水道管には数多くの付属設備が設置されていますが、地上式の消火栓以外は、水道管と同じように私たちの目に触れることはほとんどありませんよね。
だけど水道管路の付属設備であるバルブや弁は、管路を正常に機能させることを目的としており、適正な水圧や水量を確保し、安定給水に役立っています。
そんなわけで、今回のテーマは【水道の給水バルブや弁の種類や特徴】についてです。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
水道の給水バルブや弁の種類&特徴!水道管のコーン弁とは?
【水道バルブ(弁)】
水道管においてバルブは水の流れを止めたり、流量や水圧の調節を行ったりする設備で、分類すると次のようになります。
水道バルブの分類
- 流量制御用バルブ
- 圧力制御用バルブ
- 遮断用バルブ
- 逆流防止用バルブ
弁とは、流体や気体を遮断したり、流量を調整したりするために開閉する装置のことで、バルブの構造の一部として設置されます。
流量制御用バルブ
管路内の流量を制御するもので、ポンプの吐出量、配水池や調整池への流入量や流出量の制御用に使用します。
代表的な弁として、
- バタフライ弁
- コーン弁
- ボール弁
- 多孔可変オリフィス弁
などがあります。
圧力制御用バルブ
管路中の水圧を制御して適正な水圧に減圧する場合に用いられます。
代表的な弁として、
- バタフライ弁
- コーン弁
- オート弁(減圧弁)
- ボール弁
- ニードル弁
- スリーブ弁
などがあります。
遮断用バルブ
水道管路で用いられる大部分のバルブはこの遮断が目的で使われています。
全開、全閉によって管路内水流の通水と遮断を行います。
配水系統の分離や配水管網のブロック化など使用範囲は広く、代表的なものとして
- 仕切弁
- 金属弁座バタフライ弁
- コーン弁
- ボール弁
などがあります。
逆流防止用バルブ
水流の方向を一定方向に制限するバルブで、他のバルブが電動、油圧、手動などで動作するのに対して、水の流れによる力で開閉されます。
主にポンプの吐出側に設置されることが多いです。
代表的なものとして、スイング逆止弁やフート弁などがあります。
ここでバルブの説明内で登場していた【弁】などについてさらにくわしく確認しておきましょう。
弁の特徴
- バタフライ弁
- スリーブ弁
- オート弁(減圧弁)
- 仕切弁
- コーン弁
- ボール弁
- ニードル弁
- オリフィス弁
- 空気弁
- 消火栓
一方、水道のバルブや弁のほか、取水施設についても併せてチェックしておくとよいでしょう。
水道バルブの種類➀バタフライ弁
弁箱内で円板状の弁体が、弁棒を軸として回転することによって開閉を行う弁です。
弁棒が垂直であるものを立形バタフライ弁、水平であるものを横形バタフライ弁といいます。
他のバルブに比べて軽量で開閉に要するトルクが小さく、さらに安価のため広く使用されています。
水道バルブの種類②スリーブ弁
スリーブ弁は、弁体が二重のスリーブ(筒袖)状のバルブで、固定側あるいは稼働側のスリーブには多くの孔(ポート)があいています。
可動側のスリーブを移動することによって開孔数を増減させ、水がこのポートを通ることによって流量と圧力を制御します。
また、キャビテーションと言って小さな断面から水が急速に流出すると、断面近くの圧力が低下し、飽和蒸気圧以下になると水が気化し始める現象があります。
同時に超音波や異常な振動が発生し、設備の破壊や騒音の原因になることもあります。
この現象はバルブで微小流量を流したときなどに発生することが多いです。
スリーブ弁は、水流を多くのポートから水中に噴出させてエネルギーを分散させるため、減勢効果がよくキャビテーションが起こりにくい構造になっています。
特性上、減圧や制御用に使われますが、一般に高価で設置費用も大きくなります。
水道バルブの種類③オート弁(減圧弁)
オート弁は、管路内の水圧を動力源として作動するものです。
減圧弁として使用されるほか、水位制御などにも用いられています。
弁上部にセットされたバネの強さと、ピストンシリンダーまたはダイアフラムがバランスをとり動作するものと、パイロット弁が圧力変動を感知してピストンを作動させるものがあります。
水道バルブの種類④仕切弁
仕切弁は、弁箱内の弁体を、弁棒を回転することによって上下させ、水の流れに直角に移動することで通水面積を変え、開閉を行います。
ダクタイル鋳鉄製や鋼板製などがあります。
水道バルブの種類⑤コーン弁
コーン弁とは、弁箱及び弁体が頭部を切った円すい形で、リフトコックと同じ全閉着座、全開着座などの機能および構造をもつ大形のバルブのことです。
水道バルブの種類⑥ボール弁
ボール弁は流体の流れを制御する弁体がボールのような形状をしたものです。
配管内の水、空気、ガス、粉体などの流れを止めたり、流したり、あるいは流量を制御したりできる機能があります。
ボール弁はその中の「回転」の概念により、流体を流す(ON)、及び止める(OFF)用途に使用されます。
