今回のテーマは縦断勾配と横断勾配の違いです。
道路の勾配には、前後方向の傾きを示す縦断勾配と、排水のために横方向へつける横断勾配があり、役割も基準もまったく異なります。
さらに、カーブで使う片勾配や、縦断と横断を合成して判断する合成勾配など、道路設計では複数の勾配基準を使い分けているんです。
そんなわけで記事では、それぞれの違いと道路構造令で定められた基準を整理して解説します。
縦断勾配と横断勾配の違いとは?道路勾配の基準
縦断勾配と横断勾配の違いは、道路がどの方向に傾いているかという点にあります。
縦断勾配は道路の進行方向の傾きで、上り坂・下り坂の度合いを示します。
一方、横断勾配は道路の横方向の傾きで、雨水を排水するために左右どちらかへ傾けるもの。
つまり、前後の坂が縦断、左右の排水のための傾きが横断という違いです。
また縦断勾配と横断勾配は、道路構造令での違いがあります。
| 縦断勾配 | 横断勾配 |
| 道路構造令20条 | 道路構造令24条 |
設計速度や現場状況により、勾配の基準が設けられています。
道路勾配の基準①縦断勾配
縦断勾配は、道路構造令第20条により定められています。
以下の表を見てください。
基準の左側にある値(ピンク)以下になるようにするのがきほんです。
ただし地形上むずかしい場合や、やむを得ない場合は、基準の右側(青)の値を使ってもよいことになっています。
第1・2・3種
道路の第1種・第2種・第3種という区分は、「その道路がどんな交通を想定してつくられているか」を示す分類です。
第1種は高速道路のように高速・大量交通を前提とした道路で、自動車専用の構造になっています。
第2種は一般道路の中でも交通量が多く、流れを妨げないことを重視した幹線道路が該当します。
そして第3種は地域の主要道路で、生活道路よりは重要度が高いものの、交通量は中程度。
つまり、高速道路 → 幹線道路 → 地域の主要道路という順に、求められる性能が変わる仕組みです。
【普通道路】
| 設計速度(km/h) | 基本(%) | やむを得ない(%) |
|---|---|---|
| 120 | 2 | 5 |
| 100 | 3 | 6 |
| 80 | 4 | 7 |
| 60 | 5 | 8 |
| 40 | 6 | 9 |
| 30 | 7 | 11 |
| 20 | 8 | 12 |
【小型道路】
| 設計速度(km/h) | 基本(%) | やむを得ない場合(%) |
|---|---|---|
| 100 | 4 | 6 |
| 80 | 7 | ー |
| 60 | 8 | ー |
| 50 | 9 | ー |
| 40 | 10 | ー |
| 30 | 11 | ー |
| 20 | 12 | ― |
第4種
第4種道路は、生活道路にあたる一番小さな区分の道路です。
住宅街や商店街など、歩行者や自転車が多く、車の速度も低いことを前提に設計されているのが特徴。
- 交通量:少なめ
- 利用者:歩行者・自転車が中心
- 設計速度:低い(20〜60km/h)
- 安全性重視で、勾配の許容値もゆるめ
つまり第4種は、生活圏の安全を最優先した“ゆっくり走る道路”というイメージです。
【普通道路】
| 設計速度(km/h) | 基本(%) | やむを得ない場合(%) |
|---|---|---|
| 60 | 5 | 7 |
| 50 | 6 | 8 |
| 40 | 7 | 9 |
| 30 | 8 | 10 |
| 20 | 9 | 11 |
【小型道路】
| 設計速度(km/h) | 基本(%) | やむを得ない(%) |
|---|---|---|
| 60 | 8 | ― |
| 50 | 9 | ― |
| 40 | 10 | ― |
| 30 | 11 | ― |
| 20 | 12 | ― |
登坂勾配
登坂勾配は、勾配区間に進入する速度により、許容速度を保てれば、基準の登坂勾配よりもやや高めの値でもOKとされています。
しかし設計速度が低い場合は、許容速度も勾配もきついので、基準値以内の値を設定するようにしましょう。
| 車種・条件 | 120 | 100 | 80 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 許容速度:セミトレーラートラック | 60 | 50 | 40 | 30 | 30 | 25 | 20 | 15 |
| 許容速度:乗用車 | 90 | 90 | 80 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 |
| セミトレーラー(満載) | 1.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 3.5 | 5.0 | 6.0 | 9.5 |
| セミトレーラー(半載) | 3.5 | 4.5 | 6.5 | 7.5 | 7.5 | 11.0 | ― | ― |
| 普通トラック(満載) | 2.0 | 2.5 | 4.5 | 5.0 | 5.0 | 8.0 | 9.0 | ― |
