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コンクリートの凍害対策とは?特徴やメカニズムを解説(写真付き)

コンクリートの凍害(とうがい)ってくわしいことよく分からないな…

そんなあなたのお悩みを解決します。

コンクリートの【凍害(とうがい)】についてくわしく解説します。

コンクリートの凍害対策や特徴、メカニズムについて確認していきましょう。(写真付き)

それではさっそく参りましょう。

 

コンクリートの凍害対策とは?特徴やメカニズムを解説(写真付き)

コンクリートの凍害対策とは?

コンクリート凍害のメカニズムとは?

コンクリートに含まれる水分が凍ると、水が凍結膨張するためコンクリート内を移動します。

そしてそのときに生じる水圧が、コンクリーを破壊してしまうのです。

よって凍害は、コンクリート内の骨材やセメントなどの間で起こります。

コンクリート内の水分が移動することによって、その水圧でコンクリートが壊される現象を凍害というよ!

一方、コンクリートの凍害は劣化機構と呼ばれ、コンクリートの劣化機構には凍害以外にもコンクリートを劣化させる要因があります。

 

コンクリート凍害の原因は?

凍害の原因は、コンクリート中に含まれる【水分】です。

水が凍ったり溶けたりをくり返すことが原因となります。

凍結融解(とうけつゆうかい)作用ともいいます。

コンクリートの凍結温度は水セメント比などによってちがいますが、およそ-0.5 ~-2.0 ℃くらいといわれています。

やはり凍害の問題は、寒い北海道や東北地方などで多いです。

北海道や東北はしばれる(さむい)で~

 

コンクリート凍害の特徴

凍害の特徴として、代表的なものでスケーリングやポップアウト、微細ひびわれがあります。

凍害はコンクリートの外側の破壊だけでなく、コンクリートの性能の劣化や強度の低下を引き起こしたりもします。

 

スケーリング

スケーリングとはコンクリートの表面がフレーク状に剥離(はくり)する状態のこと!

コンクリートの中に含まれる水分が凍ったり溶けたりするのがくりかえされると起こります。

スケーリングは自然環境下での現象なので、事前の予測がむずかしいです…( 一一)

コンクリート表面がボロボロになってしまいます。

 

ポップアウト

ポップアウトとは、コンクリート表層部がまるく穴が空いたように抜け落ちてしまう現象

表層下の骨材の膨張により、骨材上部のコンクリートが押し出され、跡のクレーター状のくぼみのことです。

凍結融解作用、 反応性骨材、鉄筋のさびなどが原因で発生します。

 

微細ひびわれ

微細ひび割れは、亀の甲羅のようにひびわれが起こる現象です。

主に凍結融解作用や乾燥による原因です。

 

コンクリート凍害の対策

凍害の対策としては、以下の3つが考えられます。

凍害の対策

  1. 骨材の品質については、吸水率の小さい骨材を用いること
  2. AE剤あるいはAE減水剤を使用して、適正量のエントレインドエアを連行させること
  3. 水セメント比を小さくして密実なコンクリートとすること

 

骨材の品質については、吸水率の小さい骨材を用いること

吸水率は高ければ高いほど、強度に悪影響を与えます。

骨材に空隙が多いとそのすきまに水が入るため、吸水率が高くなります。

吸水率が高いほど骨材の密度は小さく、安定性試験の損失量やすりへり減量が大きいです。

できるかぎり吸水率が小さい骨材を使いましょう。

吸水率の定義

 吸水率[%]=吸水量÷絶乾状態の質量

各種骨材の吸水率の規格値

骨材の種類 吸水率の規格値[%]
砂利(粗骨材)・砂(細骨材) 砂利:3.0以下砂:3.5以下
砕石(粗骨材)・砕砂(細骨材) 3.0以下
高炉スラグ骨材(細骨材) 3.0以下
高炉スラグ骨材(粗骨材) L:6.0以下 N:4.0以下
フェロニッケルスラグ骨材(細骨材) 3.0以下
鋼スラグ骨材(細骨材) 2.0以下
電気炉酸化スラグ骨材(細骨材) 2.0以下
電気炉酸化スラグ骨材(粗骨材) 2.0以下

(引用:工事共通標準示方書 品質管理基準及び規格値)

 

AE剤あるいはAE減水剤を使用して、適正量のエントレインドエアを連行させること

エントレインドエアとは、AE剤などを使うことによりコンクリート中につくられた微細で独立した気泡です。

混和剤の種類によって異なりますが、一般的な大きさは25~250μm程度です。

耐凍害性やワーカビリティーの改善に効果があります。

空気量が同じでも気泡の大きさが小さく、気泡同士の間隔が小さい場合にはその効果が大きくなります。

適切にAE剤やAE減水剤を使いましょう。

 

水セメント比を小さくして密実なコンクリートとすること

水セメント比は、水とセメントの比率を百分率で示した値です。

以下の式で計算します。

水セメント比=W/C(%)

Wは単位水量、Cは単位セメント量です。

水セメント比が大きすぎると、強度や耐久性の不足につながります。

どちらかと言えば水セメント比は小さい方が良いです。

 

ただし、水セメント比を小さくしすぎるとワーカビリティの低下につながります。

ワーカビリティの低下をさけるため、高性能AE減水材などの混和剤を使いましょう。

たとえば、土木工事のレディーミクストコンクリートの水セメント比は、以下の基準が設けられています。

  • 無筋コンクリートで55%~65%
  • 鉄筋コンクリートで45%~55%

(引用:コンクリート標準示方書 11章コンクリート工11-2配合設定(3)水セメント比の選定

可能な範囲で、できる限り水セメント比を小さくしてください。

 

コンクリートの凍害対策とは?特徴やメカニズムを解説まとめ

コンクリート凍害まとめ

  • 凍害のメカニズムとは、コンクリート内の水分が移動することによってその水圧でコンクリートが壊されること
  • 凍害の原因はコンクリート内の【水分】
  • 凍害の特徴で代表的なものは、スケーリング・ポップアウト・微細ひび割れの3つ

凍害の対策

  1. 骨材の品質については、吸水率の小さい骨材を用いること
  2. AE剤あるいはAE減水剤を使用して、適正量のエントレインドエアを連行させること
  3. 水セメント比を小さくして密実なコンクリートとすること

 

今回は以上です。

参考になればうれしいです

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと

  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の公務員(土木)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
  • 今はブログで土木施工管理技士や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報を発信しています。
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