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水域施設や港湾法をわかりやすく解説!港湾施設の構造や種類(名称)とは?

港湾(施設・港湾法・種類)
港湾の施設について知りたい!

 

日本は海に囲まれた島国。

港湾は切っても切れない関係ですよね 🙂

今回は、港湾の施設(種類)や港湾法、水域施設など、港湾のいろいろを図解や表などでわかりやすくまとめました。

【港湾】についてサクッと知りたい方におすすめです。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次を確認してください。

 

水域施設や港湾法をわかりやすく解説!港湾施設の構造や種類(名称)とは?

港湾施設や港湾法について解説していくよー!

港湾施設の種類や名称

港湾施設を図解してみるとこんなイメージになります。

港湾施設(図解)

名称は以下のとおり。

区分 港湾施設
水域施設 航路、泊地、船だまりなど
外郭施設 防波堤、防潮堤、堤防、護岸、導流提など
係留施設 岸壁、物揚場、係船浮標、桟橋、埠頭(ふとう)など
臨港交通施設 港湾道路、臨海鉄道、運河、駐車場など
荷さばき施設 荷さばき地、荷役機械、上屋など
旅客施設 旅客乗降用施設、旅客ターミナルなど
保管施設 倉庫、野積場、コンテナヤードなど
船舶役務用施設 給水施設、給油施設など
航行補助施設 航路標識、信号施設、照明施設など
環境整備施設 廃棄物施設、廃油処理施設など

区分は10種類ほどあり、それぞれで役割が異なります。

 

港湾施設における海岸保全施設の種類

海岸の保全とは、高潮や津波などの災害から、私たちの住む市街地や農地を守ることです。

ここで海岸保全でよく出てくる、

  • 漂砂
  • 海岸浸食

について簡単に説明します。

漂砂

漂砂とは、波や海水の流れによって、海浜の砂が移動する現象のこと!

いろんな形の砂浜をつくったり、港湾の埋没を引き起こしたりします。

この漂砂のバランスを保つことが、海岸の保全にとって最も重要なことです。

 

海岸浸食

海岸浸食とは、波浪、潮流、沿岸流、風などの力で海へ運ばれる砂の量が、河川や海から供給される砂の量を上回り、砂浜などの海岸がけずられてしまう現象のことです。

汀線 (ていせん) の後退をともなうことが一般的ですね 🙂

また海岸浸食は、土砂の供給量が流出量より小さい場合に起こり、浸食増大の原因としては自然的要因と人為的要因の2つが考えられます。

自然的要因:海岸地形、海底地形、河川の土砂供給状態、地盤運動など

人為的要因:河川改修による河川からの供給土砂量の減少 、防波堤構築による環境変化、航路浚渫、地盤沈下など

 

そして海岸保全施設とは、海岸保全区域内にある堤防、護岸、胸壁などにより津波、高潮、波浪からの災害、海岸浸食などから後背地の人命や財産を守る役割を担う施設のことです。

近年は、海岸保全施設の整備は防護だけでなく、生態系の保護、海岸の親水利用促進なども考えた、総合的な検討が求められていますよ 🙂

 

海岸堤防・護岸

海岸堤防や護岸は、津波、高潮、波浪による海水の陸域への侵入および侵食などによる海岸線の後退を防ぐための施設のこと。

種類は主に、以下の4種類です。

  1. 傾斜型
  2. 緩傾斜型
  3. 直立型
  4. 混成型

傾斜型

勾配1:1~

海岸保全施設(傾斜型)

緩傾斜型

勾配1:3~

海岸保全施設(緩傾斜型)

直立型

勾配1:1未満

海岸保全施設(直立型)

混成型

傾斜型や直立型を組み合わせたもの

海岸保全施設(混成型)

消波工

消波工は海岸堤防の前面に設置され、表面の摩擦力と内部の空隙による波のもつエネルギーをへらして、打ち上げや高波を減少させる役割をもっています。

表面粗度が大きく、波の規模に応じた適度の空隙をもつとともに、波(水)の一部を貯留するある程度の容量をもつことが条件です。

以前は捨て石などが使われていましたが、現在は消波ブロックが多く使われています。

代表的な消波ブロックは以下のとおりです。

名称 消波ブロック(イメージ)
テトラポット 消波ブロック(テトラポット)
トライバー 消波ブロック(トライバー)
六脚ブロック 消波ブロック(六脚ブロック)jpg
中空三角ブロック 消波ブロック(中空三角ブロック)
ホロースケアー 消波ブロック(ホロースケアー)

 

突提

突提は、海岸線に直角方向に設置されます。

海側に細長く突き出しているのが特徴です。

沿岸漂砂を制御することにより、汀線を安定して保ちます。

一般的には、一定間隔で数基から数十基設置されますよ 🙂

 

