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ネットワーク工程表の解き方!トータルフロートやクリティカルパスの求め方をチェック

ネットワーク工程表
ネットワーク工程表の解き方ってどうすればいいの?
トータルフロートやクリティカルパスってどうやって求めるんだっけ?

こんなお悩みを解決します。

 

ネットワーク工程表は土木施工管理技士の試験でもよく出る問題です。

だけどネットワーク工程表の解き方(クリティカルパスやトータルフロートの求め方)は、ことばの意味や定義を覚えればこわくありません!

あなたもサクサク問題が解けるようになりますよ♪

ネットワーク工程表の解き方や、ポイントを分かりやすくまとめましたので参考にしてください。

それではさっそくまいりましょう、ラインナップは目次で確認してください。

 

ネットワーク工程表の解き方!トータルフロートやクリティカルパスなど

まずはじめに、記号の説明やことばの定義は以下の表のとおりです。

確認してください。

アクティビティ(作業を表す) 作業の進捗。矢印線(→)で示し、作業の開始から終わりを表している。

作業の開始作業の終わり

アクティビティ(作業)の所要時間や作業名の表現方法

(例)

支保工組立て(作業名)

⓪→①

3日(所要時間)

イベント(結合点) 各作業の結合点のこと。

表し方:⓪→①

イベント番号は作業の流れる順に大きくなる。(作業はじめの番号<作業終わりの番号)

イベント番号は同じ番号が2つ以上あってはならない。

ダミー(擬似作業) ダミーとはアクティビティとはちがい所要時間0の擬似作業のこと

作業の相互関係を表すためにのみ使われる

ダミーは破線の矢印で表す‐‐‐‐>

記号やことばの定義をしっかりおぼえましょう!

 

ネットワーク工程表の解き方①最早開始日(時刻)

最早開始日とは、ある作業が終わり次第、もっとも早く着手できる日数のこと。

ただし先行する作業が複数ある場合は、そのうちのもっとも時間のかかる作業が終わらないことには次の作業に入れないことがポイントです。

最早開始日(ネットワーク工程表)

各結合点における最早開始時刻は、作業開始から所要時間を足し算していきます。

そして結合点に複数の先行作業(矢印線→)が入っている場合は、数値の最大値をとりましょう。(=時間のかかる作業の数字を使う)

 

ネットワーク工程表の解き方②最遅完了日(時刻)

最遅完了日とは、各結合点において完了する作業が、全体の予定工期を遅らせないように終わらせておかなければならない日数のこと。

つまり、各結合点における最遅完了時刻を求めるには、最終結合点(=工事全体の終了時刻)を起点として前にもどりながら、それぞれの作業時間を引き算していきます。

ただし、各結合点から複数の作業(矢印線→)が出ている場合には、最早開始時刻の求め方とは逆に、その数値の最小値をとることがポイントです。

ネットワーク工程表2

 

ネットワーク工程表の解き方③トータルフロートの求め方

トータルフロートとは、ある一つの作業内で生じる最大の余裕日数のことです。

言い換えれば、最早開始時刻(日)と最遅完了時刻のあいだに生じる余裕時間のこととも言えますね。

このことから、トータルフロートは別名「全余裕時間」とも言われます。

トータルフロート

 

ポイント

  1. トータルフロート(T.F)=0のアクティビティを結んだ経路をクリティカルパスという
  2. トータルフロート(T.F)=0ならば、他のフロートも0である
  3. トータルフロート(T.F)は、そのアクティビティのみのフロートではなく、前後のアクティビティに関連がある

 

ネットワーク工程表の解き方④フリーフロートの求め方

フリーフロートは別名「自由余裕時間」

ある一つの作業を最早開始時刻で始めて完了させたあと、次の作業を最早開始時刻で始めるまでに存在する余裕時間のことです。

つまりぜんぶ使っても、次につづく作業と全体工期には何ら影響をおよぼさないで自由に使える日数(時間)のことを指します。

フリーフロート

 

ポイント

  1. フリーフロート(F.F)は必ずトータルフロート(T.F)より小さいまたは等しい F.F≦T.F
  2. クリティカルパス上のアクティビティのフリーフロート(F.F)はトータルフロート(T.F)に等しい F.F=T.F
  3. フリーフロート(F.F)は、ぜんぶ使っても次につづくアクティビティに影響を及ぼさない。(最早開始時刻で開始できる)

 

ネットワーク工程表の解き方⑤クリティカルパスの特徴と求め方

ネットワーク工程表

クリティカルパスは、開始点から終了点までのすべての経路のなかで、1番日数がかかる経路のことです。

また、トータルフロートが0(ゼロ)のアクティビティの経路でもあります。

さらにクリティカルパスは1本とは限りません。

いっぽうでクリティカルパス以外のアクティビティでも、フロートを消化してしまうとクリティカルパスになる可能性も。

クリティカルパスでなくともフロートのとても小さいものは、クリティカルパスとして重点管理する必要があります。

 

ネットワーク工程表の解き方!例題を解いてみよう

それではここでネットワーク工程表の問題をやってみましょう★

例題)下図のネットワーク工程表に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。

(平成28年 1級土木施工管理技士学科問題B No. 13)

ネットワーク工程表

 

  1. クリティカルパスは、⓪→①→②→④→⑤→⑨である。
  2. 作業Kの最早開始日は、工事開始後19日である。
  3. ①→⑥→⑦→⑧の作業余裕日数は4日である。
  4. 工事開始から工事完了までの必要日数(工期)は27日である。
まずはすべてのルートの日数を計算してみてください!

