構造物などをつくるときに欠かせない【基礎工法】
基礎工とは、大きな構造物などをつくるときに、構造物を支えるためのもの(杭・鋼管・コンクリート)を構築する土木工事です。
荷重を地盤に伝えるため設置され、主に地中につくられます。
今回は、基礎工法の種類や比較(ちがい)をまとめました。
ぜひ参考にしてくださいね 🙂
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次から確認してください。
基礎工法の種類&比較!基礎工とはどんな土木工事か分かりやすく解説
冒頭でもお話しましたが、基礎工とは、大きな構造物などをつくるときに、構造物を支えるためのもの(杭・鋼管・コンクリート)を構築する土木工事です。
荷重を地盤に伝えるため設置され、主に地中につくられます。
そして基礎工法はまず、
基礎工法
- 浅い基礎
- 深い基礎
かの2つに分けられ、そこからさらに、
- 直接基礎(浅)
- 杭基礎(深)
- ケーソン基礎(深)
- 特殊基礎(深)
の4つに分類されます。
さらに細かく分類した工法は、以下の表をご覧ください。
種類 | 基礎分類 | 工法 | |
浅い基礎 | 直接基礎 | 原地盤をそのまま利用 | |
地盤改良、安定処理、軟弱地盤工法などを行う | |||
深い基礎 | 杭基礎 | 既製杭基礎工法 | 打込み工法
|
埋込み工法
|
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場所打ち杭基礎工法 | 人力・機械掘削(深礎工法) | ||
機械掘削
|
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ケーソン基礎 | オープンケーソン工法 | ||
ニューマチックケーソン工法 | |||
設置ケーソン工法 | |||
特殊基礎 | 鋼管矢板基礎工法 | ||
多柱基礎工法 | |||
地中連続壁基礎工法 |
基礎工法(土木工事)の種類&比較や特徴
それでは、それぞれの基礎工法(①直接基礎、②杭基礎、③場所打ち杭基礎、④ケーソン基礎)について解説します。
基礎・土木工事➀直接基礎
直接基礎は、良質な支持層が浅い位置に存在する場合に適用されます。
良質な支持地盤の目安は、
砂・砂レキ層 | N値30以上 |
粘性土 | N値20以上 |
が標準となっています。
そして外力をほとんどの底面で地盤に伝えるため、基礎底面と地盤とのなじみがとても大切です。
また、直接基礎の設計においては、以下の条件を満たす必要があります。
①基礎が鉛直支持(沈下)、水平支持(活動)、転倒に対し安定であること
- 基礎底面における鉛直地盤反力が底面地盤の許容鉛直支持力をこえないこと
- 基礎底面におけるせん断力が底面地盤の許容せん断抵抗力をこえないこと
- 基礎に作用する荷重の合力の偏心量が許容偏心量をこえないこと
②基礎の変位量が、許容変位量をこえないこと
③基礎に作用する荷重の合力の偏心量が、許容偏心量をこえないこと
さらに鉛直支持(沈下)、水平支持(活動)、転倒に対し安定について補足すると以下のとおりです。
鉛直支持(沈下)に対する安定 | 鉛直荷重に対しては、側面の摩擦抵抗はあまり期待できないので、鉛直地盤反力のみで抵抗させる |
水平支持(活動)に対する安定 | 水平荷重は一般的に、基礎底面のせん断地盤反力のみで抵抗させる
基礎底面地盤の許容せん断抵抗力は、基礎底面と地盤とのあいだに働くせん断抵抗力に対し、
の安全率を確保して求める |
転倒に対し安定に対する安定 | 外力である荷重の合力作用位置は、常時には底面の中心より底面幅の1/6以内
地震時には底面幅の1/3以内であることが条件 |
基礎・土木工事②杭基礎
杭基礎工法は、
杭基礎工法
- 既製杭基礎工法
- 場所打ち杭基礎工法
のふたつに分類できます。
既製杭基礎工法
既製杭基礎工法をこまかく分けるとこんな感じ 😎
既製杭工法の種類 | 工法 | 概要 |
打込み工法 | 打撃工法
|
ドロップハンマ工法
ディーゼルハンマ工法
|
振動工法
|
バイブロハンマ工法
油圧ハンマ工法
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圧入工法(打込み式) | 圧入機械の重量を反力として、油圧ジャッキや多滑車などを使った静荷重によって既製杭を地中に押し込んで設置する
載荷試験をおこないながら杭を設置するため、支持力確認ができる |
|
埋込み工法 | プレボーリング工法 | 地盤を掘削して根固め液と杭周固定液を注入したあと、工場製作によるRC杭、PHC杭、SC杭などを沈設する |
