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写真測量の計算問題まとめ!撮影基線長やオーバーラップ率の計算

写真測量計算問題解説

※この記事はプロモーションを含みます。

写真測量における計算問題について解説します。

撮影基線長やオーバーラップ率の計算など、いろいろな問題を集めました。

とくに測量士補試験に出る問題が中心ですので、該当する方はぜひチャレンジしてみてください。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂

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写真測量の計算問題まとめ!撮影基線長やオーバーラップ率の計算

写真測量の計算問題

  1. 撮影基線長
  2. オーバーラップ率
  3. 撮影高度の計算
  4. 比高による写真像のズレ

 

撮影基線長

空中写真では、図化機により立体モデル(ステレオモデル)を作成するために、重複部を設ける必要があります。

このコース方向の重複度をオーバーラップ(OL)、コース間隔の重複度をサイドラップ(SL)と呼び、作業規程の準則ではOLを60%、SLを30%とすることを標準としています。

また、以下の図をご覧下さい。

撮影基線長

OLはコース方向への1組の写真の重複度を表し、2つの写真主点間隔を主点基線長(b)、その地上での距離を撮影基線長(B)と呼びます。

主点基線長b 2枚の連続した空中写真の主点間の長さのこと
撮影基線長B 地上の(実際の)写真主点間の距離(主点基線長×写真縮尺の分母)で表される
S 写真に写る地上距離
C コース間隔

サイドラップ(コース間隔)

【サイドラップ(SL)】

さらにSLについては、OLと同様の考え方により

SL=(S-C)/S×100%

コース間隔C=S(1-SL/100)となります。

測量士補試験の対策としては、

B=S(1-OL/100)

C=S(1-SL/100)

の公式を覚えておけばよいでしょう。

 

それではさっそく例題を解いてみましょう。

例題)次の文章に当てはまるア~エに入る数値を求めなさい。

画面距離12cm、撮像面での素子寸法12㎛、画面の大きさ12,500画素×7,500画素のデジタル航空カメラを用いて撮影します。

この時、画面の大きさをcm単位で表すと(ア)cm×(イ)cmです。

デジタル航空カメラは、撮影コース数を少なくするため、画面短辺が航空機の進行方向に平行になるように設置されているので、撮影基線長方向の画面サイズは(イ)cmです。

撮影高度2,050m、隣接空中写真間の重複度60%で標高50mの平坦な土地の空中写真を撮影した場合、対地高度は(ウ)であるから、撮影基線長は(エ)mと求められます。

 

解答)

①画素寸法の計算(ア、イ)

問題文より、1画素のサイズが12㎛であるため、12,500画素×7,500画素の写真サイズは

12×10⁻⁶×12,500=0.15m=15cm

12×10⁻⁶×7,500=0.09m=9cm

よって、ア(15)cm×イ(9)cmとなります。

※1㎛=1×10⁻⁶m

②対地高度の計算(ウ)

撮影高度2,050m、標高50mであるから、対地高度は

2,050-50=2,000mとなります。…(ウ)

③撮影基線長の計算(エ)

まず写真縮尺の計算は、

f/H=1/mより、0.12/2,000≒1/16,667

よってこの空中写真の写真縮尺は約1/16,667となります。

つぎに写真に写る地上範囲の計算を行います。

写真画面の大きさが15cm×9cmであり、その縮尺が1/16,667であることから、写真に写し込まれる地上の範囲は、

0.15×16,667≒2,500m

0.09×16,667≒1,500m

つまり2,500m×1,500mとなります。

そして最後、いよいよ撮影基線長の計算です。

撮影基線長方向の地上範囲は1,500mであるため、

撮影基線長B=S(1-OL/100)より、

1,500m×(1-60/100)=600m

よって撮影基線長は600mとなります。

 

オーバーラップ率

オーバーラップについても、実際に出題された過去問を解いてみましょう。(測量士補試験)

例題)

空中写真測量において、同一コース内での隣接写真との重複度(オーバーラップ)を80%として平坦な土地を撮影したとき、1枚おき(例えばコースの2枚目と4枚目)の写真の重複度は何%となりますか。

最も近いものを次から選びなさい。

  1. 36%
  2. 40%
  3. 50%
  4. 60%
  5. 64%

 

解答)

