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橋梁部材の読み方!橋梁用語(施工や補修&点検別に名称)かんたん検索

今回のテーマは【橋梁に関連する用語】

目次から好きなところにジャンプしてもらって、辞典のように使ってもらえたらうれしいです。

それでは、さっそく参りましょう、ラインナップはこちら。

 

橋梁部材の読み方!橋梁用語(施工や補修&点検別に名称)かんたん検索

まずは橋梁の構造から!

橋梁用語①橋梁本体の構造名称

橋梁構成の名称 意味
上部工(じょうぶこう) 道路、鉄道、水路などの輸送路の通過荷重を直接支持する
下部工(かぶこう) 上部構造を支える部分。橋台(アバット)、橋脚(ピア)および基礎からなる
橋長(きょうちょう) 橋台のパラペット前面間のキョリ
支間(しかん) 支承中心間のキョリ
径間(けいかん) 橋台あるいは橋脚の前面間のキョリ
桁下高さ(けたしたたかさ) 上部の下部に確保される空間の高さ
橋脚またはピア(きょうきゃく) 橋のあいだを支える柱のこと。直接基礎や井筒基礎などがある
橋台またはアバット(きょうだい) 橋の両端(はじまりと終わり)を支える台。アバットともいう
盛りこぼし橋台 盛土で構築された地盤上に小橋台を設ける構造で、一般的には杭基礎が採用されている。
ウイング 橋台背面土砂の保護を目的として設けられる壁。翼壁(よくへき)とも呼ぶ。一般的には、橋軸方向に橋台の側面に固定して設けられる
ウエブ 部材を構成する部分の一つで、上下フランジに挟まれた鉛直方向の板。ウエブの形状や箇所によって垂直補剛材や水平補剛材で補剛されている。腹板(ふくばん)ともいう。
橋脚張出部 橋脚の柱上端に上部構造を支持するための梁部
橋座部 橋脚や橋台において、上部構造を支持するための支承を据え付ける面

「沓座」ともいう。

橋台背面アプローチ部 橋台と背面側の盛土等との接続部で、両構造間の路面の連続性を確保するために設ける構造部分

適切な構造を採用しないと、地震時に段差が発生する場合がある

躯体(くたい) 構造物のうち、主として荷重を負担する部分、あるいは、それらで構成される骨組構造の総称

仕上げ部分や設備などを除いた部分で、コンクリート構造では、梁、柱、スラブ、壁などの部材とその集合体。橋梁では、橋台などの土圧を受ける本体部分をいうことが多い。

桁かかり長 主桁端部から下部構造端部までの最短距離。必要な桁かかり長を有していない場合、地震時に支承部が破壊すると、上部構造が下部構造から逸脱し、落橋に至る可能性がある
桁上縁 桁の上縁部のこと。鋼桁やPCT桁では上フランジ、PC箱桁では上床版の上端
桁端部 桁の橋軸方向の端部のこと。伸縮装置からの漏水などにより損傷が発生しやすい。 -
桁長 桁の全長であり、桁端部から反対側の桁端部までの距離のこと
合成桁 鋼部材とコンクリート部材、またはPC部材とRC部材を一体化させた桁

橋梁に用いられる合成桁の代表的なものに、鋼桁とコンクリート床版(または鋼コンクリート合成床版)を一体化した鋼コンクリート合成桁、プレキャストのプレストレスコンクリート桁と現場で施工する鉄筋コンクリート(またはプレストレストコンクリート)床版を一体化したプレストレストコンクリート合成桁がある

床版が主桁と床版の役割を兼ねている。

合成床版 型枠を兼ねる底鋼板やPC板と場所打ちコンクリートから構成される橋梁用床版

床版厚を増さないで、耐荷力、剛性や耐久性を向上させることができ、場所打ち床版と比較して床版取替の施工日数を短縮できる

使用する材料や部材により、PC合成床版、鋼格子床版(グレーチング床版ともいう)や鋼コンクリート合成床版などがある

支承部 橋梁の上部構造と下部構造との接続部で、上部構造の荷重を下部構造に伝達するための機能をもつ

温度変化、活荷重、地震などによる上部構造の伸縮、移動、回転に追随する構造とし、さらに、地震や風荷重などの上部構造に作用する横荷重、および地震時などにおける予期しない上揚力に対しても十分耐えられる構造でなければならない。沓ともいう。

支承は、支持条件や使用材料、支圧面の形状などにより様々な種類がある。

遊間 部材間の隙間

桁遊間という場合には、主桁と橋台パラペット、または主桁間の隙間のことで、通常、伸縮装置が設置される

床組 床版からの荷重を主桁又は主構に伝達する部材で、主桁(主構)と並行に配置される縦桁、及び主桁(主構)と交差する方向に配置される床桁(横桁ともいう)で構成される
フランジ 部材を構成する部分の一つで、曲げモーメントを受ける部材において、部材軸線の上下に配置されている部分

突縁ともいう。主として曲げモーメントに抵抗し、引張応力および圧縮応力が生じるフランジをそれぞれ引張フランジおよび圧縮フランジという

また、I形断面などでは曲げ軸に関係なく、二つの平行に配置された部分をフランジともいう。

フーチング 構造物の柱または壁部分を受け、基礎あるいは地盤へ荷重を伝えるために設けられる版状の構造物

直接基礎の場合は支持地盤に接し、杭基礎の場合は杭頭部を連結し、躯体からの荷重を杭に伝達するとともに、全体の剛性を確保する目的で構築される

形式により独立フーチング(1つのフーチングに対して柱や壁が1つの場合)、連続フーチング(1つのフーチングに対して柱や壁が2つ以上の場合)などに分類され、底版ともいう。

PC構造 圧縮に強く引張に弱いコンクリートにPC鋼材を用いて圧縮力(プレストレス)を加え、曲げモーメントに抵抗する構造

プレストレスト・コンクリート構造の略

PC床版 プレストレスを導入した床版

橋軸直角方向のみにプレストレスを導入するタイプ、橋軸方向のみにプレストレスを導入するタイプ、および2方向にプレストレスを導入するタイプがあるが、一般的には橋軸直角方向のみにプレストレスを導入する場合が多い。

踏掛版(ふみかけばん) 橋台は強固に支持され沈下しにくいが、橋台背後の裏込土や盛土は沈下しやすい。このため、地震後に橋台とその背後の土工部に路面に段差が生じやすい

