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打込み杭工法とは?打ち込み工法や注意点ほか埋込み杭との違い

打込み杭工法

打込み杭工法は、既製杭工法のひとつで、打撃や振動によって杭を打ち込む工法です。

種類や打ち込み工法の注意点、埋込み杭との違いについてまとめましたのでぜひご覧ください。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂

 

打込み杭工法とは?打ち込み工法や注意点ほか埋込み杭との違い

打込み杭工法は大きく分けて以下の3種類があります。

打込み工法

  1. 打撃工法(ドロップハンマ・ディーゼルハンマ)
  2. 振動工法(バイブロハンマ・油圧ハンマ)
  3. 圧入工法(打込み式)

打撃工法(ドロップハンマ・ディーゼルハンマ)

ドロップハンマ工法

ドロップハンマ工法は、打撃により杭を打ち込む工法です。

打ち込みに使用するハンマの重量は、杭重量以上あるいは杭1mあたりの重量の10倍以上がのぞましいとされています。

またハンマ落下高さは2m以内で施工するのが一般的です。

 

 

ディーゼルハンマ工法

いっぽうディーゼルハンマ工法は、上下するラムの落下部分によって空気が圧縮され、燃料の噴射によって爆発させて打ち込む工法です。

地盤が固く抵抗が大きいと爆発力が増大し作業効率が上がります。

反対に地盤がやわらかいと爆発できないため、自由落下が必要になります。

 

振動工法(バイブロハンマ・油圧ハンマ)

バイブロハンマ工法

バイブロハンマ工法は、上下動の振動をあたえ、杭周辺の摩擦を低下させます。

そして杭とハンマの重量と上下加速度によって打ち込む工法です。

 

油圧ハンマは構造自体が防音構造であるとともに、ラムの落下高を調整できることから、杭打ち時の騒音を小さくすることができます。

油圧ハンマ工法

また、油煙の飛散もないため、低公害型ハンマとして使用頻度が高いです。

しかし、かたい杭に向かって数トンの重りを打ち付けるというスタイルのため、どう抑えても騒音や振動をゼロにはできません。

 

それぞれのハンマ工法を比較するとこんな感じ 🙂

ハンマ種類 メリット デメリット 適応性
ドロップハンマ工法 設備がかんたん

落下高さを自由に調整

故障が少なく工費が安い

頭部を損傷しやすい

打ち込める長さに制限あり

偏心しやすい

打ち込み速度がおそい

船打ちには危険が多い

あまり土質をえらばない

比較的断面が小さいとき

少しずつ加減をみながら打ち込みたいとき

ディーゼルハンマ工法 機動性に富む

大きな打撃力が期待できる

能率がよい

燃料費が安い

重量があるため設備が大きい

軟弱地盤では能率が低い

打撃音が大きい

油の飛散をともなう

かたい地盤に最適

どんな土質にもよい

バイブロハンマ工法 正確な位置方向に打ち込める

比較的騒音が少ない

頭部の損傷が少ない

打ち込み、引き抜きに兼用できる

大容量の電力が必要

土質変化の順応性が低い

軟弱地盤に最適

引き抜きに使用可能

油圧ハンマ工法 パワーがある

落下高さを自由に調整

比較的騒音が少ない(防音カバー)

油煙の飛散なし

重量があるため設備が大きい 砂・レキ・粘土

低公害型

その他の基礎工法についても併せて確認しておきましょう。

 

圧入工法(打ち込み工法)

圧入工法は圧入機械の重量を反力として、油圧ジャッキや多滑車などを使った静荷重によって、既製杭を地中に押し込んで設置する工法です。

載荷試験をおこないながら杭を設置しているので、支持力確認ができるという特徴があります。

 

打込み杭工法の注意点!杭の建込と打ち込み

杭を所定の位置に設置し、その軸方向が鉛直または設計で規定された斜角に建て込みましょう。

建込後の杭の鉛直性は、異なる直角2方向から検測します。

打込みに際しては、試験杭施工により決められた工法に従ってください。

また打ち込み時には、常に杭の位置および軸線を観測し、ズレと傾斜に注意しながら杭本体に損傷のないよう的確に打込みましょう。

 

また、群杭の場合は、杭群の一方の隅から他方の隅へ打込んでいくか、杭群の中央から周辺に向かって打ち進むのが良いとされています。

一方、杭打ちを中断すると、時間の経過とともに、杭周面の摩擦力が増大し、以後の打ち込みが不能になることもあるので、原則として連続で打ち込んでください。

さらに斜面あるいは凹凸のある箇所に建て込む場合や杭の建込のためにあらかじめ地盤を掘削する場合は、フーチング下面以下の掘削は原則として行ってはいけません。

 

既製杭の現場継手(打ち込み工法&埋め込み工法)

既製杭の現場溶接接手は、アーク溶接接手を原則とします。

現場溶接に関しては、知識経験のある溶接施工管理技術者を常駐させ、溶接施工管理技術者は溶接工の選定および溶接の管理、指導、検査を行うものとしてください。

 

