水道用に使われる原水は、河川や湖沼、地下などから様々な方法で取水されますが、とくに河川の流量は常に一定ではなく、洪水等による変動を考慮する必要があります。
今回はこの取水施設(取水管渠や取水門、取水関など)について、水道事務所で働いていた私が、用語の定義や種類、特徴などをサクッと解説していきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
この記事を書いた人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学の土木工学科卒業(学士)
- 大学卒業後、某県庁の公務員(土木職)として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 水道事務所の勤務経験あり
- 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格もち
- 今はブログで土木施工管理技士の勉強方法や公務員のあれこれ、仕事をメインにさまざまな情報発信中!
取水管渠や取水門&取水堰などをまるっと解説!取水施設の種類とは?
取水口施設の種類はざっくりこんな感じです。
取水口施設の種類
- 取水堰
- 取水門
- 取水塔
- 取水枠
- 取水管渠
取水施設の種類➀取水堰
【多摩川に設置された二ヶ領上河原堰堤】
河川水をゲートなどで堰上げし、安定した取水を行うための施設です。
下流域での大量取水に適しています。(大量取水の目安:10万㎥/日以上)
一方で、河川の流況が不安定な場合、きめ細やかな取水量の調整が必要となります。
取水施設の種類②取水門
河岸に直接流入口を設け、その前面に取水量を調整するゲートや角落しを設置して、河川の表流水や湖沼の表層水を取水する方法です。
比較的少量の取水に適しています。(少量取水の目安:1万㎥/日以下)
一方で、【水道】バルブや弁の種類&特徴についても併せてチェックしておくとよいでしょう。
取水施設の種類③取水塔
河川や湖沼に円形、または楕円形の塔を設け、側壁に設けられた取水口より直接塔内に取水する方法です。
河川の中・下流域や湖沼の取水に適しています。
取水施設の種類④取水枠
河川や湖沼の水中に箱状または円筒状の枠を沈め、取水を行う方法です。
河床や湖底の変化が少ない安定した場所において、河川では少量、湖沼では中、少量の取水に適しています。(少量取水の目安:1万㎥/日以下、中量取水の目安:数万㎥/日程度)
取水施設の種類⑤取水管渠
河川の河岸近くの水中に取水管口を設けて取水する方法です。
水位変化が少ない河川で、少量の取水に適しています。(少量取水の目安:1万㎥/日以下)
一方、一般に水道は「上水道」と呼ばれ、反対に下水道の施設もあります。
上水道と下水道のしくみ&ちがいについてはまた別記事で確認してみてください。
取水施設における地下水の取水
地下水を取水する方法は以下のとおりです。
地下水取水方法
- 集水埋渠(埋管)
- 浅井戸
- 深井戸
集水埋渠(埋管)
河川敷の河床下や地中へ埋設した渠または管に空けられた多数の孔を通して、伏流水や自由水面をもつ地下水を取水する施設です。
浅井戸
自由水面をもつ地下水または伏流水を帯水層から取水するための比較的浅い井戸です。
深さは一般に10~30m程度と言われています。
深井戸
地下の被圧帯水槽より取水する井戸です。
一般に30m以上の深い井戸で、鋼管製ケーシング管とストレーナ管などを用いて取水するのが一般的です。
一方で、地下水は海水による塩水化や工場排水による汚染などの影響を受けやすく、また取水状況によっては地盤沈下を引き起こすことがあります。
したがって、汚染源および帯水層の状態などに十分配慮した取水地点、取水方法の検討が必要となります。
取水管渠や取水門&取水堰など!取水施設の種類まとめ
取水施設(取水口)の種類
- 取水堰
- 取水門
- 取水塔
- 取水枠
- 取水管渠
地下水取水方法
- 集水埋渠(埋管)
- 浅井戸
- 深井戸
以上です。
ありがとうございました。