今回のテーマは【環境アセスメント】
土木では環境工学の分野で学ぶ用語です。
土木学士で元土木公務員である私が、定義から流れ、事業まで簡単にわかりやすく解説していきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
環境アセスメントとは?わかりやすく簡単に定義や流れ&事業も紹介
環境アセスメントとは、道路や鉄道などの建設や、大規模な造成事業などを行う場合に事業者が周辺の環境にどのような影響を与えるかを事前に調査・予測・評価することです。
またその「環境影響評価」における結果を公表し、国や県、町などの行政が出し合った意見を事業計画に反映させて、より環境に配慮した事業にしていくことを目的とした制度とも言えるでしょう。
日本では1997年に環境アセスメント法(環境影響評価法)が成立しています。
環境アセスメントの流れをわかりやすく簡単に!
環境アセスメント法(環境影響評価法)の流れは以下のとおりです。
環境アセスメント法の流れ
①開発事業を環境アセスメントの対象とするかどうかを決める(スクリーニング)
②環境アセスメントの進め方を設計する
③環境アセスメントの図書を作成
④行政などが環境影響評価方法書を公表(事業者へ概要や評価方法を開示)
⑤環境保全の見地から意見を有する者および地方公共団体の意見を聴くスコーピング手続きを行う
⑥事業内容の決定
⑦現地の環境に対する一連の調査、予測、評価の実施
⑧追跡調査
環境アセスメントは、環境への影響を事前に分析し、広く公表することによって、多くの関係者の意見を確認することが可能となります。
よって、近隣住民や周辺環境に配慮した計画の変更、修正を行うことができるというわけですね 🙂
スコーピング
(Scoping) |
環境アセスメントにおいて、手法や方法など評価の枠組みを決める方法書を確定させるための手続き
環境アセスメントの方法を公開し、その手法の公正さを確保することが目的 |
スクリーニング
(Screening) |
環境アセスメントを行う手続きの流れのなかでまず初めに行う手続き
開発事業を環境アセスメントの対象とするかどうかを決める手続きのこと |
また、環境アセスメントの対象となる事業は以下のとおりです。
対象事業 | 第一種事業
必ず環境アセスメントを行う事業 |
第二種事業
環境アセスメントが必要かどうか個別に判断する事業 |
|
道路 | 高速自動車道 | すべて | - |
首都高速道路など | 4車線以上のもの | - | |
一般国道 | 4車線以上・10㎞以上 | 4車線以上・7.5㎞~10㎞ | |
林道 | 幅員6.5m以上・20㎞以上 | 幅員6.5m以上・15㎞~20㎞ | |
河川 | ダム、堰 | 湛水面積100ha以上 | 湛水面積75ha~100ha |
放水路、湖沼開発 | 土地改変面積100ha以上 | 土地改変面積75ha~100ha | |
鉄道 | 新幹線鉄道 | すべて | - |
鉄道、軌道 | 長さ10㎞以上 | 長さ7.5㎞~10㎞ | |
飛行場 | 滑走路長さ2,500m以上 | 滑走路長1,875m~2,500m | |
発電所 | 水力発電所 | 出力3万kW以上 | 出力2.25万kW~3万kW |
火力発電所 | 出力15万kW以上 | 出力11.25万kW~15万kW | |
地熱発電所 | 出力1万kW以上 | 出力7,500kW~1万kW | |
原子力発電所 | すべて | - | |
太陽電池発電所 | 出力4万kW以上 | 出力3万kW~4万kW | |
風力発電所 | 出力5万kW以上 | 出力3.75万kW~5万kW | |
廃棄物最終処分場 | 面積30ha以上 | 面積25ha~30ha | |
埋め立て、干拓 | 面積50ha超 | 面積40ha~50ha | |
土地区画整理事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
新住宅市街地開発事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
工業団地造成事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
新都市基盤整備事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
流通業務団地造成事業 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
宅地の造成の事業
宅地には住宅地、工業用地も含まれる |
住宅・都市基盤整備機構 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha |
地域振興整備公団 | 面積100ha以上 | 面積75ha~100ha | |
港湾計画
港湾計画については港湾環境アセスメントの対象 |
埋立・堀込み面積の合計300ha以上 |
(参考引用_環境省)
該当する事業の場合は、管轄する自治体に相談してください。
また工事内での健康被害に関するアスベストや、環境に配慮するビオトープなども併せてチェックしておくとよいでしょう。
環境アセスメントの事例について
環境アセスメントの事例情報は、環境評価情報支援ネットワークで環境省が取りまとめています。
発電所や道路、河川、飛行場など、環境アセスメント事業の内容を確認することができますので、詳しくは以下のリンクから環境省HPを確認してみてください。
環境アセスメントとは?わかりやすく簡単に定義や流れ&事業も紹介
環境アセスメントとは、道路や鉄道などの建設や、大規模な造成事業などを行う場合に事業者が周辺の環境にどのような影響を与えるかを事前に調査・予測・評価すること
環境アセスメント法の流れ
①開発事業を環境アセスメントの対象とするかどうかを決める(スクリーニング)
②環境アセスメントの進め方を設計する
③環境アセスメントの図書を作成
④行政などが環境影響評価方法書を公表(事業者へ概要や評価方法を開示)
⑤環境保全の見地から意見を有する者および地方公共団体の意見を聴くスコーピング手続きを行う
⑥事業内容の決定
⑦現地の環境に対する一連の調査、予測、評価の実施
⑧追跡調査
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ
- 現場監督・施工管理の経験あり
- 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
- ブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報を発信
- 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!