使用量が3,000t以上の場合
小規模工事:管理結果を施工管理にできる規模の工事をいい、同一工種の施工が数日連続する場合で、以下のいずれかに該当するものをいう。 ①施工面積で1,000㎡以上10,000㎡未満 ②使用する基層および表層用混合物の総使用量が500t以上3,000t未満(コンクリートでは400㎥以上1,000㎥未満) ただし、以下の該当するものについても小規模工事として取り扱うものとする。 1)アスファルト舗装:同一配合の合材が100t以上のもの |
〇 |
骨材の密度および吸水率試験 | JIS A 1109
JIS A 1110 |
表層・基層
表乾密度:2.45g/cm3以上 吸水率:3.0%以下 |
〇 | ||||
骨材中の粘度塊量の試験 | JIS A 1137 | 粘土、粘土塊量:0.25%以下 | 〇 | ||||
粗骨材の形状試験 | 舗装調査
試験法便覧 |
細長、あるいは扁平な石片:10%以下 | 〇 | ||||
フィラーの粒度試験 | JIS A 5008 | 便覧、表3.3.17による | 〇 | ||||
フィラーの水分試験 | JIS A 5008 | 1%以下 | 〇 | ||||
その他 | フィラーの塑性指数試験 | JIS A 1205 | 4以下 | 火成岩類を粉砕した石粉を用いる場合に適用する
中規模以上の工事:管理図を描いたうえでの管理が可能な工事をいい、舗装施工面積が10,000㎡あるいは使用する基層および表層用混合物の総使用量が3,000t以上の場合 小規模工事:管理結果を施工管理にできる規模の工事をいい、同一工種の施工が数日連続する場合で、以下のいずれかに該当するものをいう。 ①施工面積で1,000㎡以上10,000㎡未満 ②使用する基層および表層用混合物の総使用量が500t以上3,000t未満(コンクリートでは400㎥以上1,000㎥未満) ただし、以下の該当するものについても小規模工事として取り扱うものとする。 1)アスファルト舗装:同一配合の合材が100t以上のもの |
〇 | ||
フィラーのフロー試験 | 舗装調査・試験法便覧
[2]-65 |
50%以下 | 〇 | ||||
フィラーの水浸膨張試験 | 舗装調査・試験法便覧
[2]-59 |
3%以下 | 〇 | ||||
フィラーの剝離抵抗性試験 | 舗装調査・試験法便覧
[2]-61 |
1/4以下 | 〇 | ||||
製鋼スラグの水浸膨張性試験 | 舗装調査・試験法便覧
[2]-77 |
水浸膨張比:2.0%以下 | 中規模以上の工事:管理図を描いたうえでの管理が可能な工事をいい、舗装施工面積が10,000㎡あるいは使用する基層および表層用混合物の総使用量が3,000t以上の場合
小規模工事:管理結果を施工管理にできる規模の工事をいい、同一工種の施工が数日連続する場合で、以下のいずれかに該当するものをいう。 ①施工面積で1,000㎡以上10,000㎡未満 ②使用する基層および表層用混合物の総使用量が500t以上3,000t未満(コンクリートでは400㎥以上1,000㎥未満) ただし、以下の該当するものについても小規模工事として取り扱うものとする。 1)アスファルト舗装:同一配合の合材が100t以上のもの
|
〇 | |||
製鋼スラグの密度および吸水率試験 | JIS A 1110 | SS
表乾密度:2.45g/cm3以上 吸水率:3.0%以下 |
〇 | ||||
粗骨材のすりへり試験 | JIS A 1121 | すり減り量
砕石:30%以下 CSS:50%以下 SS:30%以下 |
〇 | ||||
硫酸ナトリウムによる骨材の安定性試験 | JIS A 1122 | 損失量:12%以下 | 〇 | ||||
粗骨材中の軟石量試験 | JIS A 1126 | 軟石量:5%以下 | 〇 | ||||
針入度試験 | JIS K 2207 | 舗装施工便覧参照
・舗装用石油アスファルト:表3.3.1 ・ポリマー改質アスファルト:表3.3.3 ・セミブローンアスファルト:表3.3.4 |
〇 | ||||
軟化点試験 | 舗装施工便覧参照
・舗装用石油アスファルト:表3.3.1 ・ポリマー改質アスファルト:表3.3.3 |
〇 | |||||
伸度試験 | 舗装施工便覧参照
・舗装用石油アスファルト:表3.3.1 ・ポリマー改質アスファルト:表3.3.3 |
〇 | |||||
トルエン可溶分試験 | 舗装施工便覧参照
・舗装用石油アスファルト:表3.3.1 ・セミブローンアスファルト:表3.3.4 |
〇 | |||||
引火点点検 | JIS K 2265-1
JIS K 2265-2 JIS K 2265-3 JIS K 2265-4 |
舗装施工便覧参照
・舗装用石油アスファルト:表3.3.1 ・ポリマー改質アスファルト:表3.3.3 ・セミブローンアスファルト:表3.3.4 |
