鋼材(steel)とは一般に鉄(Fe)に炭素(C)を添加した合金の一種です。
橋や水門、鉄塔、建築の鉄骨などの建設材料として使われています。
そんなわけで今回のテーマは【鋼材】
種類や特徴に加え、形状や性質、名称(記号)などについてもまるっと解説していきますのでぜひご覧ください。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 😉
鋼材の種類まとめ!形や名称(記号)のほか特徴もかんたん解説
鋼材の種類や名称(記号)
鋼材の種類はこんな感じ 🙂
英字と数字を組み合わせて表されます。(英字は材料のイニシャルなど)
アルファベットの後ろの数字は、規格の最小引張強さ(N/mm²)の表示です。
一般構造用圧延鋼材 | SS400, SS490 | SS:Structural Steel |
建築構造用圧延鋼材 | SN400A, SN400B, SN400C,SN490A, SN490B, SN490C | SN:Steel New |
溶接構造用圧延鋼材 | SM400, SM490 | SM:Structure Marine |
一般構造用炭素鋼管 | STK400,STK490 | STK:Steel Tube Kozo(構造) |
一般構造用角形鋼管 | STKR400,STKR490 | STKR:Steel Tube Kozo(構造) Rectangular |
一般構造用軽量形鋼 | SSC400 | SSC:Steel Structure Cold Forming |
建築構造用冷間ロール成形角形鋼管 | BCR295 | BCR:Box Column Roll |
異形棒鋼 | SD295A,SD345,SD390 | SD:Steel Deformed bar |
丸鋼 | SR235 | SR:Steel Reinforcement |
建築構造用耐火鋼材 | NSFR400A, NSFR490A | NSFR:NS Fire resistant steel |
溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材 | SMA400AW, SMA490AW | SMA:Steel Marine Atomospheric |
またこの中で、一般的によく使われる構造用圧延鋼材の規格をさらにくわしく見ていきましょう。
JISによる引張強さや伸びをまとめると以下のとおりです。
種別 | 記号 | 降伏点または耐力 | 引張強さ | 伸び |
N/mm² | N/mm² | % | ||
一般構造用圧延鋼材 | SS330 | 175~205 | 330~430 | 21~30 |
SS400 | 215~245 | 400~510 | 17~21 | |
SS490 | 255~285 | 490~610 | 15~21 | |
SS540 | 390~400 | 540~ | 13~17 | |
溶接構造用圧延鋼材 | SM400 | 195~245 | 400~510 | 16~24 |
SM490 | 275~325 | 490~610 | 17~23 | |
SM490Y | 325~365 | 490~610 | 15~21 | |
SM520 | 390~400 | 520~640 | 15~21 | |
SM570 | 420~460 | 570~720 | 19~26 |
(参考:JIS G3010,3016)
また鋼材の応力ひずみ曲線についてはまた別記事でご確認ください。
鋼材の形状と特徴
鋼材は製鉄所などで圧延されて、いろいろな形に製造されます。
橋などの構造物で最もよく使われるのが、厚板と呼ばれる厚さ6mm~100mmまでの鋼板です。
そのほか、フラットバーと呼ばれる帯板、パイプや棒鋼、I形鋼、山形鋼、溝形鋼が、
- 高さ
- 幅
- 板厚
などを考慮して組み合わせてつくられています。
用途に合わせてこれらの形鋼を選定して使用します。
形鋼の種類 | イメージ |
等辺山形鋼 | |
不等辺山形鋼 | |
軽山形鋼 | |
I形鋼 | |
溝形鋼 | |
軽溝形鋼 | |
H形鋼 | |
鋼管 | |
角形鋼管 | |
ハット形鋼 | |
リップ溝形鋼 | |
リップZ形鋼 | |
丸鋼 | |
帯鋼 |
また鋼材の構造材としての優れた特徴としては、引張強さが大きいことです。
さらに鋼は構造物に合わせて伸び縮みする弾性体として挙動しますが、作用力をどんどん大きくしていくと、力を取り除いても元の形に戻らなくなってしまいます。
これは塑性域に入っており、塑性体として挙動するということを表しています。
つまり、鋼材は引張強さが必要な時と、ある程度の力で収まる構造物に適していると言えるでしょう。
鋼材をよく使う構造物
- 橋梁
- 水門
- 鉄塔
- 建築の鉄骨などの建設材料
鉄骨造や鉄筋コンクリートについても別記事でまとめていますので併せてご確認ください。
鋼材の性質
鋼材は、炭素の量によって大きく変わることから、炭素量を調整することによって使用目的に応じた鋼材を生産しています。
鋼の種類 | 炭素の含有量 | 性質 | 用途 | ||
硬さ | 強度 | 伸び | |||
低炭素鋼 | 0.3%以下 | 小 | 小 | 大 | 橋梁、鉄骨、鉄塔、H形鋼、建材 |
中炭素鋼 | 0.3~0.5% | 中 | 中 | 中 | ボルト、機械部品、軸など |
高炭素鋼 | 0.5%以上 | 大 | 大 | 小 | レール、工具、鍵など |
炭素が多い鋼は引張が大きく、硬さが硬く、引っ張ったときの伸び(展延性)が小さくなります。
逆に炭素が少ない鋼は柔らかく、引っ張ったときの伸びも大きくなります。
一方で、炭素量によって鋼材の性質が変えられる炭素鋼以外にマンガン、ニッケル、クロム、モリブデンなどの元素を加えることで強度や硬さ、耐食性を変更する鋼を「合金」といいます。
たとえば、マンガンを添加すると強度が高い高張力鋼となりますし、ニッケルやクロムを添加すると錆びにくいステンレス鋼となります。
鋼材の種類!形や名称(記号)のほか特徴まとめ
鋼材の種類
一般構造用圧延鋼材 | SS400, SS490 | SS:Structural Steel |
建築構造用圧延鋼材 | SN400A, SN400B, SN400C,SN490A, SN490B, SN490C | SN:Steel New |
溶接構造用圧延鋼材 | SM400, SM490 | SM:Structure Marine |
一般構造用炭素鋼管 | STK400,STK490 | STK:Steel Tube Kozo(構造) |
一般構造用角形鋼管 | STKR400,STKR490 | STKR:Steel Tube Kozo(構造) Rectangular |
一般構造用軽量形鋼 | SSC400 | SSC:Steel Structure Cold Forming |
建築構造用冷間ロール成形角形鋼管 | BCR295 | BCR:Box Column Roll |
異形棒鋼 | SD295A,SD345,SD390 | SD:Steel Deformed bar |
丸鋼 | SR235 | SR:Steel Reinforcement |
建築構造用耐火鋼材 | NSFR400A, NSFR490A | NSFR:NS Fire resistant steel |
溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材 | SMA400AW, SMA490AW | SMA:Steel Marine Atomospheric |
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員(土木職)の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ
- 現場監督・施工管理の経験あり
- 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報を発信しています。
- 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!