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河川工事とは?工法の種類や専門用語をわかりやすく解説!

河川工事

今回のテーマは【河川工事】

実際に河川工事を発注し、施工管理をしていた私が、河川工事のいろいろについて分かりやすく解説します。

さらに用語や手順、工法の種類もまとめました。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂

 

河川工事とは?工法の種類や専門用語をわかりやすく解説!

河川工事

河川工事とは、河川内や河川敷で行われる工事を指します。

河川工事の種類はざっくり以下のとおり。

河川工事の種類

  1. 護岸工事(構造物)
  2. 床固め工事
  3. 盛土(法面)工事
  4. 堆積土除去工事
  5. 樹木伐採工事
それぞれサクッと確認していきましょう

護岸工事(構造物)

河川の両岸に、コンクリートの構造物が設置されているのをみたことがありますか?

最近では異常気象による河川の増水などにより、護岸を強化している自治体が多いのが現状です。

そして河川に行われる護岸工事(工法)の種類はこんな感じ 🙂

構造物による護岸工(河川)
工法名 概要 適用のり面
じゃかご工 鉄線などで編まれたカゴのなかに石などを詰めて、法面を保護する工法 湧水により土砂流出のおそれがある法面
石張工 法面に石張をほどこし、法面の風化や侵食防止をおこなう工法 1:1.0よりゆるく粘着力のない法面

土丹ならびに崩れやすい粘土の法面

ブロック張工 法面にブロック張をほどこし、法面の風化や侵食防止をおこなう工法 1:1.0よりゆるく粘着力のない法面

土丹ならびに崩れやすい粘土の法面

コンクリート張(積)工 法面表層部の崩落防止、多少の土圧を受けるおそれがある場合などに用いられる工法 きれつの多い岩盤やルーズな崖など、安定が確保できない法面
現場打ちコンクリート枠工 コンクリート枠を設置し、枠内はさまざまな方法で法面の崩落を防止する工法 湧水をともなう風化岩や法面の安定性に不安がある、長大で崩落のおそれのある法面
石積、ブロック積擁壁工 石積やブロック積擁壁などで法面を保護する工法 法面が1:0.5くらいの急な勾配の法面
ふとんかご工 鉄線などで編まれたカゴのなかに石などを詰めて、法面を保護する工法 湧水箇所や地すべり崩壊後の復旧作業などの部分
井桁組擁壁工 井桁組擁壁などで法面を保護する工法 法面が1:0.5くらいの急な勾配の法面
コンクリート擁壁工 コンクリート擁壁などで法面を保護する工法 法面が1:0.5くらいの急な勾配の法面

一番多いのはブロック積(勾配きつめ)やブロック張(勾配ゆるめ)です。

【ブロック積工の作業風景】

ブロック積工(作業)

また岸が崩れてしまった部分や護岸の両端にはふとんかごやじゃかごを設置することも一般的でしょう。

一方、景観などを重んじる場合には、ブロックではなく石積みなどでより自然に見える工法を選択する場合もあります。

 

床固め(床止め)工事

砂防工事(床固め)

床固めとは、河床の洗掘を防いで河川の勾配を安定させるために、河川を横断して設けられる施設です。

勾配とは上流から下流に向かっての川底の高低差

床固めに高低差がある場合、落差工(らくさこう)と呼びます。

また、落差がないかあるいは極めて小さい場合は、帯工(おびこう)と呼びますよ。

 

盛土(法面)工事

護岸を整えるため、盛土(法面)工事を行うこともあります。

河川は常々変化しており、キレイで安全な河川を維持し、管理するために必要な工事です。

河川堤防に関する内容は、別記事で併せてご確認ください。

 

堆積土除去工事

堆積土除去工事とは、その名のとおり河川に堆積した土を除去する工事です。

河川に土が堆積してしまうと、河川に流れる水の許容量を超えてしまい、越水(岸を超えて河川の水が流れ出る)の可能性があります。

だから定期的に堆積土を除去し、河川および河川周辺環境の安全を保っているわけです。

 

樹木伐採工事

河川内の樹木伐採なども大切な維持管理!

