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水道管の種類一覧と特徴!水道配管の基本やステンレスのデメリット

水道管の種類

今回のテーマは【水道管の種類一覧】

水道事務所で勤務経験のある私が、水道管(水道配管)の種類や特徴・デメリットなどについて解説していきます。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ!

 

水道管の種類一覧と特徴!水道配管の基本やステンレスのデメリット

水道管

水道管で使われる種類は以下のとおり!

水道管の種類一覧

  1. ダクタイル鋳鉄管
  2. 硬質塩化ビニル管(VP管、VU管、HIVP管、HTVP管)
  3. 水道配水用ポリエチレン管
  4. 鋼管(鉄管)・ステンレス鋼管
  5. 銅管
  6. エルメックス管
それぞれの特徴をくわしく見ていきましょう!

ダクタイル鋳鉄管

鋳鉄管とは鉄(Fe)と炭素(C)の合金で、鋳型で鋳造することから比較的かんたんにつくれ、

  • 強度
  • 耐久力
  • 防食性
  • 施工性(切断・孔)

などが高いため、日本の水道が創設されて以来、約90年に渡り使用されてきました。

そしてその後、鋳鉄管は改良を重ねられ、昭和30年代には鋳鉄管より強度が高く、延性に優れたダクタイル鋳鉄管が誕生しました。

ダクタイルとは、「延性のある、強靭な」という意味で、鋳鉄管は延性がほとんどないのに対し、ダクタイル鋳鉄管は10%以上の延性があることと、約3.4倍ほどの引張強度があるのが特徴です。

水道事務所(浄水場)から市や町などに、水を供給する管径が大きいものに使用されています。

 

硬質塩化ビニル管(VP管、VU管、HIVP管、HTVP管)

硬質塩化ビニル管には、VP管、VU管、HIVP管、HTVP管などの種類があります。

特徴は以下のとおりです。

硬質塩化ビニル管 特徴
VP管 薬液圧送用や給水圧送用、 集合住宅の排水・通気配管に使用される厚肉塩ビ管

排水用途としてはVUより撓みにくい特性を活かし浅埋設、深埋設に使用することもある

VU管 排水用や通気用に使用される薄肉塩ビ管

大きな外圧や水圧のかからないところに使用は限定される

内面は平滑なため摩擦抵抗が少なく、スケールの付着もないため、多くの流量を効率よく確保できる

HIVP管 従来のVP管よりも衝撃に対する性能を大幅に強化した管

外気温が低い時に割れやすいVP管の性質を改善

冬期など寒い時期での不測の衝撃(地震など)による管の破損を最小限に抑える効果が期待できる

HTVP管 HT管(HTVP管)は、耐熱性を向上させた塩ビ管

給湯配管、冷・暖房管、温泉配管などの用途に採用されている

HT管は熱伝導率が非常に小さい特徴があり、配管内部の流体の保温性に優れ、さらに金属管とは異なり、錆びや腐食による水質悪化や電食、漏電事故などの心配もない

 

水道配水用ポリエチレン管

日本でポリエチレン管が使用されるようになったのは、1953年頃と言われています。

給水管として広く使用されてきましたが、ポリエチレン管による亀裂や剥離の事故が多発するなどしたことから、現在ではあまり採用されなくなりました。

 

鋼管・ステンレス鋼管

鋼管の特徴は、素材である鋼が高強度で延性に富んでいることで、とくに引張強度や延性が著しく大きく、伸びはダクタイル鋳鉄管の数倍です。

このため大きな内外圧に耐え、不同沈下や地震時の応力集中に対しても、変形することで力を分散させることができます。

さらにこの特性から、管厚を薄くすることが可能で、軽量化することもできます。

また、防食性には課題があり、管の内外面には必ず防食を施す必要があるというのがデメリットと言えるでしょう。

塗装にはエポキシ樹脂塗料のほか、ポリウレタン被覆やポリエチレン被覆などが主流となっており、さらに確実に腐食を防止するために電気防食を併用することもあります。

一方、ステンレス鋼管は、鋼管製の水道橋が定期的に外面塗装を塗り替える必要があることや、小口径の鋼管では内面塗装がむずかしいことなどの課題を解決するためにつくられた管です。