この段差が生じるのを防ぐため、橋台の背後に設けるコンクリートの版。

防護柵 主として、走行中に進行方向を誤った車両が路外、対向車線または歩道などへの逸脱を防ぐために、車道に沿って設置する柵状の施設。運転者の視線の誘導や歩行者のみだりな横断を抑制する目的も備えている

橋梁に用いる防護柵の形式には、橋梁用ビーム型防護柵(鋼製)、剛性防護柵(コンクリート製)がある

橋梁の構造&種類についても別記事でまとめていますので併せてご確認ください。

 

橋梁用語②構造形式の種類と力学的分類

橋の構造形式は力学的に、

  1. 曲げモーメントとせん断力に抵抗する部材構造
  2. 軸力(引張・圧縮)に抵抗する部材構造

の2つに大きく分けられます。

橋の種類をまとめるとこんな感じ 🙂

曲げモーメントとせん断力に抵抗する部材構造 軸力(引張・圧縮)に抵抗する部材構造
  1. 床版橋
  2. 桁橋(単純桁橋、連続桁橋など)
  3. ゲルバー橋
  4. ラーメン橋(門形、π型、函型など)
  1. トラス橋
  2. アーチ橋
  3. タイドアーチ橋
  4. ランガ―橋
  5. ローゼ橋
  6. 吊り橋
  7. 斜張橋
それぞれくわしくみていきましょう

 

曲げモーメントとせん断力に抵抗する部材構造

床版橋

 

<床版橋>

鉄筋コンクリート造の床版(スラブ)を使用した、もっとも単純な構造の橋

小規模はものが多く、現場打ち・二次製品などが使われる

単純桁橋

 

<桁(けた)橋>

木桁、RC桁、PC桁、鋼桁などを並べたもの

実績が多く、よく使われる構造

1本の桁を両端2点で支えるものを単純桁橋、3点以上で支えるものを連続桁橋という

連続桁橋
主桁 自動車荷重や自重など上部構造から鉛直方向に働く荷重を下部構造に伝える桁
主構 トラス橋における上弦材・斜材・垂直材、アーチ橋におけるアーチリブ、補剛桁、支材のことをいい、橋台や橋脚間を渡る主要な構造として主桁と同じ機能を有する構造。
主部材 主桁、横桁、縦桁など、構造物の安全性や性能に直接的に影響を与える部材のこと
縦桁 床版を支持する部材で、床桁(横桁ともいう)とともに床組を構成する部材。主桁と同じ方向に設置されているが、下部構造上で支承に支持されていない。
T桁 断面形状がT型の主桁

コンクリート桁に適用される場合が多い。

PCT桁橋 主桁の断面形状によって橋を分類した場合の一つで、プレストレスを導入したT桁
箱桁橋 主桁の断面形状によって橋を分類した場合の一つで、主桁に箱桁を用いた橋

鋼橋とコンクリート橋の両方で用いられている。

補剛構造 鋼板にリブを取り付け、剛性や座屈に対する抵抗性を高めた構造。橋梁では、鋼箱桁のフランジや、鋼製橋脚などが該当する
鈑桁橋 主桁の断面形状によって橋を分類した場合の一つで、鋼板をアルファベットの”I”の字形に組んで、これを主桁とする橋

鋼I桁橋ともいう

横桁 主桁間に荷重を分配する部材で、主桁または主構を相互に連結するように配置する

橋が立体的機能を保持して各部材に所定の機能を発揮させるために、形状を保持する役割も担う

横構 主に横荷重に抵抗する部材で、主桁または主構を相互に連結するように水平面内に配置する
横変位拘束構造 支承部が地震により破壊したときに、上部構造が回転移動することで下部構造から逸脱することを拘束するための構造

橋の桁長、全幅員、斜角や曲線半径に応じて要否を判定する。

ゲルバー橋 <ゲルバー橋>

連続桁橋の途中に、ヒンジ構造の継目がある橋

地盤沈下の影響が少ないことが特徴

ゲルバー部 下部構造上以外で桁を連結し、支承を設置する構造(ゲルバー桁)における桁の連結部

計算機の使用が一般的となる前に設計された橋梁において、連続桁を静定構造(力のつり合い式だけで、構造物各部の断面力を算出できる構造)として構造解析するために採用されている場合が多い。

ヒンジ 部材の結合点あるいは支点の構造の一種で、回転が自由で移動が拘束された構造

ヒンジでは曲げモーメントは0となる

メナーゼヒンジ 鉄筋コンクリート構造に用いるヒンジの一つで、連結しようとする部材の連結部にX字形に交差した鉄筋を配置したヒンジ

RC中空床版橋の支承部や、コンクリート製の方杖ラーメン橋の脚部に用いられることが多い。

ラーメン橋(門形) <ラーメン橋(門形)>

主桁、橋脚、橋台などが一体となって外力に抵抗する橋

このほか、π型、函型などがある

 

ラーメン橋(π型) <ラーメン橋(π型)>

主桁、橋脚、橋台などが一体となって外力に抵抗する橋

このほか、門形、函型などがある

ラーメン構造 柱と梁や、桁と橋脚を剛結し、部材接合部で曲げモーメントを伝達する構造

下部構造の柱と梁をラーメン構造とした場合には、柱基部だけではなく接合部でも地震時のエネルギー吸収を期待できることで高い耐震性能を発揮する場合がある

また、桁と橋脚を剛結した場合には、上部構造に作用する荷重によって生じる曲げモーメントを下部構造にも負担させることで、上部構造の桁高を低くできる場合がある。

ラーメン式橋台 ラーメン構造を採用した橋台

水平力に対する抵抗が大きく、またラーメンの空間が通路として使用できることから、桁下の水路や道路をラーメン橋台内に設け、橋長を短くできる場合がある

隅角部 ラーメン橋脚の柱と梁の接合部のように、2方向以上からの部材が交差する箇所

曲げモーメントやせん断力も大きく、局部的に大きな応力が生じる部分なので、ハンチやフィレットなどで補強することが多い。

鋼橋 橋の主構造にに鋼材を用いた橋。加工が容易で複雑な構造に適する、コンクリート橋と比べて軽量であることなどが特徴である

 

