土木施工管理技士&土木知識のWEB図書館

土木LIBRARY

道路工事の手順&種類とは?知っておきたい土木工事かんたん解説

こんにちは、元土木公務員で1級土木施工管理技士のちゃんさとです。

 

今回のテーマは【道路工事】

道路工事の種類や工法、手順まで、実際に道路工事に携わった私がまるっと解説していきます。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 😀

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員(土木職)の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 現場監督・施工管理の経験あり
  • 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報を発信しています。
  • 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!

 

道路工事の手順&種類とは?知っておきたい土木工事かんたん解説

道路工事は大きく分けて3つに分けることができます。

道路工事の分類

  1. 道路工事(国や各都道府県が実施する)
  2. 占用工事(電気やガス、水道などの業者が占用して行う)
  3. 承認工事(個人が道路管理者の承認を得た形で行う)

道路工事とは、各都道府県の道路を管理している者が行っている工事のことです。

主に新設工事・改良工事・維持、修繕工事などがあります。

 

占用工事とは、水道やガス、電気など様々な業者が占有して行う工事のこと!

たとえば道路に管や線などを新設する場合には新設工事となり、古くなった線などを更新する更新工事などがあります。

どの工事も道路占用許可を得る必要があり、該当する自治体にかならず確認しましょう。

 

承認工事とは、基本的には個人が道路管理者の承認を得たうえで行う工事のことです。

たとえば自宅の車庫の前の歩道の段差をなくすための工事や、ガードレールの撤去や街路樹を移設するような工事も承認工事となるでしょう。

いっぽうで、費用がかかるケースも多いので、「自費工事」と呼ばれることもあります。

 

一方で、道路の種類は実はこんなにたくさん!

管理者もそれぞれ違いますので注意してください。

道路の種類

  1. 高速自動車道国道
  2. 一般国道
  3. 都道府県道
  4. 市町村道
  5. 専用自動車道
  6. 農道
  7. 林道
  8. 公園道
  9. 自然研究路
  10. 園路
  11. 里道
  12. 私道

 

道路工事の種類

それでは、道路工事の種類についてさらにくわしくみていきましょう。

主に国や県などの自治体が実施する道路工事について解説していきます。

道路工事の種類

  1. 新設工事
  2. 改良工事
  3. 維持・補修工事(道路付属物)

 

新設工事

道がない場所に、新しく道路をつくる工事のことです。

新設工事となると、土地の買収(用地買収)も必要となり、事業計画から工事完成までは、5~10年かかることが多いです。

 

改良工事

今ある道路に、新しく歩道を設置したり、道路幅を広げたりする工事です。

家屋と道路が近接している場所では、接触事故のおそれがあります。

また小学校などがあり児童が登下校する道路では、歩道がないと危険ですよね。

そんなわけで、道路の現地調査を行い、改良工事が行われるという流れとなります。

 

維持・修繕工事(道路付属物)

劣化した道路のメンテナンスや、ライン・標識・ガードレールなどを新しく取り換える工事などのことです。

たとえば、道路で言うと舗装にひび(クラック)が入ったり、ガードレールが錆びてしまっていたりするのをみたことがないでしょうか?

道路を安全に走行するためにも、常日頃のメンテナンスはかなり重要な管理となります。

 

道路工事(舗装)の役割

舗装されていない道路だと、雨が多い時期ではぬかるみも増えてしまい、また乾燥した時期だと粉塵が舞うため、交通環境が悪化してしまうことがあるでしょう。

ぬかるみや粉塵予防ともなる舗装を行うことによって、天候や季節での影響も少なく、快適な道路を利用できます。

また、道路を舗装することで路面を平坦にし、適度な滑りや抵抗を持たせることができるでしょう。

そのため歩行者や車両にとって安全な通行ができるのがメリットです。

さらに景観の維持・改善の役割も持ちます。

道路の舗装は実用面だけでなく、景観にもプラスであり、周辺環境に適した舗装によって、見た目も良くなり、景観の維持・改善にも役立つでしょう。

 

道路工事(舗装)の種類

舗装の種類

  1. アスファルト舗装
  2. コンクリート舗装
  3. 特殊舗装

アスファルト舗装

アスファルトに砂や砕医師などの材料を混ぜ込み、ローラーなどで整える舗装のことです。

工事期間や施工期間が短縮でき、さらにコストもリーズナブルなどのメリットがあります。

また防水性や透水性を向上できるでしょう。

ただし、耐熱性・耐久性は劣るため、定期的に補修工事などのメンテナンスが必要となります。

そしてアスファルト舗装作業のながれは以下のとおり!