離岸堤

離岸堤は、汀線から離れた沖合に、海岸線と平行にブロックを設置します。

効果としては、

  1. 消波と波高減衰
  2. 背後(陸側)に堆砂(トンボロ)を形成する

などがあります。

 

ヘッドランド(人工岬)

ヘッドランド(人工岬)は、突提とほぼ同じ施設です。

天然石などを用いて、人工的にT字型の岬を複数基、設置します。

岬間からの流砂を制御し、海浜の安定を図るのが目的です。

 

人工リーフ

人工リーフは、海面下に潜りの状態で離岸堤を設置したものです。

自然のサンゴ礁がもつ消波機能を利用し、沖合の水面下に捨て石やブロックなどを投入します。

人工的に岩礁を築造する沖合消波施設で、漁礁効果も発揮できる工法です。

 

港湾法による港湾施設の種類

港湾法による分類は以下のとおりです。

区分 概要 代表港
特定重要港湾 重要港湾のなかでも国際海上輸送網の拠点としてとくに重要な港湾 東京港など23港
重要港湾 国際海上輸送網または国内海上輸送網の拠点となる港湾など 青森港128港
地方港湾 重要港湾以外で、地方の利害にかかわる港湾 全国936港
56条港湾 都道府県知事が、港湾法第56条に基づいて公告した水域
避難港 小型船舶が荒天・風浪をさけて停泊するための港湾 下田港など36港

さらにくわしい港湾一覧などは、港湾一覧-国土交通省をご覧ください。

 

港則法(港内における船舶交通の安全および港内の整頓を図る)

港則法は、港内における船舶交通の安全と港内の整とんを図ることを目的とした船舶の法律です。

よく使う条例をまとめるとこんな感じです。

項目 内容
第3条 定義 雑種船:汽艇、はしけ及び端舟などを、ろかいのみをもって運転する船舶

特定港:きっ水(船体の最下部から水面までの垂直キョリ)の深い船舶が出入りできる港または、外国船舶が常時出入りする港で政令で定めるもの

第4条 入出港の届け出 船舶は、特定港に入港したときまたは特定港を出港しようとするときは、その旨を港長に届け出る

ただし、次の場合は届ける必要はない

  1. 総トン数20t未満の船舶および端舟その他ろかいのみをもって運転する船舶
  2. 平水区域を航行区域とする船舶
  3. あらかじめ港長の許可を受けた船舶
第8条 修繕および係船 特定港内においては、雑種船以外の船舶を修繕し、または係船しようとする者は、その趣旨を港長に届け出る

修繕中または係船中の船舶は、特定港内においては、港長の指定する場所に停泊しなければならない

第9条 係留などの制限 雑種船およびいかだは、港内においてはみだりに係船浮標もしくはほかの船舶に係留しない

他船舶の交通のさまたげとなる場所に停泊・停留させてはならない

第13条 航路 船舶は、航路内においては、投びょうし、またはえい航している船舶を放してはならない

ただし、下記の場合を除く

  1. 海難を避けようとするとき
  2. 運転の自由を失ったとき
  3. 人命または緊急の救助に従事するとき
  4. 港長の許可を受けて工事または作業に従事するとき
第14条 航法 航路外から航路に入るまたは航路から航路外に出ようとする船舶は、航路の航行するほかの船舶の進路をさけなければならない

船舶は航路内において、並列して航行しなければならない

他の船舶と行き会うときは、右側を航行しなければならない

船舶は航路内においては、他の船舶を追い越してはならない

第27条 灯火など 港内においては、白色の携帯電灯または点火した白灯を周囲からもっとも見えやすい場所に表示しなければならない
第36条 灯火の制限 港内または港の境界付近における船舶交通のさまたげとなる強力な灯火をみだりに使用してはならない

 

港湾の用途による施設の種類(水域施設)

港湾

港湾を用途別に分けるとこんな感じ 🙂

種類 内容 主な入港船舶
商港 外国貿易、内国貿易による貨物とりあつかいを主とする港湾 貨物船、コンテナ船
工業港 工業地域に接し、原料や工業製品のとりあつかいを主とする港湾 タンカー、原料輸送船
漁港 水産物のとりあつかいを主とする港湾 漁船
フェリー港 車両・旅客を運送するフェリーが出入港する港湾 フェリー
マリーナ 娯楽・観光目的の船舶が停泊・発着する港湾 ヨット、遊覧船
軍港 軍事的な性格をもった港湾 軍艦
避難港 小型船舶がつよい風浪から避難するための港湾 小型船舶

 

 