〇 | ||||
薄膜加熱試験 | JIS K 2207 | 舗装施工便覧参照
・舗装用石油アスファルト:表3.3.1 ・ポリマー改質アスファルト:表3.3.3 ・セミブローンアスファルト:表3.3.4 |
〇 | ||||
蒸発後の針入度比試験 | 舗装施工便覧参照
・舗装用石油アスファルト:表3.3.1 |
〇 | |||||
密度試験 | 舗装施工便覧参照
・舗装用石油アスファルト:表3.3.1 ・ポリマー改質アスファルト:表3.3.3 ・セミブローンアスファルト:表3.3.4 |
〇 | |||||
高温動粘土試験 | 舗装調査・試験法便覧
[2]-180 |
舗装施工便覧参照
・セミブローンアスファルト:表3.3.4 |
〇 | ||||
60℃粘土試験 | 舗装調査・試験法便覧
[2]-192 |
〇 | |||||
タフネス・テナシティ試験 | 舗装調査・試験法便覧
[2]-244 |
舗装施工便覧参照
・ポリマー改質アスファルト:表3.3.3 |
〇 | ||||
プラント | 必須 | 粒度
(2.36mmふるい) |
舗装調査・試験法便覧
[2]-14
|
2.36mmふるい:±12%以内基準粒度 | 〇 | ||
粒度
(75umuふるい) |
75umふるい:±5%以内基準粒度 | 〇 | |||||
アスファルト量抽出粒度分析試験 | 舗装調査・試験法便覧
[4]-238 |
アスファルト量:±0.9%以内 | 〇 | ||||
温度測定
(アスファルト・骨材・混合物) |
温度計による | 配合設計で決定した混合温度 | 随時 | 〇 | |||
その他 | 水浸ホイールトラッキング試験 | 舗装調査・試験法便覧
[3]-57 |
設計図書による
|
設計図書による
|
アスファルト混合物の耐剥離性の確認
|
〇 | |
ホイールトラッキング試験 | 舗装調査・試験法便覧
[3]-39 |
〇 | |||||
ラベリング試験 | 舗装調査・試験法便覧
[3]-17 |
〇 | |||||
舗装現場 | 必須 | 現場密度の測定 | 舗装調査・試験法便覧
[3]-91 |
基準密度の94%以上
X10:96%以上 X6:96%以上 X3:96.5%以上 歩道箇所:設計図書による |
・締固め度は、個々の測定値が基準密度の94%以上を満足するものとし、かつ平均値については以下を満足するものとする。
①締固め度は10個の測定値の平均X10が規格値を満足するものとする。また10個の測定値が得がたい場合は3個の測定値の平均値X3が規格値を満足するものとするが、X3が規格値をはずれた場合は、さらに3個のデータを加えた平均値X6が規格値を満足していればよい。 ②1工事あたり3,000㎡を超える場合は10,000㎡以下を1プロットとし、1ロットあたり10個(10孔)で測定する 例) 3,001㎡~10,000㎡:10個 10,001㎡以上の場合、10,000㎡毎に10個追加し、測定箇所が均等になるように設定すること。 例えば12,000㎡の場合:6,000㎡毎に10個追加し、測定箇所が均等になるように設定すること なお、1工事あたり3,000㎡以下の場合(維持工事を除く)は、1工事あたり3個(3孔)以上で測定する。 |
橋面舗装はコア採取しないでAs合材量(プラント出荷数量)と舗設面積および厚さでの密度管理、または転圧回数による管理を行う。 | ー |
温度測定
(初転圧前) |
温度計による | 110℃以上 | 随時 | 測定の記録は1日4回
(午前・午後各2回) |
ー | ||
外観検査
(混合物) |
目視 | ー | ー | ー | |||
その他 | すべり抵抗試験 | 舗装調査・試験法便覧
[3]-84 |
設計図書による | 舗設車線毎200m毎に1回 | ー | ー |
(引用:品質管理基準及び規格値_国土交通省)
アスファルト舗装工の品質管理基準②品質特性と試験方法
アスファルト舗装工における品質特性と試験方法の関係はこんな感じです。
工程 | 品質特性 | 試験方法 | |
アスファルト舗装工 | 材料 | 骨材の密度・吸水率
粒度 単位容積質量 すり減り減量 軟石量 針入度 伸度 |
骨材の密度・吸水率試験
ふるい分け試験 単位容積質量試験 すり減り減量 軟石量試験 針入度試験 伸度試験 |
プラント | 混合物温度
アスファルト量・合成粒度 |
温度測定
アスファルト抽出・ふるい分け 試験または粒度試験 |
|
舗設現場 | 敷き均し温度
安定度 平坦性 厚さ 混合割合 密度(締固め度) |
温度測定
マーシャル安定度試験 平坦性試験 コア採取による厚さ測定 コア採取による混合割合試験 密度試験 |
|
加熱アスファルト混合物 | 外観
温度 粒度 アスファルト量 締固め度 |
舗装試験法便覧 |
アスファルト舗装工の品質管理基準③品質特性と試験器