解答・解説をみる(クリック)

〈解答〉

1.クリティカルパスは、⓪→①→②→④→⑤→⑨である。⇒×

クリティカルパスは1番日数がかかるもの。

したがって、それぞれのルートを計算してみると、

⓪→①→②→④→⑤→⑨=27日(5+5+6+5+6)

⓪→①→②→④→⑤→⑧→⑨=25日(5+5+6+5+4)

⓪→①→②→③→⑤→⑨=29日(5+5+7+6+6)

⓪→①→②→③→⑤→⑧→⑨=27日(5+5+7+6+4)

⓪→①→⑥→⑦→⑧→⑨=23日(5+2+5+7+4)

したがって、クリティカルパスは⓪→①→②→③→⑤→⑨となる。

2.作業Kの最早開始日は、工事開始後19日である。⇒×

作業が複数あるときは、最早開始日は1番作業日数がかかるものであるから、

⑧(K)までのルートを計算してみると

⓪→①→②→④→⑤→⑧=23日

⓪→①→②→③→⑤→⑧=21日

⓪→①→⑥→⑦→⑧=19日

したがって、最早開始日は23日である。

最早開始日は、1番作業日数がかかるものであることがポイントです。

3.①→⑥→⑦→⑧の作業余裕日数は4日である。⇒〇

①から⑧にいくルートは3つ

⓪→①→②→④→⑤→⑧=23日

⓪→①→②→③→⑤→⑧=21日

⓪→①→⑥→⑦→⑧=19日

したがって、23日-19日=4日(作業余裕日数)

4.工事開始から工事完了までの必要日数(工期)は27日である。⇒×

必要日数はクリティカルパス(もっとも時間のかかるもの)と同じになるため、

⓪→①→②→③→⑤→⑨=29日(5+5+7+6+6)となる。

(他のルート)

⓪→①→②→④→⑤→⑨=27日(5+5+6+5+6)

⓪→①→②→④→⑤→⑧→⑨=25日(5+5+6+5+4)

⓪→①→②→③→⑤→⑨=29日(5+5+7+6+6)

⓪→①→②→③→⑤→⑧→⑨=27日(5+5+7+6+4)

⓪→①→⑥→⑦→⑧→⑨=23日(5+2+5+7+4)

解けましたか?ひとつひとつルートを確認していきましょう。

一方で、ネットワーク工程表の問題を集めた記事もありますので、ぜひやってみてください。

ネットワーク工程表の問題&解答(解説)ぜひチャレンジ!

 

ネットワーク工程表・手法の利点と欠点

また、ネットワーク工程表の利点と欠点はこちらです。

ネットワーク工程表(手法)
利点(メリット) 欠点(デメリット)
  1. 作業の順序と全体像がわかる
  2. ネックとなる作業が明らかになるので、重点管理が可能になる
  3. 作業順序がハッキリするので、具体的な情報伝達ができる
  4. 工事途中での天候や段取り替えなどで、当初計画を変更せざるを得ない場合に速やかに対処できる
  5. 複雑な仕事でも短時間に工程計画が立てられる
  1. ネットワークを構成する各作業の歩掛りなどが正しくないと、全体の精度が悪くなる
  2. 横線式工程表にくらべて、工程表の作成に費用と労力を要する
  3. 横線式工程表にくらべて、より多くのデータを必要とする

ネットワーク工程表の作成には費用と労力がかかりますが、作業順序や全体把握にはとてもすぐれた工程表です。

作業の種類や工程の数によって、ネットワーク工程表が必要かどうかよく確認してください。

 

いっぽう、土木工事でよく使う、工程表の種類については以下の記事でまとめています。

土木工事でよく使う!工程表の種類まとめ★特徴や作業比較一覧表付き

興味のある方はぜひご覧くださいね。

 

ネットワーク工程表解き方!トータルフロートやクリティカルパスの求め方まとめ

ネットワーク工程表解き方まとめ

クリティカルパスは1番日数がかかるルートのこと(クリティカルパスは1本とは限らない)

最早開始日:ある作業が終わり次第、もっとも早く着手できる日数のこと。(作業が複数ある場合は、作業の最大値をとる)

最遅完了日:各結合点において完了する作業が、全体の予定工期を遅らせないように終わらせておかなければならない日数(作業が複数ある場合は、作業の最小値をとる)

トータルフロート(作業①→②)=②最遅完了日ー①最早開始日ー所要日数

フリーフロート(作業①→②)=②最早開始日ー①最早開始日ー所要日数

ことばの意味や定義をしっかりおぼえましょう!

動画でもぜひどうぞ!

 

今回は以上です。

参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

この記事を書いている人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学の土木工学科卒業
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、危険物取扱者乙4、玉掛などの資格もち
  • 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報発信をしています。

 

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