溶接工は、JIS Z 3801およびJIS Z 3841に定められた試験の種類のうち、杭の現場溶接に必要な試験またはこれと同等以上の検定試験に合格した者のなかで、6ヶ月以上溶接工事に従事した者としてください。

コンクリート杭の現場溶接は、JIS A 7201に従って慎重に行いましょう。

また鋼管杭の現場溶接についても、これに準じて行うものとしています。

 

杭の現場溶接接手にあたっては、溶接条件、溶接作業、検査結果等を記録するものとします。

継手溶接の施工では、上下の杭の軸線は同一直線上に合致するように組み合わせて保持し、十分な時間をかけて確実な溶接を行わなければいけません。

一般には手溶接で13~18㎝/min、半自動溶接で25~35㎝/minを目安としています。

 

溶接完了後は、指定された方法、個数および指定された箇所について検査してください。

さらに現場溶接完了後は肉眼によって溶接部のわれ、ピット、サイズ不足、アンダーカット、オーバーラップ、溶け落ちなどの有害な欠陥を、すべての溶接部において検査するようにしましょう。

 

一方で、溶接作業に際しての気象条件として気を付けなければならないことがあります。

溶接作業に際しての気象条件
①降雨、降雪で母材がぬれるとき、風速毎秒10m以上の風が吹いているときは、溶接を行ってはならない。ただし、溶接部および溶接工が天候の影響を受けないよう十分な防護処置を行う場合は、責任技術者の承認を受けて溶接をおこなうことができる。
②気温が+5℃以下の場合は、溶接を行ってはならない。ただし、気温が+5℃から-10℃の場合で、溶接部から100mm以内の部分がすべて+36℃以上に予熱されている場合には差し支えない。
③溶接棒は使用時まで十分防湿し、湿気を帯びたものは乾燥器などにより十分に乾燥させなければならない。

 

打ち込み杭工法の打ち止めについて

杭基礎機械

杭は、試験工事の結果決定された深さで打ち止めるのを原則としています。

所定の支持層に達するまでに打ち込みが困難となる原因はこちら 😎

打込みが困難になる原因

  1. 中間層を打ち抜けない
  2. 土の締固め効果が大きい
  3. 支持層が予想より浅い
  4. 杭打ち設備不良や施工不良
  5. 杭先端が破損している

中間層を打ち抜けないことや土の締固め効果が大きいことなどによって杭が打ち止まる場合は、

  • ハンマを大きくする
  • 中堀り工法を併用する
  • フリクションカッターを先端部に取り付ける

等の対策が必要です。

支持層が予想より浅いことによって杭が打ち止まる場合は、施工範囲が広いとか、旧河川の流域などで見られます。

他の原因との識別が難しいですが、ボーリングの本数を増やしたり、他の杭の打ち止まり深さなどを調査したりして判断するようにしましょう。

杭打ち設備不良や施工不良の原因としては、

  • ハンマの調整が不良で定格能力が発揮できない
  • キャップ、クッションの設計、取り扱いが悪くてエネルギーロスが大きい
  • ハンマとの杭軸が一致していない

ことなどが挙げられます。

杭先端が破損する原因は、杭建込み時に先端部をぶつけたり、打ち込み中に玉石にぶつかった場合などであり、杭の取り換えや増し杭が必要です。

所定の長さを打ち込んでも打ち止め条件に達しない場合、継ぎ杭によって処理している例が多いでしょう。

また、打ち止め時貫入量は、打ち止め時一打あたりの貫入量は2~10mmを目安としています。

とくに2mm以下で打ち続けてはならないとされていますので注意してください。

 

打込み杭と埋込み杭工法の違い

一方で、埋込み杭工法の種類はこちら 🙂

埋込み工法

  1. プレボーリング工法
  2. 中堀り杭工法
  3. ジェット工法
  4. 鋼管ソイルセメント工法
  5. 回転杭工法
  6. 圧入工法(埋込み式)

打込み杭工法は基本的にハンマの打撃によって杭を打ち込みます。

一方で、埋込み杭は、さまざまな掘削と組み合わせて杭を埋め込む形です。

詳しくは既製杭工法の記事でまとめていますので、併せてチェックしてみてください。

 

打込み杭工法とは?打ち込み工法や注意点ほか埋込み杭との違いまとめ

打込み杭工法

  1. 打撃工法(ドロップハンマ・ディーゼルハンマ)
  2. 振動工法(バイブロハンマ・油圧ハンマ)
  3. 圧入工法(打込み式)

杭を所定の位置に設置し、その軸方向が鉛直または設計で規定された斜角に建て込むこと

既製杭の現場継手ではJISで基準が設けられている

打ち込み杭が打ち止まる場合の対策

  • ハンマを大きくする
  • 中堀り工法を併用する
  • フリクションカッターを先端部に取り付ける

埋込み工法

  1. プレボーリング工法
  2. 中堀り杭工法
  3. ジェット工法
  4. 鋼管ソイルセメント工法
  5. 回転杭工法
  6. 圧入工法(埋込み式)

打込み杭工法は基本的にハンマの打撃によって杭を打ち込む

一方で、埋込み杭は、さまざまな掘削と組み合わせて杭を埋め込む形

 

 

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報発信中!

 

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