こんにちは、土木学士ちゃんさとです。
道路構造令が令和3年3月に改訂となりましたね 🙂
主な改定内容はこんな感じ(道路構造令の解説と運用に反映)
2018(H30) | 重要物流道路に用いる設計車両(セミトレーラ連結車、車両高さ3.8m⇒4.1m等)
建築限界(H=4.5m⇒H=4.8m)を追加 |
2019(H31) | 自転車通行帯に関する規定を追加 |
2020(R2) | 歩行者安全利便増進道路に関する規定を追加
交通安全施設に自動運行補助施設を追加 |
ま、今回の記事内容には関係ないんですけど。(笑)
まあまあ、そう怒らないでください。
今回のテーマは縦断勾配と横断勾配の違いです。
さらに道路構造令による、道路勾配(縦断勾配・横断勾配・合成勾配・片勾配)の基準をかんたんに解説しますね 😉
一方、道路勾配を区分するうえで、小型道路と普通道路が出てきます。
小型道路 | 小型自動車等のみの通行
普通道路にくらべて小さな道路(乗用車専用道路) |
普通道路が整備できない
自動車が沿道へアクセスする必要がない道路 当該道路のちかくに大型自動車が迂回できる道路があること |
普通道路 | それ以外の道路 | 小型道路を除く |
小型道路と普通道路のちがいはこんな感じです。
参考にしてください。
この記事を書いている人
- 元公務員(土木)の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 1級土木施工管理技士、玉掛、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報発信をしています。
また道路関連では、道路の種類や道路勾配の計算についても、別記事でまとめていますのでご確認ください。
縦断勾配と横断勾配の違いとは?道路勾配の基準
縦断勾配と横断勾配は、もちろん縦と横の違いですが、道路構造令での違いがあります。
縦断勾配 | 横断勾配 |
道路構造令20条 | 道路構造令24条 |
設計速度や現場状況により、勾配の基準が設けられています。
それぞれの詳しい内容は、次の章から確認していきましょう。
道路勾配の基準①縦断勾配
縦断勾配は、道路構造令第20条により定められています。
以下の表を見てください。
基準の左側にある値(ピンク)以下になるようにするのがきほんです。
ただし地形上むずかしい場合や、やむを得ない場合は、基準の右側(青)の値を使ってもよいことになっています。
区分 |
設計速度 (単位1時間につき㎞) |
縦断勾配
(%) |
||
基本 | やむを得ない場合 | |||
第1種
第2種 第3種 |
普通道路 | 120 | 2 | 5 |
100 | 3 | 6 | ||
80 | 4 | 7 | ||
60 | 5 | 8 | ||
50 | 6 | 9 | ||
40 | 7 | 10 | ||
30 | 8 | 11 | ||
20 | 9 | 12 | ||
小型道路 | 120 | 4 | 5 | |
100 | 4 | 6 | ||
80 | 7 | ― | ||
60 | 8 | ― | ||
50 | 9 | ― | ||
40 | 10 | ― | ||
30 | 11 | ― | ||
20 | 12 | ― | ||
第4種
|
普通道路 | 60 | 5 | 7 |
50 | 6 | 8 | ||
40 | 7 | 9 | ||
30 | 8 | 10 | ||
20 | 9 | 11 | ||
小型道路 | 60 | 8 | ― | |
50 | 9 | ― | ||
40 | 10 | ― | ||
30 | 11 | ― | ||
20 | 12 | ― |
(縦断)登坂勾配は、勾配区間に進入する速度により、許容速度を保てれば、基準の登坂勾配よりもやや高めの値でもOKとされています。
しかし設計速度が低い場合は、許容速度も勾配もきついので、基準値以内の値を設定するようにしましょう。
(縦断)登坂勾配(%) | |||||||||
設計速度 | 120 | 100 | 80 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | |
許容速度 | セミトレーラートラック | 60 | 50 | 40 | 30 | 30 | 25 | 20 | 15 |
乗用車 | 90 | 90 | 80 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | |
セミトレーラートラック | 満載 | 1.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 3.5 | 5.0 | 6.0 | 9.5 |
半載 | 3.5 | 4.5 | 6.5 | 7.5 | 7.5 | 11.0 | ― | ― | |
普通トラック | 満載 | 2.0 | 2.5 | 4.5 | 5.0 | 5.0 | 8.0 | 9.0 | ― |
半載 | 3.5 | 4.5 | 6.5 | 7.5 | 7.5 | 11.0 | ― | ― | |
乗用車 | 2,000㏄級 | 4.5 | 4.5 | 10.0 | 11.0 | 11.5 | 11.5 | ― | ― |
ちなみに、やむを得ない場合での最大縦断勾配(登坂)は、安全性を考慮し12%とされています。
また、普通道路の縦断勾配の特例値は、以下の表のとおりです。
普通道路 縦断勾配の特例値 |
||
設計速度 | 勾配
(%) |
制限延長 |
120 | 3 | 800 |
4 | 500 | |
5 | 400 | |
100 | 4 | 700 |
5 | 500 | |
6 | 400 | |
80 | 5 | 600 |
6 | 500 | |
7 | 400 | |
60 | 6 | 500 |
7 | 400 | |
8 | 300 | |
50 | 7 | 500 |
8 | 400 | |
9 | 300 | |
40 | 8 | 400 |
9 | 300 | |
10 | 200 |
いっぽう、登坂車線を設置した場合には、上表の制限延長を超えて縦断勾配を設定してよいとされています。
道路勾配の基準②横断勾配
横断勾配は、道路構造令第24条に定められています。
- 車道
- 中央帯(分離帯をのぞく)
- 車道に接続する路肩
において、片勾配をつける場合をのぞき、路面の種類に応じ横断勾配を設置します。
路面の種類 | 横断勾配
(%) |
【車道および側帯の舗装】 ①その設計に用いる自動車の輪荷重の基準を 49 kNとする ②計画交通量、自動車の重量、路床の状態、気象状況等を勘案 ③自動車の安全かつ円滑な交通を確保でき、国土交通省令で定める基準に適合する構造 |
1.5以上 |
2以下 | |
その他 | 3以上 |
5以下 |
歩道や自転車道にはきほん、2%の横断勾配をつけてください。(標準)
道路勾配の基準③車道などにおける片勾配
片勾配は、道路構造令第16条に記載 🙂
車道、中央帯(分離帯を除く)および車道に接続する路肩の曲線部には、以下の表の最大片勾配以下で、適切な片勾配を設置します。
(曲線半径がきわめて大きい場合を除く)
区分 | 道路が存する地域 | 最大片勾配
(%) |
|
第1種
第2種 第3種 |
積雪寒冷地域 | 積雪寒冷の度が
はなはだしい地域 |
6 |
その他の地域 | 8 | ||
その他の地域 | 10 | ||
第4種 | ― | 6 |
第4種の道路では、地形の状況その他の特別の理由、やむを得ない場合において、片勾配を設置しなくてもよいとされていますよ 🙂
道路勾配の基準④合成勾配
合成勾配は、道路構造令第25条に規定されます。
設計速度
(単位1時間につき㎞) |
合成勾配
(%) |
120 | 10 |
100 | |
80 | 10.5 |
60 | |
50 | 11.5 |
40 | |
30 | |
20 |
ただし、設計速度が1時間につき30㎞または20㎞の道路で、地形の状況その他の特別な理由によりやむを得ない場合は、12.5%以下とすることができます。
車道などの道路勾配基準(縦断勾配・横断勾配・合成勾配・片勾配)まとめ
道路構造令 | 勾配の種類 | ポイント |
第16条 | 片勾配 | 第4種の道路では、地形の状況その他の特別の理由、やむを得ない場合において、片勾配を設置しなくてもよい |
第20条 | 縦断勾配 | (縦断)登坂勾配は、勾配区間に進入する速度により、許容速度を保てれば、基準の登坂勾配よりもやや高めの値でもOK
やむを得ない場合での最大縦断勾配(登坂)は、安全性を考慮し12% 登坂車線を設置した場合には、上表の制限延長を超えて縦断勾配を設定してよい |
第24条 | 横断勾配 | 歩道や自転車道にはきほん、2%の横断勾配をつける |
