水準測量は一般的に、2本の標尺を用いて、自動レベルや電子レベルのほか、チルチングレベルにより2点間の高低差を求める方法です。
そのうえで、いろんな要因により測量誤差が生じます。
そんなわけで今回は、土木学士である私が水準測量においての誤差と、その誤差を打ち消す消去法をまとめました。
ぜひ参考にしてください。
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この記事を書いた人

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- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
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- 1級土木施工管理技士、玉掛、危険物取扱者乙4などの資格もち
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それではさっそく参りましょう、ラインナップはこちらです。
水準測量に伴う誤差と消去法
水準測量において生じる誤差の種類は大きく分けて3つです。
水準測量における誤差の種類
- 機械誤差(視準軸・標尺不良)
- 自然現象(陽炎・大気・地球の曲率・直射日光)
- 観測(人的)誤差(観測距離・接続部・傾斜)
機械誤差(視準軸・標尺不良)
レベルの視準軸誤差の消去法
レベルの視準船と気泡管軸が並行でないことによる誤差です。
後視と前視の視準距離を等しくすることで消去します。
標尺の不良(標尺零点メモリ誤差)の消去法
標尺の零目盛誤差を消去する方法は以下のとおりです。
零目盛誤差消去法
- 2本の標尺を1組として交互に使用する
- 出発点から到着地点までの水準器(レベル)の設置回数を偶数回とする
すなわち、最初のスタート地点に立てた標尺を最終地点で使うということです。
〈水準測量イメージ図〉
自然現象(陽炎・大気・地球の曲率・直射日光)
陽炎の誤差による消去法
標尺最下部付近を避けましょう。
また、視準距離を短くしてください。
気差(大気の温度・密度差)の誤差による消去法
朝夕(日昇日没による温度差)の時間帯は避け、後視と前視の視準距離を等しくしてください。
地球の曲率の誤差による消去法
気差の誤差と同じく、後視と前視の視準距離を等しくしましょう。

また、地球の丸味により生じる誤差を【球差】といいます。
気差と球差のイメージはこんな感じです 🙂
直射日光(レベルへの影響)の誤差による消去法
直射日光があるときは、覆いや日傘を用いる方法もあります。
または、往と復の観測を午前・午後におこない、平均をとるとよいでしょう。
観測(人的)誤差(観測距離・接続部・傾斜)
観測距離の誤差による消去法
標尺間の距離を正しく保ちましょう。
ポイント
- 精密水準測量:最大50m
- やや精密:最大60m
- 普通の場合:最大70~80m
標尺接続部の不良の消去法
接続部を目視点検し、ズレや不良がないかしっかり確認してください。
標尺の傾斜誤差による消去法
標尺を垂直にすることで誤差を修正できます。

まとめ
水準測量における誤差と消去法
誤差の種類 | 消去法 | |
機械誤差 | レベルの視準軸 | 後視と前視の視準距離を等しくする |
標尺不良 | ①2本の標尺を1組として交互に使用する
②出発点から到着地点までの水準器(レベル)の設置回数を偶数回とする |
|
自然現象 | 陽炎 | 標尺最下部付近を避け、視準距離を短くする |
気差(大気の温度・密度差) | 朝夕(日昇日没による温度差)の時間帯は避け、後視と前視の視準距離を等しくする | |
地球の曲率 | 後視と前視の視準距離を等しくする | |
直射日光 | 覆いや日傘を用いる
または往と復の観測を午前・午後におこない、平均をとる |
|
観測誤差 | 観測距離 | 標尺間の距離を正しく保つ
|
縮尺接続部不良 | 接続部を目視点検し、ズレや不良がないか確認する | |
標尺の傾斜 | 標尺を垂直にする |
水準測量におけるその他・注意点
堅固な地盤で、レベルの据付回数を少なく、短時間に作業を済ませることがポイント!
以上です。
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興味のある方はぜひご覧ください。
ありがとうございました。