今回のテーマは【プレボーリング工法】
PHC杭やSC杭の施工方法や留意点などをまとめましたのでぜひご覧ください。
さらに中掘杭工法との違いも要チェック!
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
プレボーリング工法とは?PHC杭やSC杭の施工方法や中掘杭工法との違い
プレボーリング工法の施工の流れ
プレボーリング工法は、掘削ビットおよびロッドで地盤を掘削し、根固め液と杭周固定液を注入したあと、工場製作によるRC杭、PHC杭またはSC杭などを沈設する工法です。
既設杭工法のひとつです。
ただしこのプレボーリング杭工法は、掘削孔壁と杭体周面との空隙を確実に充てんできる時だけに限定されます。
さらに掘削孔の崩壊は高止まり等の原因になるため、十分な注意が必要です。
一方、施工方法の流れは以下の図解をご覧ください。
プレボーリング工法
- 掘削ビット(オーガ)とロッドで掘削
- 掘削孔が崩壊するような場合は掘削液(水やベントナイト溶液)を使う
- 所定の支持力を発現するため、オーガの引き上げとともに根固め液を注入
- さらに杭周固定液(セメントミルクなど)を注入
- 工場製作によるRC杭、PHC杭、SC杭などを挿入(沈設)
- 所定の深度まで自沈または回転圧入によって沈設し施工完了
また、プレボーリング杭工法は既製杭工法のなかで【埋込み杭工法】に分類されます。
地盤の支持層の手前まで穴を掘り、その中に杭を打設することで、打ち込み工法よりも打撃回数や騒音、振動などは少ないのが特徴です。
そのため、打撃の工程である程度の騒音や振動は発生してしまいますが、最初から杭を打ち込んでいく打ち込み工法よりも振動や騒音を低減することが可能となっています。
埋込み杭工法 | 打ち込み工法 |
プレボーリング工法
中堀り杭工法 圧入工法 ジェット工法 鋼管ソイルセメント杭工法 |
打撃工法
振動工法(バイブロハンマ工法) |
プレボーリング工法 | 中掘杭工法 |
掘削しながら根固め液や杭周固定液を使用し、その後杭を挿入(圧入)する。 | 先端開放の杭を掘削しながら沈設し、その後に打撃貫入して先端処理を行う。 |
プレボーリング工法は、掘削後に杭挿入、中掘杭工法は掘削しながら先端開放の杭を同時に建て込みます。
その他、基礎工法もいろいろありますので併せてご確認ください。
プレボーリング工法の施工上の留意点
プレボーリング杭工法の留意点として、①掘削時、②根固め液、③杭周根固め液、④杭に分けて解説します。
①掘削時
掘削中は、掘削液を掘削ビットの先端部から吐出して、地盤の掘削抵抗を減少させます。
このとき、掘削深度は地盤に適した速度となることが重要なので十分に検討してください。
そして土質条件によって掘削孔が崩壊するような場合は、掘削液(ベントナイト泥水)を使用するのが良いとされています。
また、掘削時に孔壁の崩壊がない場合においても、孔内水位を低下させることは、杭先地盤や杭周辺地盤を緩めることになるので絶対に避けてください。
さらにオーガの先端が所定の深さに達した際には、過度の掘削や長時間の攪拌等によって周囲の地盤を乱さないように注意しましょう。
②根固め液
根固め液は、所定の支持力を厚減するために確実に注入します。
根固め液に用いるセメントミルクの水セメント比W/Cは60%程度とし、根固め液は先端部周辺の砂質地盤と十分に攪拌しながら、所定の深さまで注入してください。
プラントより採取した根固め液の圧縮強度は、σ₂₈≧20N/㎜²とするのが望ましいとされています。
③杭周根固め液(杭周固定液)
杭周根固め液(杭周固定液)に用いられるセメントミルクは、必要な強度を有し、かつ杭周面に確実にソイルセメント柱が形成されるように、注入量、注入速度などに留意しながら杭周固定部に確実に注入しましょう。
杭周固定部の強度は、σ₂₈≧1.5N/㎜²とされています。
④杭
杭は設計で考慮した支持力を確保するために、所定の深さまでしっかり沈設してください。
また、杭の傾斜に注意しながら、掘削孔に正確に建て込まなければなりません。
杭を沈設する際には、孔壁を削ったり杭体を損傷することのないよう確実に行い、注入した杭周固定液が杭頭部からあふれることを確認しましょう。
杭の挿入は自沈または回転圧入により行い、所定の深度まで確実に沈設しなければいけません。
一方で、杭の支持力を増加するため、杭を建て込んだのちに圧入や打ち込みを行うことがあります。
プレボーリング工法とは?PHC杭やSC杭の施工方法や中掘杭工法との違いまとめ
プレボーリング工法は、掘削ビットおよびロッドで地盤を掘削し、根固め液と杭周固定液を注入したあと、工場製作によるRC杭、PHC杭またはSC杭などを沈設する工法
プレボーリング工法
- 掘削ビット(オーガ)とロッドで掘削
- 掘削孔が崩壊するような場合は掘削液(水やベントナイト溶液)を使う
- 所定の支持力を発現するため、オーガの引き上げとともに根固め液を注入
- さらに杭周固定液(セメントミルクなど)を注入
- 工場製作によるRC杭、PHC杭、SC杭などを挿入(沈設)
- 所定の深度まで自沈または回転圧入によって沈設し施工完了
プレボーリング工法と中掘杭工法の違い
プレボーリング工法 | 中掘り杭工法 |
掘削しながら根固め液や杭周固定液を使用し、その後杭を挿入(圧入)する。 | 先端開放の杭を掘削しながら沈設し、その後に打撃貫入して先端処理を行う。 |
①掘削時 | 掘削中は、掘削液を掘削ビットの先端部から吐出して、地盤の掘削抵抗を減少させる |
②根固め液 | 根固め液は、所定の支持力を厚減するために確実に注入する
根固め液に用いるセメントミルクの水セメント比W/Cは60%程度とし、根固め液は先端部周辺の砂質地盤と十分に攪拌しながら、所定の深さまで注入する |
③杭周根固め液(杭周固定液) | 杭周根固め液(杭周固定液)に用いられるセメントミルクは、必要な強度を有し、かつ杭周面に確実にソイルセメント柱が形成されるように、注入量、注入速度などに留意しながら杭周固定部に確実に注入する |
④杭 | 杭を沈設する際には、孔壁を削ったり杭体を損傷することのないよう確実に行い、注入した杭周固定液が杭頭部からあふれることを確認すること |
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報発信中!