縦断測量と横断測量におけるやり方や、縦横断測量の計算方法を解説していきます。
今回取り上げる計算方法は、レベルによる器高式記帳法と、TSによる間接水準測量です。
また例題も合わせて解説していますのでぜひチャレンジしてみてください。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 😉
縦断測量のやり方と縦横断測量の計算!器高式や横断測量・縦断測量の違い
縦断測量と横断測量の概要と計算、違いについてみていきましょう。
縦横断測量による計算方法
縦断測量:レベルによる器高式記帳法
横断測量:TSによる間接水準測量
縦断測量:レベルによる器高式記帳法
器高式記帳法とは、1点に据えたレベルを基準に、まわりの各点に立てた標尺を順次視準し、それぞれの高さを求める方法です。
レベルによる測量は、路線測量でも使われます。
a)レベルを標高の基準となるKBM1とその他観測すべき点が数多く見通せるAの部分に据える |
b)KBM1を視準して、その標尺の値が1,000mであった場合①、手簿のBS(後視)の位置にこれを記入 |
c)KBM1の標高が10,000mであった場合、A地点のレベルからKBM1を視準している視準線の標高は11,000mとなるため、GH(標高)の欄に10,000、IH(器械高)の欄に1,000+10,000(BS+GH)=11,000と記入 |
d)No.1およびNo.2の標尺の値をよみ(②③)、これをFS(前視)のIP(中間点)として野帳に記入
このときNo.1~No.2の標高は、KBM1のIHの値からそれぞれのIPを引いた値となる |
e)つづいてNo.3の標尺の値をよむ(④)
しかしNo.4以降の点については、A点に据えたレベルから障害物があり読むことできないので、レベルB点に移動する このためA点からNo.3の標尺を読んだ値は、FSのTP(移器点)に記入 No.3の標高はd)と同じくKBM1のIHからTPを引いた値となる |
f)レベルをNo.3とNo.4以降の点が見通せる場所であるB点に移動し、再びNo.3の標尺を読む(⑤)
この値はNo.3のBS欄に記入し、e)で計算されたNo.3のGHにこのBSを足して、レベルB点のIHを計算する |
g)No.4の標尺の値をよむ(⑥)
しかしNo.5およびKBM2の値を読むことができないため、レベルC点に移動させる このためNo.4の標尺を読んだ値は、e)と同様にTPに記入し、No.4の標高はNo.3のIHからこれを引いた値となる |
h)レベルを残りの点(No.5、KBM2)が見通せる位置Ⅽに移動し、再度No.4の標尺をよむ(⑦)
この値はNo.4のBS欄に記入し、g)で計算されたNo.4のGHにこのBSを足して、レベルCのIHを計算する |
i)No.5およびKBM2の標尺の値をよみ、各IPに記入
この場合の標高は、h)で求めたNo.4のIHから各IPを引いた値となる |
BS+GHの高さが、No.1~No.3までの高さの基準となります。
No | BS
(m) |
IH
(m) |
FS
(m) |
GH
(m) |
|
TP | IP | ||||
KBM1 | 1.000 | 11.000
(BS+GH) |
10.000 | ||
1 | 2.780 | 8.220
(IH-IP) |
|||
2 | 1.260 | 9.740
(IH-IP) |
|||
3 | 1.935 | 10.045
(BS+GH) |
2.890 | 8.110
(IH-IP) |
|
4 | 1.640 | 9.875
(BS+GH) |
1.810 | 8.235
(IH-IP) |
|
5 | 1.500 | 8.375
(IH-IP) |
|||
KBM2 | 1.683 | 8.192
(IH-IP) |
BSを読み取った点のGHにBSの値を加えてIHにしましょう。
IHからIP、TPを引けば、FSを行った点のGHを求めることができます。
またTPとなる点は、FS→レベル移動→BSと連続して観測することを基本としてください。
それでは器高式による縦断測量の計算問題を解いてみましょう。
器高式による縦断測量の計算問題
表は縦断測量の観測手簿の一部です。観測は器高式による直接水準測量で行っており、BM1,BM2を既知点として観測値との閉合差を補正して標高および器械高を決定しています。
表中のア~ウに当てはまる値はそれぞれ何か求めなさい。
地点 | 距離
(m) |
後視
(m) |
器械高
(m) |
前視
(m) |
補正量
(mm) |
決定標高
(m) |
BM1 | 25.00 | 1.308 | 81.583 | 80.275 | ||
No.1 | 0.841 | ア | 1.043 | イ | ウ | |
No.1GH | 20.00 | 0.854 | 80.527 | |||
No.2 | 1.438 | 79.943 | ||||
No.2GH | 5.00 | 1.452 | 79.929 | |||
No.2+5m | 1.329 | 81.126 | 1.585 | +1 | 79.797 | |
No.2+5mGH | 15.00 | 1.350 | 79.776 | |||
No.3 | 1.040 | 80.086 | ||||
No.3GH | 20.00 | 1.056 | 80.070 | |||
No.4 | 1.042 | 81.523 | 0.646 | +1 | 80.481 | |
No.4GH | 35.00 | 1.055 | 80.468 | |||
BM2 | 1.539 | +1 | 79.985 |
器高式による縦断測量の計算問題の解答
まずは補正量イの計算から。
BM1とBM2の閉合差を求めると、ΣBS(後視の合計)-ΣFS(前視)より、
(1.308+0.841+1.329+1.042)-(1.043+1.585+0.646+1.539)=4.520-4.813=-0.293m
ここでBM1の標高を基に考えるとBM2の観測標高は、
80.275-0.293=79.982m
となります。
地点 | 距離
(m) |
後視
(m) |
器械高
(m) |
前視
(m) |
補正量
(mm) |
決定標高
(m) |
BM1 | 25.00 | 1.308 | 81.583 | 80.275 | ||
No.1 | 0.841 | ア | 1.043 | イ | ウ | |
No.1GH | 20.00 | 0.854 | 80.527 | |||
No.2 | 1.438 | 79.943 | ||||
No.2GH | 5.00 | 1.452 | 79.929 | |||
No.2+5m | 1.329 | 81.126 | 1.585 | +1 | 79.797 | |
No.2+5mGH | 15.00 | 1.350 | 79.776 | |||
No.3 | 1.040 | 80.086 | ||||
No.3GH | 20.00 | 1.056 | 80.070 | |||
No.4 | 1.042 | 81.523 | 0.646 | +1 | 80.481 | |
No.4GH | 35.00 | 1.055 | 80.468 | |||
BM2 | 1.539 | +1 | 79.985 |
BM2の決定標高は表より79.985mであるため、BM1とBM2の閉合差は、
79.985-79.982=0.003m(3mm不足)
となり、この閉合差を前視の部分に補正すればOK!