| 普通トラック(半載) | 3.5 | 4.5 | 6.5 | 7.5 | 7.5 | 11.0 | ― | ― |
| 乗用車(2,000cc級) | 4.5 | 4.5 | 10.0 | 11.0 | 11.5 | 11.5 | ― | ― |
ちなみに、やむを得ない場合での最大縦断勾配(登坂)は、安全性を考慮し12%とされています。
また、普通道路の縦断勾配の特例値は、以下の表のとおりです。
| 設計速度(km/h) | 勾配(%) | 制限延長(m) |
|---|---|---|
| 120 | 3 | 800 |
| 100 | 4 | 500 |
| 80 | 5 | 400 |
| 60 | 6 | 500 |
| 50 | 7 | 400 |
| 40 | 8 | 500 |
| 30 | 9 | 300 |
| 20 | 10 | 200 |
いっぽう、登坂車線を設置した場合には、上表の制限延長を超えて縦断勾配を設定してよいとされています。
また道路関連では、道路の種類や道路勾配の計算についても、別記事でまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
道路勾配の基準②横断勾配
横断勾配は、道路構造令第24条に定められています。
- 車道
- 中央帯(分離帯をのぞく)
- 車道に接続する路肩
において、片勾配をつける場合をのぞき、路面の種類に応じ横断勾配を設置します。
| 路面の種類 | 横断勾配(%) | 説明(元データすべて) |
|---|---|---|
| 車道および側帯の舗装 | 1.5以上 2以下 | ① その設計に用いる自動車の輪荷重の基準を49kNとする
② 計画交通量、自動車の重量、路床の状態、気象状況等を勘案 ③ 自動車の安全かつ円滑な交通を確保でき、国土交通省令で定める基準に適合する構造 |
| その他 | 3以上 5以下 | ①〜③の条件に基づき、舗装以外の路面に適用 |
歩道や自転車道にはきほん、2%の横断勾配をつけてください。(標準)
道路勾配の基準③車道などにおける片勾配
片勾配は、道路構造令第16条に記載 🙂
車道、中央帯(分離帯を除く)および車道に接続する路肩の曲線部には、以下の表の最大片勾配以下で、適切な片勾配を設置します。
(曲線半径がきわめて大きい場合を除く)
| 区分 | 道路が存する地域 | 最大片勾配(%) |
|---|---|---|
| 第1種・第2種・第3種 | 積雪寒冷地域
積雪寒冷の度がはなはだしい地域 |
6 |
| その他の地域 | 8 | |
| その他の地域 | 10 | |
| 第4種 | ー | 6 |
第4種の道路では、地形の状況その他の特別の理由、やむを得ない場合において、片勾配を設置しなくてもよいとされていますよ 🙂
道路勾配の基準④合成勾配
合成勾配は、道路構造令第25条に規定されます。
| 設計速度(km/h) | 合成勾配(%) |
|---|---|
| 120 | 10 |
| 100 | |
| 80 | 10.5 |
| 60 | |
| 50 | 11.5 |
| 40 | |
| 30 | |
| 20 |
ただし、設計速度が1時間につき30㎞または20㎞の道路で、地形の状況その他の特別な理由によりやむを得ない場合は、12.5%以下とすることができます。
車道などの道路勾配基準(縦断勾配・横断勾配・合成勾配・片勾配)まとめ
車道の勾配基準には、道路の安全性と走行性を確保するための4つの考え方があります。
前後方向の傾きを示す縦断勾配、排水のために横方向へつける横断勾配、両者を合成して実際の傾きを判断する合成勾配、そしてカーブで遠心力に対応するための片勾配です。
これらを適切に組み合わせることで、雨天時の排水性や走行安定性が保たれ、安全な道路が成り立っています。
| 区分 | 条文 | 内容(元データそのまま) |
|---|---|---|
| 片勾配 | 第16条 | 第4種の道路では、地形の状況その他の特別の理由、やむを得ない場合において、片勾配を設置しなくてもよい |
| 縦断勾配(縦断) | 第20条 | 登坂勾配は、勾配区間に進入する速度により、許容速度を保てれば、基準の登坂勾配よりもやや高めの値でもOK/やむを得ない場合での最大縦断勾配(登坂)は、安全性を考慮し12%/登坂車線を設置した場合には、上表の制限延長を超えて縦断勾配を設定してよい |
| 横断勾配 | 第24条 | 歩道や自転車道にはきほん、2%の横断勾配をつける |
| 合成勾配 | 第25条 | 設計速度が1時間につき30kmまたは20kmの道路で、地形の状況その他の特別な理由によりやむを得ない場合は、12.5%以下とすることができる |
以上です。
参考になればうれしいです。
ありがとうございました。
この記事を書いている人
- 元公務員(土木)の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 1級土木施工管理技士、玉掛、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法などをメインにさまざまな情報発信をしています。