軸力(引張・圧縮)に抵抗する部材構造

トラス橋

三角に組み合わされた構造

応力が分散するため、スパンの長い橋に適している

主構トラス トラス橋における主構

上下弦材、斜材、垂直材などから構成される

垂直材 トラスを構成する部材の一つで、弦材に垂直に配置された部材
垂直補剛材 補剛材の一つで、部材軸に対して垂直に取り付けた補剛材

主桁との溶接接合部に疲労亀裂が発生した事例が多く報告されている。

アーチ橋

主桁がアーチ状で、両端で支える橋

アーチ(弧を描く曲がりを付けた部材)により自重や自動車の荷重を支える構造を用いた

拱橋(きょうきょう)ともいう

使用する材料によって、木造、石造、コンクリート、鋼アーチ橋がある

タイドアーチ橋

アーチの両端に作用する水平力を、タイと呼ばれる水平材で受けもつ構造

ランガ―橋

軸方向圧縮力はアーチリブで受けもち、

曲げモーメントやせん断力は、補剛桁、補剛トラスでうけもつ構造

ローゼ橋

曲げモーメント、せん断力をアーチリブと桁の両方で受けもつ構造

ニールセン橋 ローゼ橋の一種で、アーチリブと補剛桁を結ぶ吊り材を綾状に配置した橋。一般的に吊り材にはワイヤロープが用いられるが、棒鋼を用いる場合もある

Nielsenが発案したことからこの名称が付けられた。

吊り橋

ケーブルを主塔間に凹状に張り、橋体を吊るした橋で、長大橋に適している構造

ハンガーケーブル 補剛桁をメインケーブルから吊り下げるためのケーブル
斜張橋

橋脚上に設置した主塔から斜めにケーブルを張り、橋桁を支える構造

景観的にも美しい

ケーブルの配置方法に放射型、ファン型、ハープ型がある。吊橋と異なり、ケーブルを定着するアンカーブロックが不要

長大橋への適用が多いが、美観に優れることから中小橋や歩道橋に適用される場合もある。

斜材 骨組構造において斜めに配置された部材の総称。一般的には、トラス構造の弦材を斜めにつなぐ部材を指す
補剛桁 吊り橋やアーチ橋において、橋全体および橋床部の剛性を補うために設ける桁

長大橋などにおいて、補剛桁がトラス構造の場合、これを補剛トラスという

橋門構 下路のトラス橋やアーチ橋などにおいて、2つの主構造の端部で門のような構造となっている部分を橋門といい、その上部にあって両側の主構造を結ぶ部分を橋門構という。

橋に作用する風や地震などによる横方向の荷重を支承に伝える役目をする。骨組構造と充腹構造とがあるが、近年では後者が用いられることが多い。

 

 

 

橋梁用語③橋の路面位置による種類

橋は路面の位置によっても分けることができます。

種類をまとめたものは以下のとおりです。

路面位置による

橋の分類

橋の構造
上路橋

路面が主桁・主構の上方にある橋

中路橋

路面が主桁の中間部にある橋

下路橋

路面が主桁の下方にある橋

二層橋

路面が上下二層になっている橋

地覆部 道路橋の両側に設ける、自動車の車輪が橋梁外に逸脱しないように路面より高くした部分

高欄や防護柵の土台ともなっている

④橋梁設計における用語

橋梁設計用語 意味
アセットマネジメント 道路や橋梁などの構造物を対象に、将来的な損傷・劣化等を予測・把握し、最も費用対効果の高い維持管理を行う考え方
安全率 構造物の設計で算出する応答値に対し、実構造では作用、材料強度、製作精度などのばらつきが生じ、このようなばらつきに対する安全余裕を考慮するため設けた係数

一般に材料あるいは部材の破壊強度を安全率で割った値を設計で許す上限の強度(許容応力度)とする

上降伏点 鋼の引張試験で、最初に降伏したときの応力とひずみ。降伏点には、上降伏点のほかに下降伏点が存在し、上降伏点は試験の際の載荷速度によってその値がかなり変化するため、載荷によるひずみ速度が十分に遅い状態での下降伏点を設計における材料強度の基準値に用いる
遅れ破壊 静的な引張力が作用している鋼材がある時間の経過後に突然破壊する現象

高力ボルト、PC鋼材、高張力タイロッドなど引張強度の高い高張力鋼に生じやすく、その破壊形態は脆性的である。一般的には、引張強さが大きな材料ほど生じやすく、応力集中の状態や使用環境の影響も大きい。

静的疲れ破壊、継続荷重破壊ともいう。

活荷重 橋梁上を移動しつつ作用する荷重。

自動車、列車、歩行者などによる荷重が一般的で、道路橋示方書においては自動車荷重(T荷重、L荷重)、歩道などに載荷する等分布荷重(群集荷重)などが規定されている。

設計基準強度 構造設計において基準とするコンクリートの強度について、構造物を構成するコンクリートが満足しなければならない強度

設計において想定する荷重の組合せに対して、構造物を構成するコンクリートが設計基準強度を満足しなければ、耐荷性能が不足し、設計で想定していないようなひびわれや圧壊が発生する場合がある

橋軸直角方向 橋梁の横断方向(構造中心線または道路中心線に直行する方向)のこと
橋軸方向 橋梁の縦断方向(構造中心線または道路中心線の方向)のこと

一般的に車両の進行方向である場合が多い。

計画高水位 河川計画で基準となる数十年に一度の出水時の水位

河口や河川の合流部において安全性や内水対策を考慮する場合等に必要とされる

渡河橋の計画において、橋台位置や付属物(落橋防止構造など)の設置において必要となる

剛性 力が作用した時の変形しにくさ(変形に対する抵抗)を示す性質

変形しにくいことを剛性が大きい、変形しやすいことを剛性が小さいという

構造細目 構造物としての機能、耐久性、施工性を確保するため、構造解析による設計計算によって決定されない部分の設計に関して規定しているもの

設計計算における前提条件を確保するための要件。

降状 材料の応力-ひずみ関係において、弾性的性質(応力とひずみの関係が線形)を示す応力の限度をこえる力を加えると、応力は増加せずにひずみが増加する現象

降伏後、さらに力を加え続けると、塑性的性質を示すようになり、力を除いても変形は完全には回復せず、塑性変形が残留する

載荷 構造物に荷重(力)を作用させること
座屈 柱や板などが圧縮力を受ける場合に、材料の降伏強度よりも小さい荷重で面外方向への曲りが生じ、それまでとは異なる変形状態に入る現象