また、バルブの流路と配管径が同等の「フルボア構造」のため、流体抵抗が非常に小さく、圧力損失が少ない弁種です。
弁体を90度回転させればON-OFFの切り替えができるため、操作性に優れ、操作時間が短いという長所があります。
水道バルブの種類⑦ニードル弁
ニードル弁とは、小さなオリフィスとなった流路を針状あるいは棒状のニードルで開度調整し、その流路抵抗変化により流量を制御するものです。
また、形状が針(ニードル)に似ているため、この名称が名づけられたと言われています。
水道バルブの種類⑧オリフィス弁
オリフィス弁は、流れをポートの開度で制御するスリーブ弁のひとつ。
オリフィスは面積を減少した管路であり、その長さが断面寸法に比べて比較的短い場合の流路の絞りのことを指します。
ポートからの噴流が管軸に沿っているので、 キャビティ解消用の大きな空間が必要なく、バルブ本体や弁室をコンパクトにできるのが特徴です。
水道バルブの種類⑨空気弁
さらにさらに、弁で忘れちゃいけないのが【空気弁】です。
空気弁とは、管路の凸部に設置し、管内の空気を排除するとともに、管内への空気を吸引するためのバルブのこと。
水道管路内には、水中に溶解している空気の遊離などによって空気がたまり、通水断面積が減少して流れに支障をきたすことがあるため、管内の空気を排除する必要があります。
また、管布設のときや断水工事後に管に充水する場合にも管内の空気を排除することが必要となります。
さらに工事などで断水する場合に管内の水を排水するときには、管内に空気を自動的に吸引しなければいけません。
このように、空気弁は水道管路にとってとても重要な付属設備であり、一般的には管径350mm以下の管路には単口空気弁を、管径400mm以上の管路には双口空気弁もしくは急速空気弁を設置します。
水道バルブの種類⑩消火栓
また一方で、みなさんも見たことがあるであろう【消火栓】についてです。
消火栓は消火用水を供給するため、消防活動に便利な道路の交差点や分岐点などで配水管が交差して消火用水が多方面から集まる場所に、100~200mの間隔で設置することが必要です。
消火栓は消火用水の供給のほか、配水管内の排水作業や災害時の臨時拠点吸水用にも使われます。
消火栓の種類には、地下式の単口、双口および地上式があり、基本的な取付基準は以下のとおりです。
単口消火栓 | 管径150mm以上の配水管 |
双口消火栓 | 管径300mm以上の配水管 |
また市街地では消火栓1栓あたりの放水量は1㎥/分以上を基準とし、1火点に少なくとも5基から集中放水できるようにすることが必要です。
水道の給水バルブや弁の種類&特徴!水道管のコーン弁などまとめ
水道バルブの分類
- 流量制御用バルブ
- 圧力制御用バルブ
- 遮断用バルブ
- 逆流防止用バルブ
水道バルブや弁の種類 | 概要 |
バタフライ弁 | 弁箱内で円板状の弁体が、弁棒を軸として回転することによって開閉を行う弁 |
スリーブ弁 | スリーブ弁は、弁体が二重のスリーブ(筒袖)状のバルブで、固定側あるいは稼働側のスリーブには多くの孔(ポート)があいている弁
可動側のスリーブを移動することによって開孔数を増減させ、水がこのポートを通ることによって流量と圧力を制御する |
オート弁(減圧弁) | オート弁は、管路内の水圧を動力源として作動するもの
減圧弁として使用されるほか、水位制御などにも用いられている |
仕切弁 | 仕切弁は、弁箱内の弁体を、弁棒を回転することによって上下させ、水の流れに直角に移動することで通水面積を変え、開閉を行う弁のこと |
コーン弁 | コーン弁とは、弁箱及び弁体が頭部を切った円すい形で、リフトコックと同じ全閉着座、全開着座などの機能および構造をもつ大形のバルブのこと |
ボール弁 | ボール弁は流体の流れを制御する弁体がボールのような形状をしたもの
配管内の水、空気、ガス、粉体などの流れを止めたり、流したり、あるいは流量を制御したりできる機能がある |
ニードル弁 | ニードル弁とは、小さなオリフィスとなった流路を針状あるいは棒状のニードルで開度調整し、その流路抵抗変化により流量を制御するもの |
オリフィス弁 | オリフィス弁は、流れをポートの開度で制御するスリーブ弁のひとつ |
空気弁 | 空気弁とは、管路の凸部に設置し、管内の空気を排除するとともに、管内への空気を吸引するためのバルブのこと |
消火栓 | 消火栓は消火用水を供給するため、消防活動に便利な道路の交差点や分岐点などで配水管が交差して消火用水が多方面から集まる場所に、100~200mの間隔で設置することが必要 |
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学の土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 水道事務所の勤務経験あり
- 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報発信中!