さらに品質特性と試験方法および試験機器についてもまとめましたので参考にしてください。
測定対象 | 品質特性 | 試験方法 | 試験機器 |
舗装路面 | すべり抵抗(動的摩擦係数)
浸透水量 平坦性 |
回転式すべり抵抗測定器による動的摩擦係数の測定
現場透水量試験器による透水量の測定 平坦性の測定 |
回転式すべり抵抗測定器
現場透水量試験器 3mプロフィルメータ |
アスファルト混合物 | すり減り減量
耐流動性(動的安定度) 耐摩耗性 安定度 |
ロサンゼルス試験機による粗骨材のすり減り試験
ホイールトラッキング試験 ラベリング試験 マーシャル安定度試験 |
ロサンゼルス試験機
ホイールトラッキング試験機 ラベリング試験機 マーシャル安定度試験機 |
路盤 | 現場密度(締固め度)
支持力 |
砂置換法(現場密度の測定)
RI計器による方法(現場密度の測定) 平板載荷試験 現場CBR試験 |
ピクノメーター+ジャー
RI計器 荷重計+変位計 貫入ピストン+荷重計+変位計 |
コンクリート舗装 | コンシステンシー
空気量 曲げ強度 |
スランプ試験
空気量試験 曲げ強度試験 |
スランプコーン
エアメータ 曲げ試験機 |
平板載荷試験や現場CBR試験など、それぞれのくわしい内容は別記事でご確認ください。
アスファルト舗装の品質管理基準④手段と留意点
とくに受注者は所定の品質を確保するために、工程を管理し、各種の品質管理を自主的に行う必要があります。
品質の項目、頻度、監理の限界は、検査基準や過去の施工実績などを考慮し、もっとも能率的かつ経済的に行えるように受注者が定めましょう。
また、アスファルト舗装の品質管理については、次のことを留意しながら施工してください。
ポイント
- 各工程の初期において、各項目に関する試験の頻度を適当に増し、その時点の作業員や施工機械などの組み合わせにおける作業工程を把握しておく
- 現在の作業の進め方によって受注者が定めた管理の限界を十分満足できることが分かれば、それ以降の試験頻度は減らしてもよい
- 1日1~2回という試験頻度において、工程能力図にプロットされた点が管理限界外に出た場合、あるいはいっぽうに片よっているなどの結果が生じたら、ただちに試験頻度を増やし異常の有無を確かめる
- アスファルトプラントでの混合物の製造管理が印字記録による場合に、限界値を外れるものが5%以上の確率で現れたら、ただちに運転を中止しその原因をほかの試験も併用して検討する
- 作業員や施工機械などの組み合わせに変更が生じた場合も同様に試験頻度を増し、新たな組み合わせにおける作業能力を把握しなおす
- 試験試料採取の位置は、原則として無作為とする
- アスファルト混合物の粒度およびアスファルト抽出試験により照合していれば、通常の品質管理でのアスファルト抽出試験を併用する必要はない
アスファルト舗装の品質管理基準!写真管理や検査項目まとめ
アスファルト舗装品質管理基準
- アスファルト舗装の品質管理基準は、大きく分けて材料、プラント、舗装現場の3つに区分される。
- 国土交通省による土木施工の品質管理の基準がある。
- 工程や測定対象により、試験方法や試験器などもさまざま!
ポイント
- 各工程の初期において、各項目に関する試験の頻度を適当に増し、その時点の作業員や施工機械などの組み合わせにおける作業工程を把握しておく
- 現在の作業の進め方によって受注者が定めた管理の限界を十分満足できることが分かれば、それ以降の試験頻度は減らしてもよい
- 1日1~2回という試験頻度において、工程能力図にプロットされた点が管理限界外に出た場合、あるいはいっぽうに片よっているなどの結果が生じたら、ただちに試験頻度を増やし異常の有無を確かめる
- アスファルトプラントでの混合物の製造管理が印字記録による場合に、限界値を外れるものが5%以上の確率で現れたら、ただちに運転を中止しその原因をほかの試験も併用して検討する
- 作業員や施工機械などの組み合わせに変更が生じた場合も同様に試験頻度を増し、新たな組み合わせにおける作業能力を把握しなおす
- 試験試料採取の位置は、原則として無作為とする
- アスファルト混合物の粒度およびアスファルト抽出試験により照合していれば、通常の品質管理でのアスファルト抽出試験を併用する必要はない
以上です。
いっぽうアスファルト関連だと、アスファルト舗装の種類や手順、プライムコートとタックコートの違いについてもチェックしておいてください。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員(土木)の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 現場監督・施工管理の経験あり
- 1級土木施工管理技士の資格もち
- 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報を発信中!