アスファルト舗装作業のながれ
手順 工程 内容
路床工 ブルドーザーか、モーターグレーダーで該当箇所を均し、ローラーで転圧
路盤工 モーターグレーダーを使って下層路盤にはクラッシャラン、上層路盤には粒度調整砕石で敷き均し、ロードローラー、またはタイヤローラーで転圧
プライムコート(アスファルト乳剤を散布) 路盤表面の強化や、雨水の浸透防止といった目的
基層 基層とはアスファルト舗設のことで、「敷き均し」と「締固め」をおこなう
敷き均し アスファルトフィニッシャーを使って、アスファルト混合物を敷き均す作業(余盛量15~20%程度の厚さ)
締固め 敷き均し作業の終了後、ローラーを用いて、「継ぎ目→初期転圧→二次転圧→仕上げ転圧」という順番で締固め
タックコート(アスファルト乳剤を散布) アスファルト舗設が終わったら散布する。基層と表層、または付帯構造物との付着を改善することが目的
表層(アスファルト舗設) 基層と同じ作業手順で締固めの作業

 

コンクリート舗装

水・石・コンクリートを混ぜた材料で舗装することです。非常に耐久性が高く、硬いという特徴があるので、駐車場などのスペースに採用されることが多いでしょう。

また耐熱性にも優れているため、夏でも温度が上がりにくいというメリットもあります。

ただ施工に手間や時間もかかるため、コストも高くなりがちで、追加の工事がしにくいというデメリットもあります。

アスファルトとコンクリートの違いについてはまた別記事でまとめていますので併せてご確認ください。

 

特殊舗装

道路や用地などの目的に応じて、着色舗装や排水性舗装などが行われるケースがあります。

着色舗装は視覚的に安全を守り、自然と通行者の安全意識を向上させる役割があります。

一方、雨水がたまりやすく事故が多発している箇所は、排水性舗装への変更が求められることがあるでしょう。

 

道路工事の流れや手順

道路工事の流れ

  1. 事業計画
  2. 道路調査
  3. 測量
  4. 概略設計
  5. 用地買収
  6. 詳細設計
  7. 工事発注&工事受注
  8. 現地の確認
  9. 路床工
  10. 路盤工
  11. アスファルト乳剤(プライムコート)
  12. 基層
  13. 敷き均し
  14. 締固め
  15. アスファルト乳剤(タックコート)
  16. 表層

道路工事(新設)を実施するためには、まず事業計画からはじまります。

補修工事を行う場合でも、予算を獲得するために前年から準備し計画している自治体がほとんどでしょう。

たくさんの人が関わって、その地域に住む住民の暮らしやすさを改善するために奮闘しています。

そして次に、測量などの現地調査を実施します。

 

設計図が完成すれば、関連する住民に説明を行い、環境や予算に合わせて工事の方法などを決定されます。

工事を発注し、受注者が決まれば工事の開始!