座屈が生じると柱や板などは耐荷力が急激に減少し、破壊に至る可能性がある。

死荷重 構造物本体、付属物、積雪などの重量による荷重
軸距 自動車の車軸中心間の距離。2軸の自動車では前輪と後輪の中心間距離となる

3軸以上の自動車では、最も遠い前輪と後輪の中心間距離を最遠軸距、隣接している後輪同士の中心間距離を隣接軸距という。

軸重 自動車や列車の車軸から構造物などにかかる荷重。

一般に輪荷重の2倍

自動車において、後軸が一つの場合は単軸重、二つの場合は、2軸合わせた重量をタンデム軸重という。

下降伏点 軟鋼などの延性を有する鋼材の引張試験において、塑性変形が始まる応力である降伏点には、上降伏点と下降伏点がある

引張試験における荷重載荷速度に影響を受ける上降伏点に対し、下降伏点が安定な値を示すため、単に降伏点といえば下降伏点を指す場合が多い。

上載荷重 地盤上や床版上に載荷される荷重

一般的には、下部構造、擁壁、土留壁など抗土圧構造物の設計において、背面土の上に載荷する荷重を指す場合が多い。

じん性(靱性) じんせい 材料や構造のねばり強さ

部材の破壊が十分な変形を伴って生じる(延性破壊)場合に、靭性が大きいという。脆性の対語。

ぜい性(脆性) 材料や部材などのもろさ

部材の破壊がほとんど変形を伴わずに生じる場合にこれを脆性であるといい、そのような破壊を脆性破壊という。靭性の対語

橋梁では、鋼部材の疲労亀裂や、コンクリート部材のせん断破壊などがぜい性破壊に分類される。

性能規定 記述基準に示されている目的(耐荷性、耐久性、およびその他使用目的との適合性)を達成するために必要な性能を示すことによって規定していこうとする考え方

対義語は仕様規定

せん断力 断面力の一つで、断面に沿って作用する力のこと

一般的な桁橋では、支点付近でせん断力が最大となり、作用するせん断力が部材のせん断耐力を超過すると、コンクリート部材では斜め方向のひびわれ、鋼部材ではウエブのせん断座屈が発生する場合がある

塑性 外力によって生じた変形(ひずみ)が、その外力を取り除いたあとも外力を加える前の状態にもどらない材料の性質

一般に弾性と対比される。

耐荷機構 荷重が作用した際、応力に抵抗する機構
耐荷性能 設計供用期間中の任意の時刻における作用(活荷重、温度荷重、地震力など)に対して、必要な強度や剛度を有することで、作用に対して抵抗を発揮できる性能
耐荷力 構造物あるいは部材が有している抵抗力

実際の部材が発揮する耐荷力は、製作時の初期不整、材料強度のばらつき、劣化進行などによる不確実性を有している

耐久性能 設計供用期間中の任意の時刻において、材料の経年的な劣化が橋の耐荷性能に影響を及ぼさないことを実現する性能
耐震性能 橋が地震の影響を受けたときの耐荷性能や変形性能

道路橋示方書では、橋の重要度に応じて満たすべき性能が区分されている。

段落とし(鉄筋)  鉄筋コンクリート橋脚柱部の主鉄筋(鉛直方向の鉄筋)の鉄筋量(鉄筋本数や径)が変化する箇所
弾性 外力によって生じた変形(ひずみ)が、その外力を取り除いた場合に外力を加える前にもどる材料の性質
弾性限度 永久ひずみ(塑性ひずみ)を生じることが無い範囲で、最大の荷重が作用している時の応力やひずみ
端対傾構 桁やトラスの端部あるいは連続桁(トラス)の支点上に配置する対傾構

横荷重を支点に伝達する役目をなす

断面急変部 部材の断面性能(断面2次モーメント、断面積、鉄筋量など)が大幅に変化する箇所
予防保全 橋の機能低下が顕在化する前の損傷が軽微な段階で措置を実施する維持管理手法

損傷状態を定期点検で把握し、機能の低下または停止を予測して事前に措置を行う方法と、損傷の有無に関わらず一定の期間が経過したら措置を実施する方法がある。

道路法施行令 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)の規定に基き、及び同法を実施するために施行された政令
特殊車両通行許可制度 車両制限令で定められる、一定の大きさや重さを超える車両(特殊車両)の通行の際に、あらかじめ道路管理者の許可が必要となる制度
内部拘束(コンクリート) コンクリート表面と内部との温度差により、コンクリートの膨張や収縮が拘束されること
ひずみ硬化 塑性変形に伴う現象で、降伏後にさらに変形させるためには降伏応力より高い応力を必要とする現象

加工硬化ともいう

引張応力 垂直応力の一つで、部材のある断面を切った場合に、その断面に垂直な方向に引っ張られるように作用する応力のこと

部材軸方向に引っ張られるときの応力を軸引張応力、曲げモーメントにより断面の一部が引っ張られるときの応力を曲げ引張応力という

引張強度 材料が引張荷重によって破断するとき、または破断までの最大の応力。一軸引張試験で得られる引張荷重を原断面積で除して求める

材料の基本的な力学的特性の一つ。構造用鋼材では、炭素の含有量の増加とともに引張強度は増加する

コンクリートでは、一軸圧縮強度に比べて引張強度はかなり小さい

比例限度 応力-ひずみ曲線において、応力とひずみとの間に比例関係が成立する最大の応力

比例限界ともいう

この限界応力以下では、材料にはフックの法則(応力=ヤング率×ひずみ)が成立するものとして扱う

疲労 構造物が繰返し荷重を受け、その繰返し荷重によって発生する応力が静的破壊を生じる応力より低い応力であっても、構造物がその機能を失うことを疲労という

橋梁では、RC床版や鋼部材の溶接部で疲労による損傷が発生する事例が多い

疲労設計 設計供用期間に応力の繰り返しによる影響の累積により、部材の耐荷性能が低下しないことを照査する設計方法

応力度による照査を実施する場合と、構造細目を満足することで耐久性能を有しているとみなす場合がある

リラクセーション 材料が一定ひずみを保持しているとき、応力が時間とともに減少する現象で、応力弛緩、レラクゼーション、リラクゼーションともいう

橋梁においては、高力ボルトの締め付け力や、PC鋼材のプレストレスが時間とともに減少することが問題となる。

輪荷重 車両のタイヤ1輪(ダブルタイヤの場合は2輪)から構造物(床版、伸縮装置など)などに作用する荷重

道路橋示方書では、最大で100kNの輪荷重を想定している

ルート割れ 溶接部の低温割れ(溶接作業が終了し、室温まで温度が降下している時に発生する割れ)のひとつで、ルート(ギャップ)に発生する応力集中を要因とする
ライフサイクルコスト 橋梁が建設されてから供用期間を経て撤去までにかかる費用

