今回のテーマは【地震波】
土木における耐震工学の分野についてわかりやすく解説していきます。
地球はプレートとよばれる硬い岩盤で覆われており、その移動によって地殻変動や地震が生じると言われています。
地震も表面波、縦波、横波などがあり、種類ごとに特徴(速度や波動)が異なりますので、ぜひ違いを確認してみてください。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
地震波の種類!縦波&横波やレイリー波とラブ波の違いをわかりやすく解説
まずはじめに、地震を説明するうえで必要となる専門用語の意味をまとめました。
しっかり意味の違いを把握しておきましょう。
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震源 | 最初に破壊が始まった地点 |
震央 | 震源を真上の地表に移した点 |
地殻 | 地球の表面部分の層
厚くても100㎞程度と言われている |
震央距離 | 震央から観測地点までの距離 |
震源距離 | 震源から観測地点までの距離 |
震源深さ | 地表から震源までの深さ |
はい、というわけで(笑)、今度こそ【地震波】について確認していきます。
地震の震源で放出されたエネルギーが地殻を伝わったものが地震波で、地震波には
- 縦波(P波)
- 横波(S波)
- 表面波(ラブ波とレイリー波)
の3つ(細かくいうと4つ)があります。
縦波(P波)をわかりやすく!
縦波はP波(primary wave)とも呼ばれ、速度が6~14㎞/s程度(ごく浅い部分を除いた地殻内での伝播速度は毎秒6~7㎞/s程度)と、地震の波のなかで最も速いことから、私たちがまずはじめに感じるのが縦波(P波)というわけです。
このP波は地震波の方向に平行な縦波(粗密波)で、固体や液体ともにP波を伝えることができます。
横波(S波)をわかりやすく!
横波はS波(secondary wave)と呼ばれており、縦波(P波)よりも遅いです。
一般には伝播速度は3.5~4.5㎞/s程度。
S波は地震波の進む方向に直角な横波(せん断波)で、P波よりも多くのエネルギーを運搬できます。
ただし、固体はS波を伝えますが、液体はせん断抵抗がないことからS波を伝達できないのが特徴と言えるでしょう。
なお、P波が到着してからS波が到着するまでの部分を初期微動(しょきびどう)、S波が到着したあとの揺れの大きい部分を主要動(しゅようどう)と呼んでいます。
表面波(ラブ波とレイリー波)の定義や違い
地震波には地殻内を伝わる実体波(P波やS波)のほかに、地表面や不連続面(境界面)に沿ってのみ伝わる表面波(surface wave)があります。
表面波にはラブ波とレイリー波の2つがありますが、どちらもS波よりやや遅く、距離に対する振幅の減り方も少ないのが特徴です。
したがって、震央付近では表面波よりS波が卓越しますが、震央より遠い地点ではS波より表面波のほうが優勢となります。
レイリー波の場合には、地表の各点は楕円の軌跡を描いて振動します。
この楕円は鉛直面内にあるので、上下動・水平動両方の成分をもち、振幅は地表付近で最も大きく、地下深部では急速に減少します。
またレイリー波の伝播速度(正確には位相速度)は、半無限媒質ではS波速度の約0.92倍程度といわれていますが、実際の地球ではS波速度は一定ではないので、レイリー波の波長が長くなるほど地下深部のS波速度の寄与が大きくなると考えておけばよいでしょう。
一方ラブ波は、S波速度が大きい媒質の上にS波速度の小さな層が乗っているときに発生します。
地球規模でみれば、地殻はこのS波速度の小さい層にあたります。
また、基盤の上を軟弱な堆積層が覆っている場所もこの条件を満足し、ラブ波が発生しやすいといえるでしょう。
さらにラブ波は、SH波と同様に進行方向と直交する方向に水平面内で振動するので、地震計の水平動成分にのみ現れます。
ラブ波の位相速度は、上の層と下の層のS波速度の中間の値となりますが、波長によって速度が異なるので注意してください。
一方、地震に関連する液状化や斜面崩壊についてはまた別記事でご確認ください。
地震波の種類!縦波&横波やレイリー波とラブ波の違いをわかりやすくまとめ
地震波動の種類 | 速度
(キロメートル/秒) |
特徴 | |
縦波(P波)
primary wave |
速度が6~14㎞/s程度 (ごく浅い部分を除いた地殻内での伝播速度は毎秒6~7㎞/s程度) |
地震の波のなかで最も速い
地震波の方向に平行な縦波(粗密波)で、固体や液体ともにP波を伝える |
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横波(S波)
secondary wave |
3.5~4.5㎞/s程度 | S波は地震波の進む方向に直角な横波(せん断波)で、P波よりも多くのエネルギーを運搬できる
固体はS波を伝えるが、液体はせん断抵抗がないことからS波を伝達できない |
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表面波
surface wave |
レイリー波 | S波よりやや遅く、距離に対する振幅の減り方も少ない
S波速度の約0.92倍程度 |
地表の各点は楕円の軌跡を描いて振動する
振幅は地表付近で最も大きく、地下深部では急速に減少する 実際の地球ではS波速度は一定ではないため、レイリー波の波長が長くなるほど地下深部のS波速度の寄与が大きくなる |
ラブ波 | S波速度が大きい媒質の上にS波速度の小さな層が乗っているときに発生
SH波と同様に進行方向と直交する方向に水平面内で振動するので、地震計の水平動成分にのみ現れる ※S波のうち地表面に平行に振動する成分をSH波、他をSV波と呼ぶ 位相速度は上の層と下の層のS波速度の中間の値となるが、波長によって速度が異なる。 |
以上です。
ありがとうございました。
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学★土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 土木行政・現場監督・施工管理の経験あり
- 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙)・玉掛けの資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報を発信中!