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超音波法とは?コンクリート強度やひび割れ深さ・調査方法まるっと解説

超音波法(特徴×調査方法×注意点)

この記事の内容は【コンクリート調査による超音波法】についてです。

超音波法の特徴や調査方法、注意点などをまとめましたので参考にしてください。

それではさっそく参りましょう 😎

 

超音波法とは?コンクリート強度やひび割れ深さ・調査方法まるっと解説

コンクリートひび割れ

超音波法とは、コンクリート表面に発振子を設置し、内部に弾性波を発生させて、もうひとつの受振子で弾性波を測定する方法です。

弾性波の到達時間、波形、周波数、位相などの変化から、コンクリートの欠陥やひび割れを検出できます。

周波数は20kHz以上の超音波域が使用されます

 

また超音波法は、コンクリートの形状、寸法などにあまり制約がないため、コンクリート内部の測定に適しており、使用実績も多いです。

しかしコンクリート内に鉄筋があると、精度が下がってしまうという特徴があります。

一方で、超音波法以外のコンクリート非破壊検査についてはコンクリート構造物の非破壊検査【種類&一覧】をご覧ください。

 

超音波法の原理やコンクリート強度やひび割れ深さ調査方法

コンクリートにひび割れがある場合、ひび割れを挟んで超音波を伝播させます。

そうすると、超音波はひび割れの先端を迂回するため、健全部と比較して超音波の伝達時間が伸びるというわけです。

 

いっぽう、コンクリート内部にはく離などの欠陥が存在する場合、コンクリートの表面から超音波を発振させると、欠陥部で超音波が反射するため、健全部と比較して調音派の伝達時間が短くなります。

このように超音波法は、超音波の伝達時間の差やちがいによって、コンクリートのひび割れやはく離などの欠陥部を検出しています。

 

調査方法は以下のとおり 😀

超音波法の調査方法

  1. 弾性波伝達時間測定によるひび割れ深さの測定手順受・発振子を接触させる
  2. 伝達速度を測定し、測定精度を事前に確認する
  3. 対象とするひび割れをはさみ、コンクリート表面が平滑で他に欠陥がない箇所を選定
  4. センサとひび割れの間隔を設定し、コンクリート表面の付着物などを取り除き、センサ設置位置の表面を平滑にする
  5. センサ表面に接触剤を塗布し、コンクリート壁面と密着させる
  6. 測定器を作動し、伝達時間などを測定
  7. 複数回測定し、測定値を精査する

 

また、超音波法の種類は、主に以下の3種類です。

超音波法の種類

  1. Tⅽ-To法
  2. 近距離迂回波法
  3. 修正BS法

Tⅽ-To法

超音波法(tc-to法)

ひび割れのない健全部で、弾性波をあらかじめ求めてから、ひび割れ深さを求める方法です。

使われる計算式はこちら 🙂

超音波法(tc-to法)計算式

d=a√(tⅽ/to)²-1

 

d:ひび割れ深さ(mm)

a:ひび割れとセンサーとのキョリ(mm)

2a:両端触子間のキョリ(mm)

to:健全部の伝達時間(μs)

tⅽ:欠陥部の伝達時間(μs)

 

近距離迂回波法

超音波法(近距離迂回波法)

ひび割れのない健全部で、弾性波をあらかじめ求めてから、ひび割れ深さを求める方法です。

使われる計算式はこちら 🙂

超音波法(近距離迂回波法)計算式

d=V₀×t/2

 

d:ひび割れ深さ(mm)

V₀:測定物の音速(㎞/s)

t:往復伝達時間(μs)

 

修正BS(British Standard)法

超音波法(修正BS法)

振動子の間隔aを変化させることによって、伝達距離と弾性速度を未知数とした連立方程式を解くことにより、ひび割れ深さを求めることができます。

使われる計算式はこちら 🙂

超音波法(修正BS法)計算式

d=a√(4t₁²-t₂²)/(t₁²-t₂²)

 

d:ひび割れ深さ(mm)

a:ひび割れとセンサーとのキョリ(mm)

t₁:ひび割れとセンサーのキョリがaの場合の伝達時間(μs)

t₂:ひび割れとセンサーのキョリが2aの場合の伝達時間(μs)

 

 

超音波法でコンクリート調査をするときの注意点

超音波法での注意点による項目はこちら

超音波法での注意点

  1. コンクリート内部における鉄筋
  2. コンクリート表面および含水状態
  3. ひび割れや空げき形状
  4. 複数の欠陥
  5. ひび割れの充填物
  6. 弾性波の減衰
  7. 探触子間のキョリ
  8. 受信波の到達時間

コンクリート内部における鉄筋

ひび割れ深さがコンクリートの内部鉄筋よりも深く、鉄筋がひび割れ面を貫通している場合やひび割れがコンクリート内部で接触している場合、注意が必要です。

ひび割れ先端を回析した超音波パルスでなく、これらの短路を経由した音波パルスで測定し、実際のひび割れ深さよりも過小評価する可能性があります。

 

コンクリート表面および含水状態

コンクリート表面や含水状態などの影響により、コンクリートの超音波伝達速度の測定結果が変動する場合があります。

 

ひび割れや空げき形状

コンクリートのひび割れおよび内部欠陥は、その形状が複雑であり、評価がむずかしい場合があります。

評価がむずかしい例)

