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鉄筋かごの重ね継手とは?場所打ち杭やコンクリート杭の鉄筋かご施工

場所打ち杭工法★鉄筋かご

今回のテーマは【場所打ち杭の鉄筋かご】

場所打ち杭工法での鉄筋かごとは、場所打ち杭で配筋する鉄筋を事前に組み立てたものです。

構成や基準、組立・加工などについてサクッと解説していきます。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂

 

鉄筋かごの重ね継手とは?場所打ち杭やコンクリート杭の鉄筋かご施工

鉄筋かごのつり込み工法

鉄筋かごは主筋や帯筋、補強リング、スペーサーなどの部位から構成されています。

主筋・帯筋

主筋・帯筋は鉄筋かごを構成する主な鉄筋です。

鉄筋かごは横から見ると、かごのような格子状をしていますが、縦のラインになるのが主筋、横のラインになるのが帯鉄筋です。

主筋は主要な鉄筋として構造物の荷重を担い、帯筋は主筋同士をつなぎ合わせる役割とともに、地震のときに発生するせん断力に抵抗する効果があります。

また、鉄筋かごは複数の主筋の周りを円形の帯筋が囲む形で組み立てられます。

主筋と帯筋の組み立ては、形状保持のため鉄線での結束によって行われ、溶接は使用されません。

一方、主筋の本数が多いとコンクリートが流れにくくなるため、複数の主筋を束ねて配置する場合があります。

目安として、主筋同士の間隔が100mm以下になってしまうときは、主筋を束にすることを検討してください。

 

補強リング

鉄筋かごの接続部に使用されるのが補強リングです。

場所打ち杭は地中深くまで建てられるため、鉄筋かごも必然と大きいサイズ(長さ)になります。

そのため、一体化した鉄筋ではなく、いくつかの鉄筋かごを作った上でそれらをつなぎ合わせて所定の長さにします。

このとき、帯筋の継ぎ目部分にはフレア溶接が使用されますが、それだけでは鉄筋かごの形状が崩れてしまう可能性が…。

そんなとき、取り付けられるのが【補強リング】です。

補強リングはつなぎ目の帯筋を覆うような形状をしており、主筋に溶接して設置されます。

 

スペーサー

スペーサーが取り付けられる理由は、鉄筋かごが適切な「かぶり」を保持するためです。

かぶりとは、鉄筋コンクリートにおいて、表面に鉄筋が出てこないように設けられる間隔のこと!一般には、コンクリート表面から鉄筋までの最小距離を意味するよ

鉄筋コンクリートは鉄筋にコンクリートを打ち込んでつくられますが、このとき、鉄筋が表面に出ていると錆びるなどして劣化してしまいます。

だからコンクリート表面から中の鉄筋までには一定の距離を確保しておかなければならず、これを「かぶり」と呼んでいます。

そしてスペーサーは側面のかぶりを保持するためのもので、種類はさまざま(コンクリート製や鋼製、プラスチック製など)

たとえば、側面の鉄筋に使用されるスペーサーは、真ん中に穴の開いた円型に近い形状「ドーナツ」と呼ばれるものがあり、その形状は中心に開いた穴を鉄筋にはめ込むと、かぶりを確保できるようになっています。

軽くて使いやすいことから広く普及しており、鉄筋かごのスペーサーとしても多く使用されています。

 

場所打ち杭における鉄筋かごの施工

場所打ち杭は、構造的に帯鉄筋柱として設計されます。

その鉄筋については、応力上から杭軸方向の主鉄筋とそれを取り巻く帯鉄筋とを必要とし、施工上から組立鉄筋が必要となります。

鉄筋はあらかじめ地上で組立て、クレーンなどによって掘削孔に挿入するのが一般的。

なぜなら、地面深くまで潜って鉄筋を配置していくのは難しいため、あらかじめ地上で必要な鉄筋を組み立てておく必要があるからです。

主鉄筋に継手がある場合は、鉄筋かご建込時に、逐次継ぎ足しながら挿入してください。

 

また参考に、道路橋示方書による規定は以下のとおりです。

①鉄筋のかぶり

工法 かぶりの最小寸法(d)
オールケーシング工法

リバース工法

アースドリル工法

120mm 鉄筋のかぶり
深礎工法 70mm

オールケーシング工法とアースドリル工法の違いについてはまた別記事でご確認ください。

 

②主鉄筋の基準(主鉄筋は基本、異形鉄筋を使用しなければいけない)

項目 最大 最小 摘要
鉄筋量 6% 0.4% 深礎工法による場合は除外する
直径 22mm
純間隔 鉄筋径の2倍、または粗骨材最大寸法の2倍の大きい方
本数 6本

主鉄筋の配列は一重配筋とするのが望ましく、主鉄筋にはフックをつけなくてもよいです。

帯鉄筋は異形鉄筋を使用するものとし、その直径は13mm以上、中心間隔は300mm以下としましょう。

そしてフーチング底面より杭径の2倍の範囲内では、帯鉄筋の中心間隔を150mm以下かつ鉄筋量は側断面積の0.2%以上としてください。

一方、鉄筋の継手は重ね継手を原則とします。

さらに帯鉄筋を重ね継手により継ぐ場合には、帯鉄筋の直径40倍以上帯鉄筋を重ね合わせ、半円形フックまたは鋭角フックを設けましょう。

 

場所打ち杭の重ね継手や鉄筋かごの組立・加工

鉄筋かごにおける鉄筋の組立は、主鉄筋を組み立て用帯鉄筋に沿って所定の間隔に配置したのち、帯鉄筋を所定の位置に取り付けるという順序で行います。

帯鉄筋は主鉄筋と直角に取り付け、帯鉄筋と主鉄筋の接合は、アークすみ肉溶接としてください。

施工にあたっては、上下の鉄筋かごの組立用帯鉄筋相互を緊結したり、あるいは重ね継手部の主鉄筋相互を断続すみ肉溶接で接合したりするのが一般的です。

 

一方、鉄筋の建込みは掘削終了後、直ちに行います。

建込み時の上下の鉄筋かごの継手は、重ね継手を原則としてください。

また、鉄筋かごの吊込みは吊り金具で、鉄筋かご上端の組立用鉄筋を吊り、鉛直性を保持するとともに、揺れを防止します。

そして組立の完了した鉄かごは、保管や運搬時に有害な変形が生じないように注意しましょう。

 

鉄筋かごの重ね継手とは?場所打ち杭やコンクリート杭の鉄筋かご施工まとめ

鉄筋かごは主筋や帯筋、補強リング、スペーサーなどの部位から構成されている

工法 かぶりの最小寸法(d)
オールケーシング工法

リバース工法

アースドリル工法

120mm 鉄筋のかぶり
深礎工法 70mm

②主鉄筋の基準(主鉄筋は基本、異形鉄筋を使用しなければいけない)

項目 最大 最小 摘要
鉄筋量 6% 0.4% 深礎工法による場合は除外する
直径 22mm
純間隔 鉄筋径の2倍、または粗骨材最大寸法の2倍の大きい方
本数 6本

主鉄筋の配列は一重配筋とするのが望ましく、主鉄筋にはフックをつけなくてもよい

帯鉄筋は主鉄筋と直角に取り付け、帯鉄筋と主鉄筋の接合は、アークすみ肉溶接とすること

建込み時の上下の鉄筋かごの継手は、重ね継手を原則とする

 

以上です。

ありがとうございました。

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報発信中!

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