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コンクリートの化学的侵食の対策とは?メカニズムや原因も解説

コンクリートの化学的侵食ってなんだっけ?

こんなお悩みを解決します。

コンクリート劣化機構のひとつである【化学的侵食】について、メカニズムや対策、原因などをくわしく解説します。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ!

コンクリートの化学的侵食の対策とは?やメカニズムや原因も解説

コンクリートの化学的侵食!

化学的侵食以外のコンクリート劣化機構についてはまた別記事でご確認ください。

コンクリートの化学的侵食のメカニズムとは?

化学的侵食とは、酸性物質や硫酸イオンとの接触によりコンクリートの硬化体が分解したり、化合物生成時の膨張圧によってコンクリートが劣化する現象のことです。

酸性物質や硫酸イオンがコンクリート内に侵入すると、コンクリートがひび割れたり、コンクリート内の鋼材が錆びたりしてしまいます。

 

またコンクリートの硬化体とは、コンクリートが凝結したあと、硬く強度が大きくなることです。

つまりコンクリートの化学的侵食とは、コンクリート内に酸性物質や硫酸イオンが入り込んで悪さをすることです!

 

コンクリートの化学的侵食の原因は?

一般的には、化学的侵食の劣化要因は酸性物質や硫酸イオンと覚えておけばOKです。

また、酸性物質や硫酸イオンなどの侵入性物質以外にも以下のような原因も考えられます。

  1. 動植物油
  2. 無機塩
  3. 腐食性ガス
  4. 炭酸ガス
  5. 硫酸の生成を伴う微生物の作用

 

コンクリートの化学的侵食の特徴

コンクリート化学的侵食の特徴はこちらです。

コンクリート化学的侵食の特徴

  1. 水に溶けにくいセメント水和物を可溶性物質に変化させ、コンクリート組織がこわされる&劣化する
  2. 膨張性化合物をつくり、コンクリートが膨張圧により破壊される
  3. コンクリート中のセメント水和物が外に溶けだしてコンクリートが劣化する

 

化学的侵食➀水に溶けにくいセメント水和物を可溶性物質に変化させる

コンクリート中のセメント水和物と化学反応を起こし、水に溶けにくいセメント水和物を可溶性物質に変化させます。

そうすると、コンクリート組織が多孔質化したり分解したりすることにより劣化の原因になります。

劣化因子の例)

酸、動植物油、無機塩類、腐食性ガス、炭酸ガス、硫酸の生成を伴う微生物の作用

 

化学的侵食②膨張性化合物をつくる

化学的侵食により、コンクリート中のセメント水和物と反応して新たに膨張性化合物を生成します。

そしてこの膨張性化合物が生成するときの膨張圧により、コンクリートが破壊されてしまうのです。

劣化因子の例)

動植物油、硫酸塩、海水、アルカリ濃厚溶液

 

化学的侵食③コンクリート中のセメント水和物が外に溶けだしてしまう

コンクリートが長期間にわたって水に接することも、化学的侵食が起こる原因のひとつです。

これによりコンクリート中のセメント水和物の成分が外部に溶けだして、コンクリートの硬化体組織が多孔化し、劣化します。

コンクリート内がスカスカになるイメージ

 

コンクリートにおける化学的侵食の対策

化学的侵食の対策としては、以下の4つが考えられます。

コンクリート化学的侵食の対策

  1. コンクリート表面被覆
  2. 腐食防止処置がしてある補強材の使用
  3. かぶりを十分とるなどして鋼材を保護する
  4. 水セメント比を小さくして密実なコンクリートとする

 

コンクリート表面被覆

表面被覆とは、コンクリート構造物の表面に被覆材を塗布することです。

コンクリート表面に膜をつくるイメージですね。

 

コンクリートの劣化因子となる塩分・水・酸素・炭酸ガス等の外部からの浸入を抑制し、中性化・塩害・アルカリ骨材反応等の劣化対策において非常に有効な工法となります。

表面被覆工法には、有機系被覆と無機系被覆があり、対象となるコンクリート構造物の環境条件や予測される劣化要因に応じて、最も効果的な工法を選定すること大切です。

有機系表面被覆工法
  • 樹脂材料 エポキシ,ポリウレタンなど
  • 形成される被膜が緻密なため、優れた防水性、遮塩性および中性化抑止性の性質を持ちます。また、耐薬品性が高く下水道施設などでライニングに使用する場合もあります。
無機系表面被覆工法
  • 無機質系材料をベースに用いた耐候性に優れた表面保護塗装材で、高弾性のため伸び能力に優れ、安全で環境に優しい材料です。
  • 防水性・遮塩性と、中性化抑止性を有する無機質系高弾性被覆材で、コンクリートに有害な外部からの雨水や炭酸ガス、塩化物イオンの浸入を防ぐ効果があります。

 

 

腐食防止処置がしてある補強材の使用

腐食防止としては、金属表面に被膜を形成するものがあります。

被膜を形成するもの

  1. ケイ酸塩
  2. リン酸塩
  3. アミン
  4. 酸化剤 

これらにより、化学的侵食を防ぐ効果があります。

 

かぶりを十分とるなどして鋼材を保護する

かぶりとは、鋼材からコンクリート表面までの最短キョリで計測したコンクリートの厚さです。

要はコンクリートに厚みをもたせれば、侵入性物質の侵入の可能性が低くなります。

 

水セメント比を小さくして密実なコンクリートとする

水セメント比とはW/ C(水÷セメント)のことです。

水セメント比が小さければ密度の高いコンクリートがつくれます。

可能な範囲で、水セメント比は小さくしましょう。

 

参考に、コンクリート標準示方書に記載されている水セメント比(%)の基準値をのせておきます。

種別 構造物の露出状態 気象条件
気象作用が激しい場合、または凍結融解がしばしば繰り返される場合 気象作用が激しくない場合、氷点下の気温となることが稀な場合
断面
薄い場合 一般の場合 薄い場合 一般の場合
一般の無筋および鉄筋コンクリート ①連続して、あるいはしばしば水で飽和される部分 55 60 55 65
②普通の露出状態にあり、①に属さない場合 60 65 60 65
ダムコンクリート 60 65
舗装コンクリート 気象条件
気象作用が激しい場合、凍結融解がしばしば繰り返される場合 気象作用が激しくない場合、氷点下の気温となることが稀な場合
45 50

 

コンクリートの化学的侵食の対策とは?メカニズムや原因も解説まとめ

コンクリート化学的侵食まとめ

コンクリートの化学的侵食とは、酸性物質や硫酸イオンとの接触によりコンクリートの硬化体が分解したり、化合物生成時の膨張圧によってコンクリートが劣化する現象のこと

化学的侵食の原因は酸性物質や硫酸イオン

コンクリート科学的侵食の特徴

  1. 水に溶けにくいセメント水和物を可溶性物質に変化させ、コンクリート組織がこわされる&劣化する
  2. 膨張性化合物をつくり、コンクリートが膨張圧により破壊される
  3. コンクリート中のセメント水和物が外に溶けだしてコンクリートが劣化する

化学的侵食の対策

  1. コンクリート表面被覆
  2. 腐食防止措置をほどこした補強材を使う
  3. コンクリートのかぶりを多くとる
  4. 水セメント比を小さくして密実なコンクリートとする

 

今回は以上です。

参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

 

この記事を書いている人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 某県庁の公務員土木職として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報を発信しています。

 

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