中堀り杭工法 | 杭の内部にスパイラルオーガなどを通して掘削しながら、所定の深さまで圧入あるいは軽打により貫入させる | |
ジェット工法 | 杭先端の地盤をゆるめながら、杭の自重を利用して貫入させる | |
鋼管ソイルセメント工法 | 原地盤を掘削攪拌ヘッドで掘削しながらセメントミルクを注入し、攪拌混合してつくった固体化内に、突起付き鋼管を沈設する
セメントミルクと鋼管を一体化させる |
|
回転杭工法 | 先端に羽根がついている鋼管杭に回転力をあたえて地盤に貫入させる | |
圧入工法(埋込み式) | 地盤を削孔して既製杭を設置する
余分な排土や泥水が発生 |
場所打ち杭工法
場所打ち杭工法
- オールケーシング工法
- アースドリル工法
- リバース工法
- 深礎工法
オールケーシング、アースドリル、リバースは機械掘削で、深礎工法は人力と機械掘削の併用です。
機械掘削 | オールケーシング工法 |
アースドリル工法 | |
リバース工法 | |
人力・機械掘削 | 深礎工法 |
場所打ち杭工法をざっくり説明すると以下のとおりです。(さらにくわしくは別記事でご確認ください)
オールケーシング工法 | |
チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入と、ハンマグラブなどにより掘削する工法 | |
アースドリル工法 | |
回転バケットにより土砂掘削し、バケット内部の土砂を地上に排出する工法 | |
リバース工法 | |
回転ビットにより土砂を掘削し、孔内水(泥水)を逆循環(リバース)する工法 | |
深礎工法 | |
掘削全長にわたる山留めをおこないながら、主として人力により掘削する工法 |
基礎・土木工事③ケーソン基礎
ケーソン基礎の種類は3種類です。
ケーソン基礎工法
- オープンケーソン工法
- ニューマチックケーソン工法
- 設置ケーソン工法
3つの工法を比較するとこんな感じ 🙂
オープンケーソン工法 | ニューマチックケーソン工法 | 設置ケーソン工法 |
|
|
|
バケットなどの掘削機械 | 圧縮空気で水を排除
人力または機械掘削 |
海中掘削 |
オープンケーソン工法 | ニューマチックケーソン工法 | 設置ケーソン工法 | |
地盤への影響 | 地下水位の低下させ、地盤をゆるめることが多い | 地下水の低下などはない
周辺地盤をゆるめることは少ない |
海中 |
施工深さ | 60mくらいまで
(摩擦をへらせた場合) |
30mくらいまで | 海中水深50mくらい
潮流5.5kt |
地盤確認 | 水中作業となり、確認がむずかしい | 作業室内で直接支持層を確認できる
載荷試験も可能 |
海中であるため調査がむずかしい |
機械設備 | 比較的かんたん
工費が安い |
機械設備は大掛かり
工費が高い |
規模が大きい
工費が高い |
工期
(障害物除去) |
工期は不安定
(沈下途中に障害物がでると手間取る) |
工期安定
沈下は計画的で、障害物除去もかんたん |
工期安定
沈下は計画的で、障害物除去もかんたん |
公害問題 | 市街地施工に適する
(騒音・振動源なし) |
市街地施工に適さない
(コンプレッサーやエアロックなどの騒音あり) |
なし
(海中のため周囲に影響なし) |
工事の確実性 | なし
(水中掘削であるため手探り作業) |
あり
(作業室があり、排水しながら作業できる) |
あり
(海の状況もあるがきほん安定) |
基礎・土木工事④特殊基礎
特殊基礎工法は、地盤改良などを併用しながら、基礎を設置する工法です。
地盤改良には表層改良・柱状改良などがあり、土に改良材を混ぜ合わせながら、硬い地盤に変えていきます。
きほん、支持層が5m以上の深い位置にある場合に用いられることが多いです。
特殊基礎工法
- 鋼管矢板基礎
- 多柱基礎
- 地中連続壁基礎
鋼管矢板基礎
鋼管矢板基礎は、P-P型継手の鋼管矢板を円形・矩形・小判形などの井筒形状につくり、支持層まで到達させて設置する工法です。
鋼管矢板の継手管内をモルタルで充てんし、その頭部を頂版(フーチング)により剛結合することによって、基礎を一体化します。
とくにP・P型継手は、継手接合部にモルタルなどを直接、あるいは袋詰して装填するため、止水性に優れているのが特徴です。
多柱基礎
多柱基礎工法は、主に潮流の速い場所(海の中)などで有利な工法です。
海中の支持地盤に穴を掘り、そこに大きな口径の鋼管を建て込みます。
次にその内部にコンクリートを流し込んで水面上まで立上げ、柱の頂部をフーチングで結合し、その上に橋脚などの構造物をつくります。
施工例としては、大島大橋(長崎県)、大鳴門橋(兵庫と徳島)などが挙げられますね 🙂
地中連続壁基礎
地中連続壁基礎は、場所打ち杭を連続して壁状に施工する工法です。
