こんな疑問にお答えします。
今回はコンクリートの打ち込み時の注意点についてまとめました。
コンクリート打設の時間当たりや、打ち上がり速度、打ち込み高さなど、コンクリート標準示方書【施工編】に定められている内容です。
また土木の現場ではもちろんのこと、土木施工管理技士の記述試験にもよく出ますので要チェックですよ 😉
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ!
コンクリート打ち上がり速度とは?コンクリート打設時間当たりや打ち込み高さ
まずは、コンクリート打ち込み時の注意点についてです。
ポイントは、
- コンクリート打設時間当たりと温度
- コンクリート打ち込み計画
- コンクリート打ち込み高さ
- コンクリート打ちあがり速度
- コンクリート打ち込み時
コンクリートの打設時間当たりと温度
コンクリートを打ち込むときの温度と打設時間当たりについては以下のとおりに基準が決められています。
コンクリ―ト | 外気温 | 打設時間当たり |
コンクリート練りはじめから打ち終わるまで | 25℃を超えるとき(26℃~) | 1.5時間以内(90分) |
25℃以下(25℃まで) | 2時間以内(120分) | |
2層以上のコンクリートを打ち重ねるときの時間間隔(許容うち重ね時間間隔) | 25℃を超えるとき(26℃~) | 2時間以内(120分) |
25℃以下(25℃まで) | 2.5時間以内(150分) |
気温と時間については土木現場ではもちろんのこと、土木施工管理技士の試験にもよく出ますのでセットで覚えておきましょう。
コンクリートの打ち込み計画
コンクリートの打ち込みは、材料分離や打ち込み作業が中断しないように、打ち込み計画、打ち込み速度、順序などを考えて計画しましょう。
構造物の種類やかたち、コンクリートの供給能力、工程など、無理のない範囲で打ち込み量を決めてください。
また、型枠や支保工への過度なコンクリ―ト荷重、あるいは側圧のかたよりなどがないように、安全性にも十分配慮した打ち込みをお願いします。
コンクリート打ち込み高さの基準とは?
コンクリート打ち込み時の高さのポイントはこちらです。
- コンクリート1層あたりの高さは40センチ~50センチ以下とすること
- コンクリート打ち込みときに使う、シュート、ポンプ配管、バケット、ホッパなどの吐出口から打ち込み面までの落下高さは1.5m以下とすること
コンクリート1層あたりの高さ
コンクリート1層あたりの高さが40センチ~50センチ以下と決められているのは、棒状バイブレータ(内部振動機)の性能が関係しています。
50センチ以上になってしまうと、振動されない部分ができてしまい、内部振動機の効果がうまく発揮されません。
また、コンクリートには気泡が含まれています。
大きな気泡が含まれていると、コンクリート内でモルタルや砂利同士の結びつきをじゃましてしまいます。
その結果コンクリート内にすきまができてしまい、十分な強度を発揮できないことがあるため、内部振動機で締め固めることが必要です。
コンクリート打ち込み時の落下高さ
コンクリート打ち込み時、コンクリートの落下高さが1.5mを超えると、材料分離を起こしたり、豆板(ジャンカ)などの欠陥を生じる恐れがあります。
コンクリートの豆板(ジャンカ)とは、打ち込みされたコンクリートがうまく充てんされないことによって、粗骨材が多く集まり、すきまの多くなったコンクリートの不良部分のことをいいます。
その見た目は表面に凹みができ、表面部分に粗骨材が見えてしまう状態です。
さらにひどい場合には、大きなすきまができて粗骨材を叩くとポロポロ崩れてしまい、鉄筋が露出してしまうこともあります。
ジャンカの状態になってしまうとコンクリートの強度が下がり、安全性に問題のある構造物になってしまうので十分気をつけましょう。
コンクリートの打ち上がり速度とは?
打ちあがり速さの基準はこちらです。
一般的な構造物は30分につき1~1.5m程度を標準としています。
土木施工管理技士などの試験で、コンクリート打ち込み時の注意点を回答するときも【打ちあがり速度は30分につき1~1.5m程度を標準とすること】でOKです。
しかし、壁や柱のような高さがあるコンクリートを連続して打ち込む場合は、打ちあがり速度を30分で1m以下に抑えるなど、打ちあがり速度も調整するようにしてください。
打ち込み時の注意点
コンクリートを打ち込むときに気をつけることはこちらです。
- コンクリートは打ち込んだ型枠内で横移動させないこと
- 計画した打継目以外は、打ち込み完了までコンクリートを連続して打ち込むこと
- ブリーディング水が表面に集まった場合は、取り除いてから打ち込むこと
コンクリートを横移動させない
コンクリートを横移動させると、材料分離を起こす可能性があります。
材料分離を起こすと、コンクリートの強度が下がってしまいます。
だからコンクリート、は型枠内で横移動させてはいけません。
この内容はコンクリート締固めにも関係するので、併せて確認しておきましょう。
コンクリートは連続して打ち込む
不要な打継目は構造物の弱点になりやすいため、打継目をなくすことが必要です。
打継目(うちつぎめ)とは、打継ぎをおこなった境目のことです。
不要な打継目を減らすために、コンクリートは連続して打ち込みましょう。
ブリーディング水は取り除く
ブリーディングとは、固まらないコンクリートやモルタルの材料分離によって、練り混ぜ水の一部が表面にでてくる現象のことです。
過度なブリーディングが生じると、セメント・骨材の下降し、コンクリートの均一性の低下や水密性および鉄筋付着力の低下などが生じます。
コンクリートを打ち込むときは、ブリーディング水をしっかり取り除くようにしましょう。
コンクリート打ち上がり速度×コンクリート打設時間当たり×打ち込み高さ
コンクリート打ち込み注意点(温度&時間)
コンクリ―ト | 外気温 | 打設時間当たり |
コンクリート練りはじめから打ち終わるまで | 25℃を超えるとき(26℃~) | 1.5時間以内(90分) |
25℃以下(25℃まで) | 2時間以内(120分) | |
2層以上のコンクリートを打ち重ねるときの時間間隔(許容うち重ね時間間隔) | 25℃を超えるとき(26℃~) | 2時間以内(120分) |
25℃以下(25℃まで) | 2.5時間以内(150分) |
コンクリート打ち込みポイント
- コンクリートの打ち込みは、材料分離や打ち込み作業が中断しないように、打ち込み計画、打ち込み速度、順序などを考えて計画すること
- コンクリート1層あたりの高さは40センチ~50センチ以下とすること
- コンクリート打ち込みときに使う、シュート、ポンプ配管、バケット、ホッパなどの吐出口から打ち込み面までの落下高さは1.5m以下とすること
- 打ちあがり速度は30分につき1~1.5m程度を標準とすること
- コンクリートは打ち込んだ型枠内で横移動させないこと
- 計画した打継目以外は、打ち込み完了までコンクリートを連続して打ち込むこと
- ブリーディング水が表面に集まった場合は、取り除いてから打ち込むこと
今回は以上です。
参考になればうれしいです。
ありがとうございました。
この記事を書いている人
元地方公務員の土木ブロガー💻
1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格を取得しています。
某県庁の公務員土木職で7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
現在は、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにブログで情報発信をしています。