今回のテーマは【トラス構造】
身近なもの一覧&例を紹介し、身の回りに存在するトラス構造がなぜ強いかもしっかり解説していきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ!
トラス構造の身近なもの一覧&例とは?身の回りのトラス構造がなぜ強いのか
トラス構造とは、構成される三角形△を単位とした構造骨組のひとつで、各部材の端部節点がすべてピン接合となっているものを指します。
ピン接合は部材同士を一体化させずに留める接合方法で、接合部が自由に回転するため、曲げモーメントが発生しないなどのメリットがあるよ
荷重がかかっても各部材には軸方向に圧縮力か引張力しか発生せず、曲げモーメントを受けにくい構造のため、強いんです!
ちなみに曲げモーメントは、曲げる力のこと!
曲げモーメントが発生する箇所には、梁が曲がろうとする力が作用し、補強する必要があります。
よって変形しにくく強い構造とされ、ドームなどの大空間や橋の架構、大きい構造物(駅)などに使用されています。
ちなみにその他の構造形式と比べると以下のとおりです。
構造の種類 | 使用例 |
トラス構造 | 三角形の集合体で橋や体育館の屋根部分など大空間を作る場合 |
ラーメン構造 | 中高層の鉄筋コンクリート造のマンションや鉄骨造のオフィスビル |
ブレース構造 | 木造軸組工法や低層の鉄骨造 |
壁式構造 | 2X4工法(ツーバイフォー)や低層の鉄筋コンクリート造でよく使われる |
トラス構造の身近なもの・身の回りの例➀大阪駅梅田ビル
それではトラス構造が使われている身近な例をみていきましょう。
まずは、大阪駅の梅田ビルに使用されているトラス構造です。
【大阪駅(梅田ビル)のトラス構造】
トラス構造の身近なもの・身の回りの例②前川橋
つづいては熊本県の前川にかかる前川橋です。
トラス構造となっている長いスパンの橋!
カッコいいですね!(個人的感想)
【熊本県★前川橋のトラス構造】
トラス構造の身近なもの・身の回りの例③東京ゲートブリッジ
東京ゲートブリッジは、東京湾を横断する橋であり、レインボーブリッジの南東に位置しています。
全長は2,618mあり、船舶用の航路幅は310m!
羽田空港に離発着する飛行機の影響により高さ上限は98.1mに制限され、橋の下を航行する船舶の影響により桁下高は54.6mに制限されていました。
その制限の中で建設するために、トラス構造が採用されたそうですよ 😎
【東京ゲートブリッジのトラス構造】
トラス構造の身近なもの・身の回りの例④京都駅
最後は京都駅のトラス構造!
建築は建築家の「原 広司さん」により設計されています。
ガラス張りは外の光や景色を内部に取り入れつつ、トラスでドームのような大きな空間を作り出しています。
【京都府★京都駅のトラス構造】
トラス構造のメリット&デメリット
トラス構造のメリット&デメリットはこちら 🙂
メリット | デメリット |
強度が高い
軽量化が可能 細い部材で構造物を建設できる デザイン性が高い |
ある程度の高さが必要
費用が高くなる可能性が高い 組み立てに時間がかかる |
トラス構造は、多角形の中で一番強度が大きいとされる三角形で構成された構造です。
そして軽量化できるというメリットも!
トラス構造は曲げモーメントが発生しないので、曲げモーメントが発生する構造と比較するとトラス構造は細い部材で構成することができるため、その分軽量化できます。
また引張力や圧縮力といった軸力だけを考慮すれば良く、同じサイズの部材で構成された場合、より強度が大きくなる構造となります。
構造的な安定性が極めて高いという特徴もあるため、細くて軽い部材で大きな屋根を構成することができ、耐震性も高くなります。
さらにトラス構造で造られた建築物や橋梁などの土木構造物には、デザイン性が高い構造物が多くあります。
トラス構造は、様々な大きさの三角形の部材を組み合わせることで、曲線を描く構造物を造ることができるため、デザイン性が高く、おしゃれに演出できるでしょう。
大きな曲線を描いたアーチ状の構造物を造ることができるため、デザインを求められた建築物や橋梁などに多数採用されています。
一方でトラス構造は、費用が高くなりがちというデメリットがあります。
三角形の部材を組み合わせて構造物をつくるので、構造はとても複雑です。
部材には、上弦材・下弦材・斜材・鉛直材などの様々な部材を準備する必要があり、それぞれの部材は大きさが異なる場合もあります。
部材同士を交錯させるため接合部が複雑化し、他の構造と比較して工事費が高くなってしまいます。
またトラス構造は、組立てに手間がかかるというデメリット…。
上弦材・下弦材・斜材・鉛直材などの様々な部材を準備する必要があり、それぞれの部材は大きさが異なる場合もあって、部材同士を交錯させるので接合部の施工に手間がかかります。
したがって、トラス構造は他の構造と比較して組立てに手間がかかってしまうのです。
さらにトラス構造を採用する場合、ある程度の高さが必要になります。
高さを出すことにより各部材に作用する軸力を小さく抑えるという特徴があるため、トラス構造の梁(はり)がとても高くなります。
だから梁の高さを確保できる橋梁や大きな構造物などには採用できますが、一般的な建築物の場合、高さに制限があるため採用できない場合があるでしょう。
トラス構造の身近なもの一覧&例とは?身の回りのトラス構造がなぜ強いか?まとめ
トラス構造とは、構成される三角形△を単位とした構造骨組のひとつで、各部材の端部節点がすべてピン接合となっているもの
荷重がかかっても各部材には軸方向に圧縮力か引張力しか発生せず、曲げモーメントを受けにくい構造のため、トラス構造は強い
トラス構造の身近なものの例
大阪駅の梅田ビル | |
熊本県の前川橋 | |
東京ゲートブリッジ | |
京都駅のトラス構造 |
トラス構造のメリット&デメリット
メリット | デメリット |
強度が高い
軽量化が可能 細い部材で構造物を建設できる デザイン性が高い |
ある程度の高さが必要
費用が高くなる可能性が高い 組み立てに時間がかかる |
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ
- 現場監督・施工管理の経験あり
- 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
- ブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報を発信
- 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!