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浄水場のろ過方式について!浄水方法の種類やメリット・デメリット

浄水場(ろ過方式の種類)

今回のテーマは【浄水場のろ過方式】

私たちが普段飲んでいる水は、浄水場でキレイにされます。

その水を「キレイ」にする過程には、”ろ過”が行われますが、いくつか種類があるのでご紹介します。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次から確認してください。

 

浄水場のろ過方式について!浄水方法の種類やメリット・デメリット

まず簡単に、【浄水(じょうすい)】について!

浄水とは、原料である”原水”を水道用に使用できるような水質に加工することです。

一般的には”原水”とは河川などを流れる自然な水のことを指しています。

水道における浄水処理は、①固液分離プロセス、②個別処理プロセス、③消毒プロセスの3つが組み合わされており、今回のテーマである【ろ過方式】は①固液分離プロセスに該当します。

②個別処理プロセス、③消毒プロセスについては水道処理方法の記事をご覧ください。

この固液分離プロセス部分での主な作業は以下のとおり。

固液分離プロセス

  1. 選ぶ(選択取水)
  2. 沈める(沈殿)
  3. 浮かす(浮上分離)
  4. 濾す(こす)〈スクリーニング、ストレーナ、砂ろ過、膜〉

原水が清浄な場合は固液分離プロセスを省略することもあります。(無処理※消毒のみ)

 

はい!

それでは本題に入っていきましょう。

浄水場におけるろ過方式の種類は主に3種類です。

浄水場のろ過方式

  1. 緩速ろ過方式
  2. 急速ろ過方式
  3. 膜ろ過法
それぞれ確認していくよー★

緩速ろ過方式

緩速ろ過方式

【緩速ろ過方式】

緩速ろ過方式は、原水の水質が良好で濁度も低く安定している場合に採用されます。

比較的こまかな砂層を4~5m/日のゆっくりとした速度で水を通し、砂層表面と砂層に増殖した微生物群によって水中の浮遊物質や溶解物質をつかまえて、酸化分解させるものです。

原水中の懸濁物質、細菌、アンモニア性窒素、臭気、鉄、マンガン、陰イオン界面活性剤、フェノール類などを浄化する能力をもっています。

 

一方で、この方式は維持管理に高度な技術を必要としませんが、広い面積と砂面の削り取り作業(労力)が必要です。

また面積に制約があったり、緩速ろ過方式では対応できないような水質の場合は、この緩速ろ過方式は採用できません。

浄水場イメージ

 

急速ろ過方式

急速ろ過方式

【急速ろ過方式】

急速ろ過方式では、緩速ろ過池よりも粗いろ過砂を使い、ろ過速度はおおむね120~150m/日で、速い所では200m/日以上の場合もあります。

緩速ろ過に比べ、25倍かそれ以上の速さでろ過し、さらにせまいろ過面積で大量の水を処理することができます。

 

急速ろ過法では、原水に凝集剤と必要に応じて助剤を投入し、これをなるべく急速に、全体的に攪拌(混ぜ合わせる)していきます。

凝集剤は、水中の微細な固体状の不純物をからめとるようにして集め、「フロック」と呼ばれる塊を形成します。

フロックは大きくなると沈みやすくなり、これを沈殿池に導いて落とし沈めます。

そして最後に、砂ろ過池でろ過して残ったフロックを取り除く方法です。

急速ろ過方式は、前処理の良否がとても重要で、凝集剤の注入などに細心の注意が必要と言えるでしょう。

急速ろ過方式
メリット デメリット
少ない敷地面積で多量の水を短時間で効率的に浄水処理できる 臭気・合成洗剤・農薬・藻類などの除去能力がよわく、それらの影響が水道水に残りやすい

上水道と下水道のしくみ&ちがいについても併せてチェックしてみてください。

 

膜ろ過法

膜ろ過法

膜ろ過法は、有機もしくは無機の多孔質のフィルターに原水を通すことで、ふるい分けの要領で懸濁物質の除去を行う処理です。(上記、図解参照)

原水の水質を選び、コストがかかりますが、自動化が前提で処理水質は安定しています。

ただし膜ろ過方式は、懸濁物質を物理的に除去するものであり、膜ろ過では除去しにくい溶解性有機物、異臭味、マンガンを除去するためには後処理が必要です。

 

浄水場のろ過方式について!浄水方法の種類やメリット・デメリットまとめ

緩速ろ過方式

原水の水質が良好で濁度も低く安定している場合に採用

維持管理に高度な技術を必要としない

広い面積と砂面の削り取り作業(労力)が必要

緩速ろ過方式
急速ろ過方式

凝集剤などでフロックを形成し不純物を除去する方法

少ない敷地面積で多量の水を短時間で効率的に浄水処理できる

臭気・合成洗剤・農薬・藻類などの除去能力がよわく、それらの影響が水道水に残りやすい

急速ろ過方式
膜ろ過法

有機もしくは無機の多孔質のフィルターに原水を通すことで、ふるい分けの要領で懸濁物質の除去を行う処理

原水の水質を選びコストがかかるが自動化が前提で処理水質は安定している

膜ろ過では除去しにくい溶解性有機物、異臭味、マンガンを除去するためには後処理が必要

膜ろ過法

 

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員(土木)の土木ブロガー💻(水道・ダム・道路・河川・砂防の管理・工事経験あり)
  • 国立大学★土木工学科卒業
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間はたらいた経験をもつ(計画、設計、施工管理、維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報発信をしています。

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