第25条 | 合成勾配 | 設計速度が1時間につき30㎞または20㎞の道路で、地形の状況その他の特別な理由によりやむを得ない場合は、12.5%以下とすることができる |
片勾配の基準
片勾配 | |||
区分 | 道路が存する地域 | 最大片勾配
(%) |
|
第1種
第2種 第3種 |
積雪寒冷地域 | 積雪寒冷の度が
はなはだしい地域 |
6 |
その他の地域 | 8 | ||
その他の地域 | 10 | ||
第4種 | ― | 6 |
縦断勾配の基準
区分 |
設計速度 (単位1時間につき㎞) |
縦断勾配
(%) |
||
基本 | やむを得ない場合 | |||
第1種
第2種 第3種 |
普通道路 | 120 | 2 | 5 |
100 | 3 | 6 | ||
80 | 4 | 7 | ||
60 | 5 | 8 | ||
50 | 6 | 9 | ||
40 | 7 | 10 | ||
30 | 8 | 11 | ||
20 | 9 | 12 | ||
小型道路 | 120 | 4 | 5 | |
100 | 4 | 6 | ||
80 | 7 | ― | ||
60 | 8 | ― | ||
50 | 9 | ― | ||
40 | 10 | ― | ||
30 | 11 | ― | ||
20 | 12 | ― | ||
第4種
|
普通道路 | 60 | 5 | 7 |
50 | 6 | 8 | ||
40 | 7 | 9 | ||
30 | 8 | 10 | ||
20 | 9 | 11 | ||
小型道路 | 60 | 8 | ― | |
50 | 9 | ― | ||
40 | 10 | ― | ||
30 | 11 | ― | ||
20 | 12 | ― |
(縦断)登坂勾配(%) | |||||||||
設計速度 | 120 | 100 | 80 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | |
許容速度 | セミトレーラートラック | 60 | 50 | 40 | 30 | 30 | 25 | 20 | 15 |
乗用車 | 90 | 90 | 80 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | |
セミトレーラートラック | 満載 | 1.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 3.5 | 5.0 | 6.0 | 9.5 |
半載 | 3.5 | 4.5 | 6.5 | 7.5 | 7.5 | 11.0 | ― | ― | |
普通トラック | 満載 | 2.0 | 2.5 | 4.5 | 5.0 | 5.0 | 8.0 | 9.0 | ― |
半載 | 3.5 | 4.5 | 6.5 | 7.5 | 7.5 | 11.0 | ― | ― | |
乗用車 | 2,000㏄級 | 4.5 | 4.5 | 10.0 | 11.0 | 11.5 | 11.5 | ― | ― |
普通道路 縦断勾配の特例値 |
||
設計速度 | 勾配
(%) |
制限延長 |
120 | 3 | 800 |
4 | 500 | |
5 | 400 | |
100 | 4 | 700 |
5 | 500 | |
6 | 400 | |
80 | 5 | 600 |
6 | 500 | |
7 | 400 | |
60 | 6 | 500 |
7 | 400 | |
8 | 300 | |
50 | 7 | 500 |
8 | 400 | |
9 | 300 | |
40 | 8 | 400 |
9 | 300 | |
10 | 200 |
横断勾配の基準
路面の種類 | 横断勾配
(%) |
【車道および側帯の舗装】 ①その設計に用いる自動車の輪荷重の基準を 49 kNとする ②計画交通量、自動車の重量、路床の状態、気象状況等を勘案 ③自動車の安全かつ円滑な交通を確保でき、国土交通省令で定める基準に適合する構造 |
1.5以上 |
2以下 | |
その他 | 3以上 |
5以下 |
合成勾配の基準
設計速度
(単位1時間につき㎞) |
合成勾配
(%) |
120 | 10 |
100 | |
80 | 10.5 |
60 | |
50 | 11.5 |
40 | |
30 | |
20 |
以上です。
参考になればうれしいです。
ありがとうございました。