土木施工管理技士&土木知識のWEB図書館

土木LIBRARY

コンクリートのコールドジョイント補修方法とは?発生原因や防止対策を解説

今回のテーマは【コールドジョイント】

補修方法のほか、原因や防止対策についても解説していきます。

コンクリートのコールドジョイント補修方法とは?発生原因や防止対策を解説

土木や建築、コンクリート界などでよく聞く【コールドジョイント】とは、コンクリートの層同士が一体化していない不連続断面のこと。

先に打ち込んだ1層目のコンクリートと、後から打ち込んだ2層目のコンクリートとの面が一体化していないため、ひびわれなどを引き起こしやすいです。

コンクリートに生じたコールドジョイントの補修方法

コールドジョイントが発生してしまった場合の補修方法をご紹介します。

基本的には、コールドジョイントの「縁切れ」部分が確認できるかどうかで補修方法が異なります。

縁切れがはっきりと確認できない場合は、一般的にポリマーセメントモルタルをはけ塗りして対処してください。

 

いっぽう、縁切れが確認できる場合は、漏水など耐久性に問題が発生しますので、ひび割れの補修に準じて行うのが良いでしょう。

一般的な補修方法は、まず内部側のコールドジョイント部をUカットし、そこにシーリング材を充填するか、外部側からエポキシ樹脂接着剤を注入して行う方法があります。

コールドジョイント 補修方法
(軽度)縁切れが確認できない ポリマーセメントモルタルをはけ塗りする
(重度)縁切れが確認できる 内部側のコールドジョイント部をUカットし、そこにシーリング材を充填する
外部側からエポキシ樹脂接着剤を注入する

 

コールドジョイントがコンクリートに及ぼす影響

コールドジョイントがコンクリートに及ぼす影響としては、

コールドジョイントの影響

  1. 強度の低下
  2. 水密性の低下
  3. コンクリートの劣化

の3つが考えられます。

強度の低下

コールドジョイントが発生した時点で、付着強度の増進はほぼ期待できません。

またコンクリートの強度低下は、以下の状況で起こりやすいと言われています。

強度低下の理由

  1. 外気温やコンクリート温度が高い
  2. 打重ね時間間隔が長い
  3. 形状が水平よりも角度が上がる
  4. 養生において水分の供給が少ない

 

水密性の低下

コンクリート打ち込み後、比較的早い段階でコールドジョイントが発生した場合、水密性はとくに低下するので注意が必要です。

水密性が低下すると漏水の原因となり、雨水などが浸入して内部鉄筋の腐食、アルカリ骨材反応を増長してしまいます。

 

コンクリートの劣化

コールドジョイントをそのまま放置した場合、中性化、塩害、化学的腐食など、コンクリートの劣化機構を引き起こす可能性があります。

 

コンクリートにおけるコールドジョイントの発生原因

コールドジョイントの発生は、【コンクリートを打重ねる前に打ち込んだコンクリートの状態】が要因と言えるでしょう。

これは、

コールドジョイント発生原因

  1. コンクリートの配(調)合
  2. コンクリートの製造・運搬
  3. 環境条件(気温や打ち込み時間)
  4. 施工方法

などによる影響が、後から打込むコンクリートを一体化させない要因となっています。

そのなかでもとくに注意したいのが【許容打ち重ね時間間隔】です。

許容打ち重ね時間間隔とは、コンクリートを練り始めてから下層のコンクリート打ち込みが完了した後、静置時間をはさんで上層のコンクリートが打ち込まれるまでの時間

コンクリート標準示方書では、許容打ち重ね時間間隔の標準を以下のように示しています。

〈許容打ち重ね時間間隔の標準〉

外気温 許容打ち重ね時間間隔
25℃を超える 2時間

(120分)

25℃以下 2.5時間

(150分)

 

 

コンクリートにおけるコールドジョイントの防止と対策

コールドジョイントの防止と対策は以下のことが考えられます。

コールドジョイント防止と対策

  1. 運搬時間
  2. 打込み
  3. 締固め
  4. 混和剤の使用
  5. 許容打ち重ね時間間隔

運搬時間

コンクリート運搬において、とくに外気温が高くなると予想される場合には、運搬車の配車時間をできるだけ短くすることを心がけましょう。

運搬車はアジテータトラックまたはトラックミキサなどが一般的で、荷卸しする直前に高速回転させると、材料分離の防止にもなります。

 

 

打込み

コールドジョイントが発生しないように、一施工区画の面積、コンクリートの供給能力もしっかり定め調整してから打ち込みするようにしてください。

また上層と下層が一体となるように、下層コンクリートが固まりはじめる前に打ち込むようにしましょう。

 

締固め

コンクリートの締固めも、コールドジョイントのような不連続断面を起こさないために大切な工程のひとつです。

とくに内部振動機の使い方には注意してください。

たとえば、振動機は下層のコンクリート中に10cm程度挿入したり、なるべく鉛直にかつ一様な間隔に差し込んで締め固めたりなどの、ていねいな作業が必要です。

 

混和剤の使用

コンクリートの凝結時間は、遅延形の混和剤を使用することで遅らせることが可能です。

また混和剤の添加量を調整することで、コンクリートの凝結時間をかんたんにコントロールすることができます。

 

許容打ち重ね時間間隔

外気温と許容打ち重ね時間間隔は、コールドジョイントを発生させないために重要な指標のひとつです。

しっかりチェックしておきましょう。

〈許容打ち重ね時間間隔の標準〉

外気温 許容打ち重ね時間間隔
25℃を超える 2時間

(120分)

25℃以下 2.5時間

(150分)

(参考:コンクリート標準示方書)

 

コンクリートのコールドジョイント補修方法とは?発生原因や防止対策まとめ

コールドジョイントとは、コンクリートの層同士が一体化していない不連続断面のこと

コンクリートにとって「悪いこと」であるというイメージをもっておこう★

コールドジョイントまとめ

コールドジョイント補修方法

コールドジョイント 補修方法
(軽度)縁切れが確認できない ポリマーセメントモルタルをはけ塗りする
(重度)縁切れが確認できる 内部側のコールドジョイント部をUカットし、そこにシーリング材を充填する
外部側からエポキシ樹脂接着剤を注入する

コールドジョイントがコンクリートに及ぼす影響

  1. 強度の低下:ひびわれなどが起きる
  2. 水密性の低下:アルカリ骨材反応や鉄筋腐食の増長
  3. コンクリートの劣化:塩害、中性化、科学的侵食を引き起こす

コールドジョイントの発生原因

  1. コンクリートの配(調)合
  2. コンクリートの製造・運搬
  3. 環境条件(気温や打ち込み時間)
  4. 施工方法

コールドジョイントの防止と対策

  1. 運搬時間:できるだけ短く
  2. 打込み:一施工区画の面積、コンクリートの供給能力もしっかり定める
  3. 締固め:内部振動機の使い方も重要
  4. 混和剤の使用:遅延型で凝結時間を遅らせる
  5. 許容打ち重ね時間間隔:気温と時間をしっかりチェック

 

以上です。

参考になればうれしいです。

ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

名前:ちゃんさと
  • 元公務員の土木ブロガー💻
  • 国立大学★土木工学科卒業(学士)
  • 大学卒業後、某県庁の地方公務員(土木職)に合格!7年間はたらいた経験をもつ(計画・設計・施工管理・維持管理)
  • 現場監督・施工管理の経験あり
  • 1級土木施工管理技士・危険物取扱者(乙4)の資格もち
  • 今はブログで土木、土木施工管理技士の勉強方法や土木知識をメインにさまざまな情報を発信中!
  • B!