表の補正量部分を見ると、No.2+5m、No.4、BM2で各+1mmずつ補正されているため、イの補正量は0mmであることがわかります。…(イ)
つづいてはウの部分
標高は(器械高)-(前視)+(補正量)であるため、表より
81.583-1.043+0=80.540m…(ウ)
最後にアの部分
器械高は(標高)+(後視)であるため、
80.540+0.841=81.381m…(ア)
したがって解答は、(ア)81.381m(イ)0mm(ウ)80.540mとなります。
解答)
(ア)81.381m
(イ)0mm
(ウ)80.540m
横断測量:TSによる間接水準測量
TSによる間接水準測量とは、TSに備わっている「対辺機能」を用いて、基準となる反射プリズムから他の反射プリズムまでの
- 斜距離
- 水平距離
- 高低差
- 勾配
などをTSを移動させずに連続して測定する方法です。
それではここで、対辺機能による2点間の間接水準測量を考えてみましょう。
以下の図をご覧ください。
図に示した記号の意味は以下のとおりです。
h₁ | TSで計測された1点とTSの器械高との高低差 |
h₂ | TSで計測された2点とTSの器械高との高低差 |
f₁ | 1地点のプリズムの機械高 |
f₂ | 2地点のプリズムの機械高 |
この場合1、2地点間の高低差Hは、
H=(h₁-f₁)-(h₂-f₂)
と表すことができます。
実際の計測では、1本のプリズムだけ使ったり、プリズム高を一定にしたりすることによって、簡単に2点間の高低差を求めることも可能です。
また現在のTSでは、とくに計算も必要とせず、その内部計算機能を用いて変化点や地物を視準し、基準となる点から多くの観測点までの高低差と水平距離を求めることができます。
それではまたまた問題です!(笑)
間接水準測量による横断測量の計算問題をやってみましょう。
横断測量の計算問題
公共測量における路線測量の横断測量を、図に示すように間接水準測量のひとつであるトータルステーションによる単観測昇降式で行い、表の観測結果を得ました。
観測結果 | |
f₁ | 1.500m |
f₂ | 1.400m |
D₁ | 35.000m |
D₂ | 50.000m |
α₁ | 30°00’00” |
α₂ | 45°00’00” |
点Aの標高H₁を35.500mとした場合、点Bの標高H₂はいくらか求めなさい。
ただし、点Aのf₁および点Bのf₂は目標高、器械点において点A方向の高低角をα₁、斜距離をD、点B方向の高低角をα₂、斜距離をD₂とします。
横断測量の計算問題解答
TSの器械高(視準線までの高さ)を求めると、
(35.500m+1.500m)-35.000m×sin30°
=37m-(35m×0.5)=19.500m
つづいてB点のプリズム中心(器械)の標高を求め、H₂の標高値を求めると、
19.500m+50.000m×sin45°=19.500m+35.356m=54.856m
※sin45°=0.70711
したがってB点の標高H₂は、
54.856m-1.400m=53.456m
解答)53.456m
お疲れさまでした 🙂
縦断測量のやり方と縦横断測量の計算!器高式や横断測量・縦断測量の違いまとめ
器高式記帳法とは、1点に据えたレベルを基準に、まわりの各点に立てた標尺を順次視準し、それぞれの高さを求める方法
a)レベルを標高の基準となるKBM1とその他観測すべき点が数多く見通せるAの部分に据える |
b)KBM1を視準して、その標尺の値が1,000mであった場合①、手簿のBS(後視)の位置にこれを記入 |
c)KBM1の標高が10,000mであった場合、A地点のレベルからKBM1を視準している視準線の標高は11,000mとなるため、GH(標高)の欄に10,000、IH(器械高)の欄に1,000+10,000(BS+GH)=11,000と記入 |
d)No.1およびNo.2の標尺の値をよみ(②③)、これをFS(前視)のIP(中間点)として野帳に記入
このときNo.1~No.2の標高は、KBM1のIHの値からそれぞれのIPを引いた値となる |
e)つづいてNo.3の標尺の値をよむ(④)
しかしNo.4以降の点については、A点に据えたレベルから障害物があり読むことできないので、レベルB点に移動する このためA点からNo.3の標尺を読んだ値は、FSのTP(移器点)に記入 No.3の標高はd)と同じくKBM1のIHからTPを引いた値となる |
横断測量はTSなどによる水準測量で行われる。
TSによる間接水準測量とは、TSに備わっている「対辺機能」を用いて、基準となる反射プリズムから他の反射プリズムまでの
- 斜距離
- 水平距離
- 高低差
- 勾配
などをTSを移動させずに連続して測定する方法
以上です。
ありがとうございました。