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コンクリートひび割れをパターン別に解説!種類別の原因と対策まとめ

少し外に出てみると、コンクリートでつくられている建物を見つけることができますね。

そんななかで、一度はコンクリートがひび割れているのを見たことがあるのではないでしょうか。

 

ひび割れと一言で言っても、コンクリートひび割れの原因にはいくつかのパターンがあります。

今回は、コンクリートの主なひび割れのパターン別に、種類別の原因と対策方法をまとめました。

コンクリートひび割れをパターン別に解説!種類別の原因と対策

種類別のコンクリートひび割れパターン

主なコンクリートのひび割れパターンはこちらです。

  1. 沈みひび割れ
  2. 乾燥収縮ひび割れ
  3. 水和熱によるひび割れ(温度ひび割れ)
  4. アルカリシリカ反応によるひび割れ
このほか、凍害や中性化、化学的侵食などによるコンクリート劣化によってひび割れが起こることがあります

コンクリートの劣化機構について知りたい方は、別の記事でくわしく書いていますのでそちらをご覧ください。

ひび割れと言ってもいろんな種類があるんですね。

また施工の段階においても、コンクリートひび割れの種類や分類がありますので、併せて必ずご確認ください。

種類別コンクリートひび割れパターンの原因と対策

コンクリート構造物に発生するひび割れの原因は、材料上、施工上、環境上、構造物上のものなどさまざまであり、これらの原因が複雑にからみ合ってひび割れが発生します。

ひび割れパターンをまとめるとこんな感じです。

ひび割れ

パターン

ひび割れ図 原因 対策
沈みひび割れ

↓ブリーディング現象

鉄筋コンクリート

コンクリートの沈みと凝固が同時に進行する過程で、その沈みを鉄筋が妨げることによってひび割れが起こる

例)

コンクリートの材料分離

締固め不足

①AE剤、AE減水剤・高性能AE減水剤を使って単位水量を少なくする

②細骨材・粗骨材の粒度分布が適切なものを使用し、単位水量、水セメント比を小さくする

③こて仕上げのとき、タンピングで修復する

④沈み沈み変位がおわる段階で再振動する

⑤ポゾランなどの混和材を用いて材料分離を少なくする

乾燥収縮ひび割れ

開口部

スラブ

コンクリートの表面が乾燥収縮してひび割れが起こる

例)

単位水量が多い

表面養生が不良

型枠の早期の取り外し

骨材の乾燥収縮が大きい

①コンクリートの単位水量をできるだけ少なくする

②収縮が少ないセメントを使う

③骨材自体の乾燥収縮が小さいものをえらぶ

④型枠取り外し後も湿潤養生を行い、急激な温度変化をさけ、直射日光や風が当たらないようにする

⑤湿潤養生を5日以上行うほか、型枠をできるだけ長く存置する

⑥ひび割れが発生すると予想される箇所に補強鉄筋を入れる

⑦誘発目地を適所に入れる

水和熱によるひび割れ

外部拘束

内部拘束

セメントと水の水和熱がコンクリート内部に蓄積され、その温度が低下するときにコンクリートの収縮が拘束を受けてひび割れる

例)

単位セメント量が多い

断面が大きく温度上昇が大きい

養生期の急激な冷却を受ける

①セメント量の少ない配合やセメントの種類をえらぶ

 低熱ポルトランドセメント

 中庸熱ポルトランドセメント

 フライアッシュセメントなど

②高性能減水剤、高性能AE減水剤を利用して、コンクリートの単位セメント量を少なくする

③プレクリーニング、パイプクーニングなどを行い、コンクリートの打ち込み時と養生時の温度低下を図る

④誘発目地を適所に入れる

アルカリシリカ(骨材)反応によるひび割れ

T型橋脚

コンクリート中のアルカリ分と骨材のシリカが反応し、膨張ひび割れが起こる

例)

アルカリ骨材反応がある骨材を使用している

①骨材のアルカリシリカ反応性試験(化学法、モルタルバー法)の結果で無害とされた骨材を使用する

②コンクリート中のアルカリ総量を3kg/㎥以下とする

③高炉セメント(B種またはC種)やフライアッシュ(B種またはC種)を使用する

④コンクリートへの塩分、水分供給の防止および被覆処理をする

 

ブリーディングとは、固まらないコンクリートが、沈降またや分離することによって、練り混ぜ水の一部が表面に出てきてしまう現象のことです。

ブリーディングなどを防ぐには、AE剤やAE減水剤などと呼ばれる混和剤をコンクリートに混ぜます。

さらにブリーディングと深く関係する「レイタンス」の定義も確認しておくとよいでしょう。

 

また、水和熱によるひび割れを防ぐために、プレクーリングやパイプクーリングを行うことがあります。

プレクーリングとは、コンクリート材料の一部または全部をあらかじめ冷やしておき、コンクリートの打ち込み温度を低下させる施工方法のことです。

パイプクーリングとは、あらかじめコンクリート中に埋め込んだパイプに冷水または空気を流して、コンクリートを冷やす施工方法のことです。

 