①問題文を図に描き考える

オーバーラップの計算

1枚目の写真と2枚目の写真尾OLが80%ということは、互いの写真の端部がそれぞれ10%ずつ重なっていないということです。

ここで1枚目と3枚目のように1枚おきの重複度を考えると、図から互いに重なっていない部分は、両端部のそれぞれ(10%+10%=20%)です。

よって1枚沖の写真重複度は60%となります。

②OLの式で考える

また一方で、OLの公式からも導くことができるので別解を示しておきます。

写真に写し込まれる地上範囲を2,500m×1,500mと仮定し、画面短辺が撮影基線長と平行とすれば、OLが80%の場合その撮影基線長Bは次のように求めることができます。

B=S(1-OL/100)=1,500×(1-80/100)=300m

一枚おきの写真どうしの撮影基線長を300m+300m=600mとすれば、OLは以下のようになります。

OL=(S-B)/S×100%=(1,500-600)/1,500×100%=60%

①、②どちらの解き方でもOKなので、じっくり考えてみてください。

解答)重複度60%

 

撮影高度の計算

撮影光度と写真縮尺に関する計算問題を解くためには、以下の図のような関係や言葉の定義を理解しておくことが必要です。

空中写真の図解的な性質

図解中の記号 定義(意味)
P 写真主点
O レンズ中心
f 画面距離
H 撮影高度(撮影基準面からの高度)
H₀ 海抜撮影高度
H₁ 対地高度(Aの地表面からの高度)
h₁ A点の標高
h₂ B点の標高
L 地上距離
写真上に写された距離

また計算式(公式)は以下のとおり。

f/H=ℓ/L=1/m

m:写真縮尺分母

L:地上距離(水平距離)

ℓ:写真上に写された距離

H:撮影高度

f:画面距離

撮影高度と写真縮尺との関係は、上下の三角形が相似形であることを考え、比例式で考えるとよいです。

また、次の撮影高度についても覚えておく必要があります。

①撮影高度 撮影基準面からの撮影高度(相対撮影高度)
②海抜撮影高度 海面からの撮影高度
③対地高度 特定地表面からの撮影高度

 

それではここで、計算問題を解いてみましょう。

例題)

画面距離7cm、撮像面での素子寸法6㎛のデジタル航空カメラを用いた、数値空中写真の撮影計画を作成しました。

この時の撮影基準面での地上画素寸法を18cmとした場合、撮影高度はいくらか求めなさい。

 

 

解答)

単位に惑わされず、撮影高度と縮尺の関係を図に描き、比によって計算するのがポイントです。

撮影高度の計算

上記の図から、

ℓ/L=f/Hより、0.000006/0.18=0.07/H

※1㎛=1×10⁻⁶m

よってH=0.07×0.18/0.000006=0.0126/0.000006=2,100m

また問題文より撮影基準面が標高0mであるため、この空中写真の撮影高度は2,100mです。

解答)2,100m

 

比高による写真像のズレ

写真測量(図解)

空中写真は中心投影で撮影されるため、撮影された地物は、写真主点(鉛直点)を中心として、放射状に傾いて写ることになります。

高さのある建物や、対象物が主点から離れるほど、その傾きは大きく映ることとなります。

この傾きが比高による像のズレと呼ばれるものです。

写真像のズレによる問題を解くには、図を作成して相似の関係を使って解いていきましょう。

ココで例題!

ぜひチャレンジしてみてください。

例題)

航空カメラを用いて、海抜2,200mの高度から勝衛下鉛直空中写真に、鉛直に立っている高さ50mの直線状の高塔が写っています。

この高塔の先端は、主点から70.0mm離れた位置に写っており、高塔の像の長さは2.0mmでした。

この高塔が立っている地表面の標高はいくらか求めなさい。

 

解答)

図を描いてみると以下のようになります。

写真測量ズレ問題

ΔH/H=ΔR/Rより、

ΔH=ΔR/R×H=0.002/0.070×H=50m

H=50/0.002×0.070=1,750m

上式で求めたのは高塔の撮影高度であるため、地表面の標高は、

2,200-1,750=450m

よって地表面の標高は450mとなります。

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写真測量の計算問題!撮影基線長やオーバーラップ率の計算まとめ

写真測量の計算問題

  1. 撮影基線長
  2. オーバーラップ率
  3. 撮影高度の計算
  4. 比高による写真像のズレ

それぞれ計算方法が異なるので、しっかり確認しておきましょう。

以上です。

ありがとうございました。

解答)地表面の標高450m

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