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打込み杭と埋込み杭の違いとは?既製杭工法の種類や特徴をチェック

既製杭工法(種類&特徴)

基礎工のうち、杭基礎に分類される【既製杭工法】

だけど【既製杭工法】と一言でいっても、実はたくさんの工法があります。

 

そんなわけで今回は、その【既製杭工法】の種類や特徴についてまとめました。

打込み杭工法と埋込み杭工法の違いや、プレボーリング工法と中堀工法の違いなども要チェックです。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次から 😉

 

打込み杭と埋込み杭の違いとは?既製杭工法の種類や特徴をチェック

既製杭工法の種類はこんな感じです。

既製杭工法フローチャート(打込み杭工法と埋込み杭の違いと分類)

 

既製杭工法 打ち込み杭工法 打撃工法(ドロップハンマ・ディーゼルハンマ)

振動工法(バイブロハンマ・油圧ハンマ)

圧入工法(打込み式)

埋め込み杭工法 プレローディング工法

中堀り杭工法

ジェット工法

鋼管ソイルセメント工法

回転杭工法

圧入工法(埋込み式)

打ち込み杭と埋め込み杭の2つに分けられ、上記の表のようにいくつかの工法に分類されます。

違いとしては、打ち込み杭は主にハンマなどの打撃で杭を挿入し、埋め込み杭はさまざまな方法で掘削した後、杭を埋め込みます。

一方で、基礎工法としては、ケーソン基礎工法場所打ち杭工法についても併せてチェックしておいてください。

 

そして既製杭の種類や特徴は、

既製杭の種類

  1. 鋼管
  2. H鋼
  3. 鉄筋(RC)
  4. ピアノ線(PC・PHC)
  5. 合成杭

などが挙げられます。

 

また、支持地盤によって杭を分類すると、

  1. 支持杭
  2. 摩擦杭
  3. 群杭
  4. 斜杭

などの種類がありますよ 🙂

 

それでは既製杭工法をそれぞれみていきましょう

打込み杭工法

まずは打ち込み杭工法です。

打込み工法

  1. 打撃工法(ドロップハンマ・ディーゼルハンマ)
  2. 振動工法(バイブロハンマ・油圧ハンマ)
  3. 圧入工法(打込み式)

打撃工法(ドロップハンマ・ディーゼルハンマ)

ドロップハンマ工法

ドロップハンマ工法は、打撃により杭を打ち込む工法です。

打ち込みに使用するハンマの重量は、杭重量以上あるいは杭1mあたりの重量の10倍以上がのぞましいとされています。

またハンマ落下高さは2m以内で施工するのが一般的です。

 

 

ディーゼルハンマ工法

いっぽうディーゼルハンマ工法は、上下するラムの落下部分によって空気が圧縮され、燃料の噴射によって爆発させて打ち込む工法です。

地盤が固く抵抗が大きいと爆発力が増大し作業効率が上がります。

反対に地盤がやわらかいと爆発できないため、自由落下が必要になります。

 

振動工法(バイブロハンマ・油圧ハンマ)

バイブロハンマ工法

バイブロハンマ工法は、上下動の振動をあたえ、杭周辺の摩擦を低下させます。

そして杭とハンマの重量と上下加速度によって打ち込む工法です。

 

油圧ハンマは構造自体が防音構造であるとともに、ラムの落下高を調整できることから、杭打ち時の騒音を小さくすることができます。

油圧ハンマ工法

また、油煙の飛散もないため、低公害型ハンマとして使用頻度が高いです。

しかし、かたい杭に向かって数トンの重りを打ち付けるというスタイルのため、どう抑えても騒音や振動をゼロにはできません。

 

それぞれのハンマ工法を比較するとこんな感じ 🙂

ハンマ種類 メリット デメリット 適応性
ドロップハンマ工法 設備がかんたん

落下高さを自由に調整

故障が少なく工費が安い

頭部を損傷しやすい

打ち込める長さに制限あり

偏心しやすい

打ち込み速度がおそい

船打ちには危険が多い

あまり土質をえらばない

比較的断面が小さいとき

少しずつ加減をみながら打ち込みたいとき

ディーゼルハンマ工法 機動性に富む

大きな打撃力が期待できる

能率がよい

燃料費が安い

重量があるため設備が大きい

軟弱地盤では能率が低い

打撃音が大きい

油の飛散をともなう

かたい地盤に最適

どんな土質にもよい

バイブロハンマ工法 正確な位置方向に打ち込める

比較的騒音が少ない

頭部の損傷が少ない

打ち込み、引き抜きに兼用できる

大容量の電力が必要

土質変化の順応性が低い

軟弱地盤に最適

引き抜きに使用可能

油圧ハンマ工法 パワーがある

落下高さを自由に調整

比較的騒音が少ない(防音カバー)

油煙の飛散なし

重量があるため設備が大きい 砂・レキ・粘土

低公害型

 

 

圧入工法(打ち込み)

圧入工法は圧入機械の重量を反力として、油圧ジャッキや多滑車などを使った静荷重によって、既製杭を地中に押し込んで設置する工法です。

載荷試験をおこないながら杭を設置しているので、支持力確認ができるという特徴があります。

 

埋込み杭工法

つづいて埋込み杭工法の種類はこちら 🙂

埋込み工法

  1. プレボーリング工法
  2. 中堀り杭工法
  3. ジェット工法
  4. 鋼管ソイルセメント工法
  5. 回転杭工法
  6. 圧入工法(埋込み式)

 

