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自然電位とは?自然電位法の原理や測定方法&コンクリート鉄筋腐食を解説

記事の内容は【自然電位法】

原理や測定方法、コンクリート鉄筋腐食のメカニズムについてまとめましたので参考にしてください。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次から 🙂

 

自然電位とは?自然電位法の原理や測定方法&コンクリート鉄筋腐食を解説

自然電位とは金属がその存在している環境で維持している金属固有の電位を指します。

鉄筋が腐食し表面に腐食電池(アノード部とカソー ド部)が形成されると、自然電位も変化します。(アノード部は負に帯電し自然電位は卑側(-側)に変化)

また、自然電位法とは、鋼材が腐食することによって変化する鋼材表面の電位から、コンクリート内の鋼材腐食の程度や強度を推定できる電気化学的方法です。

ASTM C 876により規定されています。

ASTMとは、世界最大級の民間規格制定機関(非営利団体)で、米国試験材料協会が策定する規格です。約130分野(プラスチック、金属、塗料、繊維、石油、建設、エネルギー、環境、消費財、医療サービス・機器、コンピュータシステム、電子機器など)の標準試験仕様、作業方法、ガイド、分類、用語集を作成しています

 

自然電位法の原理は、電位の移動による電気化学反応です。

鉄筋は腐食していると、鉄イオンが溶け出します。(酸化反応)

鉄イオンの電位反応式(アノード域)

Fe→Fe²⁺+2e⁻

そして鉄イオンとコンクリート内の水酸化物イオンと結合します。

水酸化イオンの電位反応式(カソード反応)

2H₂O+O₂+4e⁻→4OH⁻

したがって、コンクリート内の電位を測定することにより、鉄筋腐食の進行具合を推定できるわけです。

 

また、自然電位法以外のコンクリート非破壊検査は以下の記事にまとまっていますのでぜひ併せてご確認ください。

コンクリート構造物の非破壊検査【種類&一覧】

 

自然電位法の測定方法!コンクリート鉄筋腐食

自然電位法の測定方法はこちら 🙂

自然電位法の測定方法

  1. 測定30分前に噴霧や散水により、コンクリート表面を湿潤状態にする
  2. 電位差計のプラス端子を鉄筋に接続
  3. 電位差計のマイナス端子を照合電極に接続
  4. 湿らせた脱脂綿などを巻き付けた電極をコンクリート表面と接触
  5. 100~300mmの範囲内で1mVの単位まで測定
  6. 定期的に散水などを行い、コンクリート表面の湿潤状態を保つ
  7. 測定は一般的に1時間以内に完了させる

 

また評価の基準は以下のとおりです。

ASTM C 876
自然電位(E)(VvsCSE) 鋼材腐食の可能性
-0.2<E 90%以上の確率で鋼材腐食なし
-0.35<E≦-0.2 不確定
E≦-0.35 90%以上の確率で鋼材腐食あり
コンクリートメンテナンス協会小規模橋梁の簡易点検要領(案)
自然電位(E)( mV:CSE) 腐食状態
E>-150 腐食を認めず
-150≧E>-250 点錆程度の表面的な腐食
-250≧E>-350 全体的に表面的な腐食
-350≧E>-450 浅い孔食等断面欠損の軽微な腐食
-450≧E 断面欠損の明らかな著しい腐食

 

また、銅硫酸銅電極(飽和)以外の照合電極を使った場合は、以下の表のとおりCSE換算を行う必要があります。

照合電極 CSE電極に対する自然電位への換算式
飽和硫酸銅電極(CSE) EcsEcsE
飽和塩化銀電極(SSE) EcsE= EssE-120-2.00(tー25)
鉛電極(PRE) EcsE EpRE-800+0.24(tー25)
飽和カロメル電極(SCE) EcsE= EsHE-74.5-1.66(tー25)

 

自然電位法の留意点!コンクリート鉄筋腐食

自然電位法の留意点をまとめるとこんな感じです 😎

鉄筋の腐食程度や腐食速度は測定できない

自然電位法は、調査時点での腐食の可能性について診断するものあり、鉄筋腐食の程度や速度は測定できません。

 

自然電位法で測定できない条件

自然電位法で測定できない条件

  1. コンクリートが非常に乾燥している場合(電気的絶縁)
  2. コンクリート表面を塗装している場合(電気的絶縁)
  3. エポキシ樹脂塗装鉄筋、亜鉛めっき鉄筋(電気的絶縁)
  4. コンクリート表面が常に水で覆われている場合

 

かぶりコンクリートの性状の影響を大きく受ける

自然電位法は、コンクリートの性状に大きく影響を受けることが留意点です。

コンクリートの含水率、炭酸化深さ、塩化物イオン量などが結果に大きく反映されます。

  1. 含水率:含水率が大きいと、自然電位は低くなる傾向
  2. 炭酸化深さ:炭酸化深さが大きいと、自然電位は高くなる傾向

 

自然電位とは?自然電位法の原理や測定方法&コンクリート鉄筋腐食まとめ

自然電位法まとめ

⚡自然電位法とは、鋼材が腐食することによって変化する鋼材表面の電位から、コンクリート内の鋼材腐食の程度や強度を推定できる電気化学的方法(ASTM C 876)

⚡自然電位法の測定方法

  1. 測定30分前に噴霧や散水により、コンクリート表面を湿潤状態にする
  2. 電位差計のプラス端子を鉄筋に接続
  3. 電位差計のマイナス端子を照合電極に接続
  4. 湿らせた脱脂綿などを巻き付けた電極をコンクリート表面と接触
  5. 100~300mmの範囲内で1mVの単位まで測定
  6. 定期的に散水などを行い、コンクリート表面の湿潤状態を保つ
  7. 測定は一般的に1時間以内に完了させる

⚡鉄筋の腐食程度や腐食速度は測定できない

⚡かぶりコンクリートの性状の影響を大きく受ける

⚡自然電位法で測定できない条件

  1. コンクリートが非常に乾燥している場合(電気的絶縁)
  2. コンクリート表面を塗装している場合(電気的絶縁)
  3. エポキシ樹脂塗装鉄筋、亜鉛めっき鉄筋(電気的絶縁)
  4. コンクリート表面が常に水で覆われている場合

 

以上です。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員(土木職)の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 現場監督・施工管理の経験あり
  • 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛け等の資格もち
  • ブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報を発信
  • 書籍【土木技術者のための土木施工管理の基礎】好評発売中!
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