  1. ひとつのひび割れが内部で二股に分かれている場合
  2. 欠陥の形状が複雑なため、共振周波数が生じない場合

 

複数の欠陥

コンクリートと欠陥部(空気層)のあいだでは、そのエネルギーがほとんど反射されてしまいます。

そのため、その背後に欠陥があった場合、その欠陥を検知することは困難です。

 

ひび割れの充填物

ひび割れ幅が著しく小さいときやひび割れ内に水や遊離石灰などの充填物がある場合、ひび割れがあっても超音波が伝達してしまうことがあります。

 

弾性波の減衰

周波数の高い弾性波ほど、不均質性の影響で超音波エネルギーの減衰が大きくなるため、超音波法の場合には2~3mの伝達キョリが限界です。

また、探触子間キョリが大きい場合、超音波エネルギーの減衰で受振波の振幅が小さくなり、初頭波の立ち上がり時間を測定できない場合があります。

 

探触子間のキョリ

探触子間のキョリを探触子の中心とした場合と、探触子の前面である最短キョリとした場合とでは、超音波伝達速度の算定結果が異なるため、ひび割れ深さの測定結果に影響を与えます。

 

受信波の到達時間

受振した超音波の立ち上がり時間は、その判定方法により測定結果が異なります。

また、探触子間隔がひび割れ深さの約2倍となるような条件下では、ひび割れ先端を回析した超音波とポアソン効果による直角回析波との干渉が起こり、超音波の立ち上がり時間が複雑に変化します。

 

 

超音波法とは?コンクリート強度やひび割れ深さ・調査方法まとめ

超音波法とは、コンクリート表面に発振子を設置し、内部に弾性波を発生させて、もうひとつの受振子で弾性波を測定する方法

超音波の調査方法

  1. 弾性波伝達時間測定によるひび割れ深さの測定手順受・発振子を接触させる
  2. 伝達速度を測定し、測定精度を事前に確認する
  3. 対象とするひび割れをはさみ、コンクリート表面が平滑で他に欠陥がない箇所を選定
  4. センサとひび割れの間隔を設定し、コンクリート表面の付着物などを取り除き、センサ設置位置の表面を平滑にする
  5. センサ表面に接触剤を塗布し、コンクリート壁面と密着させる
  6. 測定器を作動し、伝達時間などを測定
  7. 複数回測定し、測定値を精査する

超音波法の種類

Tⅽ-To法

超音波法(tc-to法)

d=a√(tⅽ/to)²-1超音波法(tc-to法)計算式 d:ひび割れ深さ(mm)

a:ひび割れとセンサーとのキョリ(mm)

2a:両端触子間のキョリ(mm)

to:健全部の伝達時間(μs)

tⅽ:欠陥部の伝達時間(μs)

近距離迂回波法

超音波法(近距離迂回波法)

d=V₀×t/2超音波法(近距離迂回波法)計算式 d:ひび割れ深さ(mm)

V₀:測定物の音速(㎞/s)

t:往復伝達時間(μs)

修正BS法

超音波法(修正BS法)

d=a√(4t₁²-t₂²)/(t₁²-t₂²)超音波法(修正BS法)計算式 d:ひび割れ深さ(mm)

a:ひび割れとセンサーとのキョリ(mm)

t₁:ひび割れとセンサーのキョリがaの場合の伝達時間(μs)

t₂:ひび割れとセンサーのキョリが2aの場合の伝達時間(μs)

超音波法の注意点

項目 注意点
コンクリート内部における鉄筋 ひび割れ深さがコンクリートの内部鉄筋よりも深く、鉄筋がひび割れ面を貫通している場合やひび割れがコンクリート内部で接触している場合、ひび割れ先端を回析した超音波パルスでなく、これらの短路を経由した音波パルスで測定し、実際のひび割れ深さよりも過小評価する可能性がある
コンクリート表面および含水状態 コンクリート表面や含水状態などの影響により、コンクリートの超音波伝達速度の測定結果が変動する場合がある
ひび割れや空げき形状 ひとつのひび割れが内部で二股に分かれている場合や共振周波数が生じない場合、形状が複雑であり、評価がむずかしい場合がある
複数の欠陥 コンクリートと欠陥部(空気層)のあいだでは、そのエネルギーがほとんど反射されてしまうため、その背後に欠陥があった場合、その欠陥を検知することは困難
ひび割れの充填物 ひび割れ幅が著しく小さい場合やひび割れ内に水や遊離石灰などの充填物がある場合、ひび割れがあっても超音波が伝達してしまうことがある
弾性波の減衰 周波数の高い弾性波ほど、不均質性の影響で超音波エネルギーの減衰が大きくなるため、超音波法の場合には2~3mの伝達キョリが限界

探触子間キョリが大きい場合、超音波エネルギーの減衰で受振波の振幅が小さくなり、初頭波の立ち上がり時間を測定できない場合がある

探触子間のキョリ 探触子間のキョリを探触子の中心とした場合と、探触子の前面である最短キョリとした場合とでは、超音波伝達速度の算定結果が異なるため、ひび割れ深さの測定結果に影響を与える
受信波の到達時間 探触子間隔がひび割れ深さの約2倍となるような条件下では、ひび割れ先端を回析した超音波とポアソン効果による直角回析波との干渉が起こり、超音波の立ち上がり時間が複雑に変化

 

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員(土木)の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間はたらいた経験をもつ(設計や施工管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報を発信中!

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