混和材と混和剤は、読み方はいっしょだし、なんだかこんがらがってしまいますよね。
こんなお悩みを解決します。
コンクリートの混和剤と混和材の種類や効果も併せて解説していきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップはこちらです。
混和剤と混和材の違いとは?コンクリート混和材料の種類や効果
混和剤と混和材のちがいは、使用量とコンクリート練り上がり容積に含むかどうかがポイントです。
混和剤
混和剤とはコンクリートを練るうえで使う量が少なく、それ自体の容積はコンクリートの練り上がり容積に含まないものです。
混和材
混和材とはコンクリートを練るうえで使用量が比較的多く、それ自体の容積がコンクリートの練り上がり容積に含むものです。
混和材料
ちなみに混和剤と混和材の両方をさす総称を混和材料と言います。
コンクリートをつくるときにセメント、水、骨材以外の材料として加えられるもので、コンクリートに特別な性質を与えるお薬のようなものです。
コンクリートの打ち込み行う前までに必要に応じて加えます。
混和剤の種類や効果
混和材料の分類とその効果をチェックしましょう。
混和剤には、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、防錆剤などがあります。
- AE剤
- 減水剤
- AE減水剤
- 高性能減水剤
- 防錆剤
混和剤①AE剤
特徴及び効果
コンクリートの中に微細な独立した気泡をまんべんなく分布させる混和剤です。
コンクリートのワーカビリティーが良くなり材料が分離しにくくなるため、ブリーディング、レイタンスが少なくなります。
また、凍結や融解に対する抵抗性が増してコンクリートの表面が強くなります。
用途
コンクリートをつくるときに最も一般的に使われ、特に寒冷地では必ず使います。
混和剤②減水剤(標準形・促進形・遅延形)
特徴及び効果
【標準形】
標準形の減水剤を使うとコンクリートがやわらかくなるため、ワーカビリティーが同じ場合には単位水量を減らすことができます。
ワーカビリティーとは、まだ固まらないコンクリートの作業のしやすさを表す性質のことです。
また減水にともなって、単位セメント量を減らせることができ、コンクリートと鉄筋とのくっつきなどが良くなります。
さらにコンクリートの粘着性が増し、材料分離しにくくなります。
【促進形】
促進形の減水剤は、標準形と同じ効果をもちますが、強度が早く発現するのが特徴です。
塩化物を含んでいるものが多いので、鉄筋の発錆の心配があるときは注意が必要です。
【遅延形】
遅延形の減水剤は、減水効果のほかにコンクリートが固まる時間を遅らせる効果があります。
コンクリートの水和熱による温度上昇の時間も少し遅らせることができます。
用途
【標準形】
標準形の減水剤は、単位水量、単位セメント量が多くなりすぎるときなどに使います。
【促進形】
促進形の減水剤は、主に寒中コンクリートを打つときに使います。
【遅延形】
遅延形の減水剤は、マスコンクリートや暑中コンクリートに使用します。
マスコンクリートとは、コンクリート寸法が大きく、セメントの温度上昇を考えて施工しなければならないコンクリート構造物のことです。
ダムや分厚い壁のコンクリートなどはマスコンクリートです。
暑中コンクリートや寒中コンクリートについては、別記事でくわしく説明していますのでそちらをご覧ください。
混和剤③AE減水剤
特徴及び効果
AE減水剤は、AE剤と減水剤の効果を両方もっている混和剤のことです。
用途
AE剤と同じくらい、コンクリートをつくるときには一般的に使用されています。
気泡を連行できるAE剤と、単位水量を減らせる減水剤のふたつの機能をあわせもつものです。
混和剤④高性能AE減水剤
特徴及び効果
高性能AE減水剤は、空気連行性をもった高性能減水剤で、スランブロス低減効果をもった混和剤のこと!
