図面に描かれる「扉(ドア)」の記号は、建築や設備の設計に携わる人なら誰もが目にする基本要素です。
とはいえ、開き方向や種類の表し方は意外と奥が深く、「あれ、この記号ってどっちに開くんだっけ?」と迷うこともありますよね。
この記事では、設計者や施工者が図面をスムーズに読み解けるよう、扉記号のルールや種類をわかりやすく整理しました。
新人技術者の学び直しにも、ベテランの確認用にも役立つ内容になっています。
図面の“ドアあるある”を一緒にチェックしてみましょう!
図面の扉(ドア)記号!扉開く方向や種類・意味をまるっとチェック

図面に描かれる扉やドアの記号や意味についてみていきましょう。
図面記号➀両開き扉(ドア)

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
両開き扉の図面記号は、左右に開く2枚の扉を示す基本表現です。
中央から対称に開閉するため、出入口幅を広く確保でき、住宅や公共施設の玄関などに多用されます。
図面上では2枚の扉線が描かれ、開く方向を示すアークが左右に配置されるのが特徴です。
図面記号②片開き扉(ドア)

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
片開き扉の図面記号は、1枚の扉が片側の枠に取り付けられ、一定方向へ開閉する形式を示します。
この図面記号は最も一般的な扉で、住宅の室内ドアや事務所の出入口など幅広く採用されています。
図面上では扉線が一方に描かれ、開く方向を示すアークが片側のみ配置されるのが特徴です。
図面記号③親子扉(ドア)

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
親子扉の図面記号は、大きな「親扉」と小さな「子扉」の2枚で構成される形式を示します。
通常は親扉のみを使用し、必要に応じて子扉を開けることで広い開口を確保できます。
図面上では大小の扉線が並び、開閉方向を示すアークがそれぞれ描かれるのが特徴です。
図面記号④両引き戸

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
両引き戸の図面記号は、左右2枚の扉が中央から外側へ引いて開閉する形式を示します。
開閉時にスペースを取らず、通路や限られた空間でも使いやすいのが特徴です。
図面上では2枚の扉線が中央に接し、引き込む方向へ平行線や矢印で示されることで、スムーズな動きを表現します。
図面記号⑤片開き戸(Ⅰ)

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
片開き戸(Ⅰ)の図面記号は、片側に開閉する扉と、もう一方を固定(FIX)した構成を示します。
主扉のみが動き、FIX側は常時固定されるため、安定性を確保しつつ必要な開口幅を得られるのが特徴です。
図面上では可動扉に開閉方向のアークが描かれ、FIX側は線のみで表されます。
図面記号⑥片開き戸(Ⅱ)

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
片開き戸(Ⅱ)の図面記号は、左右どちらか一方に開く片扉を示し、開閉方向が逆のタイプを区別するために用いられます。
片開き戸(Ⅰ)と対になる形で設計図に表され、設置場所や動線に応じて選択されます。
図面上では扉線とアークが反対側に描かれるのが特徴です。
図面記号⑦引き違い戸

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
引き違い戸の図面記号は、左右2枚の扉が互いに重なりながら横方向へスライドして開閉する形式を示します。
開閉時に前後のスペースを取らず、住宅の和室や収納、商業施設の出入口などに広く利用されます。
図面上では2枚の扉線が平行に描かれ、重なり部分や引き込み方向が明示されるのが特徴です。
図面記号⑧引込戸

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
引込戸の図面記号は、扉が壁や収納スペース内に引き込まれて開閉する形式を示します。
開けた際に扉が露出せず、通路や室内の動線を妨げないため、限られた空間やすっきりとしたデザインを求める場面で多用されます。
図面上では扉線が壁内へ消えるように描かれ、引込方向が明示されるのが特徴です。
図面記号⑨雨戸

図面記号(平面図)
雨戸の図面記号は、窓の外側に設置される防風・防雨用の戸を示します。
引き戸形式で横にスライドして閉じるのが一般的で、台風や強風時に建物を保護する役割を持ちます。
図面上では窓外側に並行する扉線が描かれ、引き込み方向が示されることで、雨戸の配置と動きを表現します。
図面記号⑩シャッター