掘削のシステムは、ほとんど場所打ち杭と変わりません。
工法の流れはこんな感じ
地中連続壁基礎工法
- 泥水を孔内に満たす
- 掘削壁面の崩壊を防ぎながら掘削
- 泥水に置換
- コンクリートを打って壁体を形成
コンクリートの打ち込みにはトレミーを使います。
トレミーは内径200mm以上、1本の長さが1~3mで継手部分から漏水がない物を使用してください。
またトレミーの配置は、エレメント長手方向3mていどに1本以上とし、コンクリート上面から最低2.0m以上貫入させて、レイタンスやスライムを巻き込まないようにしましょう。
いっぽう、トレミーを使って水中にコンクリートを打設すると、頭部付近のコンクリートは、安定液と接触して分離したり、沈殿物をまきこんだりして、所定の強度を確保できません。
そのため余盛りをおこない、コンクリートの打ち止め高さを設計高さ以上とする必要があります。
余盛の量は、50cm程度が一般的です。
基礎工法の種類&比較!基礎工とはどんな土木工事か分かりやすく解説まとめ
基礎工法一覧表
種類 | 基礎分類 | 工法 | |
浅い基礎 | 直接基礎 | 原地盤をそのまま利用 | |
地盤改良、安定処理、軟弱地盤工法などを行う | |||
深い基礎 | 杭基礎 | 既製杭基礎工法 | 打込み工法
|
埋込み工法
|
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場所打ち杭基礎工法 | 人力・機械掘削(深礎工法) | ||
機械掘削
|
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ケーソン基礎 | オープンケーソン工法 | ||
ニューマチックケーソン工法 | |||
設置ケーソン工法 | |||
特殊基礎 | 鋼管矢板基礎工法 | ||
多柱基礎工法 | |||
地中連続壁基礎工法 |
基礎の種類&工法 | 概要 | |
既製杭基礎工法(打込み) | 打撃工法 | ドロップハンマ工法
ディーゼルハンマ工法
|
振動工法 | バイブロハンマ工法
油圧ハンマ工法
|
|
圧入工法(打込み) | 圧入機械の重量を反力として、油圧ジャッキや多滑車などを使った静荷重によって既製杭を地中に押し込んで設置する
載荷試験をおこないながら杭を設置するため、支持力確認ができる |
|
既製杭基礎工法(埋込み) | プレボーリング工法 | 地盤を掘削して根固め液と杭周固定液を注入したあと、工場製作によるRC杭、PHC杭、SC杭などを沈設する |
中堀り工法 | 杭の内部にスパイラルオーガなどを通して掘削しながら、所定の深さまで圧入あるいは軽打により貫入させる | |
ジェット工法 | 杭先端の地盤をゆるめながら、杭の自重を利用して貫入させる | |
鋼管ソイルセメント工法 | 原地盤を掘削攪拌ヘッドで掘削しながらセメントミルクを注入し、攪拌混合してつくった固体化内に、突起付き鋼管を沈設する
セメントミルクと鋼管を一体化させる |
|
回転杭工法 | 先端に羽根がついている鋼管杭に回転力をあたえて地盤に貫入させる | |
圧入工法(埋込み) | 地盤を削孔して既製杭を設置する
余分な排土や泥水が発生 |
|
場所打ち杭基礎工法(機械) | オールケーシング工法 | チュービング装置によるケーシングチューブの揺動圧入と、ハンマグラブなどにより掘削する工法 |
アースドリル工法 | 回転バケットにより土砂掘削し、バケット内部の土砂を地上に排出する工法 | |
リバース工法 | 回転ビットにより土砂を掘削し、孔内水(泥水)を逆循環(リバース)する工法 | |
場所打ち杭基礎工法(人力・機械) | 深礎工法 | 掘削全長にわたる山留めをおこないながら、主として人力により掘削する工法 |
オープンケーソン工法 | ー | ケーソン内の地盤を大気中または水中において、クラムシェルなどで掘削し、所定の地盤まで沈下させる工法 |
ニューマチックケーソン工法 | ー | ケーソン下部に隔壁と気密作業室をつくり、圧縮空気を送り込んで地下水の浸入を防ぎつつ、人力あるいは作業機械の掘削によりケーソンを沈下させる工法 |
設置ケーソン工法 | ー | 陸上で鋼製の箱(ケーソン)を製作し、海底に沈めたあと、内部にコンクリートを打設する工法 |
鋼管矢板基礎工法 | ー | P-P型継手の鋼管矢板を円形・矩形・小判形などの井筒形状につくり、支持層まで到達させて設置する工法 |
多柱基礎工法 | ー | 主に潮流の速い場所(海の中)などで有利な工法 |
地中連続壁基礎工法 | ー | 場所打ち杭を連続して壁状に施工する工法 |
以上です。
参考になればうれしいです。
ありがとうございました。