従来は、各段階での工法選定時には初期費用のみを考慮していたことも多いが、近年はライフサイクルコストにより
経済性を評価することが多い。

プレストレス 設計荷重(活荷重や温度荷重)により生じる引張応力を打ち消すように、あらかじめコンクリートに与えておく圧縮応力
偏向部 外ケーブルを用いたPC橋において、偏向具をコンクリート部材に固定し、PC鋼材に与えられたプレストレスの鉛直方向分力をコンクリート部材に伝達するためのダイヤフラム等を含めた部分

新設橋ではコンクリートで製作し、既設橋の外ケーブル補強では鋼製ブラケットを用いる場合が多い

不等沈下 構造物に支点や基礎地盤の沈下量が一様でない場合の沈下。下部構造の傾斜により上部構造の損傷や路面の段差の原因となる

不同沈下ともいう

特に複数径間の橋梁で、異なる種類の基礎形式を採用している場合や、基礎の支持地盤が異なるような場合や、単一下部工内でも支持地盤に傾斜がある場合は不等沈下の原因となることがある。

用心鉄筋 一般的な設計計算では必要な鉄筋量を決定困難な場合などに、経験的判断で配置する鉄筋

局部的に大きな応力が発生する箇所などに配置する場合がある

⑤橋梁施工・補修における用語

橋梁施工・補修用語 意味
アーチリブ 弧を描く曲がりを付けた部材で、上部構造に作用する荷重を支承部を通して下部構造に伝達する

鋼アーチ橋のように2本のアーチ部材で橋を構成する場合にアーチリブ(拱肋)と呼び、コンクリートアーチ橋や石造アーチ橋のようにアーチ部分の幅を大きくして橋全体に対して一つのアーチ部材を配置する場合にはアーチリング(拱環)という

RC構造 鉄筋コンクリートを用いた構造のこと

圧縮に強いが引張に弱いコンクリートを、引張に強い鉄筋で補強した構造

RC床版 床版にRC構造を採用した部材
あて板 補修や補強を目的として、部材に取り付ける板のこと。

一般的には、既設鋼部材に取り付ける鋼板を指す場合が多い。

アンカーボルト 支承本体や鋼製橋脚柱部などをコンクリートの橋座や基礎に固定するため、コンクリート中に埋め込む鋼製の骨組構造

一般的に、ねじ切り加工した異形鉄筋や、異形化丸鋼(棒鋼にスパイラル鉄筋を巻きつけたもの)を用いる

アンカレイジ部 吊橋のメインケーブルを地盤などに定着するためのコンクリートブロックで、メインケーブルの両端部に配置される
異種金属腐食 異なる種類の金属が接触したとき、電位差によりイオン化傾向の高い方の金属に錆が生じる現象
一般構造用圧延鋼材 JIS G3101に規定される鋼材で、橋、建設、船舶、車両その他の構造物に用いられる熱間圧延鋼材

SS330、SS400、SS490、SS540の4種がある。本来、溶接構造用の鋼材ではなく、橋梁ではボルト接合を前提とした部位・部材(添接板、あて板、フィラープレートなど)への使用が多い

ウイング 橋台背面土砂の保護を目的として設けられる壁

翼壁(よくへき)とも呼ぶ。一般的には、橋軸方向に橋台の側面に固定して設けられる

うき ひびわれがコンクリート内部でつながったり、コンクリート内部の鋼材が腐食により膨張し、コンクリート部材の表面付近がういた状態をいう。
内ケーブル構造 PC鋼材をコンクリート中のシースに配置する構造

定着部やコンクリートとPC鋼材の付着によりコンクリートにプレストレスを導入する

ASR アルカリ骨材反応のうち、コンクリートの骨材のシリカ分とセメント中のアルカリ分により、アルカリシリカゲルが生成される反応
エクストラドーズド橋 プレストレスト・コンクリート橋(PC橋)の形式のひとつで、外ケーブルを主桁外部に配置し、偏心量を大きくすることでPC鋼材配置を合理化できる構造形式

斜張橋と比較して主塔が低く、主桁の断面が大きい。

遠望目視 土木構造物の点検法の一つ

高所作業車や橋梁点検者、ロープアクセスなどは用いず、徒歩、はしご、ポールカメラなどを利用して可能な限り近づき、施設の損傷状態や変状を目視で確認すること

格点 トラス構造物などの骨組構造物における部材の交わる点のことで接点ともいう

鋼構造においては、一般に格点を計算上、ヒンジと考えることが多く、軸力やせん断力の伝達はあってもモーメントの伝達は無いものとされている。コンクリート構造においては、一般に格点でも曲げモーメントを伝達するものとして設計する場合が多い

ガセット トラスなどの鋼構造の骨組構造物において、格点に集まる部材を連結するために用いる鋼板

一般にトラスのように剛結でなくヒンジとみなす格点に用いられ、鋼板を外側に板をあてる場合と、弦材のウエブを立ち上げてガセットとする場合がある

繋板(けい板)ともいう

かぶり 鉄筋、PC鋼材などコンクリート内部の鋼材表面からコンクリート表面までの最短距離
貫通ひびわれ 部材断面の表面から裏面まで貫通したひびわれ

貫通ひびわれが発生していると、裏面(橋台背面や床版上面)からの漏水も発生している場合がある

金属溶射 防錆を主な目的として、溶融した金属を高圧空気で霧状に素地に吹き付けて、表面に被覆層を形成すること

防錆用として亜鉛、アルミニウム、ステンレス、およびこれらから構成される合金などがが用いられる

鋼橋の防錆用として、一般に亜鉛、アルミニウム、および亜鉛-アルミニウム合金が用いられる。

グラウト 止水、一体化、地盤強化などを目的に、空げきや間げきにセメントミルクや薬液を注入することをグラウチングといい、注入する液状の物質のこと

また、プレストレストコンクリート部材のうちポストテンション方式の部材において、緊張材とコンクリートの付着や緊張材の防錆などを目的として、緊張作業が完了したのちにシースと緊張材の空げきに圧入充填するセメントミルクをPCグラウトという