水域施設や港湾法をわかりやすく解説!港湾施設の構造や種類(名称)まとめ

港湾施設の種類や名称

区分 港湾施設
水域施設 航路、泊地、船だまりなど
外郭施設 防波堤、防潮堤、堤防、護岸、導流提など
係留施設 岸壁、物揚場、係船浮標、桟橋、埠頭(ふとう)など
臨港交通施設 港湾道路、臨海鉄道、運河、駐車場など
荷さばき施設 荷さばき地、荷役機械、上屋など
旅客施設 旅客乗降用施設、旅客ターミナルなど
保管施設 倉庫、野積場、コンテナヤードなど
船舶役務用施設 給水施設、給油施設など
航行補助施設 航路標識、信号施設、照明施設など
環境整備施設 廃棄物施設、廃油処理施設など

港湾法による分類

区分 概要 代表港
特定重要港湾 重要港湾のなかでも国際海上輸送網の拠点としてとくに重要な港湾 東京港など23港
重要港湾 国際海上輸送網または国内海上輸送網の拠点となる港湾など 青森港128港
地方港湾 重要港湾以外で、地方の利害にかかわる港湾 全国936港
56条港湾 都道府県知事が、港湾法第56条に基づいて公告した水域
避難港 小型船舶が荒天・風浪をさけて停泊するための港湾 下田港など36港

よく使う港則法

項目 内容
第3条 定義 雑種船:汽艇、はしけ及び端舟などを、ろかいのみをもって運転する船舶

特定港:きっ水(船体の最下部から水面までの垂直キョリ)の深い船舶が出入りできる港または、外国船舶が常時出入りする港で政令で定めるもの

第4条 入出港の届け出 船舶は、特定港に入港したときまたは特定港を出港しようとするときは、その旨を港長に届け出る

ただし、次の場合は届ける必要はない

  1. 総トン数20t未満の船舶および端舟その他ろかいのみをもって運転する船舶
  2. 平水区域を航行区域とする船舶
  3. あらかじめ港長の許可を受けた船舶
第8条 修繕および係船 特定港内においては、雑種船以外の船舶を修繕し、または係船しようとする者は、その趣旨を港長に届け出る

修繕中または係船中の船舶は、特定港内においては、港長の指定する場所に停泊しなければならない

第9条 係留などの制限 雑種船およびいかだは、港内においてはみだりに係船浮標もしくはほかの船舶に係留しない

他船舶の交通のさまたげとなる場所に停泊・停留させてはならない

第13条 航路 船舶は、航路内においては、投びょうし、またはえい航している船舶を放してはならない

ただし、下記の場合を除く

  1. 海難を避けようとするとき
  2. 運転の自由を失ったとき
  3. 人命または緊急の救助に従事するとき
  4. 港長の許可を受けて工事または作業に従事するとき
第14条 航法 航路外から航路に入るまたは航路から航路外に出ようとする船舶は、航路の航行するほかの船舶の進路をさけなければならない

船舶は航路内において、並列して航行しなければならない

他の船舶と行き会うときは、右側を航行しなければならない

船舶は航路内においては、他の船舶を追い越してはならない

第27条 灯火など 港内においては、白色の携帯電灯または点火した白灯を周囲からもっとも見えやすい場所に表示しなければならない
第36条 灯火の制限 港内または港の境界付近における船舶交通のさまたげとなる強力な灯火をみだりに使用してはならない

港湾の用途別種類や名称

種類 内容 主な入港船舶
商港 外国貿易、内国貿易による貨物とりあつかいを主とする港湾 貨物船、コンテナ船
工業港 工業地域に接し、原料や工業製品のとりあつかいを主とする港湾 タンカー、原料輸送船
漁港 水産物のとりあつかいを主とする港湾 漁船
フェリー港 車両・旅客を運送するフェリーが出入港する港湾 フェリー
マリーナ 娯楽・観光目的の船舶が停泊・発着する港湾 ヨット、遊覧船
軍港 軍事的な性格をもった港湾 軍艦
避難港 小型船舶がつよい風浪から避難するための港湾 小型船舶

海岸堤防・護岸の種類

  1. 傾斜型(1:1~)
  2. 緩傾斜型(1:3~)
  3. 直立型(1:1未満)
  4. 混成型(2つ以上を組み合わせたもの)

海岸保全施設の種類

  1. 消波提:海岸堤防の前面に消波ブロックなどを設置(テトラポット、トライバー、六脚ブロック、中空三角ブロック、ホロースケアー)
  2. 突提:海岸線に直角方向に設置
  3. 離岸堤:汀線から離れた沖合に、海岸線と平行にブロックを設置
  4. ヘッドランド(岬):突提とほぼ同じ施設
  5. 人工リーフ:海面下に潜りの状態で離岸堤を設置したもの

 

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間はたらいた経験を持つ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報発信をしています。

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