今回のテーマは【中堀杭工法】
中堀り杭工法のデメリットや先端処理方法などをまとめましたのでぜひご確認下さい。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
中堀杭工法のデメリットとは?中堀り杭工法の先端処理方法や違いも解説
中堀り杭工法とは?
中堀杭工法とは、既製杭工法のひとつ。
中堀杭工法は、先端開放の杭の内部にスパイラルオーガなどを通して先端部をオーガ、バケットなどで掘削しながら所定の深さまで圧入あるいは軽打により貫入させたあと、所定の支持力が得られるように先端処理を行うものです。(以下の図解参照)
中堀り杭工法の手順
- オーガで掘削しながら先端解放の杭を沈設
- 所定の位置まで掘削
- オーガの引き上げ
- 杭の挿入
- 杭を打撃貫入し施工完了
また併せて場所打ち杭工法もチェックしておくとよいでしょう。
中堀杭工法の掘削および沈設の注意点やデメリット
中堀り杭工法は、とくに掘削による杭先端部および杭周辺地盤のゆるみは支持力発現上問題となるため、十分な施工管理が求められます。
掘削および沈設上の留意点を見ていきましょう。
①掘削中は原則として過大な先堀りを行ってはならない
掘削中は原則として過大な先堀りを行ってはいけません。
このためには杭先端位置とスパイラルオーガ先端位置の関係を常に観察しておく必要があります。
ただし、中間層が比較的硬くて貫通がむずかしいために、杭先端部にフリクションカッターを取り付けたり、杭径程度(1m以内)の先掘りを行うことはやむを得ないとされています。
②掘削中は原則として杭径以上の拡大堀りを行ってはならない
掘削中は原則として杭径以上の拡大堀りを行ってはいけません。
この場合、杭径にはフリクションカッターの厚さを含めるものとしますが、その厚さは周面摩擦力をできるだけ低下させないために必要最低限とします。
【フリクションカッター厚さt(mm)】
杭径D | フリクションカッター厚さt(mm) |
800mm未満 | 9以下 |
800mm~1,000mm | 12以下 |
③ボイリング発生の可能性があるとき
掘削時およびスパイラルオーガ引き上げ時に負担を発生させてボイリングを起こす可能性があるときは、杭中空部の孔内水位を常に地下水位より低下させないよう、十分注意して掘削してください。
④掘削や沈設の作業が困難なとき
掘削や沈設の作業が困難な場合は、長時間にわたる掘削機の運転や過度な打撃あるいは無理な圧入を酒、機械器具の変更等を検討するのがよいです。
⑤杭が所定の深さに達した時の注意点
杭先端が所定の深さに達した際には、過度の掘削や長時間にわたる攪拌などによって周囲の地盤を乱さないように注意してください。
なおデメリットとしては、先端処理方法が最終打撃方式以外の場合には、杭先端が所定の深さ付近まで沈設された時点で、支持層の確認を行わなければなりません。
そして支持層の確認は、事前の地盤調査結果とオーガモータの駆動電流値などから読み取った掘削抵抗を比較しながら行いましょう。
また、スパイラルオーガの引き上げ時にオーガ先端に付着している土砂を直接目視により確認するようにしてください。
中堀り杭工法の先端処理
先端処理の方法は大きく分けて3種類です。
先端処理方式
- 最終打撃方式
- セメントミルク噴出攪拌方式
- コンクリート打設方式
1.最終打撃方式
最終打撃方式は、定められた深さに達した杭を打撃により所定の深さまで貫入させるものです。
打ち込み時に用いるハンマは試験杭の結果により決められたものを使用しなければなりません。
さらにこの最終打撃方式では、過度な打撃を避け、適切な支持層への根入れ、貫入量をしっかり確認するようにしてください。
2.セメントミルク噴出攪拌方式
セメントミルク噴出攪拌方式とは、セメントミルクを所定の圧力で噴出しながら杭先端部周辺の砂質系地盤と十分攪拌して根固めするものです。
主にスパイラルオーガによる中堀り杭工法により掘削沈設する杭に適用します。
杭先端根固め部の一般的な施工法は、低圧力で噴出したセメントミルクにビットを使用して機械的に攪拌混合する方法と、セメントミルクを高圧力で噴出して攪拌混合する工法に大別できます。