ケーブル つり橋や斜張橋などにおいて鋼線を束ねて引張部材として用いたもの

あるいは、PC構造物にプレストレスを加えるための緊張材

また、鋼線をより合わせて作った鋼索の意味にも用いる

桁移動制限 上部構造が地震により移動することで、支承や伸縮装置が損傷することを防ぐため、上部構造の過度な移動を制限する構造物

コンクリートの突起、鋼製ブラケット、または縦型緩衝ピンなどが用いられる。

ケレン 鋼構造の素地調整のこと

素地調整の程度によって1種ケレン~4種ケレンがある。

鋼床版 縦方向および横方向にリブ(縦リブと横リブ)で補強した鋼板を用いた床版。コンクリート製の床版にくらべて軽量であることから、長大橋や桁高に制限がある橋に用いられる。

鋼床版は橋の床として用いられる場合と、主桁の上フランジとしての役割を兼ねさせる場合がある。

サイドブロック 支承に設置し、主桁の橋軸直角方向の移動を制御するためのもの
ゴム支承 主要材料としてゴムを用いた支承

鋼製支承の移動および回転機構が上沓と下沓の接触部でのすべりやころがりであるのに対し、ゴム支承ではゴムの変形によって上部構造の移動・回転に追随する

鉛直荷重によって側方への変形や高さの変化を小さくすると同時に、鉛直支持力を増すためゴムの上下面に補強板を設けるのが一般的

厚さが大きな場合は数層にわたってゴムと補強板を入れる重層形式が用いられる。ゴムにはクロロプレン系合成ゴムが一般的に用いられる。また、特殊なものとして天然ゴムを用い、それに埋め込んだ円環で膨出を抑制する形式もある

鋼棒 棒状の鋼材で、高張力鋼を用いた鋼棒は、コンクリート部材へのプレストレスの導入に用いる場合もある。
高力ボルト 橋に用いられる高力ボルトには鋼部材の接合用の摩擦接合用と支圧接合用の二つがあり、鋼部材の現場接合の大部分には、摩擦接合用高力ボルトが用いられる。JIS B 1186に摩擦接合用高力ボルトの規格がある

ハイテンボルトともいう

鋼製ジョイント 路面から目視可能な伸縮装置上面に、鋼部材が用いられた伸縮装置

伸縮装置とは、橋梁の路面端部に設置されるもので、気温の変化による橋梁の伸縮、地震時および車両の通行にともなう橋梁の変形を吸収し、自動車や人が支障なく通行できるようにするもの。

鋼板接着 鋼板接着工法は、鋼板を鉄筋コンクリートの引張面に樹脂やアンカーボルトなどで接着して一体化し、耐荷力を向上させる工法

耐荷力が低下した部材への補強や、古い設計基準で建設された橋梁の耐荷力向上を目的として適用される場合が多い。

床版 橋を通行する自動車、歩行者などの荷重を直接支持し、その荷重を主桁に伝達する部材

構造や材料により、RC床版、PC床版、鋼床版、鋼・コンクリート合成床版などがある。

床版防水層 床版上面に敷設(設置)される防水材

床版への適用が多いものとしては、シート系と塗布系がある。

遮音壁 音の伝搬経路に障害物が存在する場合、回折現象によって障害物の影の部分に回り込むが、その際に音は弱められる

この効果を利用して、道路の周囲に構築され、騒音防止対策に利用される壁状構造物。

沓座モルタル 支承本体の下に無収縮モルタルで構築する

①台座コンクリートや下部構造天端と支承本体の密着

②支承部の高さを調整する

③支承の鉛直荷重を下部構造に伝達させること

を目的としている

伸縮装置 上部構造は温度変化などによって伸縮する

このような伸縮を阻害せず、かつ橋梁上を自動車などがスムーズに走行できるように、橋梁と土工部の境界や橋梁と橋梁との境界の路面に設ける伸縮可能な装置

鋼製やゴム製のものが主として用いられる

スターラップ コンクリート梁部材において、軸方向鉄筋を取り囲むように梁と直角方向に配置される鉄筋
ストップホール 疲労や応力集中の影響などにより鋼部材に発生した亀裂が進展しないよう、応急処置として亀裂の先端部に設ける円孔

割れ止め孔ともいう。亀裂の進行を一時的に止め、脆性破壊を回避する補修工法の一つとして用いられる。

スペーサー コンクリート部材において、鉄筋やPC鋼材のかぶりや鉄筋と鉄筋のあきなどを確保するための治具

材料としては、モルタルブロック製、プラスチック製、金属製がある。形としては、正方形や円形などがあり、使用場所や部材の種類に応じて使い分ける。

接合部 部材同士を高力ボルトや溶接により連結した部分のこと
セパレータ コンクリート部材が所定の厚さになるように、型枠を一定の間隔に保持する鋼製部品。
せん断補強鉄筋 せん断力が作用するコンクリート部材において、コンクリート断面と一体となってせん断力を負担させるために配置する鉄筋。
早期脱型 コンクリート標準示方書(土木学会)などが定める標準的な湿潤養生期間よりも早期に脱型を行うこと
素地調整 鋼部材の旧塗膜、錆、油脂、汚れなど、塗料の付着性や防錆性に有害な物質を除去すること。

ケレンともいう。

素地調整の方法にはブラスト法、酸洗い、手動あるいは動力工具による方法などがある。

外ケーブル構造 コンクリート部材において、PC鋼材を断面の外部に設置した構造

PC鋼材の状態を外観目視で確認することができる

ソールプレート 支承部において、鋼橋の主桁の下フランジと上沓の間に配置し、荷重を主桁に均一に作用させるための鋼板
ダイアフラム 鋼箱桁などの閉断面部材において、その立体形状を保持するために内部に部材軸に直角に配置する板

同様の機能を持った部材であるが、コンクリート箱桁の場合には隔壁と呼ぶことが多い

対傾構 主に上部構造への横荷重に抵抗する部材で、主桁または主構を相互に連結するように鉛直面内に配置する

橋が立体的機能を保持して各部材に所定の機能を発揮させる役割を担う。

耐候性鋼材 大気中に暴露すると、時間の経過とともに表面に緻密な安定さびが形成され、次第に腐食速度が遅くなり、ある期間を経過するとほとんど腐食が進まなくなるような性質を有する鋼材