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
シャッターの図面記号は、開口部を上下に巻き上げて開閉する防護用の扉を示します。
主に店舗やガレージ、倉庫などで使用され、施錠や防犯、防火の役割を担います。
図面上では開口部に沿って水平線や巻き上げ方向を示す記号が描かれ、シャッターの設置位置と動きを表現するのが特徴です。
図面記号⑪オーバーヘッドドア

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
オーバーヘッドドアの図面記号は、扉が上方へスライドし、天井付近に収納される形式を示します。
主にガレージや倉庫、工場などで用いられ、大きな開口を確保しつつ省スペースで開閉できるのが特徴です。
図面上では扉線が上方へ移動する様子を示す記号が描かれ、開閉方向が明確に表現されます。
図面記号⑫折り戸

図面記号(平面図)

開閉表示記号(立面図)
折り戸の図面記号は、複数枚の扉が折りたたまれて開閉する形式を示します。
開口部を大きく確保しつつ、開閉時のスペースを抑えられるため、収納や間仕切りなどに多用されます。
図面上では扉線が折れ曲がるように描かれ、開閉方向を示すアークが連続して配置されるのが特徴です。

図面記号⑬アコーディオンドア

図面記号(平面図)
開閉表示記号(立面図)
アコーディオンドアの図面記号は、細かいパネルが連続して折りたたまれながら横方向に開閉する形式を示します。
軽量で省スペース性に優れ、間仕切りや収納扉として多用されます。
図面上では連続した折れ線や蛇腹状の表現で描かれ、開閉方向を示すことで特徴的な動きを表現します。
図面記号⑭ドアクローザー(ストップあり)

図面記号(平面図)
ドアクローザー(ストップあり)の図面記号は、扉の自動閉鎖機構に加え、任意の位置で扉を保持できる機能を示します。
主に室内ドアや公共施設で用いられ、開放状態を維持しつつ安全に閉じることが可能です。
図面上ではクローザー位置を示す記号に「ストップ機能あり」と明記されるのが特徴です。
図面記号⑮ドアクローザー(ストップなし)

図面記号(平面図)
ドアクローザー(ストップなし)の図面記号は、扉を自動的に閉じる機構を示し、開放状態を保持できないタイプを表します。
主に安全性や防犯性を重視する場面で用いられ、常に扉が閉じることで空調効率や火災時の延焼防止にも寄与します。
図面上ではクローザー位置を示す記号のみが描かれるのが特徴です。
図面記号⑯フロアヒンジ(ストップあり)

図面記号(平面図)
フロアヒンジ(ストップあり)の図面記号は、床に埋め込まれたヒンジ機構で扉を開閉し、任意の角度で扉を保持できるタイプを示します。
主に大型のガラス扉や店舗入口に用いられ、開放状態を維持しつつ安全に閉じることが可能です。
図面上では床位置にヒンジ記号が描かれ、ストップ機能付きであることが明示されます。
図面記号⑰フロアヒンジ(ストップなし)

図面記号(平面図)
フロアヒンジ(ストップなし)の図面記号は、床に埋め込まれたヒンジ機構で扉を開閉し、開放状態を保持せず自動的に閉じるタイプを示します。
主にガラス扉や店舗入口に用いられ、常時閉鎖による防犯性や空調効率の維持に効果的です。
図面上では床位置にヒンジ記号のみが描かれるのが特徴です。
図面記号⑱ヒンジクローザー(ストップあり)

図面記号(平面図)
ヒンジクローザー(ストップあり)の図面記号は、扉の蝶番部分に組み込まれたクローザー機構で、開閉を制御しつつ任意の位置で扉を保持できるタイプを示します。
主に室内ドアや軽量扉に用いられ、開放状態を維持しながら安全に閉じることが可能です。
図面上ではヒンジ位置に記号が描かれ、ストップ機能付きであることが明示されます。
図面記号⑲ヒンジクローザー(ストップなし)※オートヒンジ

図面記号(平面図)
ヒンジクローザー(ストップなし)、いわゆるオートヒンジの図面記号は、蝶番部分に自動閉鎖機構を備え、扉を開放状態で保持せず常に自動的に閉じるタイプを示します。
主に室内ドアや軽量扉に用いられ、防犯性や空調効率の維持に効果的です。
図面上ではヒンジ位置にクローザー記号が描かれ、ストップ機能がないことが明示されるのが特徴です。
図面の扉(ドア)記号まとめ

扉(ドア)関連の図面記号まとめです。
図面確認時にぜひご活用ください。
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