根固め部で、所定の形状となるよう先掘り、拡大掘りを行います。
根固め球根を築造するにあたっては、セメントミルクと杭先端部周辺の砂質系地盤とを十分攪拌しながら所定の位置まで処理しなければなりません。
このためには、セメントミルクの水セメント比(W/C=60~70%程度)、噴出攪拌位置、噴出圧力および噴出量を適切に管理することが重要です。
プラントより採取したセメントミルクの圧縮強度は、σ₂₈≧20N/㎜²とするのが望ましいとされています。
また、根固め球根の強度は、過去の試験例や現場でのコアボーリング等から、その圧縮強度が設計上の先端極限支持力度以上あることを確認しておくのが良いでしょう。
そしてオーガの引き上げ時は、吸引現象防止のため、貧配合の安定液を噴出させながらゆっくりと引き上げることが必要です。
3.コンクリート打設方式
コンクリート打設方式は、主として機械掘削による場所打ち杭工法に準じる、
- ハンマグラブ
- オーガバケット
- リバースサーキュレーションドリル
などの工法により掘削、沈設した杭の先端処理に適用します。
中堀り杭工法のオーガー掘削回転方向について
ブログのお問合せから質問をいただきましたが、メールアドレスの間違いにより返信できないため、記事にて回答させていただきます。
(以下、質問内容)
1級施工を目指しているものですが、以下内容について教えてくだ
中堀杭工法についてオーガの回転方向で入れる際は正回転で土を出
実際、逆回転するとオーガ内の土が落ちてしまう危険性があるので
どちらが正解なのかわかりましたら、ご教示いただけますでしょう
不躾な質問で申し訳ありませんが専門家の意見を聞きたくご質問さ
中堀り杭工法やプレボーリング工法のオーガー掘削回転方向について
中堀杭工法については、回転圧入などの技術もあり、引き抜く際に逆回転で引き抜く工法もあります。(回転工法のひとつとも言える)
オーガ回転を入り抜きともに正回転させるのは、プレボーリングのセメントミルク工法です。
プレボーリング工法の場合は、オーガなどで先に掘削してから杭を打設するため、おっしゃる通りで逆回転させると土が落ちてしまう危険性があります。
一方で、中堀杭工法は、杭の中空部にロッドを差し込んで、ロッドの先端にオーガ―ヘッドをつけて、杭体と一緒に回転させながら掘り進んでいきます。
ですので、中堀杭工法のオーガの引き抜き回転方向はどちらでも問題ありません。
中堀杭工法のデメリットとは?中堀り杭工法の先端処理方法や違いまとめ
中堀杭工法は、杭の内部にスパイラルオーガなどを通して先端部をオーガ、バケットなどで掘削しながら所定の深さまで圧入あるいは軽打により貫入させたあと、所定の支持力が得られるように先端処理を行うもの
注意点やデメリット
①掘削中は原則として過大な先堀りを行ってはならない
②掘削中は原則として杭径以上の拡大堀りを行ってはならない
③ボイリング発生の可能性があるときは十分注意する
④掘削や沈設の作業が困難なときは機械の選定が必要
⑤杭が所定の深さに達した時は地盤を乱さないように注意する
⑥先端処理方法が最終打撃方式以外の場合には、杭先端が所定の深さ付近まで沈設された時点で、支持層の確認を行わなければならない
中堀り杭工法の先端処理
最終打撃方式 | 最終打撃方式は、定められた深さに達した杭を打撃により所定の深さまで貫入させるもの |
セメントミルク噴出攪拌方式 | セメントミルク噴出攪拌方式とは、セメントミルクを所定の圧力で噴出しながら杭先端部周辺の砂質系地盤と十分攪拌して根固めするもの |
コンクリート打設方式 | コンクリート打設方式は、主として機械掘削による場所打ち杭工法に準じる、ハンマグラブ、オーガバケット、リバースサーキュレーションドリルなどの工法により掘削、沈設した杭の先端処理に適用する |
中堀杭工法の掘削オーガ方向については、回転圧入などの技術もあり、引き抜く際に逆回転で引き抜く工法もある。(回転工法のひとつとも言える)
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 転職活動経験あり(現在フリーランス)
- 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報発信中!