スランブロス低減効果とは、コンクリートをプラントから現場に運ぶときに凝結が進んでしまうことを防ぐ機能のことです。
用途
高性能AE減水剤は高強度用など、単位水量や単位セメント量を低減したいときに使います。
混和剤⑤防錆剤
特徴及び効果
防錆剤は名前のとおり、鉄筋の防錆(錆びを防ぐ)効果があります。
用途
防錆剤は、海の砂などを使うときに使います。
塩分は鉄筋を錆びさせてしまいますからね。
とくに海沿いの地域では広く使われています。
混和材の種類や効果
混和材には、ポゾラン系のフライアッシュ、高炉スラグ、シリカフュームや鉱物質微粉末、膨張材、急硬材などがあります。
- ポゾラン系(フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム)
- 鉱物質微粉末
- 膨張材
- 急硬材
混和材①ポゾラン系(フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム)
特徴及び効果
ポゾラン系の混和材は、早期強度が小さいです。
また、他にも長期強度が大きい、水密性が大きい、化学抵抗性が大きいなどの特徴があります。
さらに品質によっては、単位水量が多くなり、乾燥収縮が大きくなることもあります。
用途
マスコンクリ―トや暑中コンクリートに使用します。
混和材②鉱物質微粉末
特徴及び効果
鉱物質微粉末は、高炉スラグの粉末や岩石粉末などがあります。
いずれもブリーディングの低減、強度の増加効果があります。
用途
鉱物質微粉末はブリーディングを減らすために使います。
ブリーディングとはフレッシュコンクリートなどにおいて、材料が沈んだり分離したりしてしまい、ねり混ぜ水の一部がコンクリート表面に出てくる現象です。
混和材③膨張材
特徴及び効果
膨張材とはコンクリートを打った初期の段階で、すこし膨張することによって収縮率を小さくできます。
初期の湿潤養生がとくに大切であり、使用量が多すぎると有害になることもあります。
用途
膨張剤は、水密コンクリートなどのひび割れ防止用に使われます。
水密コンクリートとは、水と接触のある水槽やプールなどの構造物に使われるコンクリートのことです。
混和材④急硬材
特徴及び効果
急硬材を使うと、短時間でコンクリートの強度がでる効果があります。
コンクリート練り混ぜ時間を調整することもできます。
用途
急硬材は、主に補修工事用のコンクリートに使われます。
使用頻度が高い混和剤
さらにくわしく、特に使用頻度が高い混和剤・混和材の特徴をまとめてチェックしましょう。
AE剤の効果
- 空気を連行してコンクリートの流動性を与え、ワーカビリティーを向上させる。
- 空気の気泡の働きで、ブリーディングが抑制できる。
- 耐凍害性・耐久性が向上する。
- 水密性の向上により、化学抵抗性が増大する。
- 水セメント比が一定の時、空気量1%増加につき、圧縮強度は4~6%減少し、単位容積質量もやや減少する。
AE減水剤の効果
- ワーカビリティーが向上し、強度の低下がない。
- 耐久性、耐凍害性、耐化学性の向上
- 単位水量、単位セメント量の減少によるひび割れ減少
- 厳しい環境下においても所要の水和作用が期待できる。
使用頻度が高い混和材
フライアッシュ
フライアッシュとは、火力発電所から出る廃ガス中に含まれている灰分の微粒分子を、集塵器で集めたものです。
- コンクリートのワーカビリティーを改善し、単位水量を減らすことができる。
- 水和熱による温度上昇を小さくできる。
- 長期材齢における強度を増加させる。
- 乾燥収縮を減少させる。
- 水密性や化学的浸食に対する耐久性を改善させる。
- アルカリ骨材反応を抑制する。
高炉スラグ微粉末
高炉スラグ微粉末とは,高炉方式による銑鉄製造においてつくられてしまう粉末のことです。
- コンクリートの長期強度を増進させる。
- 水和熱の発生速度を遅くする。
- 水密性を高め、塩化物イオンなどのコンクリートへの浸透を小さくする。
- 硫酸塩や海水に対する化学的抵抗性を改善する。
混和剤と混和材の違いとは?コンクリート混和材料の種類や効果まとめ
混和剤&混和材まとめ
混和剤と混和材のちがいは、使用量とコンクリート練り上がり容積に含むかどうか
- 混和剤とはコンクリートを練るうえで使う量が少なく、それ自体の容積はコンクリートの練り上がり容積に含まないもの
- 混和材とはコンクリートを練るうえで使用量が比較的多く、それ自体の容積がコンクリートの練り上がり容積に含むもの
減水剤には標準形・促進形・遅延形などの種類がある
使用頻度が高い混和剤はAE剤やAE減水剤
使用頻度が高い混和材はフライアッシュや高炉スラグ
混和剤の種類
- AE剤
- 減水剤
- AE減水剤
- 高性能減水剤
- 防錆剤
AE剤の効果
- 空気を連行してコンクリートの流動性を与え、ワーカビリティーを向上させる。
- 空気の気泡の働きで、ブリーディングが抑制できる。
- 耐凍害性・耐久性が向上する。
- 水密性の向上により、化学抵抗性が増大する。
- 水セメント比が一定の時、空気量1%増加につき、圧縮強度は4~6%減少し、単位容積質量もやや減少する。
AE減水剤の効果
- ワーカビリティーが向上し、強度の低下がない。
- 耐久性、耐凍害性、耐化学性の向上
- 単位水量、単位セメント量の減少によるひび割れ減少
- 厳しい環境下においても所要の水和作用が期待できる。
混和材の種類
- ポゾラン系(フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム)
- 鉱物質微粉末
- 膨張材
- 急硬材
フライアッシュの効果
- コンクリートのワーカビリティーを改善し、単位水量を減らすことができる。
- 水和熱による温度上昇を小さくできる。
- 長期材齢における強度を増加させる。
- 乾燥収縮を減少させる。
- 水密性や化学的浸食に対する耐久性を改善させる。
- アルカリ骨材反応を抑制する。
高炉スラグ微粉末の効果
- コンクリートの長期強度を増進させる。
- 水和熱の発生速度を遅くする。
- 水密性を高め、塩化物イオンなどのコンクリートへの浸透を小さくする。
- 硫酸塩や海水に対する化学的抵抗性を改善する。
今回は以上です。
参考になればうれしいです。
ありがとうございました。
この記事を書いている人
- 元公務員の土木ブロガー💻
- 国立大学土木科卒業(学士)
- 1級土木施工管理技士、玉掛け、危険物取扱者乙4などの資格持ち
- 某県庁の公務員土木職として7年間働いた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
- 今はブログで、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインに情報を発信しています。