こんな疑問にお答えします。
ベーン試験は土質試験のなかの原位置試験に分類されます。
ベーンせん断試験機や粘着力計算方法などについてくわしく見ていきましょう。
それではさっそく参りましょう、ラインナップはこちらです。
ベーン試験とは?ベーンせん断試験機や粘着力計算方法をわかりやすく解説
ベーン試験とは、斜面や基礎地盤の安定計算に使われる、土の粘着力c(せん断強さ)を求める試験です。
ベーン試験機に十字型の羽(ベーン)をロッドの先端にとりつけて地盤中に押し込みます。
そしてロッドを回転させて、ベーンが地盤をせん断するときのロッドのトルクから土の粘着力cを求めます。
この試験には、ボーリング孔を利用して孔底から地中に押し込む【ボアホール式】と、地表から地中に押し込む【押込み式】があります。
対象とする地盤は軟弱な粘性土地盤であり、一般にN値2以下の粘土、シルトなどの地盤に有効です。
逆に、砂やN値4以上の粘性土に対しては試験の実施がむずかしいとされています。
試験可能な深さはだいたい15mくらいです。
この試験方法は、土質試験のなかの原位置試験に分類され、【JGS 1411「原位置ベーンせん断試験方法」】として基準化されています。
また、その他の原位置試験については別記事でまとめていますので併せてご確認ください。
ベーン試験またはベーンせん断試験機の目的
ベーン試験の目的は、軟弱地盤を判定するために地盤の粘着力を求めることです。
細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算などに使われます。
ベーン試験から求められるのはせん断強さ(≒粘着力c)
ベーン試験から求められるのは、土のせん断強さです。
粘着力cとほぼ一致(同じ値)します。
Tv=(M-Mf)/π(D²H/2+D³/6)
言葉の定義
- Tv:ベーンせん断強さ(kN/㎡)
- M:測定最大トルク(kN・m)
- Mf:試験機の摩擦トルク(kN・m)
- D:ベーンブレードの幅(m)
- H:ベーンブレードの高さ(m)
また、回転ロッドの先端につけたベーンをボーリング孔底または地表から押し込んで、所定の速度で回転させたときの測定最大トルクや鋭敏比Stvを求めることができます。
乱した土の場合は、ベーンを10回以上回転させ行います。
鋭敏比Stv=Tfv÷Trv
言葉の定義
- Tfv:乱さない土のベーンせん断強さ(kN/m2)
- Trv:乱した土のベーンせん断強さ(kN/m2)
鋭敏比とは、土がこねくり返された前後の土の強度の比のこと!
土をこねくり返すと土の強度は減少することが多いです。
一般的な粘土の鋭敏比は2~4ですが、関東ロームなどは8~10くらいあります。
鋭敏比の大きければ大きいほど流動化しやすく、施工しにくい状態です。
ベーン試験またはベーンせん断試験方法
ベーン試験方法は以下のとおりです。
【ベーン試験フロー】
ベーンを回転させ、測定をくりかえすことで地盤のせん断強さ(粘着力)を求めることができます。
ベーン試験とは?せん断試験機や粘着力計算方法まとめ
ポイント
- ベーン試験とは、斜面や基礎地盤の安定計算に使われる、土の粘着力c(せん断強さ)を求める試験
- ベーンせん断試験の目的は、軟弱地盤を判定や細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算のため
- ベーンせん断試験から求められるのはせん断強さや鋭敏比
- ベーン試験方法は、ベーン試験機に十字型の羽(ベーン)をロッドの先端にとりつけて地盤中に押し込み、ロッドを回転させる
今回は以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いている人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国公立大学の土木工学科卒業
- その後、某県庁の公務員(土木職)として7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 1級土木施工管理技士、玉掛、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士や土木知識をメインに情報発信をしています。