さびの安定化はCu、P、Ni、Cr、Mo、Siなどの合金元素によるものといわれているが、さびの安定化は常に期待できるものではなく、塩分や常に滞水している環境下では安定化しない

台座コンクリート 支承部を構成する要素のひとつであり、支承高や横断勾配を調整するために設置する
大偏心外ケーブル構造 外ケーブル (PC鋼材) をコンクリート桁高の外に配置した構造

エクストラドーズド橋が主に中間支点上の負の曲げモーメントに対する鋼材量を低減することを目的としているのに対し、大偏心外ケーブル構造は支点上の負の曲げモーメントだけではなく、支間中央部の正の曲げモーメントに対する鋼材量の低減も目的としている

中空床版 主版部分に多数の円筒型枠を設置した場所打ちコンクリート構造、または矩形の中空部を有するプレキャスト部材を現場で連結した構造。中空部があることで、桁の自重が低減されるメリットがある

ただし、場所打ちコンクリート構造の場合、円筒型枠の浮き上がりやボイド内への滞水などの問題があり、新設橋梁での場所打ち中空床版橋の採用は減少し
ている

鋳鍛造品 鋳造品と鍛造品の総称。鋳造品はさらに鋳鉄品と鋳鋼品に分類できる。鍛造品は炭素鋼、低合金鋼を鍛造により成形したもの。鋳鋼品や鋳造品は、熱処理により機械的性質を改善したものが多い

鋼板を組み合わせることでは製作が困難な、支承本体などに使用されることが多い。

長ばく形エッチングプライマー 二液形塗料で主剤はビニルブラチール樹脂と防錆顔料などを主成分とし、添加材はリン酸、水、アルコールを主成分としており、使用直前に両者を混合して使用する

重防食塗装が一般化される前は、鋼構造のプライマー(塗装の基層で防食性能を有する部分)として一般的に使用されていた。

継手 部材などを継ぐことあるいは継いだ部分。鋼部材の継手には、溶接やボルトが用いられ、鉄筋の継手には、重ね接手、ガス圧接接手、機械式継手が用いられる。
吊り材 アーチ橋や吊り橋などで、補剛桁や床版に作用する荷重をアーチリブや主ケーブルに伝達する部材。
定着部 鉄筋、アンカーボルト、およびPC鋼材がコンクリートから抜け出さないように、コンクリートに固定した部分のこと

鉄筋やアンカーボルトは、コンクリート中に規定の長さを埋め込んだり、定着体を設けたりすることで定着し、PC鋼材はねじやくさびなどにより定着する。

定着方式 鉄筋、アンカーボルト、およびPC鋼材をコンクリートに定着させる方法
添接部 添接板やガセットプレートを介して二つ以上の部材をつなぎ合わせたときの接合部

鋼部材の部材軸方向の接合部や、主桁、対傾構、横構などを接合している箇所が該当する。

落橋防止構造 部材や地盤の破壊に伴う予期できない構造系の破壊が生じても、上部構造の橋軸方向への落下を防止できるように設ける構造

コンクリート突起、鋼製ブラケット、緩衝チェーン、PCケーブルなどが用いられる。

落下物防止柵 跨線橋や跨道橋において、桁下に人や物が落下することを防ぐために設置する柵
ラミネーション 圧延鋼材の欠陥の一つ

局部的に集合した気泡や酸化物が圧延中に圧延方向に沿って平行に伸ばされ、層状組織になり、これにより板厚方向の伸びが低下した部分。溶接などにより板厚方向に力が加わると、層状の割れとなって現れることがある

溶接前の鋼板に対する超音波探傷で欠陥の有無を検査可能である

リベット 鋼板や鋼部材などを接合する場合に用いる部品の一つ

板などを重ね合わせて孔をあけ、それにリベットをさし込み、支圧接合(接合部に作用する力をリベットのせん断耐力で負担)

リベットは頭部と軸部とからなり、棒鋼の一端に頭を持ったものを赤熱し、リベット孔にさし込んだのち他端をリベットハンマーで打撃して頭をつくって締める。騒音や職人の減少により、現在は採用事例が非常に少ないが、既設橋梁ではリベットを用いた接合が使用されている場合がある

排水装置 橋面上の雨水などを取付道路の排水施設や桁下の河川などに排水するための設備

一般的に路面上の水は路面の勾配によって排水ますへ導かれ、排水管をへて所定の箇所に集めて放水される

フェイスプレート 鋼製伸縮装置本体の上層部分

車両走行により輪荷重が直接作用する。

プライマー 防錆効果と同時に金属の素地と塗り重ねる塗料との密着性を良くすることを目的として、素地に最初に塗る塗料

鋼橋に使用される代表的なものとして、従来はエッチングプライマー、ウォッシュプライマーがあり、重防食が一般的になってからはジンクリッチペイントが用いられている。

ブラスト処理 鋼部材の塗装の際に、小さな粒(グリッド系の鋭角を持つ研削材、あるいはショット系の丸い玉の研削材)を噴射することで対象物に衝突させ、表面を処理する工法

主に、プライマーを塗布する前の鋼板に行い、錆や汚れの除去やプライマーと鋼板の付着性を高めることを目的に実施する

プレテンション プレストレスの導入方法のひとつで、コンクリートを打ち込む前(プレ)にPC鋼材を緊張し、コンクリート硬化後にPC鋼材端部を切断し、コンクリートにプレストレスを導入する
ポストテンション コンクリートが固まった後に、あらかじめコンクリート内に配置したシースにPC鋼材を設置、および緊張することでコンクリートにプレストレスを導入する方法
防食機能 鋼部材の腐食を防止する機能

塗装、メッキ、および耐候性鋼材の安定錆などがある

埋設型枠 コンクリート硬化後も取り外すことなく構造物の一部として使用される型枠のこと

モルタル板、鋼板(鋼コンクリート合成床版の底鋼板)、PC板(コンポ桁の床版)などが使用される。

巻立てコンクリート 鉄筋コンクリート橋脚の耐荷性能や耐震性能を向上させることを目的として、柱部に巻立てるコンクリート
無機ジンクリッチプライマー 重防食塗装のプライマーとして一般的に使用されている、亜鉛を主成分とする粉末と、ケイ酸塩を主成分とする液体からなる一液一粉末の塗料
無収縮モルタル モルタルが乾燥収縮によって体積が減少するのを防ぐために、鉄粉、アルミニウム粉末など入れて、多少の膨張をさせるようにしたモルタルをいう

