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上水道とは?簡単にイラストで上下水道の仕組み・違いをわかりやすく解説

上下水道とは何?上水道と下水道のしくみとちがいを簡単にわかりやすく教えて

文字だけ見ると【上と下】だけのちがい。

だけど同じ水道とはいえ、上水道と下水道では目的やしくみがちがいます。

水道施設で働いたこともある私が、それぞれの定義と、上水道と下水道の違いや仕組みを分かりやすく簡単にまとめましたので参考にしてください。

 

この記事を書いている人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員(土木)の土木ブロガー💻(水道・ダム・道路・河川・砂防の工事経験あり)
  • 国立大学★土木工学科卒業
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報発信をしています。
まずは上水道から!

上水道とは?仕組みを簡単にわかりやすく解説

上水道とは、私たちがふだん飲んでいる、水道から出る水のこと。(飲料水)

安全でおいしい水をつくるために欠かせない施設をご紹介します。

上水道の施設を簡単に解説

上水道の施設は大きくわけて、

上水道の施設

  1. 水源施設(取水施設)
  2. 浄水施設
  3. 送水施設

の3つに分けられます。

上水道の施設をくわしく解説

もう少しくわしく説明するとこんな感じです。

水源施設(取水施設) 水道水をつくるため、河川などから水を取り入れる施設のこと

例)取水堰、取水樋門、井戸、揚水機場など

浄水施設 河川などから取り入れた水を、水処理して飲み水としてキレイにする施設

一般的には、沈殿、ろ過、消毒の3つの過程をへて、私たちがふだん飲んでいるきれいな水ができあがる

送水施設 つくった飲み水を、地域の家庭や学校などに送水する施設

送水施設の分類は以下のとおり

  1. 導水路:取水源から浄水場までの水路
  2. 送水路:浄水場から配水池までの水路
  3. 配水路:配水池から各給水エリアに分配する水路
  4. 給水路:配水管から分岐し、各家庭やビルなどの敷地内の水路

 

上水道の仕組みをイラストで簡単に解説

水道水がつくられるのは主に浄水施設です。

水道水がつくられるまでのしくみをみてみましょう 🙂

河川から取ってきた水を、きれいな飲み水にするまでの過程は以下のイラストのようになります。

 

浄水施設の名称 ことばの定義
混和池(こんわち) 薬品を入れて、水をよくかきまぜる池のこと
薬品沈殿池(やくひんちんでんち) 薬品を入れて、ごみを沈ませる池のこと
凝集池(ぎょうしゅうち) かき混ぜることで、フロック(ごみなどの塊)をつくる池のこと
急速ろ過池(きゅうそくろかち) 薬品ちんでん池で取り除くことができなかった細かいフロックの汚れをろ過する池のこと
浄水池(貯水池) キレイになった水を一時的に溜めておく池のこと

また浄水場のろ過池についてはいくつか種類があるので、さらにくわしく知りたい方は別記事でご確認ください。

 

下水道の仕組みを簡単にわかりやすく解説

下水道とは、いわゆる「使い終わった・汚い」水をキレイに浄化し、河川や海へ放流する施設のことです。

 

下水道の下水処理システムをイラストで簡単に解説

下水道処理のシステムは以下のとおり!

 

下水処理では、水処理施設と汚泥処理施設に分けられ、キレイになった水は河川や海に戻したり、再利用されたりします。

また排出された汚泥は処分のほか、乾燥させてセメントの材料に使われたりもしますよ 🙂

下水道処理について併せて別記事でどうぞ!

下水道処理施設

下水施設の名称 ことばの定義
沈砂池(ちんさち) ごみや土砂を沈下させて取りのぞく池のこと
汚水ポンプ 地下深くの汚水をくみ上げるポンプのこと
最初沈殿池(さいしょちんでんち) 沈砂池で沈まなかった小さなごみや砂を沈殿させる池のこと
曝気槽(ばっきそう) 活性汚泥(バクテリアなどの微生物)を加えて、下水に含まれる有機物を吸着・分解する役割をもつ
最終沈殿池(さいしゅうちんでんち) 活性汚泥を沈殿させ、上澄み水は消毒施設、沈殿した汚泥は曝気槽へ返送する施設
消毒施設(塩素減菌池) キレイになった上澄み水を塩素で消毒し、河川や海に放流する
高度処理 工業用水や農業用水として再利用するため、処理水の窒素とリンの除去をおこなうこと
汚泥濃縮槽 水をキレイにする過程で出てきた汚泥を濃縮する施設
汚泥消化槽 空気のない状態で、嫌気性微生物の力で汚泥を減量化する施設
汚泥脱水機 濃縮汚泥に凝結剤または凝集剤を添加し、脱水機により減量化させ固形物と分ける施設

 

下水道の排水方式

下水の排水の種類は、主に雨水と汚水です。

そして下水の排水方式は

下水の排水方式

  1. 合流式
  2. 分流式

の2つに分類できます。

合流式とは、雨水と汚水を同じ系統で流下させる方式です。

一般的には汚水より雨水のほうが多いので、管路断面は雨水量で決められています。

雨水排水がメインとなりますが、汚水に含まれる浮遊物などが水質汚染につながる可能性があるので注意が必要です。

 

一方で、分流式とは、雨水と汚水を別々の系統で流下させる方式です。

管を分けるため、建設費はお金がかかります。

しかし水質汚染の影響は少なく、効率的な水処理ができるのがメリットです。

分流式のほうが合流式より多い

 

 

上水道と下水道の違いを簡単にわかりやすく解説

上水道と下水道はまず目的がちがいます。

上水道:飲み水をつくる

下水道:汚い水をキレイにして河川や海に戻す(再利用)

 

水処理の違い

ふたつの水処理の過程は以下の表のとおりです。

上水道処理 下水道処理

 

管の違い

上水管と下水道管のちがいはこんな感じ 🙂

上水道管 下水道管
流下方式:ポンプ使用

材料:ダクタイル鋳鉄管、塩化ビニル管、ポリエチレン管など

マンホール設置が義務ではない(送水管などには使われる)

流下方式:原則は自然流下(流下勾配が必要)※中継ポンプを使うこともある

材質:塩化ビニル管、鉄筋コンクリート管(ヒューム管、推進管)など

点検・維持・管理のためマンホール設置が義務

 

とくに下水道管は、汚水には腐食性の物質が多く含まれるため、鋼管類は使いません。

 

上下水道管の工事の施工方法を簡単にわかりやすく解説

上下水道管を設置する施工方法は主に3つです。

工法名 施工方法
開削工法 土砂を掘削し、埋設する工法(オープンカットともいう)

経済的で施工もかんたんなのが特徴

推進工法 工場でつくられた推進管の先端に掘削機を取り付け、ジャッキの推進力などで管を地中に圧入して管渠をつくる工法
シールド工法 大口径(1,500mm以上)の掘削に使われるトンネル構築の工法

シールドという鋼製の枠を、ジャッキを使って推進させ管を敷設する

水道管の規模やまわりの環境によって、最適な工法をえらぶようにしてください。

 

 

上下水道とは?上水道と下水道の仕組み・違いを簡単にわかりやすく解説まとめ

上水道&下水道まとめ

上水道とは、私たちがふだん飲んでいる、水道から出る水のこと

下水道とは、いわゆる「使い終わった・汚い」水をキレイに浄化し、河川や海へ放流する施設のこと

上水道と下水道のちがいは、目的・処理方法・材質(管)などである

上下水道管の主な施工方法は、①開削工法②推進工法③シールド工法の3つ

 

今回は以上です。

参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

 

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