私たちが安全においしい水を飲むためには、浄水施設にてさまざまな処理が行われています。
そして水道における浄水処理は、①固液分離プロセス、②個別処理プロセス、③消毒プロセスの3つが組み合わされており、今回は②個別処理(高度処理)プロセスと③消毒プロセスを解説します。
①固液分離プロセスについては以下の記事をご覧ください。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 😀
水道水の処理方法や種類!浄水方法や水道水になるまでの仕組み
より安全な水道水を供給するため、日本の浄水処理場では個別(高度)処理プロセスを取り入れる水道事業団体が増えていると言われています。
上水道における処理の種類はこんな感じ 🙂
水道水の処理方法
- 生物処理
- オゾン処理
- 活性炭処理
- ばっ気処理
水道水処理方法➀生物処理
ハチの巣型である「ハニコームチューブ」に付着した微生物の働きにより、水中の溶存物を分解したり、酸化したりする処理方法です。
とくにアンモニア性窒素は大幅に減らすことができます。
水道水処理方法②オゾン処理
オゾンは空気中の酸素からつくった気体で、強い殺菌力をもっています。
そのため水中の「カビ臭」などを分解することができ、水中のマンガンの酸化や水の消毒もできるのです。
また粒状活性炭処理と組み合わせると、カビ臭はほぼ完全に取り除くことができ、①トリハロメタンおよびその②前駆物質も大幅に低減されます。
さらに寄生原虫の③クリプトスポリジウム(耐塩素性病原微生物)に対しても効果があります。
ただしオゾンには残留性がないために、塩素消毒との併用が必要です。
用語 | 解説 |
①トリハロメタン | メタンの4つの水素のうち、3つがハロゲンである塩素(Cl–)、臭素(Br–)などに置換された化合物
発がん性のおそれがある |
②前駆物質 | 化学反応において目的とする生成物の前段階にある一連の物質のこと |
③クリプトスポリジウム(耐塩素性病原微生物) | クリプトスポリジウムとは耐塩素性病原微生物のこと
水道水の原料となる河川水などがクリプトスポリジウムで汚染された場合でも、ろ過施設を用いた適切な浄水処理を行い、濁りを取り除くことで除去が可能 |
とくにトリハロメタンの低減のためには、前塩素処理よりも、沈殿池とろ過池との間で塩素剤を注入する中間塩素処理のほうが良いと知られていますよ 🙂
水道水処理方法③活性炭処理
活性炭処理とは、粉末または粒状の活性炭と水を接触させ、異臭味、色度、陰イオン界面活性剤、フェノール、残留塩素、トリハロメタンおよびその前駆物質などを除去する方法です。
活性炭処理とオゾン処理を組み込んだ高度処理システムなどがあります。
ちなみに河川から取り入れる取水施設についてはまた別記事でまとめていますので併せてチェックしておくと良いでしょう。
【オゾン処理と活性炭処理を組み込んだ高度処理システム】
さらにくわしく上水道と下水道の仕組みについて知りたい方は、また別記事でまとめていますので併せてご確認ください。
水道水処理方法④ばっ気処理
ばっ気処理は、水に空気を吹き込むことで、水中の溶存物質などを酸化させる方法です。
一例としては、【凝集剤添加活性汚泥法】などがあり、活性汚泥に空気を送り込みながらかき混ぜ(エアレーション)、好気性微生物の働きによって汚れを分解し、さらに凝集剤を加えて化学的にリンを取り除くことができます。
水道水の処理方法!消毒プロセス
消毒の定義とは【病原微生物と考えられるものの感染力をなくすこと】
水道の処理では「塩素消毒」がこれに該当します。
塩素消毒は水道において用いられる最も一般的な消毒方法で、水道法でも給水栓で保持するべき残留塩素量は0.1mg/ℓ確保することが定められています。
水道水の処理方法や種類!浄水方法や水道水になるまでの仕組みまとめ
水道水の処理・浄水方法
- 生物処理
- オゾン処理
- 活性炭処理
- ばっ気処理
水道水の消毒処理は【塩素消毒】が主流!
以上です。
安全に水道水を飲むために、浄水場ではさまざまな工夫や処理が行われています。
キレイでおいしい水に感謝ですね!
ありがとうございました 🙂
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻(水道・ダム・道路・河川・砂防の管理・工事経験あり)
- 国立大学★土木工学科卒業
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間はたらいた経験を持つ(計画、設計、施工管理、維持管理)
- 水道事務所の勤務経験あり
- 1級土木施工管理技士、危険物取扱者乙4、玉掛などの資格もち
- 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報発信をしています。