これらのモルタルは、沓の下面およびアンカーボルトの周囲の充填、およびPC鋼材のシース内に注入するPCグラウトに用いられる

溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材 一般的な溶接構造用圧延鋼材(SM材)に銅、クロム、ニッケルを配合することで、表面に緻密な保護性錆を生じさせる鋼材
溶融亜鉛めっき 430~470℃程度の溶融した亜鉛浴中に鉄鋼製品を浸漬し、鉄鋼の素地上に亜鉛の皮膜をつくる防錆方法

橋梁では高欄、支承、排水ますなどに用いられているが、近年では鋼橋の本体となる鋼部材にも用いられるようになっていて、どぶづけともいう。

 

⑥橋梁点検における用語

橋梁点検用語 意味
渦流探傷試験 渦電流を測定物に与え、表面の渦電流の変化を検出する試験。鋼部材表層付近の亀裂の検出に有効である

他の鋼部材の亀裂に用いる試験の中では測定時間が比較的短い。

近接目視 橋梁やトンネルなどの土木構造物の点検方法の一つ

橋梁点検車や高所作業車などを利用して、触診や打音検査ができる距離まで近づき、施設の損傷状態を目視により調べること。

クラック 1つの面に沿ってその両面の変位が不連続になっているもの

コンクリート部材ではひびわれ、鋼部材では亀裂ともいう

健全性 道路法施行規則、およびトンネル等の健全性の診断結果の分類に関する告示において規定する点検時に確認された構造物の状態や機能に応じて、Ⅰ(健全)、Ⅱ(予防保全段階)、Ⅲ(早期措置段階)、Ⅳ(緊急措置段階)の4段階で表される評価区分のこと
錆汁 コンクリート中の鋼材(鉄筋、PC鋼材、鋼製のスペーサーなど)が腐食して茶色や褐色の腐食生成物がコンクリート表面に滲み出したもの
サルファ割れ 硫黄の偏析が層状に存在している鋼材を溶接したときに鋼材内部に発生する割れであり、結晶粒界に沿って発生

古い鋼構造物に溶接で部材の追加設置を行う場合に注意が必要

事後保全 構造物の損傷や機能低下が顕在化した段階で、補修や補強などの措置を実施すること
止端割れ 溶接部の止端(溶接金属と母材の境界部)から発生する割れのこと
磁粉探傷試験 鋼などの磁性材料の表面または表面付近に亀裂が存在すると磁力線の乱れが生じることを利用し、亀裂に沿って付着した磁性粉を観察することで亀裂などの欠陥を検出する試験
スケーリング コンクリート表面がフレーク状にはげ落ちることの総称で、表面剥離ともいう

一般には凍害による損傷形態の一つであり、損傷の小さいものをピーリング(peeling)といい、損傷の深さが5~10mm程度で粗骨材の間のモルタルが損傷する場合を中程度のスケーリングという。

析出 液体や固体から内部成分などが結晶として分離する現象

コンクリート部材では、ひびわれから内部の遊離石灰がコンクリート表面に白い出物として現れる場合がある。

洗掘 橋台や橋脚の基礎周辺の土砂が流水により洗い流され、消失すること。

洗屈により基礎が露出した状態では、地震時に基礎が不安定となり、下部構造の傾斜や沈下が発生する可能性がある。

超音波探傷試験 超音波を試験体中に伝搬させたときに、表面や表面近傍に亀裂などの欠陥があると、そこで超音波が反射することを利用した試験

橋梁分野では、鋼構造の亀裂探傷に適用される場合が多い。

不動態皮膜 金属表面の腐食作用に抵抗する酸化皮膜。不動態皮膜が形成されている場合には鋼材は腐食しない

塩化物イオンが無く、中性化もしていないコンクリート中の鉄筋やPC鋼材の表面には不動態皮膜が形成されている。

不等沈下 構造物に支点や基礎地盤の沈下量が一様でない場合の沈下。下部構造の傾斜により上部構造の損傷や路面の段差の原因となる

不同沈下ともいう

特に複数径間の橋梁で、異なる種類の基礎形式を採用している場合や、基礎の支持地盤が異なるような場合や、単一下部工内でも支持地盤に傾斜がある場合は不等沈下の原因となることがある。

点検支援技術 定期点検において、近接目視を支援して状態把握を行うための技術であり、近接目視と同等の健全性の診断を行うことができる情報を取得できることが求められる

画像計測、非破壊検査、計測・モニタリング、データ収集・通信に分類した技術カタログを国土交通省が公開している

非破壊検査 検査対象物の性質や形状寸法に変化を与えないで、劣化や欠陥を調べる方法。

鋼構造物では①放射線透過試験 ②超音波探傷試験 ③浸透探傷試験 ④磁粉探傷試験などがある。

コンクリート構造物では、①赤外線サーモグラフィ法 ②超音波法 ③電磁波レーダ ④衝撃弾性波法 ⑤自然電位 などがある。

微破壊検査 必要最低限の破壊で構造体内部を調査する方法

コンクリート構造物の小径コアによる強度や塩化物イオン量の調査などが代表的である。

ラメラテア 局部的に集合した硫化物が圧延中に圧延方向に沿って平行に伸ばされて層状組織となり、これにより板厚方向の伸び性能が低下し、溶接により板厚方向に付加された残留引張応力によって鋼板表面に平行方向に進展する剥離状のわれ

硫黄の含有量を低減した耐ラメラテア鋼の使用により発生を防止できる

メンテナンスサイクル 点検→診断→措置→記録→(次の点検)の維持管理の一連のサイクル
モニタリング 構造物の位置や応答などの対象とする計測項目について精度・頻度などを明らかにしたうえで、時間的に連続的または離散的に計測し続ける行為
白華現象 コンクリートの表面に白い綿状の吹出物あるいは斑点が生じる現象

エフロレッセンスともいう

不動態皮膜 金属表面の腐食作用に抵抗する酸化皮膜

不動態皮膜が形成されている場合には鋼材は腐食しない

塩化物イオンが無く、中性化もしていないコンクリート中の鉄筋やPC鋼材の表面には不動態皮膜が形成されている。

 

以上です。

もし抜けてる用語などありましたら、コメント等でお知らせください。

どんどん反映させていきます 🙂

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 現場監督・施工管理の経験あり
  • 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)の資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報を発信中!
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