コンクリートひび割れパターンの過去問題(土木施工管理技士)

それではコンクリートのひび割れについて、どんな問題が出ているのか土木施工管理技士の過去問を見てみましょう。

問題)

下図に示す(1)~(4)のコンクリート構造部のひび割れのうち、水和熱に起因する温度応力により施工後の比較的早い時期に発生すると考えられるものは、次のうちどれか。

(引用:平成27年1級土木施工管理技士学科試験 問題A)

〈解説〉

(1)〇

水和熱に起因する温度応力により発生するひび割れを示しています。

コンクリ―ト打設後、硬化するときにセメントと水の水和反応によって水和熱が発生して、コンクリートの温度が上昇し、最高点に達した後、温度降下するまでには時間がかかります。

この間に、コンクリートには温度上昇に伴う膨張、温度降下に伴う収縮といった体積変化が起こり図のようなひび割れが生じます。

厚みがあり、断面が大きいコンクリートは水和熱によるひび割れの可能性が高いです。

 

(2)×

急速な打ち込みあるいは不十分な締固めによるひび割れを示しています。

急速な打ち込みを行うと、締固め不足になりやすく、コンクリートの沈下ひび割れが生じます。

 

(3)×

乾燥収縮によるひび割れを示しています。

日射や風の影響で、高欄(橋)では乾燥収縮が進みやすい環境にあると考えられます。

特に壁厚がうすいときに発生しやすいです。

 

(4)×

設計荷重を超える長期的な荷重により発生するひび割れを示しています。

自動車などによる外からの力により、鉄筋コンクリート床版に損傷が積み重なって、疲労によって格子状(チェック柄のような)のひび割れが発生します。

このように、コンクリートひび割れパターンを知っていれば、解ける問題もあります。

ひび割れパターンの図だけでも覚えておきましょう。

 

コンクリートひび割れをパターン別に解説!種類別の原因と対策まとめ

コンクリートの主なひび割れ4パターン

  1. 沈みひび割れ
  2. 乾燥収縮ひび割れ
  3. 水和熱によるひび割れ(温度ひび割れ)
  4. アルカリシリカ反応によるひび割れ

この4パターンのほかに凍害や中性化、化学的侵食などによるコンクリート劣化によってひび割れが起こることもある

コンクリートひび割れパターンまとめ

ひび割れ

パターン

ひび割れ図 原因 対策
沈みひび割れ

↓ブリーディング現象

鉄筋コンクリート

コンクリートの沈みと凝固が同時に進行する過程で、その沈みを鉄筋が妨げることによってひび割れが起こる

例)

コンクリートの材料分離

締固め不足

①AE剤、AE減水剤・高性能AE減水剤を使って単位水量を少なくする

②細骨材・粗骨材の粒度分布が適切なものを使用し、単位水量、水セメント比を小さくする

③こて仕上げのとき、タンピングで修復する

④沈み沈み変位がおわる段階で再振動する

⑤ポゾランなどの混和材を用いて材料分離を少なくする

乾燥収縮ひび割れ

開口部

スラブ

コンクリートの表面が乾燥収縮してひび割れが起こる

例)

単位水量が多い

表面養生が不良

型枠の早期の取り外し

骨材の乾燥収縮が大きい

①コンクリートの単位水量をできるだけ少なくする

②収縮が少ないセメントを使う

③骨材自体の乾燥収縮が小さいものをえらぶ

④型枠取り外し後も湿潤養生を行い、急激な温度変化をさけ、直射日光や風が当たらないようにする

⑤湿潤養生を5日以上行うほか、型枠をできるだけ長く存置する

⑥ひび割れが発生すると予想される箇所に補強鉄筋を入れる

⑦誘発目地を適所に入れる

水和熱によるひび割れ

外部拘束

内部拘束

セメントと水の水和熱がコンクリート内部に蓄積され、その温度が低下するときにコンクリートの収縮が拘束を受けてひび割れる

例)

単位セメント量が少ない

断面が大きく温度上昇が大きい

養生期の急激な冷却を受ける

①セメント量の少ない配合やセメントの種類をえらぶ

 低熱ポルトランドセメント

 中庸熱ポルトランドセメント

 フライアッシュセメントなど

②高性能減水剤、高性能AE減水剤を利用して、コンクリートの単位セメント量を少なくする

③プレクリーニング、パイプクリーニングなどを行い、コンクリートの打ち込み時と養生時の温度低下を図る

④誘発目地を適所に入れる

アルカリシリカ(骨材)反応によるひび割れ

T型橋脚

コンクリート中のアルカリ分と骨材のシリカが反応し、膨張ひび割れが起こる

例)

アルカリ骨材反応がある骨材を使用している

①骨材のアルカリシリカ反応性試験(化学法、モルタルバー法)の結果で無害とされた骨材を使用する

②コンクリート中のアルカリ総量を3kg/㎥以下とする

③高炉セメント(B種またはC種)やフライアッシュ(B種またはC種)を使用する

④コンクリートへの塩分、水分供給の防止および被覆処理をする

今回は以上です。

参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

 

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