路床工では、ブルドーザーなどで均一にならし、ローラーのついた重機で固めていきます。

切土路床・盛土路床・置き換え路床の3つに分類され、それぞれに適した路上の工法が選択されるでしょう。

つづいて路盤工です。

路床が完成したら、その上に砕石などの材料を平坦に敷き、路盤を固めていきます。

モーターグレーダーを使って下層路盤にはクラッシャラン、上層路盤には粒度調整砕石で敷き均し、ロードローラー、またはタイヤローラーで転圧します。

路盤が完成すれば、次に重機で基盤を固める作業を行います。

敷き均し作業の終了後、ローラーを用いて、「継ぎ目→初期転圧→二次転圧→仕上げ転圧」という順番で締固め

最後に表層です。

人や車両などが直接触れる部分の工事などで、しっかりと平坦にならし、ひび割れにくいなどの見た目も大切になってきます。

耐水性や滑りにくさ、強度なども求められるでしょう。

ちなみに舗装工事ではプライムコート、タックコートとよばれるアスファルト乳剤があります。

ちがいはこんな感じ 🙂

アスファルト乳剤 タックコート プライムコート
散布箇所(使う位置) 表層と基層のあいだ(アスファルト層) 基層と上層路盤のあいだ
種類 PK4(タックコート用) PK3(プライムコート用およびセメント安定処理層養生用)
効果 基層と表層の接着を強化する 路盤とアスファルトのなじみを良くする

 

道路工事で確認しておきたい道路勾配(基準)

道路工事(設計)を行うときには、道路構造令における道路勾配の確認が必要です。

ざっくりまとめるとこんな感じ!

道路構造令 勾配の種類 ポイント
第16条 片勾配 第4種の道路では、地形の状況その他の特別の理由、やむを得ない場合において、片勾配を設置しなくてもよい
第20条 縦断勾配 (縦断)登坂勾配は、勾配区間に進入する速度により、許容速度を保てれば、基準の登坂勾配よりもやや高めの値でもOK

やむを得ない場合での最大縦断勾配(登坂)は、安全性を考慮し12%

登坂車線を設置した場合には、上表の制限延長を超えて縦断勾配を設定してよい

第24条 横断勾配 歩道や自転車道にはきほん、2%の横断勾配をつける
第25条 合成勾配 設計速度が1時間につき30㎞または20㎞の道路で、地形の状況その他の特別な理由によりやむを得ない場合は、12.5%以下とすることができる

 

道路工事を行うには施工承認が必要(法律・道路法)

道路工事を行うには「施工承認」の申請が必要です。

だいたい自治体の道路(維持)課や管理課などが対応しています。

くわしくは該当する自治体(市役所や土木事務所など)に相談してみてください。

道路工事の手順&種類とは?知っておきたい土木工事まとめ

道路工事の分類

  1. 道路工事(国や各都道府県が実施する)
  2. 占用工事(電気やガス、水道などの業者が占用して行う)
  3. 承認工事(個人が道路管理者の承認を得た形で行う)

道路工事の種類

  1. 新設工事
  2. 改良工事
  3. 維持・補修工事(道路付属物)
アスファルト舗装作業のながれ
手順 工程 内容
路床工 ブルドーザーか、モーターグレーダーで該当箇所を均し、ローラーで転圧
路盤工 モーターグレーダーを使って下層路盤にはクラッシャラン、上層路盤には粒度調整砕石で敷き均し、ロードローラー、またはタイヤローラーで転圧
プライムコート(アスファルト乳剤を散布) 路盤表面の強化や、雨水の浸透防止といった目的
基層 基層とはアスファルト舗設のことで、「敷き均し」と「締固め」をおこなう
敷き均し アスファルトフィニッシャーを使って、アスファルト混合物を敷き均す作業(余盛量15~20%程度の厚さ)
締固め 敷き均し作業の終了後、ローラーを用いて、「継ぎ目→初期転圧→二次転圧→仕上げ転圧」という順番で締固め
タックコート(アスファルト乳剤を散布) アスファルト舗設が終わったら散布する。基層と表層、または付帯構造物との付着を改善することが目的
表層(アスファルト舗設) 基層と同じ作業手順で締固めの作業

道路工事の流れ

  1. 事業計画
  2. 道路調査
  3. 測量
  4. 概略設計
  5. 用地買収
  6. 詳細設計
  7. 工事発注&工事受注
  8. 現地の確認
  9. 路床工
  10. 路盤工
  11. アスファルト乳剤(プライムコート)
  12. 基層
  13. 敷き均し
  14. 締固め
  15. アスファルト乳剤(タックコート)
  16. 表層

以上です。

ありがとうございました。

  • B!