土木施工管理技士&土木知識のWEB図書館

土木LIBRARY

スウェーデン式サウンディング調査や試験報告書の見方!費用や方法も解説

スウェーデン式サウンディング試験の報告書の見方がよくわからない…

こんなお悩みを解決します。

 

家を建てるときの地盤調査では、最も安価でポピュラーなスウェーデン式サウンディング試験。

報告書の見方や費用・調査方法などを分かりやすくまとめましたので参考にしてください。

それではさっそく参りましょう、ラインナップはこちらです。  

 

スウェーデン式サウンディング調査や試験報告書の見方!費用や方法も解説

スウェーデン式サウンディング試験で確認すべき事項は以下のとおりです。

確認事項

  1. 貫入状況
  2. 土質の推定
  3. 荷重Wsw(kN)
  4. 半回転数Na(回)
  5. 1mあたりの半回転数Nsw(回)
  6. 貫入深さD(m)
  7. 貫入量L(cm)
  8. 換算N値
  9. 支持力qa(kN/m2)
ひとつひとつ確認していきますね!

 

貫入状況

ロッドの回転時の音や沈み込みスピードの様子(スルスル、ユックリなど)を表します。

すべての層について記録する報告書もありますが、特徴や問題があった層だけ記録している場合もあります。

音の表現方法は、調査員の感覚や技術によって異なるため(経験値)よく確認してください。  

 

土質の推定

貫入時の音や感触から土質を推定します。

基本的に土質はm、粘性土・砂質土・レキ質土の3種類です。  

荷重Wsw(kN)

荷重(Wsw)とは、ロッドを25cm貫入させるために必要とする重さのことです。

荷重(Wsw)は、

  • 0.05kN
  • 0.15kN
  • 0.25kN
  • 0.5kN
  • 0.75kN
  • 1.00kN

の6段階です。

一般的にかたい地盤とは、1kNの荷重に耐える必要あり!

おもりが重い方がかたい地盤だと分かります。

試験ではおもりをだんだん重くしていき、何kNのときに沈み込んだかを記録します。

おもりを最大(1kN)にしても沈み込まなかった場合、半回転数(Na)の項目も同時に確認する必要が出てきます。

 

半回転数Na(回)

1kN(100kg)のおもりでもロッドが貫入しなかった場合には、25cm貫入するまでロッドを回転させます。

25cm貫入させるの必要な回転を表す単位が、半回転数(Na)です。

半回転数(Na)が多い方が、かたい地盤であることを意味しています。  

 

1mあたりの半回転数Nsw(回)

Naを4倍して、1mあたりに換算した値が半回転数(NsW)です。

報告書では数値と棒グラフ(線グラフの場合もあり)で表されます。

荷重グラフの右側に表示され、荷重のグラフのゼロから1mあたりの半回転数(Nsw)のグラフの範囲まで棒が伸びていれば、1kNの重さに耐えたことを表します。

棒グラフが長ければ長いほどかたい地盤です。

 

貫入深さD(m)

地表面からの貫入深さを表します。

0.25、0.5、0.75、1.00mと、25cm間隔で表示します。

10mくらいまで調査可能です。

異物やとてもかたい地盤にぶつかると調査できない場合もあります。

25cm間隔でない数値は、それ以上に貫入できなかったということを表します。  

 

貫入量L(cm)

ひとつ前にとった貫入量データから、さらにどれだけ貫入したかを表した値のことです。

貫入量Lをすべて足し算した値と、最終的な貫入深さDをcmになおした値は同じになります。  

 

換算N値

N値とはボーリング調査で得られる値で地盤のかたさを表すものです。

N値が大きいほどかたくしまった地盤であることが分かります。

スウェーデン式サウンディング試験では、計算によってボーリング調査のN値に相当する換算N値を割り出します。

換算N値の計算式

  • 砂質土 N=2Wsw+0.067Nsw
  • 粘性土 N=3Wsw+0.050Nsw

一般的に、木造住宅を建てるとすると換算N値は3.0以上が必要です。  

支持力qa(kN/m2)

地盤のかたさや耐久度を表す値です。

許容支持力、許容地耐力とも呼ばれ、支持力は以下の計算式で求められます。

支持力qa=30Wsw+0.64Nsw(Nswが150を超える場合は150)

(引用:日本建築学会推奨式)

 

スウェーデン式サウンディング試験(調査)の費用

1ヵ所あたりおよそ6万円前後です。

地盤調査の方法の中では、最も費用が安いと言われています。

また特に大きな機械ではないので、せまい場所でも作業ができますよ 🙂 

住宅の地盤調査では基本的に4か所以上の測定が必要とされていますが、一般的な一戸建て住宅であれば1日で調査を終えることが可能です。

スウェーデン式サウンディング試験はスペースもとらず時間もかからない、そしてさらに低コストであることから、多くの戸建て住宅の地盤調査に採用されています。

 

スウェーデン式サウンディング調査の試験方法

スウェーデン式サウンディング試験は原位置試験のひとつ。

ロッドと呼ばれる鉄の棒の先端に、スクリューポイントと呼ばれるドリルを取り付けたものを使用します。

このロッドに荷重をかけ、一定の深さまで到達するために必要なおもりの重さや、スクリューポイントの回転数などから、地盤の強度を測定。

深さは10メートルくらいまで測定でき、使用する機械によって手動式、半自動式、自動式の3つの方法があります。

 

いっぽうでデメリットもあります。

スウェーデン式サウンディング調査では、地盤のかたさを表すN値が15以上となる地盤の調査はできません。

さらに地中に異物やコンクリートの破片など異物が混じっている場合も、正確な調査ができないことがあります。

また土壌採取はできないので、正確な地質判定は得られません。

簡易的な調査で言えば、ポータブルコーン貫入試験も併せてチェックしておくとよいでしょう。

 

スウェーデン式サウンディング試験では、ロッドの貫入量と回転するときの音や感触をもとに地質を判定します。

そのため人によって判定にちがいが出ることもあり、熟練の人でもあくまで推定の判定しかできません。

より正確な判定を求めるのであれば、ボーリング調査をおこなうことをおすすめします。  

 

スウェーデン式サウンディング調査や試験報告書の見方!費用や方法もまとめ

スウェーデン式サウンディング試験報告書の見方

棒グラフが荷重Wswから1mあたりの半回転数まで伸びている時点で、1kN(100㎏)に耐えられる相当かたい地盤ってこと!

確認事項

  1. 貫入状況
  2. 土質の推定
  3. 荷重Wsw(kN)
  4. 半回転数Na(回)
  5. 1mあたりの半回転数Nsw(回)
  6. 貫入深さD(m)
  7. 貫入量L(cm)
  8. 換算N値
  9. 支持力qa(kN/m2)

スウェーデン式サウンディング試験は、安価でスペースもとらず時間もかからないことから、住宅の地盤調査で最もよく使われる方法

費用は1ヵ所あたり6万円前後

調査方法

  • 荷重による貫入と回転貫入を併用した方法で、ロッド先端にスクリューポイントを取り付け、荷重を50N(5kg)~1kN(100㎏)まで順番にかけ、貫入量を記録する
  • 1kN(100㎏)の荷重をかけて貫入しなくなった時点から、25cm貫入するのに必要な半回転数を記録する

 

今回は以上です。

参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

 

この記事を書いている人

名前:ちゃんさと

元公務員の主婦ブロガー💻

  • 元公務員土木ブロガー
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 某県庁の公務員(土木職)として7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛、危険物取扱者乙4などの資格もちです。
  • 今はブログやYouYubeで土木施工管理技士や土木知識をメインに情報発信をしています。

 

  • B!