しかしステンレス鋼管は初期費用が高いことがデメリットとして挙げられます。

銅管

銅管の特徴は、熱に強い性質をもっていること。

水道管として利用されていることもありますが、主に給湯管として使用されていることが多いです。

ただ、接続する際はハンダ付けが必要になるので、施工に手間がかかるのがデメリットと言われています。

 

エルメックス管

エルメックス管は幅広い温度領域の中で使用できるため、熱にも強く、寒さにも強いのが特徴です。

万が一、凍結したとしても割れにくい性質を持っているので、水道管が破裂したり、水が出にくくなったりなどのトラブルを避けることができます。

さらに、塩素水に対する耐久性も強いのが特徴です。

パイプも酸化しにくいため、安心して水を利用できるのはメリットだと言えますね。

そして水漏れしにくいことも嬉しい特徴です。

エルメックス管には、パイプと継ぐ手を接続する際に特別な工法が用いられるため、水漏れしにくくなります。

比較的新しいタイプで実績はまだ少ないですが、これからどんどん普及していく可能性が高いと言えるでしょう。

 

水道管の種類一覧と特徴!水道配管の基本やステンレスのデメリットまとめ

水道管工事

水道管の特徴を種類ごとに一覧表にまとめました。

一方、水道水の処理方法についても併せてチェックしておくとよいでしょう。

それぞれのメリットとデメリットを確認し、使用する水道管を選定しましょう。

水道の種類 メリット デメリット
ダクタイル鋳鉄管 強度が大きく耐久性あり

強靭性に富み、衝撃につよい

継手に伸縮でき管が地盤の変動に追従できる

施工性が良い

継手の種類が豊富

重量が比較的重い

継手の種類によっては、異形管防護が必要

内外の防食面に損傷を受けると腐食しやすい

硬質塩化ビニル管 VP管 排水用途としてはVUより撓みにくい特性を活かし浅埋設、深埋設に使用できる 低温時において耐衝撃性が低下する
VU管 内面は平滑なため摩擦抵抗が少なく、スケールの付着もないため、多くの流量を効率よく確保できる 大きな外圧や水圧のかからないところに使用は限定される
HIVP管 従来のVP管よりも衝撃に対する性能を大幅に強化した管

外気温が低い時に割れやすいVP管の性質を改善

特有の有機溶剤および熱、紫外線などに弱い

表面に傷がつくと強度が低下する

HTVP管 HT管は熱伝導率が非常に小さい

配管内部の流体の保温性に優れ、さらに金属管とは異なり、錆びや腐食による水質悪化や電食、漏電事故などの心配もない

表面に傷がつくと強度が低下する

配管コストが増加

水道配水用ポリエチレン管 耐食性に優れる

重量が軽く施工性がよい

加工性がよい

内面粗度が変化しない

融着継手により一体化でき、管路が地盤の変動に追従できる

熱、紫外線に弱い

有機溶剤による浸透に注意が必要

融着継手では、雨天時や湧水地盤での施工がむずかしい

融着継手は、コントローラや特殊な工具を必要とする

鋼管 強度が大きく耐久性がある

強靭性に富み、衝撃につよい

加工性が良い

ライニングの種類が豊富

溶接継手により一体化でき、地盤の変動には長大なラインとして追従できる

溶接継手は熟練工や特殊な工具を必要とする

電食に対する配慮が必要

内外の防食面に損傷を受けると腐敗しやすい

ステンレス鋼管 強度が大きく耐久性がある

耐食性に優れている

強靭性に富み、衝撃に強い

ライニング、塗装を必要としない

溶接継手に時間がかかる

異種金属との絶縁処理を必要とする

初期費用がかかる

銅管 熱に強い性質をもっている 接続する際はハンダ付けが必要になる

配管コストが増加

エルメックス管 熱にも強く、寒さにも強い

塩素水に対する耐久性も強い

パイプも酸化しにくい

水漏れしにくい

接続する際はハンダ付けが必要になる

配管コストが増加

 

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学の土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 水道事務所の勤務経験あり
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報発信中!

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