プレボーリング工法

プレボーリング工法

プレボーリング杭工法は、地盤を掘削して根固め液と杭周固定液を注入したあと、工場製作によるRC杭、PHC杭、SC杭などを沈設する工法です。

しかしこのプレボーリング工法を採用するには、掘削孔壁と杭体周面とのスキマを確実に充てんできる場合に限られます。

また掘削孔がくずれると高止まりなどの原因になるため、十分注意が必要です。

オーガとは、回転式ボーリング用具の一種だよ

 

中堀り杭工法

中堀り杭工法

中堀り杭工法は、杭の内部にスパイラルオーガなどを通して掘削すると同時に先端解放の杭を沈設していき、所定の深さまで圧入あるいは軽打により貫入させたあと、先端処理を行う工法です。

所定の支持力が得られるように、先端処理をおこないます。

掘削にはオーガやバケットが使われるのが一般的です。

 

 

ジェット工法

ジェット工法は、杭先端の地盤をゆるめながら、杭の自重を利用して貫入させる方法です。

コンクリート杭の内部空間または肉厚部にジェットパイプ装置を設置し、先端ノズルから高圧水を噴射するしくみとなっています。

主に砂地盤で利用されます。

 

 

鋼管ソイルセメント杭工法

鋼管ソイルセメント杭工法

鋼管ソイルセメント工法の流れはこんな感じです。

  1. 原地盤を掘削攪拌ヘッドで掘削しながらセメントミルクを注入
  2. 攪拌混合してつくった固体化内に、突起付き鋼管を沈設する
  3. セメントミルクと鋼管を一体化させる

 

 

回転杭工法

回転杭工法は、先端に羽根がついている鋼管杭に回転力をあたえて地盤に貫入させる方法です。

先端部の羽根外形は杭径(鋼管杭)の1.5~2.0倍

そして杭先端の一部が開いている開口タイプと閉じている閉口タイプの2種類があります。

 

圧入工法(埋込み)

圧入工法(埋込み)は、地盤を削孔して既製杭を設置する工法です。

余分な排土や泥水が発生するというデメリットがあります。

しかし他の設置方法とくらべると、周辺環境におよぼす振動や騒音が小さく、地盤は乱れず汚泥が少ないのがメリットです。

圧入工法には打ち込み式と埋め込み式の2つがあるよ

プレボーリング工法と中堀杭工法の違い

プレボーリング工法 中堀杭工法
プレボーリング工法 中堀り杭工法
プレボーリング杭工法は、地盤を掘削して根固め液と杭周固定液を注入したあと、工場製作によるRC杭、PHC杭、SC杭などを沈設する工法

しかしこのプレボーリング工法を採用するには、掘削孔壁と杭体周面とのスキマを確実に充てんできる場合に限られる。

また掘削孔がくずれると高止まりなどの原因になるため、十分注意が必要。

中堀り杭工法は、杭の内部にスパイラルオーガなどを通して掘削すると同時に先端解放の杭を沈設していき、所定の深さまで圧入あるいは軽打により貫入させたあと、先端処理を行う工法

所定の支持力が得られるように、先端処理を行う。

掘削にはオーガやバケットが使われるのが一般的。

プレボーリング工法はオーガなどで掘削した後、杭を挿入します。

一方で、中堀杭工法は、オーガなどで掘削すると同時に先端解放の杭も埋め込んでいくという違いがあります。

 

打込み杭と埋込み杭の違いとは?既製杭工法の種類や特徴をチェックまとめ

既製杭工法の種類 工法 概要
打込み工法 打撃工法

  1. ドロップハンマ
  2. ディーゼルハンマ
ドロップハンマ工法

・打ち込みに使用するハンマの重量は、杭重量以上あるいは杭1mあたりの重量の10倍以上がのぞましい

・ハンマ落下高さは2m以内で施工

ディーゼルハンマ工法

・上下するラムの落下部分によって空気が圧縮され、燃料の噴射によって爆発させて打ち込む。

・地盤が固く抵抗が大きいと爆発力が増大し作業効率がUP

振動工法

  1. バイブロハンマ
  2. 油圧ハンマ
バイブロハンマ工法

・上下動の振動をあたえ、杭周辺の摩擦を低下させる

・杭とハンマの重量と上下加速度によって打ち込む

油圧ハンマ工法

・ラムの落下高を調整できる

・杭打ち時の騒音が小さい

・油煙の飛散なし(低公害型)

 

圧入工法(打込み式) 圧入機械の重量を反力として、油圧ジャッキや多滑車などを使った静荷重によって既製杭を地中に押し込んで設置する

載荷試験をおこないながら杭を設置するため、支持力確認ができる

埋込み工法 プレボーリング工法 地盤を掘削して根固め液と杭周固定液を注入したあと、工場製作によるRC杭、PHC杭、SC杭などを沈設する
中堀り杭工法 杭の内部にスパイラルオーガなどを通して掘削しながら、所定の深さまで圧入あるいは軽打により貫入させる
ジェット工法 杭先端の地盤をゆるめながら、杭の自重を利用して貫入させる
鋼管ソイルセメント工法 原地盤を掘削攪拌ヘッドで掘削しながらセメントミルクを注入し、攪拌混合してつくった固体化内に、突起付き鋼管を沈設する

セメントミルクと鋼管を一体化させる

回転杭工法 先端に羽根がついている鋼管杭に回転力をあたえて地盤に貫入させる
圧入工法(埋込み式) 地盤を削孔して既製杭を設置する

余分な排土や泥水が発生

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員(土木)の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(土木学士)
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間働いた経験をもつ(設計や施工管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報発信をしています。

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