なぜなら樹木が増えることで河川の許容面積を阻害してしまうからです。

実際の工事では、堆積土除去工事とセットで行われることが多いでしょう。

 

河川工事の等級や管理および用語について

河川の種類によって、河川管理者が異なりますので注意が必要です。

事前に調べてから相談にいくと、許可がスムーズですよ 😉

河川内で何かをする場合は河川法での許可が必要になる場合があります。

河川の種類 内容 河川管理者
一級河川 国土保全、国民経済上とくに重要な河川で、国土交通大臣が指定したもの 国土交通大臣

例)地域の河川事務所(国の出先)

二級河川 一級河川以外で、公共の利害に重要な河川で、都道府県知事が指定したもの 都道府県知事

例)地域の土木事務所(県の出先)

準用河川 一級河川、二級河川以外で、市町村長が指定したもの 市町村長

例)地域の市役所や町役場(土木管理課など)

普通河川 河川法の適用を受けない河川

市町村などが条例などに基づき管理する

市町村長

例)地域の市役所や町役場(土木管理課など)

ただし実際の工事は、各県や市(町)が行い、費用は管理者が負担する場合もあります。

たとえば私が所属していた県でも、一級河川の工事を担い、費用は国が負担していました。

何か困ったことがあったときは、該当する管理者(自治体)に確認や相談をしてみてください。

 

河川工事と砂防工事のちがい

河川工事と似ているのが砂防工事

河川工事と砂防工事を混同している場合が多いので注意してください。

違いはかんたんにこんな感じ 🙂

河川工事 砂防工事
河川工事 砂防堰堤
大雨や台風などの水害を予防するために行われる工事

堤防や川底の強化、逆流を防止するために水門を設置する工事なども含まれる

河川の氾濫防止

土砂災害(土石流)から地域の安全を確保することを基本

自然環境に配慮し、 地域の歴史・文化や生態系等の特性を活かす

荒廃した山地を緑に復元して環境回復・保全を図る

2つをくらべると、目的がちょっとちがうのが分かりますね。

河川は大雨や台風などの水害を予防、砂防は土石流などの土砂災害からの安全確保です。

工事の場所は河川工事は私たちが見慣れている街中や平地、砂防工事は山付きの河川や山の中腹などであることが多いでしょう。

ただしどちらも河川を工事することは変わりないので、護岸や床固めの工法は同じです。

一方、砂防工事では砂防堰堤(さぼうえんてい)というコンクリートの壁を設置することもちがいのひとつと言えるでしょう。

河川工事とは?工法の種類や専門用語をわかりやすく解説まとめ

河川工事とは、河川内や河川敷で行われる工事を指す

河川工事の種類

  1. 護岸工事(構造物)
  2. 床固め工事
  3. 盛土(法面)工事
  4. 堆積土除去工事
  5. 樹木伐採工事
河川の種類(専門用語) 内容 河川管理者
一級河川 国土保全、国民経済上とくに重要な河川で、国土交通大臣が指定したもの 国土交通大臣

例)地域の河川事務所(国の出先)

二級河川 一級河川以外で、公共の利害に重要な河川で、都道府県知事が指定したもの 都道府県知事

例)地域の土木事務所(県の出先)

準用河川 一級河川、二級河川以外で、市町村長が指定したもの 市町村長

例)地域の市役所や町役場(土木管理課など)

普通河川 河川法の適用を受けない河川

市町村などが条例などに基づき管理する

市町村長

例)地域の市役所や町役場(土木管理課など)

河川工事と砂防工事の違い

河川工事 砂防工事
大雨や台風などの水害を予防するために行われる工事

堤防や川底の強化、逆流を防止するために水門を設置する工事なども含まれる

河川の氾濫防止

土砂災害(土石流)から地域の安全を確保することを基本

自然環境に配慮し、 地域の歴史・文化や生態系等の特性を活かす

荒廃した山地を緑に復元して環境回復・保全を図る

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員土木ブロガー
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 現場監督・施工管理の経験あり
  • 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
  • ブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報を発信
  • 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!

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